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医学・心理学

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353記事

『偽りの薬 降圧剤ディオバン臨床試験疑惑を追う』 書影

医学・心理学 / 「解説」から読む本

『偽りの薬 降圧剤ディオバン臨床試験疑惑を追う』

製薬企業と大学医学部などの医療機関がカネで癒着して、特定の薬の効果を証明する臨床試験のデータを改ざんあるいは捏造して、実際にはない効果を「ある」とする報告(論文)を公表し、企業は論文を利用して大々的に宣伝、医師はどんどん患者に投薬したら何が起こるのか。 それは、あまりにも明白だ。その薬を処方された患者は、効くと信じて医療費を支払い、薬を飲み続けているのに、症

『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』に三つのジレンマを考える 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』に三つのジレンマを考える

羊水穿刺で胎児の染色体検査をうけた。告げられた結果は陰性。しかし、生まれた赤ちゃんはダウン症だった。産科の医師が検査結果を見落としていたのだ。天聖(てんせい)と名付けられたその子にはさまざまな合併症があり、三ヶ月で亡くなった。そして、訴訟がおこなわれた。こう書けばシンプルだが、ここには三つの大きなジレンマがある。 そのうちのひとつは、天聖君への慰謝料請求の妥

『わたしは不思議の環』 あるいはゲーデルの渦、シンボルのダンス、自己増強する錯覚 書影

サイエンス / 医学・心理学

『わたしは不思議の環』 あるいはゲーデルの渦、シンボルのダンス、自己増強する錯覚

わたしたちが最もよく知っているものでありながら、それが結局何なのかはまるでわからないもの──そう、それが「私」である。「私」とはいったい何であるのか。また、わたしの脳からどうやって「私」が生じてくるのか。本書は、その難問に認知科学者のダグラス・ホフスタッターが挑んだものである。 ホフスタッターといえば、その前著 『ゲーデル、エッシャー、バッハ』 があまりにも

『「在宅ホスピス」という仕組み』 “よりよく死ぬ”ための参考書 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『「在宅ホスピス」という仕組み』 “よりよく死ぬ”ための参考書

一昨年、父を亡くした。倒れる日まで普通に暮らしていた父が、救急車で搬送されて一か月で亡くなってしまうとは思わなかった。ましてや死の瞬間まで苦しみ抜くなんて想像だにしていなかったのだ。 それから私は終末期の過ごし方について多くの本を読んだ。安楽死を含めて、今の日本で許される一番幸せな最期の時を過ごすにはどうしたらいいのかを探し求めた。 本書には私の理想に近いも

『細菌が人をつくる』糞便移植も効果アリ?! 細菌100兆個の最新知識 書影

サイエンス / 医学・心理学

『細菌が人をつくる』糞便移植も効果アリ?! 細菌100兆個の最新知識

ここ数年、腸に関する話題が増えてきている。山中伸弥教授が司会を務めたNHKスペシャル「人体」では、腸は全身の免疫を司り、万病を撃退すると放送された。いささか誇張しすぎだと思うのだが、興味深い番組だった。 じっさい、コンビニの棚にはビフィズス菌や乳酸菌、食物繊維を含む食品がずらりと並んでいるし、サプリメントも次々と発売されている。花粉症などのアレルギーを抑制し

『どもる体』読む人の「しゃべる」を引き出す、触媒のような本 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『どもる体』読む人の「しゃべる」を引き出す、触媒のような本

ここで不思議なことが起こります。スタジオには、同じく吃音当事者の落語家、桂文福さんがゲストとして来ていました。その文福さんが、吃音症状の出ている八木さんに向かって、「タン・タン・タン」と規則的に舌を打ち始めたのです。商売道具の扇子を横に振りながら、口拍子をとっていく文福さん。すると、まるで金縛りが解けたような変化が起きたのです。数秒前の吃音症状はどこへやら、

『3000万語の格差 : 赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ』3歳までの言語環境に、3つのTで 書影

サイエンス / 医学・心理学

『3000万語の格差 : 赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ』3歳までの言語環境に、3つのTで

育児には神話がある。また、周囲の友人や口コミサイトからの情報に溺れ、真偽を判断する余裕もない。情報に溺れることなく、なるべく子どもと過ごす時間を増やしたいのだが、子どものためにやるべきことは尽きない。ギリギリまで手抜きしてズボラに育児がしたいが、それで、ちゃんと育児やっているんだろうか、できていると思えるのだろうか、悩む。 そんなふうに自分もなるんだろうなと

『知ってるつもり -無知の科学』知らないことを知らないと、どうなるか 書影

医学・心理学 / 教養・雑学

『知ってるつもり -無知の科学』知らないことを知らないと、どうなるか

『 サピエンス全史 』ユヴァル・ノア・ハラリ激賞! と興奮気味に記されている割に、赤い帯には冷徹なメッセージが書かれている。 著者らが正しければ、有権者や消費者により良い情報を与えることは無意味に等しい 本書の核となる主張を簡潔にまとめたコメントである。 そして、ユヴァル・ノア・ハラリが疑っているように、果たして、著者らの言い分は正しいのだろうか。 そんな著

うつに殺されないために──『#生きていく理由 うつヌケの道を、見つけよう』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

うつに殺されないために──『#生きていく理由 うつヌケの道を、見つけよう』

はたしてうつとはどのような状態なのだろうか。 幸いにしてこれまであまり憂鬱な気分に陥いったことすらない僕は、それが実感としてはよくわかっていないのだが、うつから抜けた人たちの語る言葉を読んでいると、少なくともその恐ろしさはよくわかる。職場や自分のポジションの変動によってうつというのは一瞬で発生し得るのだから、明日は我が身である。できることならば、うつになる前

『知ってるつもり 無知の科学』 書影

医学・心理学 / 「解説」から読む本

『知ってるつもり 無知の科学』

世界レベルで近年の流行語大賞を選ぶとすれば、「フェイクニュース」が有力候補に入るのはまちがいない。アメリカのドナルド・トランプ大統領は自らに不都合なニュースをことごとくフェイクニュースと称しているが、本来は虚偽の情報に基づいて作られたニュースを意味する。2016年のアメリカ大統領選挙の前には、「ローマ法王がトランプ候補への支持を表明した」「民主党のヒラリー

となりの奇人からシリアルキラーまで『サイコパス解剖学』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

となりの奇人からシリアルキラーまで『サイコパス解剖学』

「サイコパス」という言葉をよく聞くようになったのは映画 『羊たちの沈黙』 がヒットした後だと思う。アンソニー・ホプキンスが演じた頭脳明晰な殺人犯、ハンニバル・レクター博士のような人、それをサイコパスと呼んでいた。 狂気を孕んだ天才は魅力的だ。そういう人間すべてがサイコパスというわけではないが、昨今では 脳科学者が著した本がベストセラー にもなっている。 本書

このカップルが大好き…『されど愛しきお妻様 「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間』 書影

医学・心理学 / 人物

このカップルが大好き…『されど愛しきお妻様 「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間』

著者は『最貧困女子』や『老人喰い』などのルポ作品で、犯罪現場の貧困問題をえぐり出してきた気鋭のノンフィクション作家だ。 働き盛りの44歳。作家稼業だけでは食えなくなってきた出版界にあって、社会派マンガの原作もこなしながら、いささか問題のある奥さまと、なんとか暮らしてきた。奥さまの問題とは、重度の発達障害を抱えたまま大人になっただけでなく、リストカットを繰り返

『安楽死を遂げるまで』幸せのまま逝きたい 書影

医学・心理学 / 社会

『安楽死を遂げるまで』幸せのまま逝きたい

一昨年、父を亡くした。88歳という年齢に不足はなかったとはいえ、その日まで普通に暮らしていた人が倒れ、救急車で搬送されて一か月でなくなってしまうとは、本人も家族もまったく想像していなかった。ましてその間、苦しみ抜くなんて、なおさらだ。 それから私は安楽死について深く考えるようになった。今の日本では許されない、自分が死ぬ時期を決めるということ。苦痛に苛まれた末

『反共感論──社会はいかに判断を誤るか』 スポットライトに照らされる人たちとそうでない人たち 書影

医学・心理学 / 社会

『反共感論──社会はいかに判断を誤るか』 スポットライトに照らされる人たちとそうでない人たち

1987年、アメリカのテキサス州でわずか1歳半の女の子が井戸に落ちてしまった。女の子の名前はジェシカ・マクローア。ジェシカの体は井戸の枠に引っかかってしまい、大規模な救出活動が繰り広げられるものの、なかなか抜けない。ああ、可哀想なジェシカ。救出活動はテレビなどでも盛んに報道され、アメリカの多くの人たちがその動向に釘付けとなった。そして58時間後、ようやくジェ

『私はすでに死んでいる──ゆがんだ〈自己〉を生みだす脳』 「自己」という感覚を脳はどのように構築しているのか 書影

サイエンス / 医学・心理学

『私はすでに死んでいる──ゆがんだ〈自己〉を生みだす脳』 「自己」という感覚を脳はどのように構築しているのか

「私はもう死んでいる」(コタール症候群)、「この足は断じて自分の足ではない」(身体完全同一性障害)、「目の前にもうひとりの自分が立っていた」(ドッペルゲンガー)──わたしたちが「自己」と呼んでいるものに歪みを生じさせるような、驚くべき症例と経験の数々。本書は、それらの症例と経験を手がかりとしながら、「自己とは何か」という大問題に迫る挑戦的な一書である。 挑戦

『消費資本主義』「見せびらかし」の心理をひも解く 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『消費資本主義』「見せびらかし」の心理をひも解く

本書は「見せびらかし消費」についての本である。高級な車や時計、ファッションなどの典型例を出すまでもなく、機能というよりはステータスを手に入れようとする消費行動は世の中のあらゆるところに存在している。 では、わたしたちはそうした消費を通して、具体的に「何を」見せびらかしているのか? あらためて問われると、はっきりとした回答は案外浮かばない。富の多さ、社会的地位

『酒好き医師が教える 最高の飲み方』呑むべきか呑まざるべきか 年末年始の反省とともに 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『酒好き医師が教える 最高の飲み方』呑むべきか呑まざるべきか 年末年始の反省とともに

昨年末、編集部から新年早々に取り上げる本を選べといわれ、おもわず本書を推薦した。最後まで読み通す責務を自分に課したかったのだ。 酒好きにとって酒量がもっとも増えるのは年末年始であろう。そして中高年の酒好きにとって、自分の身体が心配になるのも年末年始だ。このまま酒を飲み続けると、本当に寿命が縮まるのではないかと不安になる。 しかし、盃を持つ手は止まらない。クリ

『子どもが生まれても夫を憎まずにすむ方法』男女の悩みは世界共通! 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『子どもが生まれても夫を憎まずにすむ方法』男女の悩みは世界共通!

著者のジャンシー・ダンと夫のトムは10年一緒に暮らした後に娘を授かった。仕事は二人ともライターで大人しいタイプ。だから上手くやっていけるに決まっている。だがその思いは赤ちゃんが生まれた直後に裏切られた。ゴミ箱の中の使用済みオムツを片付けない夫にキレたのだ。 クソ野郎。この野郎。死んじまえ。 それから6年が経ち、家事をほぼ一人で担当するジャンシーは、夫に怒りを

『退屈すれば脳はひらめく』マインド・ワンダリングがいいんじゃない? 書影

医学・心理学 / 教養・雑学

『退屈すれば脳はひらめく』マインド・ワンダリングがいいんじゃない?

退屈すれば脳はひらめく、というのはなんとなく、直感的に、そうだなぁと思えることである。例えば、皿洗いをしているとき、ベビーカーを押しているとき、シャワーをあびている時、車を運転しているときなどはよくちがった考えや新たな気づきが浮かぶ。 退屈で心がさまよっている状態を、心理学の用語でマインドワンダリングと言い、心がさまよっている状態の神経科学分野での研究ははじ

『PRE-SUASION: 影響力と説得のための革命的瞬間』 説得上手な人たちは事前に何をしているのか 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『PRE-SUASION: 影響力と説得のための革命的瞬間』 説得上手な人たちは事前に何をしているのか

ひとつ考えてみてほしい。あなたはショッピングモールの一角で、そこを行く人々にアンケート調査への協力を求めている。でも、わざわざ時間を割いて調査に協力してくれる人はごくわずかだ。では、もっと多くの人に協力してもらうためには、あなたは彼らにどういうふうに声をかけたらよいだろうか。 本書は、社会心理学者のロバート・チャルディーニによる単著で、あのベストセラー 『影

科学的にみると恋愛と結婚って何ですか?『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

科学的にみると恋愛と結婚って何ですか?『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』

タイトルに惹かれて『 どうすれば幸せになれるのか科学的に考えてみた 』という本を買ってみたら、これが思いのほかおもしろかったので紹介したい。この本は予防医学研究者の石川善樹とニッポン放送アナウンサーの吉田尚紀の対談本である。 中身を見ずに買ったところ、読んでいる途中で、過去に両者の本を読んでいたことに気がついた。吉田尚紀の『 なぜ、この人と話をすると楽になる

『パパは脳研究者』科学的視線で子供の成長を分析 「そうだったのか!」が満載 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『パパは脳研究者』科学的視線で子供の成長を分析 「そうだったのか!」が満載

ただいま子育て真っ最中の脳研究者・池谷裕二さんが、親バカぶりを遺憾なく発揮しつつ、一方で科学的な視線で子供の成長を分析する。そのバランスが素晴らしい。「あるある!そんなこと!」と引き寄せられつつ、いつの間にか知識を得られるのだ。 出産時に大量に分泌されるオキシトシンというホルモンは母親を「何があってもこの子を守ろう」という気持ちにさせ仲の良い人をより強く信頼

『こわいもの知らずの病理学講義』 病は理から、理は言葉から 書影

サイエンス / 医学・心理学

『こわいもの知らずの病理学講義』 病は理から、理は言葉から

「十分に発達した科学は、魔法と見分けがつかない」とはSF作家アーサー・C・クラークの言葉だが、現代社会は魔法としか思えない科学であふれている。急速に発達し続ける科学は生活をより便利なものにしてきたが、深化した科学の中身はより理解が困難になっている。生活必需品となったスマートフォンを例にとってみると、その魔法のような機能の全てを科学的に説明できる人などほとんど

『こわいもの知らずの病理学講座』情報の洪水に溺れる前に 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『こわいもの知らずの病理学講座』情報の洪水に溺れる前に

うちは多分、がん家系だ。父は珍しい腎臓がんに始まり、胃がん、皮膚がんの果てに88歳で末期の肺がんが見つかりこの世を去った。最近、弟に初期の胃がんが見つかり内視鏡で切除した。かなりまずい。 医師の告知が普通になり、インターネットで情報が簡単に手に入るようになった。命に関わるだけでなく生活の質(QOL)を向上させるためにも、正しい病気の知識を解説した本が欲しいと

『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』 書影

医学・心理学 / HONZ客員レビュー

『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』

店頭で「この本を読んで見よう」と思わせるのは、まず、装丁だ。表紙が素敵だったりあれっと不思議だったりすると、自然に手が伸びる。僕は、迷わず本文の最初の10ページを読む。作者は「読んで欲しい」と思って本文から書き始めるはずだから、そこが面白くなければご縁がない本なのだ。 本書は、最初の小見出し「オキシトシンで愛情が湧く」でノックアウトされてしまった。母親が赤ち

『デザイナー・ベビー ゲノム編集によって迫られる選択』 デザイナー・ベビーの誕生は避けられない? 書影

サイエンス / 医学・心理学

『デザイナー・ベビー ゲノム編集によって迫られる選択』 デザイナー・ベビーの誕生は避けられない?

ヒトが生殖以外の方法で新たなヒトの命を生み出す、改変するというアイディアは、数千年にわたって人類の想像を掻き立て続けてきた。科学者による理想の人間の創造を目指した『 フランケンシュタイン 』や遺伝子操作による優生学的な階級社会を舞台とした映画『 ガタカ 』など、このテーマを扱った作品は数え切れない。これらのフィクションが描き出すディストピアとクローン羊ドリー

『予期せぬ瞬間 医療の不完全さは乗り越えられるか』 医者と医療にまつわる不完全と不可解と不確実 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『予期せぬ瞬間 医療の不完全さは乗り越えられるか』 医者と医療にまつわる不完全と不可解と不確実

医者はどうしてミスから逃れられないのか。医療には未知や不確実なことがどれほどあって、医者や患者はそれらにどう対処したらよいのか。本書は、そんな問題をテーマとした、アトゥール・ガワンデのデビュー作である。 ガワンデは、現役の外科医であると同時に、雑誌『ニューヨーカー』にも寄稿する文筆家である。その最新作 『死すべき定め――死にゆく人に何ができるか』 が大ヒット

『健康格差 不平等な世界への挑戦』 Fair society, healthy lives. 書影

医学・心理学 / 社会

『健康格差 不平等な世界への挑戦』 Fair society, healthy lives.

スコットランドのグラスゴーの話。その市のなかの、たった数キロしか離れていないふたつの地区は、驚くべき対照を見せている。一方のレンジーは高級住宅街であるのに対して、他方のカルトンは指折りの貧困地区。ただし、両地区の違いはそれだけではない。1998年から2002年の数字で、レンジーの男性の平均寿命は82歳であったのに対して、カルトンのそれは54歳であった。その差

あなたは他者からどう見られているのか──『なぜ心を読みすぎるのか: みきわめと対人関係の心理学』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

あなたは他者からどう見られているのか──『なぜ心を読みすぎるのか: みきわめと対人関係の心理学』

他人の心は、わからないものだ。 たとえ笑顔で話しかけてきても、こちらのことを殺したいほど憎んでいる可能性はいつだって存在する。自分以外のすべての人間に憎悪されている可能性について想像し始めるとめげてしまうが、実際のところそんなことはありえないわけで、だいたいの場合においてニコニコ顔は敵意のなさ、好意の証であるとみていいだろうと、普通はそう判断して会話をするこ

『食事のせいで、死なないために もっとも危ない15の死因からあなたを守る、最強の栄養学』 書影

医学・心理学 / 「解説」から読む本

『食事のせいで、死なないために もっとも危ない15の死因からあなたを守る、最強の栄養学』

比較的簡単な手術のために、1週間でも入院すれば、現代医療の技術の高さに感謝せずにはいられない。だが生死に関わる病気にかかり、長い闘病生活を送るとなると、つらい治療に耐えねばならない患者本人はもちろん、家族もさまざまな苦しみや不安を経験するはずだ。 そのいっぽうで、医療従事者の負担も大きい。毎日どれだけ多くの診療や手術をこなし、投薬を行なっても、患者は増え続け

『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方 書影

医学・心理学 / 「解説」から読む本

『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方

『子育ての大誤解』は掛け値なしに、これまででわたしがもっとも大きな影響を受けた本のひとつだ。なぜなら長年の疑問を、快刀乱麻を断つように解き明かしてくれたのだから。 いまでいう「デキ婚」で24歳のときに長男が生まれたのだが、その子が中学に入るくらいからずっと不思議に思っていたことがあった。親のいうことをきかないのだ、ぜんぜん

親バカ(?)池谷裕二パパの神経科学的な育児日記 『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

親バカ(?)池谷裕二パパの神経科学的な育児日記 『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』

多くはないけれど、著者とタイトルを見ただけで絶対おもしろいだろうと思える本がある。この本がまさにそれだ。脳科学研究の第一人者であり、これまでに『海馬』や『単純な脳、複雑な「私」』といったヒット作をたくさんものにしている池谷裕二さんが、自分の育児について愛情たっぷりに書くんだから、おもしろくないはずがない。 もうひとつ、個人的にそそられる理由がある。1年少し前

『芸術・無意識・脳』 科学と芸術の対話が人間の本質を明らかにする 書影

サイエンス / 医学・心理学

『芸術・無意識・脳』 科学と芸術の対話が人間の本質を明らかにする

1900年前後のウィーンにはあらゆる分野の才能を引き寄せる力があった。哲学ではクルト・ゲーデルやルートヴィヒ・ヴィドゲンシュタイン、音楽ではグスタフ・マーラーやベートーヴェン。その他の芸術や自然科学分野でも、挙げきれないほど多くの偉人たちがこの街に集まっていた。特筆すべきは、その天才たちが個々の分野毎に活動していたのではなく、科学者・作家・芸術家の垣根を越え

『かくて行動経済学は生まれり』人間は間違える。劇的に、そして規則的に 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『かくて行動経済学は生まれり』人間は間違える。劇的に、そして規則的に

マイケル・ルイスといえば『世紀の空売り』や『マネー・ボール』をはじめ、一攫千金の舞台裏をゲームのようなスリリングさで描く作家として記憶されている方も多いかもしれない。ところが本作は行動経済学がテーマ、しかもルーツとなった2人の心理学者の評伝形式になっている。 ここで一抹の不安を覚えた方には、予め声を大にして言っておきたい。「心配無用である」と。まるで、これま

『医者は患者をこう診ている 10分間の診察で医師が考えていること』 書影

医学・心理学 / 「解説」から読む本

『医者は患者をこう診ている 10分間の診察で医師が考えていること』

本書はイギリスのGP(general practitioner)、グレアム・イーストン医師の著作『The Appointment』の日本語版である。原書の内容に加えて、日本とは異なるイギリスの医療制度やそこで活躍するGPについての解説文「日本の読者のみなさまに」が付いており、日本語版のために本文中にも若干の加筆がしてある。 グレアム・イーストン医師は私の友人

『平均思考は捨てなさい』 みんなちがって、みんないい 書影

医学・心理学 / 教養・雑学

『平均思考は捨てなさい』 みんなちがって、みんないい

2017年5月に経済産業省が若手・次官レポートとして発表した「不安な個人、立ちすくむ国家」は、「結婚して、出産して、添い遂げる」、「正社員になり定年まで勤めあげる」という「昭和の標準的人生」が21世紀には一般的ではなくなったため、この標準に基づいて設計された日本の制度や価値観が現代社会のあちこちに大きなひずみをもたらしているのだとしている。しかしながら、19

自閉症は増えているのか? 『自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

自閉症は増えているのか? 『自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実』

ひとつの「謎」から話を始めよう。1970年代まで、アメリカにおける自閉症の推定有病率は数千人に1人であった。ところが、1980年代以降にその数は急増し、2010年のアメリカではおよそ68人に1人が自閉症(正確には自閉症スペクトラム障害)だと推計されている。この40年でその数は数十倍に膨らんでいるが、では、その「増加」はいったい何を意味するのだろうか。 じつは

『人の心は読めるか?』「どう読むか」の前に、そもそも「読めるのか?」 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『人の心は読めるか?』「どう読むか」の前に、そもそも「読めるのか?」

一見、読心術の本のような体裁である。だが、タイトルをよく読むと、人の心を「どう読むか」ではなく、そもそも「読めるのか?」という視点だということに気がつく。 「他人を理解する上で大事なのは、相手の気持ちを推し量る能力の”穴”を把握することだ」。まえがきで著者はそう語る。相手の心を推測するための手がかりを取りにいくのではなく、自らを省みて、誤解を引き起こす落とし