
8月の今月読む本 その2
残暑お見舞い申し上げます。 猛暑が続いていますが、みなさま無事にお過ごしでしょうか。ほんと、巨大地震の誤報やら局地的な豪雨など命に係わる自然状況です。お気を付けください。 さて「今月読む本 その2」は恒例の欠席者から。本人のコメントといっしょにどうぞ。 山本尚毅 深津晋一郎 カーヴァーは非常に好きな作家なんです。村上春樹訳の全集第1巻タイトルが「頼むから静か
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残暑お見舞い申し上げます。 猛暑が続いていますが、みなさま無事にお過ごしでしょうか。ほんと、巨大地震の誤報やら局地的な豪雨など命に係わる自然状況です。お気を付けください。 さて「今月読む本 その2」は恒例の欠席者から。本人のコメントといっしょにどうぞ。 山本尚毅 深津晋一郎 カーヴァーは非常に好きな作家なんです。村上春樹訳の全集第1巻タイトルが「頼むから静か

気軽に読めるとても楽しい本だ。何事であれ、劈頭の出会いがすべてだ、と言う人がいるが、最初のページに、僕の大好きな絵(泳者の墓。パエストゥム)が置かれていたので、これはもう読むしかありません。 この本は、2008年の北京オリンピックで正式競技に採用されたオープンウォーター・スイミング(OWS)をテーマとしている。69歳のアメリカの女性ジャーナリスト、リン・シェ

子供たちは夏休みですね。課外授業でしょうか、近所の小学校のプールから時折歓声が響きます。 ……またしても 辛い記憶 が蘇ります。そう、私は泳げません。唯一できるのはクロール、でも息継ぎができないので、最長記録25m。それ以上は酸素ボンベが必要です。 15の春、受験戦争に敗れ室内温水プールという過剰な設備を有する第二志望に入学。その後三年間、一年のうち半年以上

本書は、2010年から2013年にかけて、小学館『本の窓』に連載された17回の対談をまとめたものである。大きく5つの章に分類されており、それぞれ、「「のど元過ぎれば…」で、また戦争するのか?」、「「知らぬが仏」では、すまされない」、「アメリカよりアジアを向いた脱官僚の国へ」、「人間力をとりもどすために」、「人は「資源」ではない。型破りのススメ」と題されている

東京スカイツリーをテーマにしているのだが、スカイツリー自体がどこにも出てこないという奇跡のような写真集。今やスカイツリーと同じくらい名物になっているのが、ツリーの全体像をカメラに収めようと格闘している人たちである。本書は、そんな人々による「決定的瞬間の決定的瞬間」ばかりを集めた一冊。 全132枚の写真とともに収められているのは、編集の妙である。各々の写真には

さらに犬の優れた嗅覚は野営地の防御などにも役立つ。なんと犬たちは1キロ以上離れた敵の匂いをもかぎ分けるのだ。また9メートルも水に潜った敵の匂いをも嗅ぎ分けることが最近の研究で発見されている。この特性を生かし、2千年以上前から犬たちは人間の戦友として、そして兵器として、様々な時代の様々な戦場で、攻撃、防御、通信などの重要な任務に就いていたのである。 第一次世界

これは、本書の新聞広告を出稿した日のツイッターに寄せられた声だ。「精子力」。別に笑わせるためにタイトルつけたんじゃないんだけどな。注目してくれたのは嬉しいが。これが「卵子力」という本だったら、笑う人いるのかな? このコーナーは編集者の裏話的なお話をしてもOKとのことだったので、なぜ、このタイトルにしたのか、お話したい。本書は、男性の性機能についてまとめた真面

猛暑も嫌だが、ゲリラ豪雨はもっとイヤだ。各地で大変な被害が出ているようだ。心からお見舞い申し上げます。 8月の朝会は、前日の夜から欠席者続出である。仲野徹、山本尚毅、深津晋一郎、鈴木葉月、新井文月、田中大輔が休み。仕事やら病気やら、家族サービスやら、まあ夏休みだから仕方ないかもしれない。しかし最後にきたメールは成毛眞。一晩中、仕事していたらしく、明け方に届い

本書を発見し手にとると、帯にはこう書いてあった。 あ、コレ買うなと思った瞬間である。 本の購入には「ジャケ買い」ならぬ、この本絶対面白い!と確信する瞬間があるはずだ。 それは著者だったり、装丁だったりもするが、それ以上にビビっとくる直観だったりする。 ちなみに本書は昨日(8/6)に購入したばかりである。翌日にレビューを書いているのは一気に読んで面白かったから

1616年4月17日朝、徳川家康公は駿府城で死去した。原因は、鯛の天ぷらに当たったとか胃癌のため、などの説があるが、75歳と当時にしては長命だった。 私は、家康公のお墓は日光東照宮にあると思い込んでいた。実際は静岡市にある「久能山東照宮」にあり、日光は一周忌を過ぎたのちに勧請(分霊)されたものだそうだ。 本書は、この「久能山東照宮」の宮司が綴った家康遺品の一

1989年3月13日、カナダのケベック州で大停電が起こった。変電所や発電所が突如破壊され、9時間も停電続いたのだ。被害に遭ったのは、およそ600万人、経済的な損害は100億円を超えた。そして不気味にも同時に全米一帯を覆い尽くすようにオーロラが発生したのである。 当時、冷戦の真っ只中であったため、多くの人々は核攻撃が始まったと心配したそうだ。しかし、この大停電
とざい、と~ざい。本日はぁ、HONZはじめてのだしものぉ、HONZプレミアム。レビューしまするは、なかのとぉ~るぅ。(知ってる人は、文楽の口上風に声を出してよんでみてください。) ということで、HONZプレミアム、記念すべき第一回である。日本のノンフィクションを盛り上げようという崇高な使命をもったレビュー軍団HONZには、いくつかのルールがある。その一つは、

熱気と湿気をはらむ空気に息をするのもイヤになる毎日ですが、先日ある会社を訪問したところ、広々とした アトリウム に緑が鬱蒼と生い茂っており、思わず深呼吸してしまいました。当事務局も狭いながら6鉢の観葉植物があり、内藤順にいじめられた時など、私の傷ついた心をそっと癒してくれます。ただ、日当たりやエアコンの風などちょっとした加減で元気がなくなることもあり、日々の

どれほどの絶望を、乗り越えなければならなかったのか。 第一次大戦中に捕虜として拘禁された収容所から脱走を試みること6回。その全てが失敗に終わった。ナチス占領下のフランスを離れイギリスで行っていたレジスタンス活動のために反逆者と呼ばれ、祖国から死刑判決を言い渡された。起死回生を期した軍事作戦の失敗で英首相チャーチルの信頼を失い、自ら命を絶つことすら考えた。 普

同じような時期に、同じようなレベルの偉業を達成したケースであっても、時の流れはいずれかの人物に軍配を上げる。「微積分」の神は、ライプニッツではなくニュートンを祝福し、「電話」の女神はイライシャ・グレイではなくグラハム・ベルに微笑みかけた。 近代の幕開けとなった大航海時代にも、幾人かの英雄たちが存在する。その中で誰しも真っ先に頭に思い浮かべるのは、コロンブスの

『ハーバード白熱日本史教室』(新潮新書)の大ヒットが記憶に新しい北川智子さん。新鮮な講義メソッドやオリジナルな生き方に大きな注目が集まりました。昨年からはイギリスの名門ケンブリッジ大学の関連機関であるニーダム研究所に拠点を移し、エネルギッシュに研究活動を進めていますが、本書はアメリカからイギリスへと渡り、ヨーロッパを旅しながら考えたことをまとめた、初の書き下

旅行へ行きたい! HONZをご覧の皆さま、突然の心の叫びをお許し下さい。最近、『北海道』『沖縄』『伊勢』『バリ』といった、地図ガイドが良く売れている。お一人でご購入いただく場合は、あまり気にならない。問題は、お二人で旅行が楽しみで仕方ないといった感じで会話をしている場合である。「楽しんできてくださいね」とお伝えする傍ら、心の奥には、「いいなぁ。いいなぁ」なん

小説 / HONZ客員レビュー
僕は、本を読むときは、一言一句文章を丁寧になぞって、ほぼ完全に消化してしまうまで読み込むタイプなので、滅多に同じ本を2度読むことはない。本書は、ANAグループ機内誌「翼の王国」に連載された小品をまとめたもので、いくつかは間違いなく読んでいるはずだが、再読することに全く躊躇いはなかった。それは何故か。著者の文章や門内ユキエさんのイラストレーションが大好きだった

ソフト人形を買い集め、イベントに足を運んだ。幼少時の憧れだったウルトラマン。本書を読んで驚いた。ウルトラマンは怪獣との戦いが長引き、ピンチになると胸の発光体であるカラータイマーが点滅して音を発するが、生みの親である円谷プロダクションの経営は私が幼少時に夢中になっていたときから、カラータイマーが鳴りっぱなしだったのだ。著者は円谷プロの元社長。「特撮の神様」と呼

プランター菜園のプチトマトを採り、Tシャツできゅきゅっと拭い口に運びかけて逡巡する。このトマト、というか、トマトについているかもしれない土に、寄生虫は潜んでいないだろうか。いや、むしろそれならば食べたほうがいいのだろうか。毎年花粉症に苦しむ身としては。 ほんの数十年前には、身の回りに寄生虫がうようよいた。しかし今では私たちはそれらを遠ざけることに成功している

著者はHONZに「青木薫のサイエンス通信」を寄稿いただいている翻訳家の青木薫さんだ。英文雑誌「THE NEW YORKER」からサイエンスの話題を拾うこのエッセイだけを読みにくるという熱烈なファンもいるようだ。今月は 「アルツハイマー先制治療――あなたならどうする」 だ。一般向けの科学書作家として、現代最高峰のサイモン・シンの日本語訳はすべて青木さんの手のよ

編集長土屋敦に「『ダンゴムシの本』を見たら、土屋さんの顔が浮かびました!」と言ったら、「失礼な」と叱られました。最大級の褒め言葉のつもりだったのですが。 斯く言う私も、こう暑いとなかなか文字の多い本を読む気にならず、最近は虫やら草やら、写真の多い本に走りがちです。 それで思い出したのですが、子どもの頃、初夏のある日、母と買い物から帰ると部屋の中を無数のカマキ

グーグルやビル・ゲイツなどから支援を受ける カーンアカデミー 、就職ランキング全米No.1の Teach For America など、EdxTechを中心に教育の未来形を指し示す本の出版が相次いでいる。その中で「 ドラゴン桜 e-Education 」を展開する大学生の若き起業家・ 税所篤快 が2冊目の本を出した。いわゆる社会起業と呼ばれる領域でも、税所氏

『ニューヨーカー』誌で、メディカル&生物学分野のスタッフライターを務めている、ハーバード大学医学部教授のジェローム・グループマンが、アルツハイマー治療の最前線について読みごたえのあるレポートを書いていましたので、ざっくりかいつまんでご紹介いたします。 アルツハイマー病をめぐる状況を考える上で押さえておくべきは、今後、アルツハイマーの人たちのケアが、大きな社会

文字通り『ラテン語図解辞典』である。見出し語約500、図版約700点、この一冊で古代ローマの文化と風俗に関するラテン語の根本を知ることができる。 たとえば"abacus"。原義は石・大理石・土器などの矩形の厚板。その厚板を使って作られたのが食器棚やそろばんであり、ともに"abacus"である。図版によれば、古代ローマそろばんはケタが決まっていたらしい。右の2

私が本書を読む前、マチュピチュは「アンデス山脈の頂きに建つ、精巧な石積みによるインカの遺跡」程度の知識しか持ち合わせていなかった。たしかインカ皇帝の財宝が隠されているとか……。現在この問いに対して、確かな答えは見つかっていない。あらゆる学者が独自の答えを持ち、証明しようと躍起になっている途中だ。あらゆる仮説が飛び交うなか、本書の著者が見つけた答えは美しい。

ひとりの進行性重度身体障害の男がいた。 渡辺一史さんがこの本を書いている大半の日々では、まだいきいきと生きていた人だった。 その鹿野靖明さんと、亡くなるまでに関わった多くのボランティアの人たちとの物語である。 と書くと、ああよくあるやつね、と内容の見当がついてしまうような気がする人もいるかもしれない。それは間違いです。これはまったく、よくある本ではない。凄い
単行本、文庫を問わず、数多くの書籍には「解説」という記事が付いています。通常この記事は、巻末に掲載されていることなどから、読後の余韻に浸りながら眺めるという方も多いかもしれません。 ただ、この記事を本体から切り離し、購入時における判断の一助として利用する、読む前のガイダンスとして活用する、そのものを作品として味わうなどといったことも、書籍の楽しみ方の一つでは

本書は、戦前・戦後を通じた昭和日本の「国家戦略と情報」を考える上で、絶好の評伝となっている。また、辰巳栄一という人物について、これまでは「歴史の脇役」として戦前・戦後の昭和史の一局面で時として顔を出し短かく言及されることはあったが、本格的な評伝が書かれるのが、なぜ「これほど遅く」なってしまったのか、とさえ思える重要な人物である。そこに、日本人の戦略思考やイン

いすみ鉄道。この名前を聞いて、ピンときた人はよほどマニアックな人だろう。地方第三セクター立て直し事例として話題のローカル鉄道でありながら、まだ一部の専門雑誌などで紹介されるだけで、大手メディアはあまり取りあげきれていない。この鉄道の再生物語から、地方や中小企業が学べることは多く、注目に値するのでそろそろ取りあげられそうだ。 本書の著者は、千葉県を走るローカル

社会 / HONZ客員レビュー
楽しくて、ワクワクするような本ではない。おもしろくて、ページをめくるのがもどかしくなるような本でもない。それでも、なお、この本は、出来るだけ多くの市民に読んでほしいと思わずにはいられないのだ。 はじめに、次のグラフを見てほしい。 一般に、先進国とみなされているG7の中で、日本の次に難民の受け入れが少ないイタリアが1,803人(G7全体の3%)、これに対して日

深海がブーム。みたいな気がする。NHKスペシャル『ダイオウイカ』の興奮は記憶に新しいし、その本が出ただけでなく、劇場用の映画にもなるらしい。 特別展『深海』 が国立科学博物館で開かれているし、本屋さんでも 『深海本』とでもいうべき写真集 がけっこうたくさん売られている。この原稿を書いているさなかにも、朝日新聞の科学欄に”生命の謎に深く迫る-超深海・熱水域で有

HONZをご覧の皆様、ご無沙汰しております。いかがお過ごしでしょうか。え? 能天気にそんなこと聞くなって? 梅雨の天気が読めなくて大変だったって? 雨が降らない梅雨だと思ったら、いきなり雷雨になったり? まあまあ、気象庁に文句を言うのは少々お待ちくださいませ。今月は、数ある理工書ジャンルの中から、気象・気候学の棚よりオススメ商品をご紹介いたします。 科学の進

寄生虫の本であるにもかかわらず、まず最初に著者が取り上げるのは、旧約聖書に書かれた「エリコの戦い」だ。Battle of Jerichoと書けば、ジャズやゴスペルファンならピンと来るかも知れない。黒人霊歌「Joshua Fit The Battle of Jericho」で歌われた、モーゼの後継者ヨシュアがカナン人の都市エリコを攻略した、約3000年前の戦闘

「この程度の傷、たいしたことではない。」 男は、心の中でつぶやいた。チンパンジー狩りには困難がつきものだ。引っ掻かれ、噛みつかれるのには慣れている。今回の狩りがこれまでと違っていたのは、狩りの最中に負った傷にチンパンジーの返り血を浴びたことくらい。 「いつものことだ。」 男は再びつぶやき、いつものように家路を急いだ。 男の思いもよらないところで、この狩りは、

イルカやハワイの海をモチーフに、バブル期を一世風靡した米画家クリスチャン・リース・ラッセン。 日本では1980年から90年代にかけて異常なほど人気が高まり、多くの版画・ジグゾーパズルなどの商品が消費されてきた。しかし、これまで新聞を含め美術マスコミは「コメントに値しない」と彼の作品が正面から論評されることはなかった。本書はラッセンが受容される心理と欲望、彼の

版元のみなさまのご厚意により、HONZには毎週たくさんの献本が届きます。事務局ではそれらを「今週のいただきもの」でご紹介するとともに随時リスト化し、レビュアーのみなさんに早い者勝ちで予約をしてもらうのですが、リスト公開と同時に予約し尽くされることもしばしばです。 すると先日、あるレビュアーが「リスト公開前にこっそり教えてくれな~い?」 しかし公明正大な事務局

この本を読み始めた日は、朝早く出社する日だった。日頃と違って、すいている車両。ちょうど1つ空いていた席に座り、本を開いた。今日はラッキーだ。著者は、ウィーン大学の日本学研究所で睡眠の研究をした後、ケンブリッジ大学東アジア研究所の先生になった人だ。居眠りは、日本特有のものだという。 ふと見ると、対面の席に座っている7人のうち5人が寝ている。朝早いこともあるが、

スティーブ・マハリッジは良き父親であろうと努力を重ねていた。しかし彼の心の中には常に二人の男が存在した。良き父になろうとする平凡ではあるが愛情深い男と、心の奥に潜む野獣のように凶暴な男。父が見せる怒りの発作に著者の家族はたびたび苦しめられた。家庭の中には常に張りつめた空気が存在した。戦争に行く前の彼はこうではなかったとスティーブの姉は語る。戦争が彼を変えてし

米国の科学ライターが肥満のメカニズムとダイエット法について科学的事実にもとづいて書いた本です。ありがちな書名で、内容も凡庸のように感じるかもしれませんが、この本、実はスゴイです! するどい洞察力による「常識」への切り込みはみごとです。徹底的に調べ上げて構成しているので、さまざまな予防線が張られていて、一種の知的エンターテイメントとしても楽しめると思います。「