
『SEMPE IN NEW YORK』唯一無二の街 ニューヨークを描く
ニューヨークは世界で唯一無二の街である。パリやロンドンにはそれぞれに個性があるもののヨーロッパの都市特有の佇まいがある。東南アジアには東南アジアの匂いが、南米には南米の色がある。しかし、ニューヨーカー(ニューヨーク人)とマンハッタンの摩天楼が醸し出す徹底的な上空への指向は他の街では見られない唯一無二の存在のように見えるのだ。人々は走るように歩き、倍速で話す。
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ニューヨークは世界で唯一無二の街である。パリやロンドンにはそれぞれに個性があるもののヨーロッパの都市特有の佇まいがある。東南アジアには東南アジアの匂いが、南米には南米の色がある。しかし、ニューヨーカー(ニューヨーク人)とマンハッタンの摩天楼が醸し出す徹底的な上空への指向は他の街では見られない唯一無二の存在のように見えるのだ。人々は走るように歩き、倍速で話す。

小説 / HONZ客員レビュー
不思議な読後感の残る小説である。ストーリー自体は、一見したところ、込み入っているようにも見えるが、本質は他愛もないと片付けてしまってもいいかもしれない。最愛の娘キャサリン(キャス)を亡くした初老の舞台俳優と、その妻がいる。ポルトヴェーネレ(僕は初秋に訪れた記憶がある。印象に残る美しい町だ)でキャスは自ら命を絶った。子どもを身籠っていた。 老俳優に初めての映画

「男の子の理想の人生」――本書の読後感はこの一言に尽きる。 国家、産業、技術、芸術――なんでもいい。あるものの勃興期に生まれ合わせ、その盛り上がりと共に人生をおくるというのは素晴らしい、得難い幸運である。 本書のタイトルとこの解説文に惹かれて、本書の購入を決意。早速、家に帰って本書のページをめくってみると、期待通り読んでいてワクワクする夢のような人生が描かれ

昨晩の雪も夜半には上がったが、相当寒い朝。このところ暖かかったので寒風が痛い。2月の朝会は直前になって欠席者が続出。子どもの具合が悪くなったもの、消費税増税前の駆け込み需要のための残業、病欠、出張などなど、今までの朝会で一番少ないかもしれない。 そんななか、新しいメンバーを成毛代表が探してきた。 「つぶやきコミューン」 という書評ブログを行っている 神谷昌彦

こんにちは。皆様いかがお過ごしでしょうか。紀伊國屋書店富山店、理工書担当の野坂美帆です。富山は今年、雪も少なく、ありがたいような寂しいような、矛盾した気持ちでおります。春にはまだ遠いですが、一月に入って理工書棚では動物学関連の新刊が花盛り。全部ご紹介したいところですがその一部をお伝えしたいと思います。 まずは『パンダが来た道』。著者のヘンリー・二コルズは、ケ

地味といえば地味な学術書である。はっきり言って4千円は高いし、ほとんどの人は買おうと思わないだろう。しかし、この本のあらすじは知っておいて損はない。江戸時代の知識階級のレベルがいかに高かったがよくわかる。 天然痘 は感染力が強く、致死率も高いおそるべき伝染病である。いや、その撲滅が人類によって成し遂げられた唯一の疾患なのだから、『であった』が正しいのかもしれ

『ニューヨーカー』誌の2013年12月23日&30日合併号に、マイケル・ポーランが「植物に知能はあるか」というテーマで力作レポートを寄せていました。ポーランは、カリフォルニア大学バークレー校でジャーナリズムのジェームズ・ナイト教授職にあり、本を書けば毎度ニューヨーク・タイムズのベストセラーリスト入りを果たすという売れっ子ノンフィクション作家でもあります。それ

ただでさえ寒いのに、今週オフィスの空調設備が壊れるという悲劇に襲われました。毎朝スイッチを入れると、なんと一時間ほど冷風を送り出し続けるのです。もはや外の方が暖かいくらいです。 「暖かい風が出るまで少し時間が掛りますがご了承ください」って管理人さん、いくらなんでも時間掛り過ぎです……。明日の修理まで、みんなで肩を寄せ合ってがんばります! それでは、そんな極寒

2013年5月、会社のinfoメール宛に持ち込み企画が送られてきました。 私の元へ転送してきた担当者からは「ユニークな持ち込み企画です。興味ある方いますか(笑)? 時間あるときでもご覧ください~」とのコメントが添えてありました。 (笑)の文字が気になります。早速拝見してみると、送り主は 日本ふんどし協会 会長(ってなんだ?)の 中川ケイジ 氏、企画は「ふんど

2009年秋、2つの連続不審死事件が明るみに出た。いずれも30代の小柄の肥満体型の女性が幾人もの男性を虜にして多額の金を貢がせていた格好だったが、世間の反応は対照的だった。 首都圏でネットを通じて知り合った中高年の独身男から金をだまし取り「セレブ」な生活を送った木嶋佳苗。法廷での服装や突拍子のない発言まで詳細に報じられ、佳苗の裁判の「追っかけ」まで登場した。

物覚えが悪くなったのはいつ頃からだっただろうか、今となっては思い出せない。小学校の時から忘れ物は多かった人間だが、明らかに、最近、一皮むけたのだ。特に固有名詞だ。正解の直前までわかるのに「あれ」としか言えないもどかしさ。最近、物忘れがひどいんだよ…と友人に言ったら、「俺、今日、カタカナの“メ”が思い出せなかった。」と言われた。お互い、年である。“メ”がだめだ

ダークスーツを颯爽と着こなしたビジネスパーソンが、ビジネスバッグを手に所狭しと歩きまわる、電話を掛ける、キーボードをたたく――20年ほど前にロンドンで観たRSCのヴェニスの商人は、確かそのように始まった記憶がある。本書は、人口に膾炙したこのシェイクスピアの名作を俎上に載せ、片方ずつではあるが聴力と視力を失うという病にみまわれた1人の言語学者が、渾身の力を振り

新年を迎え、新たな気持ちが芽生える月。心機一転、髪をバッサリ切りました。山本甲士『 わらの人 』にもあるように、髪型を変えると意識する部分も変わり肌の調子や服装などが気になってきます。元来、面倒くさがりの私でも実践できそうなスキンケア本を探していましたところ、こんな本を見つけました。 頑張りのいらない「ちょこっとメソッド」。化粧水のつけかたや顔の拭き方、ボデ

日本人の心に強く刻み込まれた戦闘機が存在する。純国産であり、開発された当時において、世界最高の能力を有した大空の王者。しかし、その強さにもかかわらず、大戦末期の劣勢覆うべくもない戦況で、多くの若者を乗せ、帰る事のない死の攻撃に赴かせるという悲しくも皮肉に満ちた運命を背負い込むことになった戦闘機。その華々しい戦果と悲劇性により、開発から70年以上がたった今でも

碩学の本は、とてつもなく重い。来月、出版予定の歴史をテーマにした拙著の最終校正をしていたが、この本を読んで、一瞬、出版を取り止めようかと思ったほどである。歴史を書くということは、生半可な営為ではないのだ。そのことを、改めて痛いほど思い知らされた。 およそ何事であれ、物事を論じる時には、まず、言葉の定義を明確にしなければならない。ルカーチはオックスフォード英語

我ながら素晴らしいアイデアを思い付いたときに、「これ特許にしたら儲かるかな」などと想像した経験はないだろうか? 私はある。しかし、そのアイデアを具体的に特許にするやり方は、ほとんどの人が知らないはずである。 本書は一般的な特許出願方法から、常識では考えられないような特殊特許まで、笑えて学べる特許の入門書になっている。この本のポイントは「笑えて学べる」にある。

いつのころからだろう、テレビのバラエティ番組に「おネエ」言葉が溢れるようになってきたのは。異形の麗人たちの姿に驚かなくなってしまったのは、なぜなんだろう。世間の御意見番のような立場に、彼(彼女)らはどうして使われているのだろう。 最近は不思議とも思わなくなっていた、そんな現象を外国人の言語学者が論じた一冊、それが『「おネエことば」論』である。 17歳で日本に

携帯電話というのは、「それがない世界を想像出来ない」というエポックメーキングな発明だったと思う。携帯電話がなかった時代とある時代では、大げさに言えば文化そのものが違うことだろう。本書で描かれる「電子葉」も、まさにそのような存在だ。脳に埋め込むことで、脳外部からの情報処理を格段に促進するものであり、2066年に電子葉の移植は全国民に義務付けられるまでの存在とな

失った。本書の著者、パレスチナ人医師のイゼルディン・アブエライシュは、あまりに多くを失ってしまった。それは彼が、妻を急性白血病で亡くしてしまったものの、8人の子供たちと前向きに生きていこうと決意した矢先の出来事だった。2009年1月、3人の娘と1人の姪は、二度と抱きしめることができないほどに遠くへと旅立ってしまった。奪われた、という表現の方が適切かもしれない

ここ1、2年ずっと迷っていたのですが、今月ついに会社を辞め、13年住んだ家を引き払い、イタリアへ行くことになりました。……いえ、私ではなくお友だちの話ですが。 期間は「貯金が底をつくまで」。私なんて彼女に会いに行くだけで貯金が底をつきそうですが、身近な友人のチャレンジに大いに刺激を受けました。そんなわけで、私も今年はあんなコトやこんなコト、やっちゃおうと思い

出版されるやいなや、タイムラインには読み巧者たちによる絶賛の言葉がならんだ。しかし内容は重そうだ。まずはウォーミングアップにと、前作『 桶川ストーカー殺人事件-遺言 』を読んだ。そこには、桶川事件について抱いていた漠然としたイメージとはまったく違うドキュメントがあった。 そしてこの本。読み出すと文字通り止まらなかった。ここにもおぼろげに知っていると思っていた
大学生でありながら、数々のクリエーターの協力を得て『 N magazine 』を 創刊した、島崎賢史郎さん。彼は雑誌というメディアにこだわり、ベンチャー企業のように雑誌を立ち上げた。そんな平成生まれの編集長が考える、雑誌の未来とは?(HONZ編集部) 『N magazine』は、2012年12月25日の0号から始まった。「0」なのは、まだ編集長である私が未熟

著者は能楽師のワキ方である。「能」と聞いたときにまず多くの人が思い浮かべるのは面(おもて)を付けて舞うシテ方で、ワキ方というのは、ちょっと失礼な言い方をすれば、シテ方が舞っているときに、なんだか舞台の角で、素顔のまま、じっとしている人。面もつけず、笛も吹かず、鼓(つづみ)も打たず、舞台の進行役を務めたり、ときに立ち振舞を見せることがあるものの、全体としてはな

ヨーロッパ19カ国で現在も行われている冬から春にかけての祭りに登場する「ワイルドマン」たちを撮影した写真集である。それにしてもじつに不思議だ。「なまはげ」も含め、なぜ北国の冬はこのような存在を必要とするのだろうか。 160点の写真に収められている衣装をそれぞれじつに個性的だが、全体を見渡すとどこか同じ匂いがする。毛皮、つの、仮面、ベル、麦わら、袋。使われてい

華道草月流をご存知だろうか。華道といえば、15世紀京都六角堂の僧侶池坊専慶を祖とする池坊(いけのぼう)が一般に有名だが、草月流は20世紀に入って勅使河原蒼風によって創設された新しい華道である。勅使河原蒼風は「花のピカソ」とも呼ばれ、サルバドール・ダリなどとも親交があった。本拠地は赤坂の草月会館だが、設計は丹下健三、石庭はイサム・ノグチの作品だ。草月流は自由に

先史時代にまでさかのぼり、多くの国・地域を比較することで、政治制度の起源に迫っていく本書は、2013年出版本でおすすめNo.1だ。著者フランシス・フクヤマによる起源をめぐる探求は広く、深い。上下巻合わせて700ページ超という大著でありながら、複雑に絡み合った歴史の流れが明快な論理に則って展開されるため、最後までまったく飽きさせない。ページをめくるたびに、1行

皆様、遅ればせながら、明けましておめでとうございます。 この時期、気持ちを新たに一年の目標を心に決められた方も多いのではないでしょうか。私も個人的な目標を立てました。平凡ですが、「家計を見直す」ことと「英語力アップ!」です。目標達成に向けてモチベーションを上げてくれる本を探していると、色々面白い本に出会いましたのでご紹介させて頂きます。書店員の特権のひとつに

人間の様々な病を、獣医学という観点から眺めると、新たな道が拓かれる。獣医学者だけが知っていた、人間の病の真実。人間の未知は、動物の既知。よく見知った動物たちの知られざる素顔は、背徳感を感じるほどに面白い。 オーストラリアのコアラたちの間では、クラミジア感染症が猛威をふるっており、絶滅の危機に晒されている。タコや雄の種ウマは、人間のリストカットを彷彿させるやり

私たちは、ついつい、日本は木の文明で、ヨーロッパは石の文明であると思いがちである。これに対して、「ヨーロッパは木材の文明だった」という歴史的事実の論証を、正面から試みたのが本書である。それだけでも興味をそそるではないか。 本書は5章から成っている。「第1章 歴史への木こり道」では、いわば総論が語られる。「もし我々に木材がなければ、我々には火もないだろう」そう

著者はこの11月で34歳になったばかりの前途有望だったはずの若者である。少年時代をアメリカやスイスで過ごし、アメリカン・スクールやハワイの大学を経て、広告代理店でプランニングディレクターとして活躍していた。しかし、彼は31歳の誕生日のたった4日前、医師からALSと宣告されたのだ。 ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは、感覚や知能ははっきりしたまま、次第に体じゅう

裁判官たちは何を考えて裁いているのか。我々素人は「法と証拠」と答えるかもしれない。だが、冤罪は後を絶たないし、冤罪の疑いが強まっても耳を傾けない司法の姿が浮かぶ。著者は裁判官の頭には裁判の公正や司法の正義の概念はないと説く。司法権力という見えない組織にがんじがらめにされ、根拠を深く考えずに自動機械的に事案を処理する「司法囚人」の姿こそが裁判官の実像だと本書全

「私たちは自由よ」 表紙に掲げたこの言葉は、岡上淑子さんによるもの。 1928 年生まれの岡上さんは、 1950 年代、終戦後まもない東京で 6 年間だけコラージュ作品を作っていました。瀧口修造に認められて個展などで活躍していましたが、結婚を機に制作をやめ、知る人ぞ知る「幻の作家」となっていました。しかし近年「再発見」され、過去の作品の評価と人気が国内外で高

ここ10年くらいでしょうか。そういえば、ちんどん屋さんを街で見かけることがほとんどなくなりました。ましてや、個人宅の玄関先で歌や舞いを披露するべく、別の土地からやってくる人たちも、それを待つ人もいなくなってしまったようです。そんな身近にいた「芸人」の姿を写真で紹介するのが、この新書です。 「芸人」といっても、テレビで活躍しているお笑いの方々を思い浮かべてはい

底冷えのする毎日が続きますがHONZをご覧の皆様、元気にお過ごしでしょうか。 さて、2014年にご紹介する最初の1冊はこちら。 一般の学校でも授業に茶道を取り入れているところはまだ多いとは言えないのに、なぜ乗馬という専門的な技術を身に着けるための特別な学校で、茶道の授業が行われているのだろう。しかも、競馬と言えばギャンブル。茶道の世界はその対極ともいえるわび

今週、東京都心はこの冬初めての冬日(一日の最低気温が摂氏0℃未満の日)となりました。 HONZ事務局が間借りしているオフィスは天井が吹き抜けでロフトがあり、窓も多く、とてもオシャレで、とんでもなく寒いです。このため、マフラーと腹巻きとカイロとダウンコートとUSB発熱ブーツを身につけ、雪だるまのように着ぶくれして仕事をしています。 あと足らないのは、炬燵とミカ

79-96年に北関東で5人の少女が殺害、行方不明になった事件。この5つの事件に連続性を見出し、真犯人に迫ったのが本書だ。5件の事件のひとつが「足利事件」。著者はDNA型鑑定に着目した調査報道で、服役していた菅家利和さんの冤罪の立証を支えた。一方、DNA型鑑定に注目したことで、九州で2人の女児が殺害された飯塚事件の判決にも疑問を持ち、取材に乗り出すが、そのこと

ただならぬタイトルの裏側には、ただならぬ闇が潜んでいた。地を這うような調査によって、ドミノ倒しのように明かされていく衝撃の事実。報道という武器を駆使して次々に繰り出される手技。それでも事態は動かない。「真実」への道のりは、ここまで遠いものか。そして「当たり前」のことを当たり前のように行うのは、ここまで難しいものか。 北関東連続幼女殺人事件は、栃木県足利市、群

人であれ本であれ町であれ、人生の出会いのほとんどは、実は偶然からスタートする。著者の名前を目にした時、シチリアのエリチェの街並みが思わず瞼に浮かんできたので、懐かしくて本書を紐解くことになった。驚いたことには、エリチェの町と同じように、小ぶりだが、とても温かみがあり、深い余韻が残る美しくて素晴らし本だった。 著者は、フランスの著名な人類学者で、あのレヴィ=ス

年末『殺人犯はそこにいる』を読んで、足元からじわじわと滲み込んでくるような恐怖を感じた。もし、この本に書かれていることが本当なら、いや、本当にしか思えないのだが、幼女連続殺人犯は今ものうのうをと暮らしていることになる。日本の警察は世界一だ、と言われたのはいつの時代だっただろう。そしてマスコミは、事件記者は、いまどんな規範で動いているのだろう。 著者の清水潔の

今年のお正月は「何もしないをする」という言葉が、ずっと頭をめぐっていました。例えば、頭を空っぽにして「子供と過ごす」なんていうのは、私的「何もしないをする」です。日がな一日「競馬場で過ごす」というのも、そう。そして、同じく「釣り糸をたらす」のも、そうです。最近のビジネス書には、トラウマを否定するものがあり前向きで実に素晴らしいのですが、結局私は気がつくとクヨ