
『ラテン語図解辞典』 新刊超速レビュー
文字通り『ラテン語図解辞典』である。見出し語約500、図版約700点、この一冊で古代ローマの文化と風俗に関するラテン語の根本を知ることができる。 たとえば"abacus"。原義は石・大理石・土器などの矩形の厚板。その厚板を使って作られたのが食器棚やそろばんであり、ともに"abacus"である。図版によれば、古代ローマそろばんはケタが決まっていたらしい。右の2
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文字通り『ラテン語図解辞典』である。見出し語約500、図版約700点、この一冊で古代ローマの文化と風俗に関するラテン語の根本を知ることができる。 たとえば"abacus"。原義は石・大理石・土器などの矩形の厚板。その厚板を使って作られたのが食器棚やそろばんであり、ともに"abacus"である。図版によれば、古代ローマそろばんはケタが決まっていたらしい。右の2
カバーに描かれたダイオウイカが黄金に輝いている。幼い日から何度も見た、図鑑の中の「マッコウクジラ VS.ダイオウイカ(想像図)」ではこんな色ではなかった。本書がキラキラと輝いているのも、昨年、世界で初めて生きているダイオウイカの映像を捉えた著者の功績といえるだろう。 本書は児童書である。おそらくHONZで初めての児童書の書評だろう。たった64ページ。大人なら

生き生きと輝く地衣類。コイル状のハリガネムシ。本書はそんな冬の日の観察から始まる。アメリカ、テネシー州の原生林に小さな拠点を設け、生態観察し続けた一年をつづるノンフィクションだ。 生物学教授である著者・ハスケルは地面に腹這いになりながら、ある時はルーペを使って極小の世界に寄り添い、ある時は地中の様子を目に見える地表の生物から想像し、ある時は残された痕跡から時

このたぐいの本はあまり読まない。これまでにも何10冊も同じような本を手にとってきたし、もうそれほどの上昇志向も必要なく、つまり読まなくても良い年齢になっているからなのだが、本書は基調色が素晴らしいのでつい買ってしまった。じつはこの1分間シリーズはドラッカーからはじまり、スティーブ・ジョブズ、松下幸之助、バフェット、コトラーとつづいてきた。各巻ともデザインはま

「大彗星」とは、昨年の9月12日に発見された「 アイソン彗星 」のことだ。今年の11月下旬に太陽に大接近し、最大でマイナス13等級という満月並みの明るさになると予想されている。これほど明るくなる彗星は数十年に一度しかないらしく、著者の一人は「この彗星を凌ぐ大彗星は、私が生きている間には、二度と現れないだろう」と予想する。私より年下の人だ。「神様がくれた最高の

『実に美しい』と、ガリレオの福山雅治のようにつぶやきたくなる写真集だ。人体のいろいろな細胞や組織の写真が300点以上。どのページを開いても、見事に美しいのだからたまらない。 電子顕微鏡は、可視光のかわりに電子線を使い、光学顕微鏡では見ることができないような小さなものまで見ることができる顕微鏡である。それには透過型と走査型があって、透過型は薄い標本を見るための

とんでもない本が出たものだ。「開運!なんでも鑑定団」に出せば、そら恐ろしい鑑定額がつきそうな古い週刊誌を1冊にまとめた本である。古い週刊誌といっても19世紀末にフランスで発行されたA4・4ページの冊子だ。この雑誌は469号まで発行されたが、そのすべてに日本語解説を付け加えて収録したのだ。世界初だという。その週刊誌の名前を『今日の人々』という。 30年ほどまえ

2013年のベストビジネス書はこの本で決まり!と、まだ半年以上残っているのだけれど、そう断言してもいいと思えるような本に出会ってしまった。ただジャンルでいうと自己啓発の部類に入るので、HONZの読者向きではないかもしれない。しかしHONZ代表の成毛が 文芸書を紹介 していたくらいなので自己啓発書でもきっと大丈夫だろう。 自己啓発という言葉を聞くと、ちょっとい

これを聞いたとき、私は目を疑った。100歳で現役?どうしてそこまでして働くの?という疑問が頭に浮かんだ。しかも、毎朝、通勤で辻堂から神田まで、片道1時間ほどを電車で通っているという。 100歳のおじいさんが満員電車に? さらに昼ごはんにはマクドナルドでハンバーガーを食べることもよくあるという。 100歳のおじいさんがマックを食べる? シンジラレナイ。つい片言

馳星周といえば小説『不夜城』である。登場人物のほとんどは歌舞伎町の深部に蠢く中国人マフィアなどだ。その馳星周の喰人魂というのだからギョッとするタイトルであることは間違いない。じっさい中国における食人は『水滸伝』の時代には珍しいことではなかった。平凡社の中国古典文学体系『水滸伝』駒田信二訳の第41回から引用してみよう。 「おいらが兄貴にかわってこやつを引き割い

ホリエモン仮出所後第1弾。2010年2月にスタートして、いまも続いているメールマガジン『堀江貴文のブログでは言えない話』の一部を抜粋した本である。メルマガは「時事ネタオピニオン」「刑務所わず」「ビジネスモデル教えちゃいます塾」「おすすめレストラン」「私のおススメデジタルガジェットコーナー」「Q&Aコーナー」「ロケット開発までの道のり」など15のコーナーがあり

工学部ヒラノ教授シリーズの最新作だ。著者は筑波大助教授、東工大教授、中央大教授をへて、現在東工大名誉教授。御年72歳の今野浩氏である。オペレーションズリサーチの研究者、金融工学者として大きな実績を上げており、タイトルのヒラノ教授とは筒井康隆の『唯野教授』へのオマージュだろう。 ヒラノ教授シリーズは2011年に出版された『工学部ヒラノ教授』を皮切りに6冊目だが

世の中にたくさん存在しているであろう、成毛眞をはじめとした多くのトイレ読書家に、ぜひともオススメしたい本が文庫として再発売された。 文庫サイズで2310円もするのだが、これは安い買い物だ誰もが思うに違いない。『たべもの起源事典 日本編』は10年前、単行本が出版されたとき、買おうかどうか、非常に迷ったのをよく覚えている。1300項目にも及ぶ日本の食文化をほぼ網

湘南の鵠沼(くげぬま)海岸に1年中営業しているかき氷専門店がある。その店の名を埜庵(のあん)という。かき氷屋が1年中営業してどうするんだ?だとか、冬にかき氷なんて食べる人はいないだろう!とほとんどの人は思うかもしれない。しかしこの埜庵、真冬でも行列ができるお店なのである。 そう、冬のかき氷も意外とイケるのだ。私もはじめはわざわざ寒い冬にかき氷を食べるなんて、

彼の名は、モハメド・オマル・アブディンという。今年で35歳のスーダン人だ。19歳の時に来日し、福井県立盲学校で点字や鍼灸を学ぶ。 そう、彼は盲目である。 スーダンは内戦中だった。政治も治安も最悪の中、アブディンはハルツーム大学法学部に在籍する大学生。しかし大学は4か月も閉鎖され、高校までは教科書を読んでくれた友達もいない。このままでは卒業さえ難しい。友人は政

あの珍書プロデューサー・ ハマザキカク をして、 とまで言わしめた本書は、まさに珍書の中の珍書である。 タイトルだけを見た時は、やれ木嶋 佳苗が◯◯だの、林 真須美が××だの、その類いかと思ったのだが、中身は全然違った。主人公は明治時代に実在した一人の女性、高橋 お伝。その数奇な運命がヤバい、ヤバい、ヤバい。とにかく奇妙な出来事の連続なのである。 事の発端は

創元社『戦闘技術の歴史』シリーズの第4巻である。第1巻は2008年8月に発行された『古代編』。2009年10月第2巻『中世編』、2010年10月『近世編』ときて、2013年4月に『ナポレオンの時代編』が出版された。このシリーズが完結する第5巻は『東洋編』で、この調子では来年か再来年であろう。 原書はThomas Dunne Booksから出版されている『Fi

判型15センチX15センチ、100ページあまりの手のひらサイズの小さな写真集。写真で紹介されているカチーナ人形は28体。これで1500円なのだから、ある意味で超高額本だ。カチーナ人形とはアメリカ先住民のホピ族が作り出す木製人形。ホピ族は5万年前からアメリカ大陸で暮らしており、現在の居住地であるアリゾナ州北部の「コロラド・プラトー」と呼ばれる海抜1400−24

昨年6月に発行された鹿島茂の『パスカル パンセ抄』がそろそろ文字通りクサくなってきた。1年近くも我が家のトイレの中にあったのだ。用をたすときにパッとどこかを開いて1ページだけ読むのには最適にして最高の本だ。雑誌の人生相談のようであっても鹿島文学になっているところがシブい。たとえば「精神の成長と差異の発見」という1ページ。 ううむ、なーるほどと、納得したりする

歌舞伎専門月刊誌「演劇界」の2007年9月号から2012年3月号に連載されていた「歌舞伎、のようなもの」というエッセイを纏めた本だ。じつは年に4冊ほどしか「演劇界」を買わない。お気に入りの俳優が主役の時や、面白そうな特集号のみを買うからだ。(ただし表紙が菊之助だったら無条件で買う)そのため「歌舞伎、のようなもの」はお気に入りのエッセイだったのだが、立ち読みを

珍しい、面白い、役に立たない。三拍子揃った珠玉の一冊である。本屋で見つけて中身を数ページめくった後、思わずガッツポーズが出た。 DQNネーム、キラキラネームなど、ネーミングにまつわる問題が深刻化して久しい。その流れを受けたわけでもないのだろうが、アカデミックの世界でもネーミング周りが大変な状況になっているようだ。 本書で取り扱っているのは遺伝子の領域。地道な

大変失礼なことだが、デビュー当時、林真理子はキワモノだと思っていた。『ルンルンを買っておうちに帰ろう』は面白かったけれど、地方の大学を出て、東京で働き始めたばかりのねーちゃんである私には、なんだか空恐ろしい世界であった。本書を読むと「等身大の20代を赤裸々に語った」エッセイは、野心と気合の結果であったことを知る。 本書の太い帯には30年前の著者が読者を睨みつ

エルメスといえば女性の誰もが憧れるブランドのひとつだろう。バーキンやケリーといったバッグは100万をゆうに超える代物だが、人気がありすぎて、購入するのに何年待ちというのがザラだという。そんなことが実際にありうるのか?と思ったら、「職人の手仕事による限られた量の家業ビジネス」をいまだに貫いているとのことなので、さもありなんと思った次第である。 エルメスは創業以

若い世代に絶大な人気を誇るサイバーエージェントの藤田晋社長が、サイバーエージェントの成長と苦難を赤裸々に告白した本である。もしかしたら、この本は若い世代にとってバイブルとなるような本になるんじゃないか?そんな予感がしている。そう思うくらい30代の私には心に響くものがあった。 ネットバブル崩壊後、買収危機にあったサイバーエージェント。そのことは前著 『渋谷で働

たとえば、干上がってしまった池があるとして、その乾いた池の底には、わずかな水しか溜まってないとする。一見、乾ききって水が失われたように思えても、わずかな水の穴の底には、もしかすると地下水脈とつながっているかもしれない。 これは本書を読み終えた後のイメージだ。会社員として働き、日常生活でこんなものか、と現実的かつ半ば落としどころを探しながら働いている人、もしく

1995年、東京都国分寺市で長さ340mの幅12mの道路が発掘された。造られた時代は約1300年前の飛鳥時代。そして驚くべきことに、この巨大道路は寸分の狂いもなく一直線に造られていたのである。 その後の調査の結果、現在では、7世紀ごろには日本中を張り巡らす巨大道路網が建設されていたことが判明している。東北から九州までの長さ約6300kmもの距離を、最大幅30

出版から少し時間が経ってしまったが、すばらしい写真集をご紹介したい。 シマウマのお腹の模様を見たことがあるだろうか。目の前10センチでワニの顔とにらめっこしたり、ライオンの子どもたちがじゃれ合ったりするのを、同じ目の高さで観察できるなんて、誰も考えていなかっただろう。 この写真集の原題は「 Serengeti SPY 」動物たちにカメラを気づかれないようにカ

知的興奮と驚きの事実に満ちた素晴らしい本である。一度読み始めたら、読了するまで眠ることができなかった。こんな本を読みたくて、こんな本を紹介したくてHONZをやっている。「よし、誰よりも早くレビューを書こう」と思ったところで仲野徹がみっちりとレビューしているところに気がついてがっくりきたが、どうしても自分でも紹介したい本なのだ。 本書の主役であるサルファ剤は、

ツール・ド・モンブランという、山好きにはよく知られたトレッキングルートがある。シャモニーからシャモニーまで、約100マイル(168キロ)、累積標高差9400メートルという、いささか厳しいが、すばらしい景色のコースである。通常なら一週間ほどかけて一周するルートであるが、なんと、それを一気に駆け抜ける『 ウルトラトレイル・デュ・モンブラン(UTMB) 』という、

『ノンフォクションはこれを読め!−HONZが選んだ150冊』、『面白い本』と立て続けに「本の本」を出版してきたHONZだが、この「本の本」には驚いた。なんと本文650ページ、うちグラビア写真188ページ、厚さ5.2センチ、重さ875グラムで3000円なのである。1グラム3.43円。1ページ4.6円だ。これで「知の巨人」立花隆の本棚をじっくり見せて貰えるのだか

あの日から2年が経過した。もう2年、まだ2年だ。毎年この時期になると東日本大震災を忘れまいとするように、多数の書籍が出版される。本書もその中の一冊である。著者は『イントゥルーダー』でサントリーミステリー大賞を受賞した小説家の高島哲夫だ。ふだんは小説を読まないのだが、高島哲夫のパニック小説だけは別格である。『M8』と『TSUNAMI津波』は繰り返し読んだ。 『

陸海空の自衛官を描いた『兵士に聞け』から足掛け18年、本作で5作目となる兵士シリーズの最新刊である。自衛隊は国と国民と守ることを義務付けられた巨大組織であるにも関わらず、その発足から長い間「日陰者」として扱われ、顧みられることはなかった。杉山隆男はイデオロギーや観念論から決別し、ひとりひとりの自衛官に密着することで、自衛隊とは何者かを探り出そうとする現場の人

日本人ほど日記を書くのが好きな民族はいないという。確かな情報ではないが、ネット上のブログで使われている一番多い言語は日本語だとか。また私たちは、日記を読むことも好きだ。人の秘密を除いているような、その人の本性を暴くような、そんな興味を持って読んでいく。 松山ケンイチという俳優がいる。3月5日で28歳になった。昨年のNHK大河ドラマ『平清盛』の主演である。この

ここだけの話、この本はめちゃくちゃいい本だ!めちゃくちゃいい本なんだな、これが! HONZ読者むきの本ではないけども、HONZの読者にもぜひ読んで欲しい!と思う素晴らしい本である。この技術を知ると知らないとでは、人生が大きく変わってしまうかもしれない。ちょっと大げさかもしれないが、それくらいの力を秘めた本だと私は思う。 この本は池上彰さんのベストセラー『伝え

日本人は世界一お金が好きな民族である。絶対に損はしたくないという思いが強く、投資には手を出さず、預貯金をしている人が圧倒的に多い。金融資産の割合でいうと55%が預貯金に回されている。これは他の先進国からみても圧倒的に高い数字だ。先進国の多くは預貯金よりも投資の割合のほうが高い。 また日本人は世界一ケチな民族である。日本人は寄付をしない。先進国では家計の2~3

幽体離脱、金縛り、死者との遭遇。本書には、テレビや雑誌で「奇跡の瞬間」として紹介されるようなスピリチュアル体験が数多く紹介されている。しかし、本書はいわゆるオカルト本の類ではない。本書は、ケンタッキー大学・神経学教授の著者が、これらのスピリチュアル体験を最新の脳科学で解き明かしていくサイエンス本だ。 スピリチュアル体験者はどのような環境で、どのような体験をし

正直に言おう。ヒッグス粒子をまったく理解できないのだ。子供のころからブルーバックスなどで素粒子論や宇宙論を読んできたから、クオークやビッグバンまではなんとか判ったような気でいたのだが、ヒッグス粒子については読んでも読んでもまったく理解できない。つまり、クオークもビッグバンもちゃんとは理解していなかったというわけだ。 それでは本書でヒッグス粒子を判ったかといえ

新刊超速レビューは発売から1ヶ月以内の本を対象としているのだが、本書の発売日は2012年12月8日だ。すっかりレビューを書くのを忘れていたのだ。いやあ、スマヌスマヌ。なにしろ本書が扱っている事件は640年前に起こっていたかもしれないのだ。2ヶ月の遅れなどまあいいではないか。しかも、この事件についてはどこかで書いたのだが、どの媒体だったかも忘れているのだ。これ

著者常田佐久氏の経歴は東大天文学科卒、東大天文学専門過程博士課程修了、東大東京天文台助手、東大天文学教育研究センター助手、東大天文学科助教授を経て、国立天文台教授だ。まさに天文学一筋の人だ。毎日天空を見て暮らしている人なのだ。しかし、のんきに望遠鏡を覗いているだけだと思ったら大間違いである。 望遠鏡は「大坂夏の陣」の7年前にあたる1608年にオランダの眼鏡師

『 裁判長!ここは懲役4年でどうすか 』など、一連の裁判傍聴本で有名な北尾トロであるが、なんといってもこれまでの最高傑作は『 キミは他人に鼻毛が出てますよといえるか 』だと思っている。タイトルにあるように、鼻毛が出てますよと注意する、とか、とんでもなくまずい蕎麦屋でまずいと叫ぶ、とか、まるで、みんなが本音を言いまくる恐ろしい町を描いた町田康の傑作小説『 本音