
『「病は気から」を科学する』心に治癒力はあるのか?
右にせよ、左にせよ、極端に意見が偏っている人ほど声がでかい。おそらく正解はその中間のどこかにあるはずだが、そこに位置するマジョリティ達は、自ら多くを語ろうとはしない。いずれにしても、両極のどちらが正しいのかという観点からは、何も生まれぬままに終わるケースが多いだろう。 近代以降の歴史を振り返ると、この手の問題はあらゆる領域に蔓延していた様子が見てとれる。そし
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右にせよ、左にせよ、極端に意見が偏っている人ほど声がでかい。おそらく正解はその中間のどこかにあるはずだが、そこに位置するマジョリティ達は、自ら多くを語ろうとはしない。いずれにしても、両極のどちらが正しいのかという観点からは、何も生まれぬままに終わるケースが多いだろう。 近代以降の歴史を振り返ると、この手の問題はあらゆる領域に蔓延していた様子が見てとれる。そし
今月より、『 COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン) 』への記事配信がスタートしました。 世界の情報を貪欲に取り入れる『COURRiER Japon』読者においても、書評へのニーズは高く、より幅広い読者の方にノンフィクション書籍の面白さを伝えていければと、考えております。月1回のペースで、翻訳書の厳選したレビューを提供して参りますので、HONZサ

国際標準語として不動の地位を確立した英語。メインの言語として話す「母語話者」がいない会話でも使われるほど、その影響力は大きい。だが元を辿れば、英語にも北ヨーロッパの片田舎で使われる言語に過ぎなかった時代がある。 オランダやドイツの一部地域で使われる、フリジア語という言語があるそうだ。現在の話者は約50万人で、そのほとんどがオランダ語あるいはドイツ語との二言語

光が氾濫する現代に生きていると、夜が本当の暗闇に包まれていた時代を思い描くのは難しい。安全や便利さと引き換えに、当たり前の存在であったはずの星空を失なったことは、生態系や私たちの生活・健康にまで影響を与えているという。本書は、もっとも明るい都市からもっとも暗い砂漠まで、世界各地を訪ね歩き、失われつつある「夜」の価値を問い直した一冊だ。巻末に寄せられた角幡 唯

日本の民間警備会社は、長嶋茂雄の「セコムしてますか?」でお馴染みになったセコム株式会社(創業当時は日本警備保障)と、オリンピックの金メダリストを起用したCMが印象的な綜合警備保障(ALSOK)が勢力をほぼ二分している。 だがその成り立ちは対照的だ。 セコムは1962年に飯田亮と戸田寿一という青年ふたりがベンチャー企業として興した会社である。水と安全はタダ、と

本書について知らない方は、まずは『でっちあげ』の プレミアム・レビューをどうぞ 。 事件が発覚したのは2003年。本書が単行本として世に出たのが2007年。2010年に文庫化され、とうとう今年、第9刷にてこの事件の完全決着までが収録された決定版が出来上がった。著者はもちろんだろうが、上梓された直後に読み、賛成・反対、様々な意見に晒されたところをつぶさに見てき

三月下旬から六月上旬にかけて、富山県魚津市では蜃気楼を見ることができます。 蜃気楼の由来は古代中国で蜃(大ハマグリ)が気(息)を吐いて楼閣を描くと考えられていたからのようです。 そもそもなぜ蜃気楼が起こるのかというと、光の性質と目と脳の構造が関係あるんです。 光は通常直進しますが、密度の異なる空気があるとより密度の高い冷たい空気の方へ進み、屈折します。人間の

「少なからず世の中にインパクトを与えたい」「真のエリートやリーダーになりたい」そう熱い思いをもってビジネスの門を叩く若者は多い。ただ、 思い描いていたような仕事をするためには どのボタンを押せばいいのかは 分かりづらく、苦労しがちである。 大きな組織に入ればなおさらだ。国や企業はまるで走行する巨大機関車のようで、歯車にはなれども自分で思いどおりに動かすことは

何でもいいから本を読みたい、意味なく読書を楽しんでみたいという人には格好の本だ。なんの目的がなくとも、ほとんど意味がなくても、本を読むということをこんなに楽しめるというのは、読書における醍醐味といっていいはずだ。 タイトルのとおり、50の孤島が紹介されている。『ドイツのもっとも美しい本』に選ばれただけあって、とても綺麗な本である。しかし、その印刷と造りは極め

W杯の南アフリカ戦勝利で、にわかファンが増えている。なにを隠そう、私もそのひとりだ。あの南アフリカ戦のトライには、テレビを見ていて飛び上がってしまうほど興奮した。それほど単純でもないつもりだったが、その後何度も映像を再生して見ているほどだ。 ついには先月のこと、秩父宮ラグビー場でサンウルブズのスーパーラグビー試合も観戦した。結果は残念だったものの、私なりに発

「センテンス・スプリング」、「文春砲」、今年の流行語大賞にノミネートされそうな用語がどんどん飛び出している昨今の週刊文春ブーム。この快進撃は、低迷している雑誌業界にどんな影響を与えているのでしょうか? 週刊文春が次々とスクープと完売号を出し始めたのは今年の初めのこと。そこで、昨年の11月12日号を基準として売上比を出してみました。(WIN+調べ) 12月下旬

ネットで短文を読むことに慣れている方は、きっとイライラさせられるだろう。繰り返しが多く、読むのに時間がかかる。一気読みができない本だ。それでも私は、本書をお薦めする。人によっては、人生のバイブルになる可能性すらあると思うからだ。私は「くどいと感じた言い回しには、別の意味があったのではないか」と思い直し、さらに一ヶ月かけて読み直した。それくらい、私は本書にひき

パナマ文書の流出、Amazonの送料有料化、セブン&アイの会長の退任など今週はびっくりするようなニュースが目白押しですね。さて、ここでもうひとつ重大ニュースです。 HONZが学生メンバーを募集します。 学生メンバーとは ・毎月1本の書評(対象は新刊ノンフィクションのみ)を書いていただきます。 ・HONZ朝会・夜会や不定期開催の合宿などのイベントに出席すること

人類はいつ、どこで、どのようにして誕生したのか? はじめて二足歩行して言葉をしゃべり出し たのはいつか? 太古の人類はどのような姿をしていたのか? われわれはチンパンジーやゴリラな どの類人猿とどのような関係にあるのか? 人間はどのようにして高い知性を獲得したのか? かつ てわれわれとは別種の人類が生きていたのか? 彼らとどのよう

野生動物の世界は弱肉強食の世界でもあり、時には一口の食べ物も見つけられない場合もあり、身を寄せ合っても耐えれない寒い冬だってある。動物たちは大変厳しい環境を精一杯生き抜いているが、それでも緊張や恐怖から解き放たれて優しい表情を見せる瞬間がある。 本書は世界中の動物たちのしあわせな瞬間を集めた写真集だ。著者が求めたのは弱肉強食の世界に生きる動物ではなく、見てい

ビジネス書の中でもリーダシップやコーチング論に属する王道のテーマなのだが、着眼に斬新さがある。まさに既知の領域に、フロンティアを見出したような内容だ。 著者はリーダーシップ論の大家として知られるシドニー・フィンケルシュタイン教授。彼はある時、様々な分野における「才能の系図」を辿っていくなかで、重要な事実に気付く。どの業界においても、一流と呼ばれる50人のうち

あなたには“きょうだい”がいますか?みんなきちんと働いて自立していますか? 昨年夏、ニュース週刊誌「AERA」の特集「きょうだいはリスクか資産か」は大きな反響を呼んだ。その後のアンケートでも、将来を不安視する声が多数集まったという。あなたには思い当る身内はいるだろうか。30歳過ぎてもニートの弟、親と同居する未婚の姉、シングルマザーで非正規社員の妹、親の脛をか

「メカ屋のための」とあるように、本書はエンジニアに向けた脳科学本である。 「なぜわざわざ特別にエンジニア向けに脳科学入門が書かれなくてはならないのか? 一般人向けに書けばいいではないか」と疑問を抱くかもしれないが、なるほどもっともな話ではある。 それはまず第一に、著者が東京大学工学部の機械系、情報理工学研究科、工学研究科で講義を受け持っている、機械系かつ生物

先コロンブス期のアメリカ大陸の常識を覆して(遅れた社会⇒ヨーロッパ以上の人口や洗練された大都市を持っていた文明社会)、全世界にセンセーションを巻き起こした『 1491 』の著者・マンが、再び世に問う問題作である。 前作がビフォーの高度なアメリカ文明を描いていたのに対し、『1493』はアフターの混乱する世界が描かれる。コロンブスのアメリカ到達(1492)によっ
HONZは、第3期学生メンバーを募集します。2年ぶり3度目です。学生メンバー採用関連業務は今回も私、村上浩が担当いたします。 毎月1本の書評(対象は新刊ノンフィクションのみ)を書いていただきます。 書評のHONZへの掲載可否については、内藤編集長が判断します。 HONZ朝会・夜会や不定期開催の合宿などのイベントに出席することができます。 ◆募集定員:最大3名

昨日から新年度が始まりました。気持ちも新たに仕事に取り組んでいきたいと思います。 さて、日本の新年度は4月始まりですが、こうなった理由は明治19年に遡ります。当時の政府の収入源は農家のお米でした。農家は秋に収穫したお米を現金化したのちに納税し、さらにその後政府が予算編成するのに1月が新年度では間に合わなかったという背景があるそうです。 それでは今週献本いただ

宮城君から私のアウトルックの受信トレイに変なメールが届いたのは、もう4、5年ほど前になるかと思う。彼は、私が自分のブログに書いた北穂高岳滝谷第四尾根の登山の記事を読んでメッセージを送ってきたのだが、それがたしか、われわれの間に起きた最初の接触だった。 私が滝谷の四尾根を登ったのは5月の大型連休の話であり、春にこのルートを登るのはとくに珍しい記録ではない。それ

中国大陸の南西部を中心に定住する少数民族・ミャオ族。かつては稲作の民として知られたが、気象変動や土地争いなどにより今は山の民として暮らしている。 そんなミャオ族には日本人のルーツではないかという説があったり、自然を崇拝していたり、納豆を食べていたりと、知れば知るほど親近感のわく存在なのだが、刺繍・染め・織といった女性たちの手仕事にも定評があり、そのレベルの高

知能は上げられない――それは生まれつきの能力であり、大きく伸ばすことは難しい。研究者も、多くのひとびとも、そう考えていた。ところが、近年、「知能は短期間で上げられる」という研究成果が続々と発表され、大きな注目を集めている。こうした成果に基づいた<頭をよくする>脳トレや認知能力を高めるメソッドもいろいろ開発されている。また、米国では政府系機関も関心を寄せ、積極

物心ついてから初めて飛行機に乗った時、それは間違いなく「体験」だった。飛ぶ前はもちろん、離陸した後もしばらくは落ち着かなかった記憶がある。 だが、今やフライトは「移動手段」である。乗った回数はそれほど多くないが、昔のワクワクや不安はすぐになくなり、窮屈さや眠りにくさばかりに目がいくようになった。映画や機内誌などで当たりに出会えればまだマシなのだが、基本的には

社会 / HONZ客員レビュー
交易から文明が生まれる。動物は棲息する生態環境の拘束から逃れることはできないが、ヒトだけが異なる生態環境からモノを移転して生態環境を自らの好むように改変したのである。交易を管理するために統一的な暦が編まれ、文字が発達し、交易の場所から都市が生まれた。異なる文化に交易ルールを強制し、違反者を取り締まるために権力が生まれ、その権力を正当化するために特定の宗教やイ

問題です。縦3ブロック、横4ブロックの板チョコがあります。このチョコレートを何回割れば12個の小さいブロックに分けることが出来るでしょうか。ただし、重ねて割ってはいけません。 ゲームです。 ① 1から9の数の中から1つの数を選んでください。 ② 選んだ数を2倍にしてください。 ③ その2倍した数に6を足してください。 ④ ③で出た数を2で割ってください。 ⑤

記憶と知識の違いは何か、そもそも幼児はどのようにして言葉を学びはじめるのか、覚えても使えない知識と新しいことを生み出すことができる知識は何が違うのか、凡人と一流、そして超一流の学び方の違いは何か。「学び」についての疑問は、人生のどの局面においても好奇心をそそられる。 しかし、何を「学び」と定義するかはひとりひとり違う考えを持っており、「よい学び」という価値判

今週は東京でも桜の開花宣言が出ましたね。開花日とは標本木で5〜6輪の花が咲いた状態と なった最初の日。満開日は標本木で80%以上のつぼみが開いた状態のことを言うそうです。 東京都の標本木は靖国神社にあります。気象庁構内の桜ではなくなぜ靖国神社なのでしょうか? 実は、気象庁に文献が残っていないので誰にもわからないんです。 指定されたのは1966年なのですが、お

最初に『人間VSテクノロジー:人は先端科学の暴走を止められるのか』という書名を見た時、うーんこれはどうだろうかと思ってスルーしかけたのだが試しに読んで正解だった。これはテクノロジーが急速に進歩し、議論が追いていかれてしまっている今こそ読むべき一冊である。 書名からスルーしかけたのは「テクノロジーは人間と対立的に語られるべきものではなく、もたらされるリスクと利

人の命は何物にも代えがたい。何としても救うべきものだ。しかし、「人間はだれでもみな死ぬ」ことが厳然たる事実である以上、科学の力で命を繋ぎ止めても、それにはかならず代償がつきまとう。 本書は、蘇生術の歴史を丹念に説き明かすともに、蘇生科学の研究の最前線を追い、さらには、タブー視されがちな倫理の問題にまで踏み込んだ骨太な力作である。 「僕らは命を救っているという

著者リサ・ランドール博士は、世界的に著名な理論物理学者で、「ワープした余剰次元」という画期的な理論の提唱者の一人として知られている。日本へは、2005年に東京大学と京都大学で開催された国際会議に出席のため来訪、2007年と2014年にも東京大学で開催された講演会のために再訪している。 この本のテーマは、ダークマター(暗黒物質)、すなわち宇宙の2割以上を満たす

都市は人を惹きつける。整備されたインフラがもたらす快適な生活、次々にもたらされる新たな出会い、世界に解き放たれる前の情報など、都市にはヒト・モノ・カネ・情報の全てが潤沢に存在しているのだから、都市への集中は当然の成り行きとも思える。事実、1950年に30%だった都市化人口率は現在50%にまで増加しおり、 国連の予測 では2050年には70%近くにまで及ぶとい

「理想のリーダー像」をめぐる議論は、いつの時代も絶えることがない。局面によって「理想」の中身が異なることからしても、答えのない問いだと言えるだろう。そんな中、意外な角度からこの話題に一石を投じる人物が現れた。 精神科医である著者は、政治や軍事、ビジネスといった分野のリーダーに着目し、「危機の局面においては、うつや双極性障害、統合失調症などの精神障害を持つ人の

今日は福岡で桜の開花発表がありましたね。 また、明日は春分の日。寒い冬が終わり、過ごしやすい春がやってきます。 春分・秋分の日のことをフランス語でエキノックス(équinoxe)と言い、 バカラ に同名のグラスがあります。1999年にバカラのデザイナーであるトーマ・バスティードが、太陽系の惑星の不思議な動きに魅せられてデザインしたそうです。1年で2日だけ昼と

2007年、カンザスのフォート・ライリーを拠点にしていた第16連隊第2大隊は、念願のイラク派兵に臨むことになった。指揮官のカウズラリッチ中佐は40歳の勇猛な男で、特殊部隊の兵士としてアフガニスタンでの従軍経験もある。しかしイラク進攻作戦では、彼の大隊は留守番組であった。 士官学校を卒業した多くの士官がペンタゴンで働くことを夢みる。だがカウズラリッチはそれを望

これは、日本発の新しいアートの本だ。いま、“コロリアージュ”というフランス発のぬり絵がブームになっているが、“NuRIE”は日本一大きなぬり絵商材なのである。吉水卓さんというアーティストが絵を描き、マルアイさんという山梨県の企業が生産、販売している。2014年3月の発売以来、好評を博し、新作を続々と発表。現在すでに7作品を発売中。日本のみならず海外の展示会な

本書のタイトルをみて「えー、何でこんな本をHONZで紹介するの?」と思った方、ちょっと待った。本書は凡百の嫌中書とはわけが違う。なにしろ書いたのが、あの谷崎光である。ここに注目してほしい。 彼女は小林聡美の主演で映画にもなった 『中国てなもんや商社』 という傑作ノンフィクションの著者である。(残念ながらDVD化されていない) 新卒でダイエーと中国の合弁商社に

ここには、ページをめくるたびに、知的な興奮がある。 ここまでメジャーリーグは進化していたのか! という純粋な驚き。そして、なおかつ読んで面白い。『ビッグデータ・ベースボール』は、ポスト『マネー・ボール』の時代でもっとも刺激的なベースボール・ブックだ。 2013年、『ピッツバーグ・トリビューン・レビュー』紙に採用されたトラヴィス・ソーチック記者は、ナショナル・

本書は北朝鮮系の人々を描いたノンフィクションである。北朝鮮、といっても、日頃の報道番組が扱うような、政治的な話にフォーカスしたものではない。スポットライトが当てられているのは、北朝鮮に暮らしていたり、北朝鮮にルーツをもつ、いたって普通の人たちだ。ふだん知られることのない彼らの日常が、本書では実にいきいきと語られている。 ベールに包まれている北朝鮮系の人々にア