ノンフィクションはこれを読め!

2013年の記事

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643記事

『糖尿病とウジ虫治療』 新刊超速レビュー 書影

医学・心理学 / 生物・自然

『糖尿病とウジ虫治療』 新刊超速レビュー

いまや国民の6人に1人がかかるとも、40代以上の3人に1人がかかるとも言われている糖尿病。この病気の恐ろしさは、それ自体というより、血管の内皮機能が障害されて起こるさまざまな合併症にある。足の傷から潰瘍になり、感染を起こして下肢切断を余儀なくされることも多いのだ。 今、それらの潰瘍を全く意外な切り口、かつ単純なやり方で治癒する方法に注目が集まっている。それは

『都市の誕生: 古代から現代までの世界の都市文化を読む』by 出口 治明 書影

世界史 / HONZ客員レビュー

『都市の誕生: 古代から現代までの世界の都市文化を読む』by 出口 治明

旅の楽しみの極みは、初めて訪れた見知らぬ街を当てもなく彷徨い歩くことに尽きる。「迷子になることは、都市を本当に体験する唯一の方法なのだ。」 著者は、「この本は、自分の好きなページから読んでもらいたい」と、まえがきで述べる。8章から構成されたオムニバス映画のような本書は、読者を積極的に迷子に誘うのだ。「迷子になることは心配しなくてもいい」と。 「第1章 到着」

『脳がつくる倫理』-編集者の自腹ワンコイン広告 書影

編集者の自腹ワンコイン広告

『脳がつくる倫理』-編集者の自腹ワンコイン広告

著者のパトリシア・チャーチランドは、夫のポールとともに、心の哲学では中心的な研究者です。ふたりは、脳科学の成果を取り入れて心の本質を見極めようとする自然主義の立場をとり、とくに消去的唯物論を唱えたことで知られています。これまでの心理学の説明が、脳科学の説明に取って代わられ、前者はやがて消えていくというラジカルな主張です。 この本を知るきっかけは Nature

『夜の経済学』-数字が照らすアタリマエの裏側 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『夜の経済学』-数字が照らすアタリマエの裏側

著者の一人である明治大学准教授の飯田泰之氏は本書の刊行によって講演がキャンセルになったという。 「『夜の経済学』なんてタイトルの本を書く奴の話なんて聞く気にならない!」 といきなりのキャンセルを喰らったとか。講演の依頼先までは明らかにしてないが、確かに、眉をひそめてしまう人もいるかもしれない。帯には「セックスから政治まで」とあるが、タイトルからわかるように、

『ルールを変える思考法』新刊超速レビュー 書影

ビジネス / 新刊超速レビュー

『ルールを変える思考法』新刊超速レビュー

ソーシャル時代の新しい選書レーベル 角川EpuB選書 が本日創刊した。創刊のラインナップは角川歴彦(KADOKAWA社長)の『グーグル、アップルに負けない著作権法』、西村卓也(角川アスキー総合研究所客室研究員)の『HTML5で描く未来 クラウド2.0が社会を変える』、クリストファー・スタイナー(起業家・ジャーナリスト)の『アルゴリズムが世界を支配する』。そし

『フラクタリスト ―マンデルブロ自伝―』 "ラフネス"と共に 書影

サイエンス / 人物

『フラクタリスト ―マンデルブロ自伝―』 "ラフネス"と共に

部分と全体の相似が特徴的な ロマネスコ 。「フラクタル」と呼ばれるこのような繰り返し形状は、シダや雲、海岸線、北斎の浮世絵、銀河の密度、さらには金融市場の価格変動等にも見られる。これらを対象とする数学を見出したのが、著者のベノワ・マンデルブロだ。「フラクタル次元」という「ラフさ」を表す数値は、次元であるが、整数ではない値になり得る。例えば、下記の繰り返し手順

10月のこれから売る本-東京某書店 田中大輔 書影

書店員のこれから売る本

10月のこれから売る本-東京某書店 田中大輔

ビジネス、ノンフィクションよりも最近はフィクション(いわゆる文芸書)ばかりを読んでいる。それ故にHONZでもレビューを書くことができていない。先月は1つしか紹介できなかったので、今月はここで紹介した本の中からいくつかレビューを書けたらいいなと思っている。ビジネス書のレビュー自体あまり書いていないから、いい加減、書かないと書き方を忘れてしまうからね。ということ

『レックス』人と犬の絆 書影

人物 / 社会

『レックス』人と犬の絆

以前に『世界の軍用犬の物語』という本の レビュー を書いた。この本を読んでいて気づいたのだが、現代の軍用犬は地雷探知犬や爆発物探知犬、または捜索犬などが中心であり、軍用犬と軍犬兵(ハンドラー)は軍隊という殺戮を主目的にした組織において、人命を救うことに主眼が置かれた兵科だということだ。特にイラク戦争のように無統制な武装勢力やテロリストが暗躍する戦場では、軍用

『素数の音楽』文庫解説 by 小川洋子 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『素数の音楽』文庫解説 by 小川洋子

学生の頃、素因数分解が苦手だった。 15=3×5 136=2 3 ×17 143=11×13 などと整数を素数の積で表す、というアレである。大体の見当をつけて割り算や掛け算を試してみるのだが、その見当のつけ方がどうもぴたっと決まらない。もたもたしているうちに試験の持ち時間はどんどん過ぎてゆく。 一方優秀な人は、ほとんど考えもせず、一目見ただけで正しく分解し、

『納豆に砂糖を入れますか?: ニッポン食文化の境界線』文庫解説 by 久住昌之 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『納豆に砂糖を入れますか?: ニッポン食文化の境界線』文庫解説 by 久住昌之

野瀬さんとは、何度か酒を飲みながらお話をさせていただいたことがあり、いつか一緒に本を作ろうと言いながら数年が経っています。 前の『天ぷらにソースをかけますか?』も、大変面白く読ませていただきました。 天ぷらにソース、というのは最初やっぱり「うっそ~」と思ったけど、その本を読んでいくうちどんどん納得してしまった。「なーるほど、それもありだな」。ボクは、ものわか

『お洒落名人 ヘミングウェイの流儀』文庫あとがき by 今村楯夫 書影

民俗・風俗 / 「解説」から読む本

『お洒落名人 ヘミングウェイの流儀』文庫あとがき by 今村楯夫

1921年、春まだ浅き3月中旬、ヘミングウェイはブルックス・ブラザーズで仕立てた真新しいスーツを着て、セントルイスにハドレー・リチャードソンを訪ねた。その6ヶ月後、ふたりは北ミシガンの片田舎のメソジスト教会で結婚式をあげた。 このたび新潮文庫に収められることとなった『ヘミングウェイの流儀』のカバー写真はヘミングウェイがハドレーを訪問したときに撮られた1枚であ

『料亭「吉兆」を一代で築き、日本料理と茶の湯に命を懸けた祖父・湯木貞一の背中を見て、孫の徳岡邦夫は何を学んだのか』新刊超速レビュー 書影

教養・雑学 / 人物

『料亭「吉兆」を一代で築き、日本料理と茶の湯に命を懸けた祖父・湯木貞一の背中を見て、孫の徳岡邦夫は何を学んだのか』新刊超速レビュー

9月半ば、台風18号が本州を襲い、各地に大きな被害をもたらした。特に驚かされたのが京都の洪水だ。桂川が氾濫し、嵐山の渡月橋が今にも流されそうな映像に胸を痛めた人は多かっただろう。 嵐山の料亭といえば「吉兆」である。 ブログ に寄れば洪水は吉兆の門まで来たが、幸いにも庭の一部が浸水しただけで、建物自体に大きな被害はなかったそうだ。 この長い長いタイトルの新刊は

10月の今月読む本 その2 書影

今月読む本

10月の今月読む本 その2

いよいよ、HONZの2冊目の本が発売になります。 昨年は赤、今年のは緑と覚えてください。本当は100冊にしたかったんですが、どうしても絞り切れず110冊になってしまいました。前の本は「文字ばっかり!」とお叱りを受けましたが、今回はレビューだけでなく、インタビューや対談もたくさん入れましたので、読みやすく目にも優しい作りになっております。 また、昨年は勝手がわ

カラス♫ なぜ来るの? 『カラスの教科書』 書影

おすすめ本レビュー

カラス♫ なぜ来るの? 『カラスの教科書』

窓を開けてベランダに降りる。と、どこからか熱い視線が刺してくる。振り向くと、部屋から漏れる細い光の輪の外に、真っ黒なヤツらが――カラスである。 数日前のとある夜、突然の雨は、日付が変わるころには大降りになっていた。ベランダにおいてあるペットボトルを取りに行こうとしたのは、そんなときだ。 雨か、あしたのHONZの朝会は六本木で7時から。早く寝なくちゃ。と思いつ

今週のいただきもの(10月第1週) 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの(10月第1週)

先週、少し遅めの夏季休暇を取得し旅行にいってきました。電波のほぼ届かない場所に引きこもり、心も体もすっかりリフレッシュしてきました。上半期の締めで忙しい時期に快くお休みを認めてくださった周りの方々には心から感謝しています。 今週から気持ちを新たに、がんばって来年の夏休みの計画を練りたいと思います! それでは今週献本いただいた新刊本のご紹介です。版元のみなさま

『おっぱいの科学』にクラクラっ… 書影

医学・心理学 / 教養・雑学

『おっぱいの科学』にクラクラっ…

HONZメルマガ が熱い。編集長が月替わりから栗下直也専任になって、面白さが激増である。その栗下に『「今月読む本」に『おっぱいの科学』、直近のレビューが『生理用品の社会史』です。「どこに行くんだ!大先生」って感じです。』と 誉められた 。けど、どっこも行きません。毎日、ちゃんと大学に来て仕事してますから。 『いずれの本も密かに私が狙っていたからです。ディスプ

『犯罪は予測できる』 防犯ブザーは役立たず 書影

社会 / 事件・事故

『犯罪は予測できる』 防犯ブザーは役立たず

書店でタイトルを眺めつつ、犯罪の予測といえば、フィリップ・K・ディックの「少数報告」だよな、などと思いながら手に取ると、まえがき1ページ目でそのことに触れており、一気に著者に対する親近感が増してそのまま購入してしまった。 もちろん、本書には予知能力者のプレコグたちを使った犯罪予知法が書かれているわけではない。著者は、日本人として初めて英ケンブリッジ大学で犯罪

『高学歴男はなぜモテないのか』-編集者の自腹ワンコイン広告 書影

編集者の自腹ワンコイン広告

『高学歴男はなぜモテないのか』-編集者の自腹ワンコイン広告

「これはマナー本です。」 ―これは、本書の著者である犬山紙子さんの前著『嫌われ女子50』(KKベストセラーズ)の帯に使われた秀逸なキャッチなのですが、男性向けに書かれた本書についてもまったく同じことが言えるので、ここでは迷わずパクらせてもらいます。 犬山さんは、女性観察の名手として知られる気鋭のエッセイスト。彼女の強みは、徹底して「現場主義」であることです。

10月の今月読む本 その1 書影

今月読む本

10月の今月読む本 その1

暑い… 10月に入ったのになんだろう、この気温。台風の影響とはいえ、汗が止まらない。 降ったりやんだりの雨の中、六本木のミッドタウンへやってきた。 雨のHONZの朝会は、どうも気分が乗らない。 そのうえ、今回も欠席者が多い。地方在住の 鰐部祥平 、 野坂美帆 。海外出張中の 久保洋介 、 山本尚毅 。仕事の都合で 高村和久 、 鈴木葉月 、 麻木久仁子 。

『マッキンゼー』 世界を動かす黒幕の正体 書影

おすすめ本レビュー

『マッキンゼー』 世界を動かす黒幕の正体

DeNA創業者の南場智子、IBMを再建させたルイス・ガースナー、フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグ。偉大な経営者として知られる彼、彼女らは、アメリカ発祥のコンサルティングファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーの出身者である。「CEO製造工場」と呼ばれるほど多くの元マッキンゼーが、経営者として大企業の舵を取っている。事実、2008年の『USAトゥ

10月のこれから売る本-山下書店南行徳店 髙橋佐和子 書影

書店員のこれから売る本

10月のこれから売る本-山下書店南行徳店 髙橋佐和子

どの書店もハロウィン一色になってきました。 HONZをご覧の皆さま、こんにちは。 季節がうつりかわるように、日々、自問自答していることがあります。書店は、様々な知恵が蓄積されている場所と、著名な本に書いてありましたが、実際にその通りで、悩んだときは書店にいるだけで心が安定するように思うのです。自分自身の生き方。答えはこちらに書いてあります。 自己啓発本の不思

『アノスミア』 - 失われた”匂い”を求めて 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『アノスミア』 - 失われた”匂い”を求めて

アノスミアとは嗅覚脱失の症状を指し、匂いを感じる能力がないことを意味する。かつてシェフを目指していた著者も、交通事故をきっかけに嗅覚を失ってしまった経験を持つ人物だ。本書は、その喪失から回復までの日々を、当事者としての立場から綴った一冊である。 嗅覚は身体の中で最も直接的な感覚であるという。どんな匂いもはじまりは一個の分子に過ぎず、体内に入り込まなければ始ま

『関東連合』、『鎮魂』 新刊超速レビュー 書影

社会 / 新刊超速レビュー

『関東連合』、『鎮魂』 新刊超速レビュー

昨年9月の六本木クラブ襲撃事件以降、新聞、雑誌をこの漢字四字はどれだけにぎわしただろうか。俗物の塊である私も雑誌を捲ったり、そういう筋を取材している知人に聞いたりもしたのだが、聞けば聞くほど、よくわからないのである。東京の夜の街を全て牛耳っているだの、山口組も戦闘力ではしのぐだの。メディアは実態が見えないからか、煽り続け、彼らの姿をひたすら肥大させた。こうし

『気候で読み解く日本の歴史―異常気象との攻防1400年』 by 出口 治明 書影

生物・自然 / 日本史

『気候で読み解く日本の歴史―異常気象との攻防1400年』 by 出口 治明

歴史は文系の学問ではない(そもそも、大学が文系・理系と分かれているのは、先進国ではわが国ぐらいのものではないか)。グローバルには、自然科学の知見を存分に活用し、例えばBC1200年のカタストロフィや、モンゴル・ウルス崩壊など、歴史的な超大イベントの原因を気候変動に求める見解が有力であるが、日本史においては、著者の作品以外にそういった書物にはこれまであまり出会

『特派員ルポ サンダルで歩いたアフリカ大陸』by出口 治明 書影

社会 / 民俗・風俗

『特派員ルポ サンダルで歩いたアフリカ大陸』by出口 治明

次はアフリカの時代が来る、と言われて、久しいものがある。マリでの騒乱や、それと関連したアルジェリアでの人質事件、エジプトの混迷ぶり等、アフリカから発信される情報は、このところ、後向きのものが多い。それに、アフリカは、何しろわが国から遠い。私たちは、この古くて新しい大陸について、一体、何を知っているというのだろう。 僕は人が学ぶ方法は、3つしかないと考えている

9月のこれから売る本-中原ブックランドTSUTAYA小杉店 長江貴士 書影

書店員のこれから売る本

9月のこれから売る本-中原ブックランドTSUTAYA小杉店 長江貴士

目が覚めたら砂漠のど真ん中にいて、空から電話ボックスが降ってくる。そんな冒頭から始まる物語。 白河三兎は、「諦め」に支配された世界を描くのが巧い。登場人物たちは基本的に皆、内側に「諦め」を抱えている。そして、そういう人物が、僕はとても好きだ。白河三兎の作品を読むと、同志を見つけたような気分になれて、とても嬉しい。 主人公のシロが抱える「孤独」は、シロ自身の思

『真珠の世界史』珠からみた世界 書影

社会 / 世界史

『真珠の世界史』珠からみた世界

私はダイヤモンドが好きだ。20代の頃はHIPHOP系の服を扱うショップの店員をしていたこともあり、指にはダイヤの指輪を常に複数はめていた。ダイヤの冷たい輝きは、私の自己顕示欲や虚栄心を満たしてくれる存在だった。ダイヤこそ宝石の王者だと思っていた。しかし、本書で古代から近年にいたるまで、最も高い評価をされていた宝石が真珠であるということを知った。養殖真珠が登場

今週のいただきもの(9月第4週) 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの(9月第4週)

10月、近所にスポーツクラブがオープンします。毎日前を通るたび「只今入会キャンペーン中」の看板が気になっています。 今の家に引っ越す前、やはり近所にスポーツクラブができ、オープンキャンペーンで入会したところすっかりハマってしまい、一時はひと月に28日通っていました。 運動神経がわるいので、やるのは専ら筋トレです。凝り性なので食生活まで見直して、筋トレ直後にプ

『金魚のことば 君のきもちと飼い方がわかる73の質問』これで以心伝心 書影

生物・自然 / 教養・雑学

『金魚のことば 君のきもちと飼い方がわかる73の質問』これで以心伝心

本日はHONZ金魚奨励デーである。「金魚なんか興味ないし、今後も好きにならなそう」という人にとっては全く価値のない話かもしれない。かくいう私も金魚といえばアートアクアリウム展に足を運んだものの、可愛いな~程度しか感じない人だった。 すっかり夏も終わり中秋の名月も訪れたが、個人的な話では、8月の終わりに地域の夏祭りに家族で参加してきた。出店の屋台に金魚すくいが

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編集者の自腹ワンコイン広告

『水道橋博士のメルマ旬報』-編集者の自腹ワンコイン広告

水道橋博士のメルマ旬報 価格:500円/月 (税込) 発行:月2回(毎月10日/25日)発行 『水道橋博士のメルマ旬報』は、芸人・水道橋博士が編集長となり、月二回(毎月10日と25日)本に関する総合サイト「 BOOKSTAND 」から配信している、おそらく現時点世界最大のメールマガジンです。 本を紹介するサイトで堂々とメルマガを紹介するのもど~なのかと恐縮し

『東洋の至宝を世界に売った美術商: ハウス・オブ・ヤマナカ』 書影

教養・雑学 / アート・スポーツ

『東洋の至宝を世界に売った美術商: ハウス・オブ・ヤマナカ』

「美術品の世界へようこそ!」と両手を広げて迎え入れてくれるのは、本書の著者、朽木ゆり子さんだ。朽木さんが描く、美術品の背後に渦巻く歴史の数々に、読者は息をつく暇もない。ノンフィクション特有の、頭の中に次々とわき起こる知的興奮で四六時中頭がいっぱいになる。そんな著者の代表作、『ハウス・オブ・ヤマナカ』が文庫版として再登場した。 本書の序章だけ紹介したい。タイト

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サイエンス / 社会

HONZ活動記-JAMSTEC見学訪問③

興奮と充実感に包まれたまま会議室に戻ると、次はなんと海洋工学センター観測技術担当役・土屋利雄さんが直々にJAMSTEC技術開発の歴史をお話しくださるという。なんなんだ!贅沢すぎるじゃないですか!土屋利雄さんは、主に水中音響工学を研究なさっていて、科学技術長官賞にも輝いた実績を持つ海洋工学のエキスパートだ。JAMSTECでは探査技術開発に広く深く長く関わってこ

9月のこれから売る本-さわや書店フェザン店 田口幹人 書影

書店員のこれから売る本

9月のこれから売る本-さわや書店フェザン店 田口幹人

「お・か・げ・さ・ま」という感謝の気持ちを思い出させてくれる一冊 最近のもっとも明るいニュースといえば、2020年の東京オリンピックの開催が決まったことではないだろうか。東京オリンピック招致の最終スピーチで、最も印象に残った言葉の一つは、「お・も・て・な・し」だった。日本人が持つ「おもてなしの心」が、世界中の人たちを動かした結果が、再びオリンピックを東京へ連

『世界でいちばん貧しくて美しいオーケストラ』奇跡の教育モデル 書影

アート・スポーツ / 人物

『世界でいちばん貧しくて美しいオーケストラ』奇跡の教育モデル

南米ベネズエラといえば、反米主義のウゴ・チャベス元大統領、石油、野球などが思いつく程度で、あまり日本人には馴染みのない国だろう。もしかするとミスユニバースを何人も輩出する美女大国として知っている人の方が多いかもしれない。 そんなベネズエラでは、ここ数年『エル・システマ』という音楽育成プログラム発祥地として世界中の注目を浴びている。注目を浴びるきっかけとなった

「地球は青かった」などとは言わず 『ガガーリン』 書影

教養・雑学 / 人物

「地球は青かった」などとは言わず 『ガガーリン』

偉人伝にも、はやりすたりがある。野口英世やシュバイツアーの凋落は著しい。ユーリ・ガガーリンも、世代によってずいぶんと知名度が違う偉人のひとりだろう。知っている人にはいうまでもないが、『地球は青かった』という名言とともに記憶されている世界最初の宇宙飛行士だ。 ソビエト社会主義共和国連邦の秘密主義というのはここまですごかったのかということがよくわかる本でもある。

黒い情念がゴッゴッゴッ! 『クマムシ博士の「最強生物」学』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

黒い情念がゴッゴッゴッ! 『クマムシ博士の「最強生物」学』

HONZの皆が大好きで、 ついにHONZのメンバーで「社会科見学」にまで行ってしまった 海洋研究開発機構(JAMSTEC)に在籍するスーパー研究者・高井研氏の著書 『微生物ハンター、深海を行く』 に印象的な下りがある。 そう。高井氏は、自身の研究する極限環境微生物こそが地球最強の生き物であると信じているのだが、そう主張すると必ずと言っていいほど「地球最強はク

『「世界最速の男」をとらえろ!』知られざるスポーツ計時の世界 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『「世界最速の男」をとらえろ!』知られざるスポーツ計時の世界

8月18日、世界陸上が閉幕した。TBSが中継した午後9時の平均視聴率は13%。前週同時間に放送された人気ドラマ「半沢直樹」の平均視聴率が29%だったから「半返し」である。それもそのはず日本が獲得したメダルは女子マラソンの福士加代子の銅メダル1個だけ。どのスポーツでも日本選手の活躍と視聴率は相関関係にあるのだ。 ところが国際陸上競技で常に日本が首位を争う分野が

コンセプトは”エロうま” - 『キレイゴトぬきの農業論』 書影

生物・自然 / 社会

コンセプトは”エロうま” - 『キレイゴトぬきの農業論』

農家が農業の話をしているだけなのに、まるでスタートアップ系企業のプレゼンテーションでも聞いているかのよう。本書の読書体験を一言で表すと、そんな風になる。 そこにはステレオタイプな農家像に見られるような、寡黙さも清貧なイメージもない。「日本一話のうまい農家」を自負する著者が作り出しているのは「安全」なだけの無農薬野菜でも、「環境にやさしい」だけの有機野菜でもな

今週のいただきもの(9月第3週) 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの(9月第3週)

都内のあるデパートでは、今日からおせちの予約受付を開始したそうです。文具店にもずらっと来年の手帳が並んでいました。今年ももう終わりかと焦りつつ、10月スタートの手帳を購入しました。 手帳が替わると気分も変わっていいですね。9月迄のあんなことやこんなこと、いろんな失敗が9月末で全部リセットされる気がします。10月から心機一転、がんばるぞ。 みなさんも良いお年を

『あの人と、「酒都」放浪』 日本一ぜいたくな酒場めぐり 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『あの人と、「酒都」放浪』 日本一ぜいたくな酒場めぐり

朝っぱらから「ハムカツ」や「ホッピー」などの文字が並ぶレビューは書かないと決めたのは先月だったか。レビューを書くのは深夜だが、掲載は午前7時半だからだ。深夜のアルコールの勢いに任せて「ホッピー飲んでべろべろ」と書いたレビューを読者は通勤電車で読むのである。想像力が及ばなかったのは恥ずかしい限りである。実際、「酒」本のレビューはページビューを見ても、一部の少し