
『大戦前夜のベーブ・ルース』 - 果たせなかった昭和の夢
日本プロ野球界において、その年の最高の投手に与えられる「沢村賞」という栄誉。今年、満場一致で田中将大投手(楽天)に贈られたことは記憶に新しいが、この「沢村賞」という言葉の持つ響きには、今なお神聖なものがある。 選考基準は、登板試合数・完投試合数・勝利数・勝率・投球回数・奪三振・防御率など。これだけ分業制が確立された現代においても、完投試合数、投球回数などの項
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日本プロ野球界において、その年の最高の投手に与えられる「沢村賞」という栄誉。今年、満場一致で田中将大投手(楽天)に贈られたことは記憶に新しいが、この「沢村賞」という言葉の持つ響きには、今なお神聖なものがある。 選考基準は、登板試合数・完投試合数・勝利数・勝率・投球回数・奪三振・防御率など。これだけ分業制が確立された現代においても、完投試合数、投球回数などの項

背伸びやジャンプを繰り返すことで、身長を伸ばすことができると信じている人は少なくない。実際バレーボールやバスケットボールのスター選手たちは見上げるほど高いし、ウェイトリフティングやマラソンなどのメダリストは小柄な人が多い。しかし、背伸びやジャンプの身長効果は、医学的にはまだ証明されていないらしい。オリンピックレベルの選手たちの身長の差は、それぞれのスポーツに

HONZ活動記― JAMSTEC見学訪問1 - JAMSTEC見学訪問2 - JAMSTEC見学訪問3 「誰も測れないものを測るというのが僕の研究なんです。何かを探しに行く、というよりも、とってきたものを測る、というほうに僕は興味があるんです。」 HONZメンバーの前に現れた大河内直彦さんは、まず開口一番こうおっしゃった。ナショナルジオグラフィック日本版「
早稲田乞食 みんな大好き早稲田乞食!最新169号は11月2日、早稲田祭にて発売! え、古事記の間違いじゃないかって?いえいえ、乞食で合ってます! 早稲田乞食(通称ワセコジ)は1978年創刊のミニコミ誌。早稲田乞食編集部という早稲田大学の学生サークルが出版しています。誌名に眉を顰める人もいますが、その由来は「早稲田界隈の情報を乞食のように集める」こと。部員は皆

「白紙(894年)に戻す遣唐使」と遣唐使廃止の年号をランドセルを背負って覚えていたあの頃は何だったのか。895年でも893年でも良い気がするが語呂が悪くなるか。確かに894年は意味と語呂がぴったりくる。893年だと「ヤクザ(893)もびびる遣唐使」か。意味分かりません。、「やくみ(893)つるも大好き遣唐使」ってのもある。もはや支離滅裂。895年に至っては、

『リーマン予想』をご存知だろうか?現在の数学界の「聖杯」と言っていい難問だ。 リーマン予想は、素数の分布に関する予想だ。「素数」は、「1とそれ自身以外の数では割り切れない数」のこと。数学界においては非常に重要で、あらゆる研究がなされているものの、その正体がきちんとは掴めない、なかなか厄介な奴だ。 『リーマン予想』は、『フェルマーの最終定理』ほど簡単には理解で
2011年7月にスタートした書評サイト「HONZ」は、本格的に活動してから2年余りの月日が立ちました。現在HONZに掲載されているレビュー数は1755本。2冊目の書籍『 ノンフィクションはこれを読め2013 』も発売され、おかげさまで月間約70万PVのサイトに成長いたしました。 HONZ最大の特長は、厳選された読み手が何冊もの本を読み、その中から1冊を選び出

本書は、日本の運命を決したヤルタ会談(1945年2月)からポツダム会談(7月)へ、そして原爆投下までに至る第2次世界大戦末期の激動の6カ月を再現した物語である。新しい発見はないが、関係者の証言が寄木細工のように丁寧に積み重ねられており、読者はまるでその場に居合わせたかのような、迫真の臨場感を味わうことができる。まさに、「神は細部に宿る」のである。 第1部は、

本書は、「ベイズ統計」の歴史について述べた本だ。「ベイズの法則」は、迷惑メールの振り分けや商品のおすすめ表示などの様々な分野に応用されている手法である。本書はそれを、このように説明する。 いわく、「何かに関する最初の考えを、新たに得られた客観的情報に基づいて更新すると、それまでとは異なった、より質の高い意見が得られる」 この定理を支持する人からすれば、これは

相変わらずのクルーグマン節炸裂の一冊だ。 クルーグマンと言えば、歯に衣着せぬ発言で知られるノーベル経済学者。時の権力者や著名経済学者をバッサリ切り捨てる容赦ない批判姿勢は、いつも賛否両論を呼んでおり、ファンもアンチも多い経済学者である。本書でも切れ味は抜群であり、米ハーバード大学のカーメン・ラインハート、ケネス・ロゴフ両教授をばっさり切り捨てている。 インタ

ソフィア・コッポラ監督の最新映画『ブリングリング』の原作が本書である。この映画はカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門のオープニングを飾り、話題を呼んだという。ちなみにソフィア・コッポラ監督は、映画『ゴッドファーザー』などの監督を務めたフランシス・フォード・コッポラの娘だ。映画『ブリングリング』は2013年12月に、日本でも公開予定である。本書は2008年から2
トークイベントのお知らせです。 大阪市の堂島、「堂島アバンザ」ビルにあるジュンク堂書店 大阪本店にて、『ノンフィクションはこれを読め! 2013』の刊行を記念してトークイベントを開催いたします。 『ノンフィクションはこれを読め! 2013』をお買い上げいただいた方先着40名まで参加できます。予約は2階の会計カウンターまで(電話で予約し、当日本を購入する形でも

先日、古い友人と食事をしていて仕事の話になった。彼女は、ある地方自治体で親子支援の関係部署で働いている。苦労の末に資格も取り、優しい物腰やきちんとした対応で、組織の中からも相談される父兄からも信頼され頼りにされている。 しかし、その日打ち明けられた部下との確執は深刻だった。自分勝手では片づけられない支援者への態度、情報を捻じ曲げて報告し現場を混乱させ、友人を

最近、足がつりやすくて困っています。 濃霧の 仙丈ケ岳 山頂や ボルダリング 最中の地上4m地点といった、結構緊迫した場面で突然両足をつって動けなくなるので油断も隙もありません。 先週もマッコリにやられ覚束ない足取りで帰宅途中、あと5mで我が家というところでふくらはぎに激痛が走り、しばし道端に座り込んでしまいました。幸いご近所さんには見つかりませんでしたが、
沖縄ファイヤーファイターズカレンダー 2014 サイズA2版(420×594mm) フルカラー13枚(表紙含む) 価格:2,000円(税込み) 「見よ!この筋肉スマイル!」 美しい肢体を惜しげもなく披露するグラビアの世界は男性だけが楽しむものという概念を変えた「沖縄ファイヤーファイターズカレンダー」。 筋肉隆々のイケメンたちがその肉体美を魅せるだけのカレンダ

地球最後のフロンティアを綴る最高のサイエンス・ルポだ。 本書を書店で見かけたとき、「南極はそんなに興味ないし」と平積みされている本の前を一旦通り過ぎたが、著者名が目に入った瞬間に引き返した。ゲイブリエル・ウォーカーといえば、サイモン・シンが絶賛し日本では毎日出版文化賞受賞した『スノーボールアース』の著者である。帯には「人を拒み続ける醜寒の大陸に長期滞在」とい
ノンフィクションはこれを読め! 2013 - HONZが選んだ110冊 はじめまして。中央公論新社・販売担当の疋田と申します。HONZレビューの集大成、『ノンフィクションはこれを読め! 2013 ―HONZが選んだ110冊』が、今年も出ることになりました。発売日は明日(10/25)になっておりますが、首都圏や一部の書店様では本日から店頭に並び始めているかもし

ぎりぎりのタイトルである。帯には『明日、人類はこうして絶滅する!』とまである。下手をすれば「とんでも」系の本になりかねない。こういう時、まずチェックするのは、著者の経歴である。これまでの著作に『UFOは真実だった』とかいうのがあったら、HONZの対象外、とんでもフィクションである可能性が高い。 しかし、著者のフレッド・グテルの経歴を見ると、『ニューズ・ウィー

アサギマダラは定期的に国境と海を渡ることが証明されている唯一の蝶だ。毎年、秋と冬に1000〜2000kmもの旅をするのだが、実はそれが発見されたのは80年代初頭のこと。私が子どもの頃に読んだ図鑑にはそんなことは一言も載っていなかった。 その発見を受けて、アサギマダラはどこからどこへ、どのようなルートで旅をするのかを解き明かす方法として、「マーキング調査」が始

『ニューヨーカー』誌の9月9日号に、エリート・アスリート、つまりは並の人ではなく、人間の能力の極限に挑戦する運動選手を通して見るスポーツ科学の現在、といったなかなか興味深い記事が載っていました。その分野の関連書籍をいくつかまとめて紹介しながら、「フェアプレーって何だろう?」といったことまでも考えさせる内容でした。 ところで、『ニューヨーカー』に掲載されたスポ

今の世の中に、こんなに危険に満ちた旅があるだろうか。 本書に書かれている脱出劇は、二〇〇三年七月に始まった。食糧難などで中国に密かに越境した北朝鮮の人たちは、距離にすると三千キロ以上、ほぼ日本列島を縦断する長い距離を列車でひたすら南に向かっていく。途中で二回ベトナムとカンボジアの国境を越えなければいけないが、最大の難関は、中国国内を無事に通過することだ。 脱

ワトソンとクリックにより DNAの二重らせん 構造が明らかにされて60年以上が経過し、私企業のサービスを利用すれば個人でも気軽に遺伝子解析が行える時代となった。アンジェリーナ・ジョリーが自らの遺伝子検査結果をもとに乳房切除を決断したように、遺伝子分析の結果が私たちの意思決定に影響を与える事例もみられる。しかし、わたしたちは自分の未来を委ねられるほどに、遺伝子

統計学の本が良く売れています。あみだくじは真ん中が当たりやすいなど、新しい発見がたくさんあり、仕事にも活かせそうです。ただ個人的には、確率・統計というと(少しズレますが)、中学のころ友達の家で麻雀に溺れていた日々を想い出します。勿論、そんなことができたのは、部活が休みになる定期テスト前だけでしたが。。。 愉快な仲間たちとビートルズを聴きながら、「カンパーピン

小説 / HONZ客員レビュー
9部門のアカデミー賞を受賞した名画「イングリッシュ・ペイシェント」の原作者であるオンダーチェの新作なら、これはもう読むしかあるまい。そう思って手に取ったが、想像を遥かに超える素晴らしい佳品で、すっかり嬉しくなってしまった。 スリランカに住む11歳の少年マイナが、たった1人で大型客船オロンセイ号に乗って、母の待つ英国へ3週間の船旅をする。この小説は、成長して作

そんな書き出しで本書は始まるのだが、驚くのはこちらの方だ。隣のページに目を移すと、いきなり著者が身長2メートル近いドイツ人の大男と決闘しているシーンの記述に出くわす。それも著者が留学していた当時の話だから、わずか30年くらい前の出来事なのだ。 ドイツ語で「メンズーア」と呼ばれるこの「決闘」は、刃渡り88センチ、柄の部分が15センチもある鋭利な真剣を用いて、顔

人物 / HONZ客員レビュー
上下2段組みで650ページを超える分厚い本だ(訳者も4名で分担している)。しかし、どうして読まずに済ませることができようか。これは、9.11、米軍のアフガニスタン侵攻、イラク戦争、北朝鮮の核問題、リーマン・ショックと21世紀初頭の激動の日々を、ジョージ・W・ブッシュ政権の「頭脳」として大統領を支え続けたコンディ(コンドリーザ・ライスの愛称)の回顧録なのだから

友人に「近所にできたスポーツクラブに入会するか迷っている」と話したところ「飽きっぽいのだから良く考えた方がいい」と言われました。自分のことを飽きっぽいと思ったことなどなかったので、社会人になってから通ったお稽古ごとを書きだしてみました。 極真空手、キックボクシング、合気道、テニス、ゴルフ、ヨガ、家の近くのスポーツクラブ、会社の近くのスポーツクラブ、通勤途中の

ポストシーズンで盛り上がるプロ野球。その一方でもうひとつの大きなイベント「プロ野球ドラフト会議」が近づいて参りました。ご存知の通り今月24日に開催されます。 このイベントに先駆けて『野球太郎No.006〜2013ドラフト直前大特集号』を発売しました。今号の表紙は大阪桐蔭高の森友哉選手(をモデルにした人形)です。 その前に『野球太郎』について少々。 さて、今回

要人暗殺というテロ行為は歴史上、いく度も繰り返されてきた。時にそれは革命の大きなうねりとなり、多くの人々の血を飲み込みながら、国家や社会の形態を変化させることに成功した。または未曾有の戦争を引き起こし、民衆、権力者を問わず、その財産と生命と涙を喰らいつくした。ただ、多くの場合は、それほどの成果もないまま、いつ果てるともわからない、不安定な状況と小規模な流血が
今から30年前、都内郊外の精神病院の保護室にマリアの絵を描く患者がいたそうだ。 保護室とは、東京足立病院の閉鎖病棟は最奥に位置し、簡単な台座と布団だけが置かれ、コンクリートの床に穴が空いただけの便器が備え付けられている構造だった。実際に入った患者によると、当時この場所を「牢獄よりもひどい」と伝えていた。保護室という鉄格子の威圧感がもつ物理的かつ象徴的な閉鎖性

紅葉の季節、いかがお過ごしでしょうか。今月はどーんと趣味に走り、建築棚からオススメしてまいります。どうしよう。土木もいいけど、都市計画も、家具の本も、あ、造園、家づくり、照明、なんて棚の前で唸ってしまったのですが、独断と偏見で無理やり4冊に抑えましてございます。ドヤ顔失礼いたします。 まずは一番高額な『誰も知らない「建築の見方」』。建築図鑑って、本当に色んな

タイトルに魅かれて読んでしまった。誰でも思うはずだ、「酒と薔薇の日々」に決まっているじゃないか、と。それを、よりによって「醤油」とは。 本書は、何気ない日常席活を綴った68本のエッセイをまとめたものである。初出は1993年とあるから、相当に古い。しかし、長谷川町子の「サザエさん」が永遠に新しいように、人間の本質は少しも変わっていないのだから、いいものはいいの

沢木耕太郎31歳、藤圭子28歳。 男は新進気鋭のノンフィクションライター。女は昭和の歌姫と呼ばれながら引退を発表した演歌歌手。 1979年秋、東京紀尾井町のホテルニューオータニ40階にあるバー・バルゴーでふたりは語り始める。 「うん」 「何にします?」 「ウォッカ、あるかな?」 「それはあるんじゃないかな。とりあえず、ここはホテルのバーなんですから」 「それ

京都。女友達と湯葉を食べに行ったことが1回、書店員仲間と抹茶パフェを食べに行ったことが1回。えーと、修学旅行で京都に行ったかもしれない。そんな近くて遠い古都は今頃紅葉見物の観光客で賑わっているのだろうか。嵐山、大覚寺に照るモミジを思う。キンモクセイの香りが漂う中を、散策できるように道がつけられているのだろう。夜は湖面に鮮やかな月が映り込んでいるのだろう。魚の
いよいよ今月25日(予定)に『 ノンフィクションはこれを読め!2013 HONZが選んだ110冊 』が発売されます。本書では、2012年7月〜2013年6月までにサイト上で紹介した新刊ノンフィクションの中から110冊を厳選。著者インタビューや対談も加えた、HONZの魅力満載の1冊に仕上がっております。 ところで、昨年発売された『 ノンフィクションはこれを読

1543年9月、倭寇の頭目の1人であった王直の船が、種子島に漂着し、乗っていたポルトガル人が、わが国に鉄砲を伝えた。これが、日本と西洋の初めての出会いであった、と言われている。このこともあって、ポルトガルはわが国には馴染の深い国ではあるが、では、どうしてポルトガルが逸早く海に乗り出し、海洋帝国を築き上げたのか、ということは、あまり知られていない。本書は、ヴァ

面白いだろうと思って買った本が面白かったらうれしい。しかし、まぁ教養のために読んどこかぁ程度に思って買った本が面白かったら、もっとうれしい。すこし失礼かもしれないけれど、わたしにとって、『冷泉家八〇〇年の「守る力」』は、そんな本だった。 藤原定家の息子、初代の冷泉為家まで800年を遡ることができる、天皇家に仕えた和歌の家系。日本でも屈指の名家の話である。タイ

本書の主役はウジ虫。虫嫌いの方はこの時点で、読み進めるのをやめようと思われたかもしれない。確かにウジ虫は、ぶにょぶにょしていて、バイ菌だらけで、気持ちが悪い。これまで、「ウジ虫が大好きだ」という人にはお目にかかったことがない(HONZ虫班の野坂美帆、土屋敦などはもしかしたら好きなのかもしれないが)。しかし、本書にはウジ虫や生々しい傷口の写真は掲載されていない

先日旅行にいった時に思ったのですが、やはり車の運転はできた方がいいですね。電車の本数が少なかったり、目的地が駅から遠かったりしたとき、つくづく「車だったらな」と思いました。 学生のころ教習所に通いましたが、どうしても第一段階から上にあがれず、中退しました。花壇に乗り上げたり、センターラインを跨いで走ったり、教習所内でしょっちゅう渋滞を引き起こしていました。

趣味性が高く、マニアックな世界の話を外向けにコミュニケーションしているケースというのは、そうそうお目にかかれない。その手の会話の醍醐味はハイコンテキストなやりとりが交わされるという点にあり、前提となる知識が省かれることによって拍車もかかる。ましてや秘匿性の高い話題となれば、なおさらのことだ。しかし水面下では、地下水脈のように文化的な基盤が共有されており、その