
自己肯定感を育てる教育とは? 『ほめると子どもはダメになる』
いま、世の中には「ほめて伸ばす」ことを標榜した子育て本があふれている。本書は、それを実践している親御さんにこそ、読んで欲しい一冊だ。子育てに答えはない。同じ主張の本ばかり読むよりも、違う意見に耳を傾ける余裕こそが大切だと私は思う。最悪なのは、入れ知恵されて子供を操縦しようと考えることだ。おそらく本書には、ほめる子育てを実践中の方をニュートラルに戻す効用がある
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いま、世の中には「ほめて伸ばす」ことを標榜した子育て本があふれている。本書は、それを実践している親御さんにこそ、読んで欲しい一冊だ。子育てに答えはない。同じ主張の本ばかり読むよりも、違う意見に耳を傾ける余裕こそが大切だと私は思う。最悪なのは、入れ知恵されて子供を操縦しようと考えることだ。おそらく本書には、ほめる子育てを実践中の方をニュートラルに戻す効用がある

国際政治経済のゲームのルールが変わりつつある。シェール革命により自国でエネルギーをまかなえるようになったアメリカは、中東の石油に依存する必要がなくなり、不安定化する中東情勢に介入しなくなった。 かつての世界の警察官が興味を失い、ますます混迷を極める現在の中東。一方で、資源の乏しい日本は そんな不安定な地域に エネルギーの大部分を依存しつづけている。アメリカに

生命がどのようにして誕生し、進化してきたのか?だれもが興味をいだくテーマだ。完全にわかるということはありえない。しかし、あたらしい技術が開発され、あらたな発見がなされ、次第に議論が収斂してきている。全地球凍結=スノーボールアース仮説の提唱者である地質生物学者著者ジョセフ・カーシュヴィンクと古生物学者ピーター・ウォードによるこの本は、最新データを網羅してまとめ

明日はバレンタインデーですね。バレンタインと言えばチョコレート。甘くて一粒口に含んだだけでとても幸せな気持ちになれます。 しかしチョコレートの語源「chocolatre(ショコラトール)」はメキシコインディオで「苦い水」という意味でした。甘味料を入れず、薬として飲まれていたんですね。 日本では1877年(明治10年)に「貯古齢糖」として販売されましたが、牛の

いまや、毎号、見るのは、いや、手にするのがいちばん楽しみといっても過言ではないのが『デザインのひきだし』。印刷や本まわりのプロの間では有名な「プロなら知っておきたいデザイン・印刷・紙・加工の実践情報誌」。 10年目を迎えるというこの雑誌、今回の27号の特集は「現代・印刷美術大全」と題して、すごい充実ぶり。厚さをはかったみたところ36ミリ(当方調べ)。でも、途

ダーウィン進化論は、信じられないほど少ない仮定で、驚くほど多くのことを説明してしまう。なにしろ、100万種以上といわれるほど多様で、かつその1つ1つが複雑な機能を備えている生命が、どのように実現されているかを誰もが理解できるように示してみせたのだから、驚異という他ない。またダーウィン進化論は、DNAがどのように遺伝情報を継承しているかというミクロな視点から、

2007年4月、ワシントン・ポスト紙の元記者でピュリツァー賞受賞者デイヴィッド・フィンケルは、バグダッド東部にあるラスタミヤという、だれも行きたがらないアメリカ軍前線基地に赴いた。そこは、「すべてが土色で、悪臭に覆われ」、「風が東から吹けば汚水の臭いがし、西から吹けばゴミを焼く臭いがし」、「外に出るとたちまち頭からブーツまで埃まみれになる」場所だった。 20

90年代末以降、刑事司法の厳罰化が進んでいる。80年代からは量刑はざっと見て倍になり、00年の少年法改正を皮切りに法律改正のラッシュが続いた。10年には時効も廃止された。 犯罪が増加したわけでも、凶悪化したわけでもない。むしろ諸外国と比べても日本の犯罪率は低い。東日本大震災時に被災者が避難所で整然と行動していたことは海外メディアにも絶賛された。 治安の良さと

闇のきらめき──そんな言葉がぴったりの、みずからの闘病生活を綴った明るく澄んだ、詩情豊かな回想録です。なぜ「闇」なのかといえば、著者が闇でしか生きられない病気に冒されているから。なぜ「きらめき」なのかといえば、暗室で著者のつむぐ言葉が、みずみずしい感性と輝く知性できらめいているからです。 著者は大学を卒業後、国家公務員として仕事に邁進していましたが、2005

2004年に北海道警察の裏金問題で告発を行った中心人物である、原田宏二氏が警察捜査の実態を解説した1冊だ。捜査の根拠となる法律はどのようなものなのか、それらは実際どれほど機能しているのか、なぜ権力の濫用が起きてしまうのか。ノンキャリアとしては最高のポストまで登りつめて退官した経験をもとに、著者は取り締まる側の視点から語っていく。冤罪事件から身近な取り締まりに

先日、成毛眞の取材に同行し、名だたる作家たちが籠って原稿を書いたという新潮社クラブへお邪魔してきました。2階の部屋は外からしか鍵が開かず、閉じ込められた作家が窓から逃げ出したという話もあるとか。 どんな恐ろしい場所なのかと不安になりながら向かいましたが、広々とした玄関、掘り炬燵、よく手入れされた庭などまるで温泉旅館のよう。成毛眞もエラく気に入ったみたいで、つ

「好事魔多し」とはよく言ったものだ。 もろもろの多難を乗り越え、ようやく安定が見えてきたころ、ドカンと足元に大きな穴が開く。人生にはよくあることだと言われるかもしれない。 でも、あとからよく考えてみると、その穴は突然できたわけじゃなく、少しずつ広げられていったものなのだ。多忙な期間は、見たくないから知りたくないから、いろいろな理由を付けて良い方に解釈してきた

リョコウバト、ドードー、何より有名なマンモスなどこの世界では絶滅が後を絶たない。 人間による乱獲や森林の伐採などによる環境変動によってみすみすと絶滅させてしまった場合などは、人間の愚かさの象徴として語られることも多いが、そうはいっても気候の変動なり生態系の変化なりで絶滅というのはいつだって起こりえるものだ。であればこそ──一度絶滅したはずの生き物を現代に復活

タイトルが秀逸。「1998年の宇多田ヒカル」という単語を目にしただけで、様々な情景が昨日のことのように蘇ってくる。だが皮肉なことに、それは音楽に心を躍らせるという経験が、その時から更新されていないことを意味するのかもしれない。 1998年が、いかにエポックな年であったかを示す事実はいくつもある。1つは日本の音楽業界史上最高のCD売上を記録した年であるというこ

週刊文春の活躍により、2016年は年初から様々な衝撃のニュースが飛び交う波乱の幕開けとなりました。そんな1月の最後に彗星のように(我々も発売前日まで知りませんでしたから)あらわれて書店店頭を大いに賑わしたのが『あの日』。STAP細胞事件から1年以上を経て、小保方さんが沈黙を破ったという衝撃の手記です。 ある程度の話題にはなるだろうとは予想されていましたが、想

「なぜ私たちは老いて死ぬのか?」――本書はこの問いかけに進化論によって答える。そこから見えてくるのは、私たちの生―老い―死(寿命)が、矛盾、パラドックス、トレードオフに満ちあふれているという実態だ。 もともと老化や死は有性生殖に伴って登場し、多細胞生物において広まった。では、単細胞生物から複雑な多細胞生物へと進化したメリットは何なのか? 多細胞生物のメリット

7世紀の初めに拓跋国家の掉尾を飾る大唐世界帝国が成立して、最初の30年を太宗(李世民)が牽引、その後の半世紀を英邁な武則天が引き継いだ。武則天の時代に白村江の戦いが行われ高句麗が滅んで朝鮮半島が新羅によって統一され、わが国には激震が走った。そして、持統、元明、元正、孝謙称徳と女帝の世紀が出現した。おそらく武則天の活躍が彼女たちのロールモデルとなったであろうこ

人工知能(artificial intelligence)という言葉は、二重の問題を投げかけている。知能を人工的に再構築することができるのか、という問いと、そもそも知能とは一体何なのか、という問いである。人間の知能の全容がまだ解明されていないのにもかかわらず、その機械的な再構築を試みようとする過程を通して、逆に人間の知能とは何かということが浮き彫りになってき

この200年間における人類の平均寿命の伸長度合いには目を見張る。1840年を起点にとれば、我々の平均寿命は1時間あたり15分も伸び続けており、この200年で倍になった計算となる。しかしながら、最先端テクノロジーをもってしても不老不死の実現はおろか、150歳まで生きるこすら全く不可能に思える。なぜ、ヒトは老いから、死から逃れることができないのか。 人類が思考を
HONZ×新潮文庫のフェアが始まります。 2月1日頃から全国約1100の書店において、新潮文庫の中でも特にHONZが偏愛した最強・最凶のノンフィクション作品たちが店頭を飾ります。対象書目は以下の通り。HONZにレビューが掲載されたもの、解説記事が掲載されたもの、それ以外のものと、幅広くセレクションしました。 HONZ厳選の「読まずに死ねない!」珠玉のノンフィ

転がりながら、つかんだその細い木が手のひらからずるりと抜けていくのが見えた。絶望的な光景だった。その瞬間、自分は死ぬんだと分かったのだ。これから川まで一直線に投げ飛ばされ、激流にもまれながらインドまで流されるのだ。 前回レビューを書いた 『冒険歌手』 を読んでからというもの「冒険ってなんだろう」とモヤモヤし続けていた私は、その簡単には出そうにない答えを求めて

2月3日は節分。節分と言えば豆まきですが、ここ数年は恵方巻きも目にすることが多いですよね。恵方巻きを食べる習慣は大阪が起源であり、商売繁盛の祈願のために始まったと言われています。 大阪では「丸かぶり寿司」、「丸かじり寿司」などと呼んでいたそうです。「恵方巻き」という名前で全国的に広まったのは1998年にあるコンビニチェーンが「丸かぶり寿司 恵方巻」と採用した

「文明を動かす究極のエネルギーとは何か?」 この問いへの答え方は、その人の考え方よりも置かれた状況に左右されるのかもしれない。 「文化」や「技術」という答えが場所を占めるようになったのは、何千年というスパンで見ればここ最近のことだろう。それらを謳歌できるのも、食うに困らなくなってからの話である。これまでも、そしてこれからも、文明を動かすエンジンは食べ物だ。

福岡県福岡市、介護施設の発行する雑誌がある。タイトルは 『ヨレヨレ』 。発行以来、九州は元より、各媒体で紹介され、ひそかに名を広めてきた雑誌だ。編集方針は「読んで面白い雑誌」。介護に縁のない人たちが読んで、「腹を抱えてげらげら笑ってもらえたら最高」、その内容は介護施設で起こったエピソードが中心だ。 発行元は社会福祉法人福岡ひかり福祉会が運営する 「宅老所より

監督の作品を初めて観たとき、僕は31歳だった。 自分の女性との付き合い方に疑問を抱きながらも、どうすれば良いか分からず、覚束なかった20歳前後からあまり変われずに、関係性の深まらない異性との付き合いをし続けていた。 そんなとき、偶然観ることになった『チャネリングパフォーマンス 胎内宇宙』(『アテナ映像30周年記念特別版 代々木忠の「快感マトリックス」』中に収

『救命センター』シリーズは、スタートからもう何年になるのだろうと、書庫から浜辺先生のデビュー作『こちら救命センター』を引っ張り出してみた。単行本の発行が1990年だから25年も経つのか。都立墨東病院に救命救急センターができ、先生が赴任したのが85年。救命救急医歴はなんと30年の大ベテランだ。今では立派な部長先生となっている。 このシリーズも本書で5巻目。今と

効果的な利他主義者は その問いを突き詰めて考え、仕事を選択する。寄付先の選択も同様で、たくさんのいいことができる寄付先を選ぶ。例えば、 ・ 犬が好きなので、地元の動物シェルターに寄付している ・ 日本人なので、なによりも日本の恵まれない人たちに寄付をする ・ 妻が乳がんで亡くなったので、乳がん研究に寄付している ということについて、彼らはどのように考えるだろ

ヴォネガット最後の著作となったエッセイ集『国のない男』が2007年に日本でも出版され、その当時すでに、ほとんどのエッセイが訳されていたことから「ああ、これがエッセイとしては最後かぁ……」と感慨深く読んだのを今でもよく覚えている。『スローター5』などに代表される厳しい現実や愚かな人間を直視しながらも「そういうものだ(So it goes)」と言ってのける彼の優

のっけから著者に反論申し上げたいことがある。出口さんは「まえがき」で、「積み重ねられた歴史を学んで初めて、僕たちは立派な時代をつくれるのではないか」という。つまり本書は良き未来を創りあげるという目的のために、テキストとして読むことができると言っているように聞こえるのだ。 たしかに歴史から学ぶべきこと、いや本書から学べることはあまりにも多い。それは歴史だけでな

大自然に囲まれた北欧・アイスランドには、世界で唯一と言われる博物館が存在する。驚くことなかれ、それはなんと哺乳類のペニスだけをチン列した「ペニス博物館」なのだ。 豚、馬、羊、トナカイ、ホッキョクグマ、セイウチ、アザラシ、クジラ、シャチ、イルカ、キツネ、ミンク、ハツカネズミ、クマネズミ、ドブネズミ...。そこには、ありとあらゆる哺乳類のペニスが一堂に会す。 4

ペニスを勃起させた雄ガモたちが、一羽の雌ガモのまわりに群がってくる。どの雄も交尾しようと必死だ。ついに一羽がペニスを強引に挿入する。しかし── 。 「私の生殖器の構造は、ねじくれたトンネル。迷路よ。雄の生殖器をさえぎれる。相手を迷わせることができるの。だますことができる。でも好きな相手なら── 」 雌ガモは一羽の雄ガモに自ら膣口を差し出す。 「私の夫になって

先日、ワラサをいただいたので刺身、丼、しゃぶしゃぶにして食べました。ワラサはブリよりも一回り小さいですが、それでも半身で50センチほどあったので捌くのに苦労しました。 ブリと言えば出世魚として有名ですね。地方毎に呼び名が異なり、関東ではワカシ→イナダ→ ワラサ→ブリ、関西ではツバス→ハマチ→メジロ→ブリの順に呼ばれます。 出世魚は成長が早く一年で一回り以上も

南シナ海を舞台とした事件を伝えるニュースは後を絶たないが、その全体像はなかなか見えてこない。なぜ東南アジア諸国はこの地で争い続けているのか、各国が求めているものは何なのか、それぞれの主張はどうしてこれほど食い違っているのか。複雑に絡み合った各々の思惑と過去の記憶が、解決への道はもちろん、状況を把握することすら困難なものにしている。 マスコミが繰り返し報じてい

ブライアン・フェイガンが人類と動物の関係史を書いたというので、私は興味津々で本書の原書となるThe Intimate Bond──How Animals Shaped Human Historyのページをめくってみた。ところが、人類の歴史を変えた動物として彼が選んだ8種類のリスト、犬、ヤギ、羊、豚、牛、ロバ、馬、ラクダを見て、はたと考え込んでしまった。牛馬と

女性の貧困がメディアを賑わして久しい。働く単身女性の3人にひとりが年収112万円以下との統計もある。こうした貧困女性の中でも福祉の網から漏れ落ちた人々のセーフティーネットとして機能してきたのが性産業だ。 性産業の現場で何が起きているのかに迫ったルポは少なくない。本書でも母乳を欲しがる男性向けの風俗店や30分3900円で違法行為ありの激安風俗店、熟女専門店、他

慌ただしい事から傷ましい事まで、年明け早々大きなニュースが次々舞い込んでくるが、中でも異質な恐ろしさを感じたのが、 香港・銅鑼湾書店の関係者が失踪した という報道だ。後に中国当局が 拘束の事実を認めた が、共産党や国家指導者にとって都合の悪い本を売る人々を香港の中から連れ去るというのは、圧力のかけ方が尋常ではない。「一国二制度」が掲げられてきた香港の「自由」

ドローンという兵器はアメリカ軍が行う対テロ戦争において、なくてはならない存在になりつつある。様々なメディアなどでこの無人兵器が取り上げられているが、その運用実態や、どのような人間が何を考え、この兵器を遠隔操作しているかということは、あまり知られていない。なぜなら、本書でも述べられているが、ピンポイントでテロ組織の幹部を抹殺する、この兵器を運用するには、高度な

サンマ、アジ、キンメダイ、伊勢エビ、ウニ。真夜中、港に水あげされた魚介類がトラック約8000台で運ばれてくる。 これまで約80年にわたって日本人の食を支えつづけた世界最大規模の魚市場、築地市場。その全貌を、本書は水彩のイラストとともに解説している。物品の搬入、競り、仲卸、マグロ卸などひとつひとつの流れが丁寧に説明されているので、自分たちの食卓に魚はこうして届

雉始雊(きじはじめてなく)、七十二候でこの時期は雉の雄が雌への求愛で鳴き始める頃です。雉は国鳥に指定されていますが、狩猟が許されている何とも不思議な鳥です。 人の頼みや相談などを無愛想に断ることを意味する「けんもほろろ」という言葉がありますが、これは雉の鳴き声が由来となっています。「ケーンケーン」と甲高い声で鳴き、「ほろろ」と羽音を立てて飛び去る様子がもとに

昭和20年1月1日早朝、昭和天皇は皇居の御文庫内の寝室で目を覚ました。起床を知らせるベルを鳴らすと女官や侍従がにわかに動き出す。ここは昭和17年、吹上御所に建てられた鉄筋コンクリートの防空建築で、戦争が始まってからは事実上の住まいとして使用されていた。 太平洋戦争の終結、その後進駐軍を迎えたこの年、天皇と皇后はどのように暮らしていたのか。本書はそれを側近や家