
カカポ奇跡の復活! 『ねずみに支配された島』のもうひとつのメインストーリー
ニュージーランド原産のオウムであるカカポは、体重は3〜4キロとオウムのなかでもっとも大きく、そして飛ばない。 哺乳類のいない世界で進化した彼らの敵は、上空から襲いかかる猛禽類だけだった。その攻撃を避けるためにカカポは夜間に活動し、危機に直面した際には、茂みのなかでじっと動かず、その美しい緑色の体を草木に紛らせて敵をやりすごす。 しかし、ネコ、イヌ、イタチなど
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ニュージーランド原産のオウムであるカカポは、体重は3〜4キロとオウムのなかでもっとも大きく、そして飛ばない。 哺乳類のいない世界で進化した彼らの敵は、上空から襲いかかる猛禽類だけだった。その攻撃を避けるためにカカポは夜間に活動し、危機に直面した際には、茂みのなかでじっと動かず、その美しい緑色の体を草木に紛らせて敵をやりすごす。 しかし、ネコ、イヌ、イタチなど

あちこちを飛び回って花粉や蜜を集める働きバチと、じっと巣の中で卵を生み続ける女王バチ。同じ両親から生まれていながらも、全く異なる生涯を過ごすこととなるハチたちの運命を分けたものは何なのか。遺伝だろうか、それとも、与えられる栄養や環境の違いが彼らの運命を違えているのだろうか。 この謎を明らかにする鍵は、エピジェネティクスにある。著者は、エピジェネティクスは、ゲ

本書を読み始める前は、「よくある先生と生徒の感動物語かな」くらいに、軽く考えていた。しかし、そこで繰り広げられているロボット選手権があまりにもレベルが高く、ただの感動物語では済ませられない何かがあった。 高校生ロボット世界選手権「FIRST」(For Inspiration and Recognition of Science and Technology)

現在のドタバタ劇をみるに信じられないことかもしれないが、理化学研究所は、1917年の創立以来、「日本の科学界を牽引したのは理研」といわれるほど、数々の著名な日本人研究者を輩出している日本屈指の研究所である。 これまで、世界初のビタミン発見者といわれる 鈴木梅太郎 をはじめ、 寺田寅彦 、 長岡半太郎 、 仁科芳雄 、 湯川秀樹 、 朝永振一郎 などというそう

5億4千万年前の カンブリア爆発 以来、地球上には『捕食者』がはびこっている。ある意味では我々人類が地球上最強の捕食者なのであるが、そのことは棚上げにして、捕食者というと、どう猛で恐ろしいいうイメージを抱きがちだ。 捕食者のいない世界というのを考えてみてほしい。なんとなく、平穏でのどか、緑ゆたかで桃源郷のような景色が思い浮かばないだろうか。『捕食者なき世界』

もしも地団駄というものが踏めるものであるのなら、この一冊を読みながら踏んでみたいと思う。 原題は『 What Technology Wants 』=テクノロジーの望むもの。テクノロジーの歩みを『種の起源』のように捉え直すという束ね方に独創性があり、これまでに見聞きしてきた様々な知識が一本の線でつながるようなダイナミズムに満ち溢れている内容だ。おかげで、本が本

本書は、サルによる実験を通じて「愛情」の研究を行ったハリー・ハーロウ教授の伝記である。 著者は、「霊長類を動物実験として用いることについての倫理問題」を論じた連載でピュリッツアー賞を受賞し、当初はハーロウ教授が行った実験について批判的であった人だ。しかし、その後、「育児放棄」の破壊的な影響について連載した際に考え直す。 結局のところ、これはハリー・ハーロウの

『ニューヨーカー』誌の2014年5月19日号に「パーシャル・リコール(partial recall)」というタイトルの記事が載っていました。ピンと来た人もいるかもしれませんが、これは映画『 トータル・リコール 』に引っかけているんです。この映画、いろいろ話題になったので、ご覧になった方も多いかもしれませんね。『トータル・リコール』は、人間の記憶をまるごと入れ


成毛眞 :本書は、おそらく世界中を見ても類書がまったくない、唯一無二の本。そのテーマからして他の追随を許さない、まさに「独走」状態の一冊だよね。であるからして、この本の最後に誰かがしたり顔して何か付け加えたって、蛇足もいいところで、むしろ本書の価値を落とすばかりだと思うんだ。そこで、われわれHONZが愛するこの世にも稀なる作品をせめて応援させてもらうため、代

友人が「超絶的に面白い」と言っていたのは、まさしく本当だった。30年ほど前に、初めてドーキンスの利己的な遺伝子を読んだ時の衝撃は、今でも忘れることはできない。すべての生物は遺伝子によって利用される単なる乗り物に過ぎない、というドーキンスの考え方は、30歳になったばかりの僕にとって1つの天啓のように思えたものだった。「攻撃」のローレンツとドーキンスは、しばらく

『生命のからくり』は、「最初の生命」が誕生してから現在にいたるまでの「進化の謎」を解く良質のサイエンスミステリーである。 著者の中屋敷 均さんは、神戸大学で植物・菌類ウイルスを研究している分子生物学者。中屋敷さんによると、生命は、根源的な「葛藤」を持っている、という。それは、生命には相矛盾する二つの性質、「自分と同じ物を作る」ことと「自分と違う物を作る」こと

分厚い本である。内容もやさしくはない。しかし、10年後には、自分の健康が気になるすべての人が理解しなければならない本だ。千ドルゲノム、我々の細胞がもっているゲノム情報。すなわち、DNAの四つの文字ACGT、その60億塩基対にもおよぶ並び方をわずか千ドルで調べることができる時代がそこまできているのだ。 内容は大きく三つに分かれている。一つは、千ドルゲノムを可能

2億年前は「1000年に1種」の頻度だった生物の絶滅は、人間の歴史とともに飛躍的に増加し、今や「1年に4万種」という絶望的な領域に達してしまった。実は、ここ3000年に関して言えば、その大半は「島」で起きているという。 もちろん、多様な種の大量絶滅の原因は人間だ。しかし、島々で直接手を下しているのは、ねずみやねこなど、人間とともにやって来た動物たちである。船

料理研究家・ 土屋敦が編み出すレシピ は、どれもとてもシンプルで美味しい。だから、ひょっとしたら横着な男なのではないかと思っていた。実物を見ても、なんとなくそういう印象がしないでもない。しかし現実は真逆、オタク的執着心の権化だ。 そうでなければ、豚の角煮のレシピだけを27も集めた本『 なんたって豚の角煮 』など出版するはずがない。世界中のどこに、豚の角煮でそ


--『生命誕生』と書名にあるとおり、本作は生命の起源に迫った刺激的な作品ですね。このような壮大なテーマの研究を始めた動機についてお聞かせください。 中沢: 動機といえるものではありませんが、きっかけは青年期に抱いた“生命の起源"への疑問だったかも知れません。直接的な契機となったのは、勤務先の研究所に、一組織を立ち上げる機会を得たことでした。 研究所というのは

『ニューヨーカー』の2014年5月12日号に、「ソイレント」という液状食品に関する記事が掲載されました。軽~く興味を引かれて読み始めたところ、ちょっと意外なぐらいに、われわれの「食」について考えさせる内容になっていたので、ご紹介してみます。 液状の食べ物というのは、昨今、それほど珍しいわけではありません。減量したい人のダイエット食品にも、ドロドロした飲むタイ

ヒトはどこから来て、どこへ行くのか。いつの時代も人を惹きつけ、現代でも問われ続けている問いである。ダーウィンの『 種の起源 』をきっかけに、生命の進化にはより一層の関心が払われ、科学の発展とともに多くのことが明らかにされてきた。 それでは、生命を生み出した地球は、そして地球を構成する鉱物は、どのように進化してきたのか。これは、これまで十分に注意を払われてこな

下のビデオは、本書でも紹介されている御茶ノ水女子大学の郡宏さんの実験である。 複数の振り子時計を並べると、“振り子”同士が申し合わせたかの様に歩調を合わせるようになる。「ホイヘンスの原理」だ。1665年の冬、ホイヘンスが体調が悪く自宅に引きこもっていた時に発見されたというのが心強い。振り子はいいなあ仲間がいてなんて思っていたら、あらびっくり、という話か。 他

訳者がこんなに「ウンコ」を連発したのは小学生のとき以来かもしれない ウンコが溢れているのは本書の中だけではない、世界中で溢れはじめている。約70億の人類は約4億トン近いウンコを、家畜(ニワトリ約190億、ブタ約10億、ウシ約14億、ヒツジとヤギ約18億)は控えめに見積もって、141億3645万トンの畜糞を算出する。畜糞だけで、地球上すべての人に一日1ℓ以上を

HONZ内で「これを読んでいないと、まるで話についていけない本」というのが存在する。中でも特に話題に上るのが、岩波科学ライブラリー『 ハダカデバネズミ 』『 クマムシ?! 』『 フジツボ 』の3冊。これらの本が、同じ編集者によって手がけられていたことをご存知であっただろうか。それが今回寄稿いただいた伝説の編集者・塩田春香さんである。 ちなみに上記の3冊は変わ

感動を飛び越してショックだ。こんな面白い講義をリアルタイムで受けている京大生には、同じ大学生として嫉妬全開である。まあ、受験生時代のセンター試験の点数を聞かれたらぐうの音もでない訳だが、学校が違えばこんなに違うものかとつい思ってしまう。 そんな悩ましい程面白い講義とは、京都大学屈指の人気を誇る、「生命の化学」。その中から生徒に好評だった部分を選りすぐり、実際

数学のノーベル賞と言われる「フィールズ賞」を受賞した天才数学者による、定理を証明するまでの舞台裏と日常――この本の内容を一言でいうと、そうなるだろう。ただ、ほとんどの人が、なんとも不思議で神秘的な瞳を持つ、本の帯の著者写真( こちら でどうぞ)に目を奪われるように思う。 写真では、肩まで下りるワンレングスの漆黒のストレートヘアと、細面の顔に浮かぶ深い黒の瞳が

みなさんはトマス・ハーディの『 テス 』を読まれたことがありますか? わたしは一応読んでいるのですが、もうずいぶん昔のことで、自分がそのときいったいどんな感想を持ったのかも、ほとんど思い出すことができません。しかし、この作品中にストーンヘンジが出てきたときに、一瞬、かすかな違和感を覚えたことはなんとなく記憶しています。 もちろん、イングランド南部を舞台とする

保守とかリベラルとか、その手の話題とは願わくば一線を引きたいと思っていたし、あまり深入りせずに真ん中あたりをうろちょろしていると思われたいのが本音だ。だが、ここまで明確に人間社会における道徳の機能的価値を晒されると、むしろ知らないことの方が怖くなってくる。 道徳心理学という手法を活用した本書の明快すぎる論考には、いささか著者固有のバイアスもかかっていることだ

キルリアン写真というものを、ご存知だろうか?今から約80年ほど前の1930年代に、旧ソビエト連邦で発明された不思議な写真のことである。発明家ニコラ・テスラの影響を受けた旧ソ連のキルリアン夫妻がその発明者。電気治療器の高周波によって生体から放電が起きていることに気付き、それを撮影しようと試みたことが発端であったという。 この鉄のカーテンの中で育まれたキルリアン

名作、「 生命40億年全史 」「 地球46億年全史 」の著者が、太古の昔から姿も変えずいまなお生き残っている生物を対象に、「いかにして生き延びたのか」を論じた本である。前作同様、本書も著者が現場に出向いた探求の旅をまとめた体裁をとっている。読み進むうちに、最高の旅ガイドに手をとられて、現地を旅しているような臨場感におそわれる。 本書は10章から成り立っている

『 背信の科学者たち 』、この刺激的なタイトルの本が 化学同人から出版された のは四半世紀前。1988年のことである。かけだし研究者であったころにこの本を読んだ。驚いた。捏造をはじめとする論文不正を中心に、科学者のダークな事件をあらいだし、その欺瞞から科学をとらえなおそうという試みである。最初におことわりしておくが、この本、後に講談社ブルーバックスとして出版

いい本を読んで感銘を受けた時はつよい読後感でしばらく呆然となったり、新しい世界観を獲得して人間としてひと皮むけたような気になったりするものだが、私はこの本を読んでもそういう前向きな気持ちにはならなかった。 もちろんいい本だとは思った。それに面白さという点でも群を抜いており、一気に読み終えたことも事実だ。この本は冒険を扱ったものではあるが、ほかの冒険本とはちが

絶対に真似をしてはいけないーーなんと甘美な誘い文句だろうか。 前著『 Mad Science ―炎と煙と轟音の科学実験54 』では、「 シャボン玉爆弾 」、「 オレオクッキーを燃料にしたロケット 」等、数々のエクストリームな実験で話題になったあのシリーズが、さらにパワーアップして帰ってきた! だが、本書の”真似をしてはいけない”度は、針が振り切れるほどのMA

昔から、信仰やスポーツ、健康維持のため老若男女を問わず山と親しんできた日本人にとって、遭難事故はめずらしいことではない。これまでも山行記や遭難記録が多数刊行され、そうした何冊かは私も読んでいた。だから本書で、「サードマン現象」(原文はThe third man factor)の記録を読んだときも、驚きはしなかった。人はたまらなく孤独になったとき、とりわけ過酷

本日最終回のOAを迎える NHKスペシャル「人体 ミクロの大冒険」 。HONZでは同時発売された書籍『 人体 ミクロの大冒険 』(角川書店)の一部を、放送内容に合わせる形で連載してきました。 (※過去の記事: 第1回 、 第2回 、 第3回 ) 第4回のテーマは老化。バイオイメージングにより、私たちの体内には、いち早く老化する細胞があること、そして、それが周

本日3回目のOAを迎える NHKスペシャル「人体 ミクロの大冒険」 。HONZでは同時発売された書籍『 人体 ミクロの大冒険 』(角川書店)の一部を、放送内容に合わせる形で、連載していきます。(※過去の記事: 第1回 、 第2回 ) 第3回のテーマは思春期。少女から女性、少年から男性へという変化の陰で、細胞たちがどのように連動して変化していくのか、ホルモンを

ITER(読みは「イーター」)をご存知ですか? 日本語だと「国際熱核融合実験炉」と言われるプロジェクトのことです。ITERは、かつてはこの日本語に対応する英語の頭文字だと説明されていましたが、今では公式にも、ラテン語で「道」とか「道のり」とか「旅」という意味をもつ言葉だと言われるようになっています。 今日、原子力発電に使われている原子核反応は、重い原子核が分

昨日からOAが始まった NHKスペシャル「人体 ミクロの大冒険」 。HONZではそれに先駆け、同時発売される書籍『 人体 ミクロの大冒険 』(角川書店)の一部を、放送内容に合わせる形で、連載していきます。 第2回のテーマは、成長とは何か 〜誕生から思春期まで〜。最新の映像技術によって描き出された、細胞の”実像”。私たちの誕生を支えているのは、一体細胞のどのよ

本日から全4回に渡り、 NHKスペシャル「人体 ミクロの大冒険」 という番組が放送されます。HONZではそれに先駆け、同時発売される書籍『 人体 ミクロの大冒険 』(角川書店)の一部を、放送内容に合わせる形で、連載していきます。 この番組の目玉は、何といっても「細胞という単位から私たち人間の実像を見る」という試み。第1回は、それを可能にしたバイオイメージング

本書は子を持つすべての親と、教育者にこそ読んでほしい物語である。主人公はジャイコブ・バーネット、この5月に16歳になるアメリカ人の少年だ。ジェイコブ君はただの少年ではない。9歳で大学に入学し、専門は数学と宇宙論。IQは170を超えるという。いわゆる天才少年なのだ。 しかし、このジェイコブ君は何万人に1人の割合で生まれるといわれる、いわゆる知的早熟児ではない。

花粉症、喘息、アレルギー、自己免疫疾患、現代に生きる我々を脅かす数々の病。これらを解決する鍵は寄生虫にあった!しかもその原因は、特定の寄生虫の「存在」が引き起こしているのではなく、「不在」によって引き起こされていたのだという。 表紙のアメリカ鉤虫のカバー写真に首根っこをつかまれ、膨大な資料に基づいた「寄生虫視点による世界史」の筆致に目を見開かされ、最後はアメ

BMC、ビルマニアカフェ という団体をご存じだろうか。「月刊ビル」というリトルプレスまで出版している1950~70年代ビルを偏愛する5人グループで、大阪を中心に活動。 参加する設計士の高岡伸一氏は『 大大阪モダン建築 』を上梓するなど近代建築への関心で知られ、岩田雅希氏は東京R不動産と提携する大阪R不動産の運営元、株式会社アートアンドクラフト所属のリノベーシ