
『愛国・革命・民主:日本史から世界を考える 』 by 出口 治明
「花には香り、本には毒を」という言葉が好きだ。ベンチャー企業を経営するようになって忙しくなり、めっきり読書量が落ちたが、それでも平均すると週に4~5冊は読んでいるのではないか。本と旅しか趣味がないからではあるが。このコラムは、その中で、体内に毒がまわったものを選んで書き連ねているのだが(毒気を感じるのは、4~5冊に1冊くらい)、このところ、嬉しいことに、毒気
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「花には香り、本には毒を」という言葉が好きだ。ベンチャー企業を経営するようになって忙しくなり、めっきり読書量が落ちたが、それでも平均すると週に4~5冊は読んでいるのではないか。本と旅しか趣味がないからではあるが。このコラムは、その中で、体内に毒がまわったものを選んで書き連ねているのだが(毒気を感じるのは、4~5冊に1冊くらい)、このところ、嬉しいことに、毒気

本書において、著者は、日常生活の様々な場面においてウェブへのアクセスが発生する現在の状況を「現実空間の多孔化」と呼び、そのような状況が、社会にどのような影響を及ぼしているかを考察する。 本書は、当初は AR(Augumented Reality) 等の「現実世界とネットの情報を紐づける技術」について社会学的に考察することを想定していた。しかし、その後、東日本

うつのプロともいえる、現在60代の女性が都内23軒の精神科を尋ねたルポだ。著者は大学の演劇科を卒業した20代から今日までアングラ女優。新宿ゴールデン街でバーを経営している。40代に大学の心理学科を卒業し、精神保健福祉士の資格も取得して、精神科クリニックに長く勤務していた経験もある。2回の離婚で幼児期と思春期に辛い思いをさせた娘さんへの悔恨もあり、若いころには

みなさんは、勤め先から英語のTOEICスコアを求められていませんか幸い私の勤め先(集英社)は、まだ社員にTOEICスコアを要求するところまでは行っていません。ホント、助かります。 しかし世の中を見渡せば、楽天やファーストリテイリング(ユニクロ)のように英語を「社内公用語」にする急進派も出現。なんでもかんでもグローバル化の流れのなかで、昇進や配属の条件として英

漆黒の闇の中にたたずむ軍装の男は、右手を掲げ何かを指さしている。自信に満ちた視線は男が指さす先に向けられている。男が何を指さし見つめているのか、今となっては知るすべがない。本書の表紙に写るアウグストゥスは二千年以上老いることも朽ちることもなく、この男の威厳を今に伝えている。この大理石の彫像はローマにある バチカン美術館 に収蔵されている。彼の妻が隠居していた

HONZをご覧のみなさま、こんにちは。先日、本屋さんにイベントをご提案するため、バスについて調べることになりました。こういう場合は、ググっても限界があるので、仕事が終わってから、本屋さんを何軒かまわることにしました。鉄道と自動車の中間のような存在で、なんとなくユルくて大らかな印象がある、バスという乗り物。いくつかの本を手に取りながら、気づくと、バスの魅力に引

この本は治験だけで生活をする男の体験記である。初めての治験から、プロ治験者の第一人者「教授」との出会い、「教授」を介した裏ルートでの治験、海外での治験、プロ治験者の末路など、著者が経験した出来事をまとめた本だ。これがとてもおもしろく最後まで一気に読んでしまった。治験というある種グレーな世界が、こんな風になっているとは……という驚きとともに、きっと治験の世界に

現在、お台場の科学未来館で サンダーバード博 が開かれている(9月23日まで)子供のころ、楽しみに見ていた番組が、今でも人気を誇っているというのは嬉しいものだ。 この本を紹介するのにちょうどいい、と喜んだのだが、“サンダーバード”はネイティブ・アメリカンの伝説の鳥のことだそうだ。全く違うけど、まあいいか。強引だがそのまま日本語にすれば雷鳥。日本の特別天然記念

吉梅さんは、渋い作業服姿で登場。報道室・長谷部さんが、吉梅は制服でご案内する、と一言。テンションが上がる。別に、制服萌えの趣味はない。けれども臨場感が違う。ほんまに来ちゃってるんだな、JAMSTECに! まずは海洋工学実験場内の高圧実験棟へ。タンクの中で圧力をかけ、物質がどのように変化するのかを実験する。海の中へ潜るということは、つまり水圧を受けるということ

偶に芳醇な赤ワインを飲み、フランス料理をいただくと、何故か、食後に無性にチーズが食べたくなるときがある。でも、これは何も人間に限った話ではない。9,000年前に、西アジアで生まれたチーズは、神々も大好きだったのだ。何しろ、シュメールの豊饒の女神イナンナは、チーズに魅かれて夫に羊飼いのドゥムジを選んだくらいなのだから。 本書は、人間の文明史と交差するチーズ9,

9月5日、夜行バスを降りると、弱い雨が降っていた。新宿中央公園から都庁の脇を抜け、JR新宿駅を目指す。前日、慌てて終わらせてきた本業の仕事の仕上がりが気にかかる。頭の中で修正点をいくつか挙げながら、手はスマートフォンを弄りGoogleマップで現在位置を確認。よし、今日は迷ってない。無事新宿駅から品川を目指す。 品川から京急に乗り換え、JAMSTEC横須賀本部

『ノンフィクションはこれを読め! 2013 - HONZが選んだ100冊』の 予約が始まった と知って驚愕した。ただいま絶賛入校中で、本当にできるのかしらと危ぶんでいる最中なのだ。いやはや、ものすごいプレッシャーである。まっかっかになって戻ってきたメンバーの原稿を前に、フリーズしているワタシ……どこかに逃げたい。 朝会を欠席して仕事に勤しんでいるメンバーも同

今週水曜日は朝会でした。朝会で心配なのは何といっても寝坊です。前夜、寝室からキッチンまでの道のりに4つの目覚ましをセット、完全装備で眠りにつきました。 さて当日、床を這いずり回りながら順番にアラームを止めるうちにパッチリ目が覚め「よしよし」と自分を褒めたのも束の間、何故か目覚ましが「家を出るべき時刻」にセットしてあったことに気づき、脱兎のごとく家を飛び出しま

読んでよかった、という本がある。いろいろな場合があるけれど、そのうちのひとつは、その一冊を読んだら、この分野では、もう本を読む必要がないだろう、と思わせてくれる本である。『暗号本』はたいがい好きであったけれど、サイモン・シンの『 暗号解読 』を読んで、もうそれ以上は読む必要がなくなった。『野口英世本』は何冊読んだかわからないが、イザベル・プレセットによる『

まことに、「百聞は一見に如かず」である。本書には、カラーの図版がふんだんに使われており、読者は、天国(例えば、「ムハンマドの楽園」、図版6)や楽園(例えば、「神々のいるアルカディアの風景」、図版12)が、およそどのようなものか、一目で了解できるのだ(因みに、このような図版入り書籍が発展したのは、大元ウルス治下のことである。全相本とよばれていた。宮紀子「モンゴ

「名誉の殺人」とは、結婚前に肉体関係を持った女性などをその家族が殺し、一族の「名誉を回復する」こと。中東や南アジアなどで行われている。 こう書けば、 『生きながら火に焼かれて』 という本を思い出すHONZ読者も多いかもしれない。ヨルダン川西岸地区の若い女性が恋人と肉体関係を持ったため、義兄が彼女にガソリンをかけ、火をつけて殺そうとするが、なんとか助けだされた

あれは3年前。内田樹先生が当時勤めていた神戸女学院大学を退職される前年、2010年の夏頃だったと思う。大学院で開講していた社会人聴講生を交えたゼミのテーマが、「内田樹の自著解説」に決まったという話を耳にした私は、社内の定例会議でそのことを持ち出した。 予想通り、岸和田のだんじりエディター(@内田樹)こと江弘毅をはじめ、会社の全員がノッてきた。 「内田せんせが

HONZをご覧の皆様、こんにちは。すっかり秋めいてまいりましたね。いかがお過ごしでしょうか。富山では夜は長袖でないと寒く感じられるほどです。こちらには梨の産地がございまして、おいしいシーズンでございます。 さて今月は、ちょっと生物の棚へ戻って、進化に関連した書籍をご紹介いたします。 まずは『進化する魚型ロボットが僕らに教えてくれること』。最初に申し上げたいの

世界は名前であふれている。 街ゆく若者が凝視する手のひらサイズの四角い機械には「スマートフォン」、鋭い目つきでゴミをあさる黒い鳥には「カラス」、体毛がほとんどなく出歯のネズミには見たままの「 ハダカデバネズミ 」という名前がある。これらの名前はもちろん、自然に授けられたものではなく、ヒトによってつけられたものである。名前のないものを見つけることが難しいほどに

朝5時、目覚ましで強引に起きる。外を見るとまだ暗い。ずいぶんと夜明けが遅くなり、なんだか心細いような気分になってしまう。そんな自分を奮い立たせて朝会に来てみれば、欠席者続出でこちらも寂しい限り。 JAMSTEC(独立行政法人海洋研究開発機構) へ大人の修学旅行へ行った関係で、9月の朝会は第2周目になり、六本木のd-laboで開催。欠席は山本尚毅、久保洋介、足

落合博満が、映画を語る。これだけでも十分に意外性があるのだが、そこで紹介されている映画がさらに意外なものばかりであったから、二重の意味で驚いた。 現役時代はオレ流を謳い、監督時代は日本シリーズで完全試合目前のピッチャーを降板させた男。そんな数々のエピソードから、どんな極論で煙に巻くのかと思いきや、ベタとも思えるような超定番作品が相並ぶ。紹介されているのは、三

2万7858人。 2012年の日本の自殺者数だ。15年ぶりに3万人を割り込んだが、依然高水準にとどまっている。自殺者数が発表されるたびに、自殺の原因や対策を巡る議論があちこちで起きるが、自殺が起きない要素は議論されない。起きてない事象について「なぜ起きないか」を探るのは素人ながら難しいと思ってしまうのだが、果敢に挑んだのが本書だ。 太平洋に面する総面積27

まずはカナダ国民に感謝しなければならない。本書は大型本フルカラー390ページ(索引含め)のいわゆる豪華本なのだが定価は4000円。同種の大型本に比べれば圧倒的に安いのだ。それもそのはず、本書の制作にあたってはカナダ政府から助成金が出ているというのだ。何のためにカナダ政府が助成したのさっぱりわからないし、どの程度の金額だったかもわからないが、ありがたいことであ

本書は、ビルマ(ミャンマー)と、隣接する中国・インドの都市を歩き、リアルな現場を伝えると同時に、その都市に関連する歴史を振り返った本だ。著者はケンブリッジ大で歴史の博士号を取得し、国連や国際機関で勤務した後、現在はビルマで歴史的建造物の保存に取り組んでいる。テインセイン大統領の諮問評議員や、ミャンマー平和センターの特別顧問を務めるなど、現在進行中の自由化改革

アメリカ大統領は決まって毎朝8時半からインテリジェンス・ブリーフィングを受ける。政府部内の17を数える情報機関から選り抜かれてくる特上のインテリジェンスが国家情報長官を通じて報告される。PDBと略称される大統領への諜報報告は、戦争のさなかも、外遊先でも、休暇中でも、一日も欠かさず行われる。外交・安全保障上の最高機密が明かされるこの場に日本の総理として初めて同

今や堺雅人さん演じるドラマ「 半沢直樹 」が社会現象となり、「やられたら倍返し!」が流行語大賞になりそうな勢いですが、シリーズ第一弾『オレたちバブル入行組』の連載が始まったのが10年前のことでした。 著者の池井戸潤さんのデビュー作『 果つる底なき 』は元銀行勤務という経歴を生かした設定のミステリーで、読んですぐに会いに行きました。実は、私の夫もバブル入行組の

今週木曜日、HONZ「大人の社会科見学」で JAMSTEC 横須賀本部へ行ってきました。詳細は別途野坂美帆より報告いたしますが、とにかく見るもの聞くこと知らないことばかりで驚きの連続でした。JAMSTECのみなさま、どうもありがとうございました! さて終了後は当然のごとく、午後3時過ぎから「反省会」。私は6月夜会での痛恨のミス、 その1.HONZイチ声の大き

20世紀の初め、現代につながるローマ共和性研究の基礎を築いた碩学ゲルツァーは、共和制末期のポンペイウス、カエサル、キケロの伝記を書いた。嬉しいことに、この3冊がゲルツァーの弟子の手により、揃って訳出されることになった。本書はその第1巻である(9月1日現在、カエサルとポンペイウスの2巻が出版されている)。 ゲルツァー史学の特徴は、何よりも人間関係に着目し、当時

猛暑のお盆の入りの日、私は戸越銀座の駅に降り立った。私の最寄り駅からわずか20分だというのに、ここに来るのは初めてだ。五反田から2駅、その昔、歌にも歌われた“池上線”の駅は、ずいぶん近代化されたとはいえ、ちょっと大きな路面電車の停車場ぐらい。踏切前に立つと、前にも後ろにも長い商店街が続いている。東京一長い商店街はこれか、としばし眺めていた。 星野博美『戸越銀

1981年から2000年までマイクロソフトで働いていた私にとっては、まさにデジャヴでもみているかのような物語だ。いまをときめくグーグルも、いつかは普通の大企業になり、それにつれて一方的にパンチを浴び続けていたメディア業界や広告業界なども気を取り直して反撃に転じ、創業期のメンバーが次々と退職し、やがて若いパンチ力のある会社と新しいビジネスモデルの出現を目の前に

アフガニスタン・イラク戦争。治安は未だ改善せず相変わらず散々たる状況であるが、医療の面では歴史的とも言える偉業が成し遂げられている。戦闘で負傷した兵士の死亡率が、これまでの実例と比べて大幅に改善しているのだ。第二次世界大戦が30%、朝鮮戦争は25%、ベトナム戦争は24%、湾岸戦争は24%の兵士が死亡しているなか、今回はたったの10%である。 朝鮮戦争以降、半

HONZをご覧のみなさま、こんにちは。 『書店員がこれから売る本』の企画に参加することになって早くも三回目となります。 毎回、文章を綴ることの難しさと格闘しながら記載していますが、書店員として楽しみながらお伝えしていきたいと思います。 まずご紹介しますのは『全国飲食チェーン本店巡礼~ルーツをめぐる旅~』吉野家、松屋、マクドナルド、モスバーガー、サイゼリヤ、天

もう30年以上も前の話。医学生として、精神科の講義をうけていた。テーマは精神分裂病、いまでいう統合失調症である。先生の話す内容が支離滅裂でまったくわからない。いつもは階段教室の中腹に座るのを常にしていたのであるが、その日は最後列・出入り口近くのアホ捨て山(© 久坂部羊)に陣取っていた。 隣の席にいた年かさの同級生に、まったくわからん、と話しかけたら、物知り顔

♪じゃあむすてっく、じゃむすてっく、じゃむじゃむじゃむじゃむじゃーむすてーーっくっ♪ 自作のJAMSTECのテーマが頭のなかを流れ続けている。暑さでおかしくなったのではない(たぶん)。もうすぐ、HONZでは「大人の社会科見学」としてJAMSTECの横須賀本部に行くのである。これが浮かれずにいられようか。 JAMSTECって何? と思った方。そういう方のために

悩みに悩んだあげく、ついにソニーのデジタルスチルカメラDSC-RX1Rを買ってしまった。なんと20万円超えのコンデジである。しかし、ここ数年間で買ったあらゆるものの中でもっとも満足度が高く、2日間続けて枕元において一緒に寝る始末。生まれて初めてライカを買った時よりも興奮するとは夢にも思わなかった。 簡単に撮った画像がスゴイのだ。肉眼では見えなかったものを写し

株価の動きに注目していたのは、投資家たちだけではない。1980年10月、多くの科学者たちもまた、ジェネンテックという新興企業のIPO(新規株式公開)の行く末を見守っていた。IPO時点でこの創立4年目のベンチャーが販売していた製品数はゼロ。しかし、1つの製品すら持たないジェネンテックの株価は取引開始20分で35ドルから80ドルに急上昇した。このときジェネンテッ

著者は御年70歳になる普通の独身女性である。居住地はバンガロール。数年前にこの安住の地を見つけ、美術大学に通い始めたのだが、それでは刺激がないと、本書を書き終えてから、また冒険の旅に出るようだ。彼女は人生の冒険者なのだ。 著者がインドの地を踏んだのは1970年代前半。まさにヒッピー世代のインド詣でだ。その旅の途中に英文学修士を持つインド人男性に出会い結婚した

近年、日本でもマダニ媒介感染症が急速に認知されるようになってきました。たとえば、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、2011年にウィルスが特定された病気ですが、今年1月に、日本国内で初めて患者が確認された後、これまでに患者三十九人見つかり、そのうち十六人が死亡しています。現在、マダニがこのウイルス(SFTSウイルス)を持っているかどうかが実地調査されてお

デザインという言葉が、これほど広い意味で使われるようになったのはいつ頃からだろうか。僕が広告業界に足を踏み入れた時にはまだ、デザインとは特定の職群の人たちの美的関心事を指していたように思う。だが同じ頃、営業の仕事とは「絵を描くことである」と教わった記憶も残っているから、既に現在使われているような広義の意味は含まれていたのかもしれない。 この言葉がこれほど頻繁

ど真ん中の直球を投げられた。これはもう振り切るしかないと念じて、必死でバットを振り抜いた。どうにか当たることは当たったのだが、想像を絶するほどの、とてつもなく重いボールだった。例えてみれば、こんな感じだろうか。 冒頭から著者の挑戦状が、読者に叩きつけられる。本書は、社会心理学を俯瞰する教科書ではない、と。人間をどう捉えるか、願いはそれだけだ、と。生物や社会を