ノンフィクションはこれを読め!

サイエンス

CATEGORY

741記事

どこまでを人に任せるべきか──『デジタルアポロ ―月を目指せ 人と機械の挑戦―』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

どこまでを人に任せるべきか──『デジタルアポロ ―月を目指せ 人と機械の挑戦―』

本書は「人と機械がアポロ計画においてどう役割分担をしたのか(そもそも人に役割はあるのか)」という観点から、計算機開発を中心に、人間と機械の協働を分析した一冊になる。アポロ計画に関する本は歴史を辿る物からマネジメントを分析する物まで山ほど存在するだけに、今更新しいものが読めるのかなあ? と疑問に思っていたのだが、これが滅茶苦茶おもしろい! アポロ計画の技術者は

年末年始は書籍の売上が絶好調! 『サピエンス全史』の勢いが止まらない!? 書影

サイエンス / 併せて読まれたこの一冊

年末年始は書籍の売上が絶好調! 『サピエンス全史』の勢いが止まらない!?

今年も年末年始は書籍の売上げが好調! 幸先良いスタートを切ることができました。 2014年~2015年の年末年始はピケティの『21世紀の資本』が大ブレイク 、それを読んでいた人が 2015年~2016年の年末年始で読んだのは『ギリシア人の物語[I]』 …と年末年始は重厚な本の読書が進む季節です。 それでは、昨年の年末年始に『ギリシア人の物語』を読んでいた方は

世界をより鮮明に理解するために──『ホワット・イズ・ディス? むずかしいことをシンプルに言ってみた』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

世界をより鮮明に理解するために──『ホワット・イズ・ディス? むずかしいことをシンプルに言ってみた』

すべての人間が一カ所に集まってジャンプしたり 、 光速に近いボールを投げたらどうなるか? といった現実的にはありえない質問に対して、ユーモアたっぷりのイラストと科学的に正確な解説を添え、愉快に物理や数学のおもしろさを体験させてくれた前作『ホワット・イフ』。 その著者ランドール・マンローによる最新作が、本書『ホワット・イズ・ディス?』である。こちらもまた、一冊

むっちゃいけてまっせぇ~ 『マンガ 超ひも理論をパパに習ってみた 天才物理学者・浪速阪教授の70分講義』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

むっちゃいけてまっせぇ~ 『マンガ 超ひも理論をパパに習ってみた 天才物理学者・浪速阪教授の70分講義』

超ひも理論である。HONZ代表の成毛眞とともに挑んだが、まったく歯が立たなかった難攻不落の理論である。まぁ、ひょっとしたら、挑んだ相手というか、説明してくれた人が悪かったのかもしれない。我々を十分に納得させてくれんかったのだから。その敗北記は、東洋経済オンラインの『天才物理学者・浪速阪教授に聞く、その1、その2』に詳しい。 その浪速阪教授こそ、小説『超ひも理

『進化とは何か? ドーキンス博士の特別講義』 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『進化とは何か? ドーキンス博士の特別講義』

あなたはどうしてこの本を手にとったのだろうか。進化についての興味からだろうか。それとも、リチャード・ドーキンスというスター科学者にたいする関心からだろうか。あるいは、すでに熱心な愛読者であるために手にとるのも当然のことだったかもしれない。 どちらにせよ、あなたは最高の一冊を選びとった。本書は現在望みうる最良の進化論入門書であり、またサ

『進化の教科書 第1巻 進化の歴史』 進化入門の決定版 書影

サイエンス / 生物・自然

『進化の教科書 第1巻 進化の歴史』 進化入門の決定版

ハーバード大学やプリンストン大学をはじめ、全米200以上の大学で採用さている教科書『 Evolution: Making Sense of Life 』の邦訳3分冊の第1巻である。「教科書」といっても、本書は議論の余地のない事実が淡々と積み上げられた退屈なものではない。原著者は『 ウイルス・プラネット 』等で知られる大人気サイエンスライターのカール・ジンマー

『マイクロバイオームの世界 あなたの中と表面と周りにいる何兆もの微生物たち』 研究の全体像を見渡せる概論的読み物 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『マイクロバイオームの世界 あなたの中と表面と周りにいる何兆もの微生物たち』 研究の全体像を見渡せる概論的読み物

近年、わたしたちの体内や体表面に驚くほどの微生物がいることが明らかになってきた。人間の体にある細胞のうち、なんと90%が微生物のものであるというし、また、人体の内部や表面には1万種を超える微生物が棲息しているという。 そのような、「私たちの体の内部や表面のほか、家庭や学校などの生活の場のそれぞれに存在する微生物の集まり」は、「マイクロバイオーム(microb

「ビッグマック」を食べよう 『腸科学 健康な人生を支える細菌の育て方』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

「ビッグマック」を食べよう 『腸科学 健康な人生を支える細菌の育て方』

100,000,000,000,000。わたしたちひとりひとりの腸内にはそれだけの数の細菌がいるという。そうした細菌たちの集まりは「マイクロバイオータ」と呼ばれ、近年その研究が脚光を浴びている。本書は、マイクロバイオータとわたしたちの健康の関係について、微生物学者の夫妻がわかりやすく紹介するサイエンス書である。 マイクロバイオータと健康の関係については、すで

『マイクロバイオームの世界 あなたの中と表面と周りにいる何兆もの微生物たち』 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『マイクロバイオームの世界 あなたの中と表面と周りにいる何兆もの微生物たち』

本書はWelcome to the Microbiome(Yale University Press, 2015)の全訳である。原書カバーの袖に記された紹介文によれば、アメリカ自然史博物館で2015年11月から2016年8月まで開催されていた、マイクロバイオームをテーマとした展示会に合わせて制作されたものらしい。展示会はその後、アメリカ国内のみならず国外へも

不健康な脳から健康な心を推論する──『脳はいかに意識をつくるのか』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

不健康な脳から健康な心を推論する──『脳はいかに意識をつくるのか』

近年機能的磁気共鳴画像法(fMRI)など新技術の出現で脳の活動がより精確に観測できるようになり、脳科学/神経科学は飛躍的に進歩した。そうなると気になるのは、我々が「意識」や「心」と言っているものはいったいなんなんだという問いかけである。 幾つもの神経科学方面の本がその謎に挑んでいるが、本書は「機能不全に陥った脳を調べ、健康な脳と比較・検証することで心を推論す

『キラーストレス 心と体をどう守るか』そのストレスがあなたを殺す! 書影

サイエンス / 医学・心理学

『キラーストレス 心と体をどう守るか』そのストレスがあなたを殺す!

キラーストレスという言葉は造語であり、学術的に特別なストレスが存在するわけではない。しかし、近年の目覚しい科学の発展によって、いくつものストレス要因が重なると、ただのストレスでも命に関わるような病気の原因になる事が明らかになってきた。本書は最新のストレス研究を扱ったNHKのテレビ番組『 NHKスペシャルシリーズ「キラーストレス」 』の書籍化である。 テレビシ

『最古の文字なのか?  氷河期の洞窟に残された32の記号の謎を解く』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『最古の文字なのか?  氷河期の洞窟に残された32の記号の謎を解く』

本書は『最古の文字なのか?』がメインタイトルで、サブタイトルが「氷河期の洞窟に残された32の記号の謎を解く」。一瞬、メインとサブが逆なのではないかと思ったほどであるが、これこそがまさに「名は体を表す」であった。 洞窟に入って壁画を見れば、誰だって巨大な牛やウマの絵に目が向くことだろう。たしかに絵のような芸術品は、太古の人々の生活を具体的なイメージとして捉える

『宇宙エレベーター その実現性を探る』宇宙エレベーターの入門書 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『宇宙エレベーター その実現性を探る』宇宙エレベーターの入門書

宇宙エレベーターというものを知ったのは私が中学生の頃だったと思う。田中芳樹、原作の『銀河英雄伝説』というアニメでだ。特にSFファンというわけではない私にとって、この作品に描かれていた宇宙エレベーターは、あまりに荒唐無稽で実現の可能性など全く存在しないアニメの中だけの話だと思っていた。しかし、宇宙エレベーターの原理は科学的に認められているようだ。実際に原理だけ

『超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条』 一番大事なのはものの考え方 書影

サイエンス / 医学・心理学

『超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条』 一番大事なのはものの考え方

今年のアメリカ大統領選挙で勝利するのは誰か? 豊洲新市場は来年3月までに開場する? 消費税は2019年10月に10%へ引き上げられるだろうか? わたしたちはそうした事柄について日々自分なりの予測を立てている。「大統領選挙では間違いなくヒラリー・クリントンが勝利するだろうが、豊洲市場の開場にはおそらくもう少し時間がかかるだろう」という具合に。そうした予測がえて

『超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条』 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条』

「見通しが甘かった......」。仕事でもプライベートでも、そう言ってほぞをかんだ経験のない人はおそらくいないだろう。もっと先を読む力があれば、他の人より早く正確に将来を見通す力があれば、人生の想定外が減り、成功や幸せをたぐりよせることができるのではないか。みなさんが本書を手に取られたのは、そんな期待からかもしれない。その

『遺伝子の社会』 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『遺伝子の社会』

本書は2人の生物学者、イタイ・ヤナイとマルティン・レルヒャーの共著です。ヤナイはニューヨーク大学医学部教授、レルヒャーはデュッセルドルフのハインリッヒ・ハイネ大学のバイオインフォマティクス教授です。20年ほど前、二人はそれぞれリチャード・ドーキンスの傑作『利己的な遺伝子』に触発されて、進化生物学の道を歩み始めます。「生物とは遺伝子と呼ばれる利己的な分子を保存

『竜宮城は二つあった ウミガメの回遊行動と生活史の多型』 役に立たない面白い研究 書影

サイエンス / 生物・自然

『竜宮城は二つあった ウミガメの回遊行動と生活史の多型』 役に立たない面白い研究

「将来の野外生態学を担う若者に刺激を与えるような楽しい本を提供する」ことを目的とする『フィールドの生物学』シリーズの最新作である。本書のタイトルにある竜宮城とは、ウミガメの回遊先の餌場のことだ。ウミガメの餌場が二つあるということが、なぜ驚くべきことなのか、そこからウミガメの生態の何が分かるというのか。本書では、著者が大変な苦労の末にかき集めた豊富なデータとと

『身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法』 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法』

本書の著書、ヴァン・デア・コークはエピローグの冒頭で、次のように書く。 「私たちの社会は今、トラウマを強く意識する時代を迎えようとしている」 本書は、凡百のトラウマに関する啓発書とはちがう。本書は、自伝的な要素を有し、著者の精神科医としての、そしてトラウマに関する世界的な研究者としての歩みがそのまま記されている。オランダ系移民であるヴァン・デア・コークの父親

『生命、エネルギー、進化』この生物学の本にはぶっとんだ! 客員レビュー by ビル・ゲイツ 書影

サイエンス / HONZ客員レビュー

『生命、エネルギー、進化』この生物学の本にはぶっとんだ! 客員レビュー by ビル・ゲイツ

昨年、私たちの財団でグローバル・ヘルス関連の仕事を手掛けているトレヴァー・マンデルが私に、この本を読むよう勧めてくれた。私はそれまで本書のことも、著者であるユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのニック・レーンという生物学者についてもまったく知らなかった。数か月後には、私はたんにこの本を読み終えていただけでなく、ニックのほかの著書3冊を取り寄せ、うち2冊を読み

宇宙における生命の普遍的特性──『生命、エネルギー、進化』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

宇宙における生命の普遍的特性──『生命、エネルギー、進化』

本書は『生命の跳躍』、『ミトコンドリアが進化を決めた』のニック・レーンによる「生命の起源と来歴を語る」一冊だが、これが圧巻の内容である。前作までの内容を取り込みアップデートをかけた上で、生命の起源をめぐる問題に真っ向から挑み、多様な分野にまたがる議論を総括しながら、宇宙における生命の普遍的特性とまでいえる、説得力のある結論を導き出してみせる。 どんな法則が、

『外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD』 書影

サイエンス / HONZ客員レビュー

『外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD』

外来種と言えば、琵琶湖の在来種を脅かすブルーギルやブラックバスが脳裏に浮かぶ。いかにして駆除するか、心ない放流を食い止めるか。獰猛な外来種から琵琶湖の自然を守れ。確かにそうだと思う反面(因みに、僕は琵琶湖の外来種の駆除にはずっと賛成している)、何か心にひっかかるものをずっと感じていた。本書は、この問題に正面から挑んだ力作である。 冒頭、南大西洋・アセンション

万物は進化する──『進化は万能である:人類・テクノロジー・宇宙の未来』 書影

サイエンス / 生物・自然

万物は進化する──『進化は万能である:人類・テクノロジー・宇宙の未来』

『赤の女王 性とヒトの進化』で魅力的に性の仕組みを解説し、『繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史』では「現代ほど良い時代はかつてなかった」という単純な事実を、膨大な例証と共に指摘してきたマット・リドレー最新作とあれば読まないわけにはいかない。今作のテーマは『進化は万能である:人類・テクノロジー・宇宙の未来』という書名通りに「進化」である。 進化はリドレ

『生命、エネルギー、進化』 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『生命、エネルギー、進化』

ニックはジャレド・ダイアモンドのような書き手たちを思い起こさせる。世界について多くを説明する壮大な理論を考え出す人々だ。彼はそんな独創的な思索家のひとりで、あなたにこう言わせる。 ”この男の仕事についてもっと多くの人が知るべきだ” これは、本書を読んで圧倒されたビル・ゲイツが、 自身のブログに記した 言葉だ。そして、「この本を

『触れることの科学 なぜ感じるのか どう感じるのか』 めくるめく触覚の世界とその裏側 書影

サイエンス / 医学・心理学

『触れることの科学 なぜ感じるのか どう感じるのか』 めくるめく触覚の世界とその裏側

触って、触られて――。他人とのそうした身体的接触を、人生最大の愉しみと考える人も少なくないだろう。しかし、「なぜ感じるのか」「どう感じるのか」という問いに何かしらの答えを与えられるという人は、おそらくほとんどいないのではないか。本書は、そのようなめくるめく触覚の世界とその裏側に、 『快感回路』 などの著書でも知られる神経科学者がやさしく案内するものである。

『量子物理学の発見 ヒッグス粒子の先までの物語』量子物理学に今、革命が起ころうとしている 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『量子物理学の発見 ヒッグス粒子の先までの物語』量子物理学に今、革命が起ころうとしている

2012年に世界を震撼させた「ヒッグス粒子」の発見。本書は、その発見にいたるまでの人類の歴史と、その先に広がる量子物理学のフロンティアをノーベル賞量子物理学者が綴った一冊である。宇宙の始まりを解き明かせるくらいの極小な世界を探索していく中で、今、実験物理学には大きなパラダイムシフトが起きているという。本書に余すところなく描かれたそのダイナミズムを、翻訳者の青

『進化は万能である 人類・テクノロジー・宇宙の未来』 書影

サイエンス / 生物・自然

『進化は万能である 人類・テクノロジー・宇宙の未来』

本書『進化は万能である』は、『赤の女王』『ゲノムが語る23の物語』『徳の起源』『やわらかな遺伝子』といった、進化や遺伝、社会についての作品を手がけてきたイギリスのベストセラー作家マット・リドレーが、前作『繁栄』に続いて昨年発表した The Evolution of Everything: How New Ideas Emerge の全訳だ。

『夢の新エネルギー「人工光合成」とは何か』がわかる! ホントにわかる!! 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『夢の新エネルギー「人工光合成」とは何か』がわかる! ホントにわかる!!

人工光合成の技術を利用すれば、石油や石炭といった化石燃料に頼らずにエネルギーをまかなうことができる。同時に、全人類にとっての大問題となっている二酸化炭素の排出量を減少させることもできる。まるで夢か魔法の技術だ。 光合成というのは、植物や藻類、シアノバクテリウムといった細菌においておこなわれる、光をエネルギーにして水と二酸化炭素から炭水化物と酸素を作る生化学反

『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』 認知・農業・科学 書影

サイエンス / 生物・自然

『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』 認知・農業・科学

わたしたちは孤独だ。人口が70億を超え、世界中に生息域を広げたとしても、現在の地球上にはホモ属に分類される種はサピエンス、つまり現生人類であるわたしたちだけ。ライオンにはジャガーやトラのように同じヒョウ属に分類される仲間がいるのに、サピエンスは系統樹上で一人ぼっちなのだ。 かつて、人類は孤独ではなかった。そもそも「人類」とはホモ属に分類されるすべての動物を指

集団はどうして愚かな結論に至ってしまうのか 『賢い組織は「みんな」で決める リーダーのための行動科学入門』 書影

サイエンス / ビジネス

集団はどうして愚かな結論に至ってしまうのか 『賢い組織は「みんな」で決める リーダーのための行動科学入門』

「三人寄れば文殊の知恵」という。たしかに多くの場合、何人かでアイデアを出しあえば、ひとりで考えるよりいい決断に至ることができる。しかしその一方で、いつもそうとはかぎらないこともわたしたちはよく知っている。みんなで考えたのに愚かな結論に至ってしまった、いやむしろ、みんなで考えたからこそ愚かな結論に至ってしまった――そんなケースに誰もが思い当たるふしがあるのでは

認知力が生み出す虚構の力!『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』すべては7万年前に始まった。 書影

サイエンス / 世界史

認知力が生み出す虚構の力!『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』すべては7万年前に始まった。

私たちは自らをホモ・サピエンスと名づけた。自分達を「賢い人」と呼ぶ私たちは、アフリカ大陸で捕食者に怯える、取るに足りない動物であった。なぜ、その取るに足りない動物である「サピエンス」が現在のような食物連鎖の頂点に立ち、地球を支配するような存在になったのどろうか。 15万年ほど前に東アフリカで細々と暮らしていたサピエンスは7万年ほど前になると突如、地球上のあら

『<わたし>は脳に操られているのか 意識がアルゴリズムで解けないわけ』 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『<わたし>は脳に操られているのか 意識がアルゴリズムで解けないわけ』

人工知能のめざましい進展は、人間の能力に迫り、さらに超えつつあるようにさえ見える。やがて、心や意識をもったAIも生まれると予測する研究者も少なくない。私たち人間と区別のつかないようなアンドロイドが、未来に登場するのだろうか? だが、想像の翼を広げる前に、あたりを見回してほしい。いまあなたの周りにいるひとたち、そしてあなた自身ですら実はアンドロイドだったとした

『タングステンおじさん』化学にのめり込んだ、少年時代のオリバー・サックス 書影

サイエンス / 青木薫のサイエンス通信

『タングステンおじさん』化学にのめり込んだ、少年時代のオリバー・サックス

稀代の書き手であったオリバー・サックスが亡くなって1年(8月30日が命日)。『タングステンおじさん』は、2001年に単行本として刊行され、このたび文庫化された作品ですが、私は単行本を読んでいなかったので、この文庫版を手に取りました。だって、なんて魅力的なタイトルなのでしょう!(うかつにも読んでなかったわたし...) すこし回想めきますが、私がオリバー・サック

新時代への議論の基礎──『人間さまお断り 人工知能時代の経済と労働の手引き』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

新時代への議論の基礎──『人間さまお断り 人工知能時代の経済と労働の手引き』

この数年、怒涛のように人工知能関連本が刊行されたこともあって、今となっては「人工知能によって雇用は失われます!」と危険性を指摘するだけの本は真新しくもおもしろくもない。本書もその類の本なのかと思っていたが、議論は既存の同ジャンルノンフィクションに比べても一歩先に進んでおり、未来予測も頷くところ多しで予想を裏切って大変楽しく読ませてもらった。 最初に本書の内容

『世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史』 グーテンベルクがインターネットの生みの親? 書影

サイエンス / 世界史

『世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史』 グーテンベルクがインターネットの生みの親?

体重わずか数グラムのハチドリは、ほとんどの鳥が真似することも困難なホバリングをすることができる。空中の定位置に留まるためには、羽を打ち上げるときも打ち下げるときも揚力を発生さるような、回転可能な羽を進化させる必要がある。ハチドリがこの独特なデザインの羽を持つようになったのは、花蜜を吸うためであると考えられる。ホバリングは、花蜜を取り出すために威力を発揮し、ハ

『ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー』来るべき未来に備えて正しい理解を 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー』来るべき未来に備えて正しい理解を

「今、もっともエキサイティングなバイオテクノロジーは何か」。この質問に対し、多くの生命科学者は次のように答えるだろう。「それはゲノム編集だ」、と。本書は、ゲノム編集がどのような技術で、この技術がいかに未来を変えうるかについて解説した良書である。 ゲノム編集とは、遺伝子の本体であるDNAの狙った位置を切り貼りするなどして「編集」し、その生物のすべての遺伝情報、

『自然が答えを持っている』大村智をもっと知りたい! 書影

サイエンス / 人物

『自然が答えを持っている』大村智をもっと知りたい!

本書は、ノーベル賞受賞講演「自然が答えを持っている」を含めた、大村智先生のエッセイ集である。研究以外のいろんな側面、例えば絵画との出会いや、ふるさとへの想い、夢を追いかけることなどがメインとなっていて、大村先生を多方面から知ることが出来る魅力的な一冊だ。ノーベル生理学・医学賞を受賞した先生は信じられないほどたくさんのことをやってのけている。 まず、大村先生の

『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』肥満も腸内細菌のせい!? 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』肥満も腸内細菌のせい!?

ここ数十年で劇的に増加している慢性的な疾患(あるいは不健康な状態)が存在する。たとえば肥満。アメリカでは1950年代から体重の増加が顕著となり、1960年代の初めての全国調査では、成人の13%が肥満(BMI値が30以上)、30%が過体重(BMI値が25~30)とされた。そして1999年の調査では、その傾向に拍車がかかり、肥満率は倍増の30%、過体重の人も34

『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』

生物多様性の喪失と聞けば、熱帯雨林やサンゴ礁が目に浮かぶ。絶滅危惧種と聞けば、中国奥地のジャイアントパンダやガラパゴス島のゾウガメを思いつく。しかし、そうした危機的な状況は遠い異国の話とはかぎらず、もっとずっと身近なところで起こっている。私たちの体は無数の微生物からなる「生態系」であり、そこでも種の絶滅は静かに進行している。 2003年にヒトゲノム・プロジェ