
2022年 今年の一冊
HONZメンバーが選ぶ今年最高の一冊、今年で12回目を迎えるところとなりました。メンバーそれぞれが好きな本を、好きなタイミングで送ってくるので、毎回順番をどうしようかと頭を悩ませます…。今年は12回目を記念し(?)、基本に立ち返って名字を五十音順に並べてみました。 最大勢力となったのはア行とナ行。ア行が「うんこ→肉→防災アプリ→なめらかな社会→銀河文字」と美
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HONZメンバーが選ぶ今年最高の一冊、今年で12回目を迎えるところとなりました。メンバーそれぞれが好きな本を、好きなタイミングで送ってくるので、毎回順番をどうしようかと頭を悩ませます…。今年は12回目を記念し(?)、基本に立ち返って名字を五十音順に並べてみました。 最大勢力となったのはア行とナ行。ア行が「うんこ→肉→防災アプリ→なめらかな社会→銀河文字」と美

売れ続ける芸人、25人について、芸能記者・中西正男48歳が縦横無尽に書き尽くした。大阪を中心に活動する中西なので、ほとんどが大阪の、あるいは、大阪出身の芸人さんたちだ。そのリストを見れば、売れ続けて当然と思える人もいれば、なんでこんなのがと言いたくなる人もいる(<個人の感想です)。しかし、読んでみれば、売れ続けた理由がよくわかる。 ほんまもん 最終的にはこの

近年、栄養環境の改善や医療技術の進歩によって人間はより長く生きることができるようになった。ただ、ほとんどの人が望んでいるのは、「長く生きる」ことだけでなく、同時に「健康で」あることだろう。糖尿病などの慢性疾患を発病して、永続的な治療が必要ないのであれば、それが幸いである。 そうした状況と科学の進展も合わさってか、『LIFESPAN: 老いなき世界』など、近年

クリスマスイブなので、今夜の我が家のクリスマスメニューをご紹介します。テーマは「特別感はあるけれど簡単に作れるもの」です。 いちごのサラダ 、 カルパッチョ 、 マッシュルームのポタージュ 、ビーフシチューのパイ包み、 レモンクリームパスタ の5品の予定ですが、1時間もあれば用意できると思います。 ビーフシチューのパイ包みは、耐熱容器にビーフシチューを注ぎ、

政商という言葉はあるが、国商は聞いたことがない。 政商とは、時の権力と結託して特別な利益を貪る商人のこと。国商はさしずめ国家と一体化した商人といったところか。 だいたい異名というのは、尾鰭のついた評判によって肥大化した虚像に対してつけられるものと相場が決まっている。だが本書を読み進むうちに、国商とは実に鋭く故人の本質を突いた呼称ではないかと思った。 2022

本書は、David Christian, Future Stories: What's Next?, Little, Brown Spark (2022)の邦訳である。 「未来とは何か」。もっとも身近でありながら、けっして答えの出せない疑問だ。誰しも来たるべき未来を思い描いては、希望に胸を膨らませたり恐怖におののいたりする。生きている限り未来は必ずやって来る

ネックレスや弓矢はけっして偶発的に出来るわけではない。それらを形にするためには、if-and-then思考が必要だ。「それぞれの貝殻に穴を開けて(if)、その穴に繊維を通せば(and)、ネックレスができる(then)」、「伸縮性のある繊維に矢を取り付けて(if)、繊維の張力を緩めれば(and)、矢が飛ぶ(then)」というように。それゆえ、およそ7万年前まで

12月に入り書店店頭はクリスマスと年末年始商品で盛り上がっています。さらに12月に盛り上がりを見せたのがサッカー。ワールドカップ関連の本も多く発売されてきています。 サッカーに関しては、ノンフィクションジャンルでも様々な本の出版が相次いでいます。1月には『オシムの言葉』などを送り出した木村元彦さんの最新作が発売になります。 これまでも、サッカーと民族問題に切

先日、無性にカレーが食べたくて、ついでにナンも自作しました。( レトルトのカレー はISETAN MITSUKOSHI THE FOODのものが好きで、買い置きしています)発酵する時間が無かったので、電子レンジを使った簡単レシピを紹介します。 材料は、強力粉100g、薄力粉100g、砂糖大さじ1、塩小さじ0.5(左記までをA)、イースト4g、ぬるま湯150c

男と女のあいだには、深くて暗い河があるという。それは真っ赤な嘘だった。 男と女、広く生物でいえばオスとメスは、独立して存在しているわけではない。 つまり、オスとメスという性が、確固たるものとして存在しているのではない。実は両者は連続しているという。 太陽光をプリズム(三角形のガラス棒)で分解すると7色の光の帯が出現する。7色はくっきりとわかれているわけではな

本が好きで良かったことのひとつは、読むたびに自分がいかにものを知らないかを思い知らされることかもしれない。読めば読むほど、無知を痛感させられる。愉快な気分ではないが、何も知らないよりよほどマシだと思う。無知のままで何かに加担してしまうことほど恐ろしいことはない。 本書は日本の難民問題を追ったノンフィクションだ。終末医療を扱った傑作『エンド・オブ・ライフ』でY

ウォルター・アイザックソンが、クリスパー・キャス9のジェニファー・ダウドナを主人公に据えて、『コード・ブレーカー』(原題はThe Code Breaker) という新作を出したと聞いて、わたしは「ん?」と思った。アイザックソンがこれまで評伝の対象としたのは、アインシュタイン、スティーブ・ジョブズ、レオナルド・ダ・ヴィンチなど、誰がどう見ても文句なしに突出した

微妙に余った冷蔵庫の野菜を消費したい時、私が作るのは韓国料理です。葉物野菜はさっと茹でて、ごま油、塩、すりおろしたにんにく、白ごまで和えます。大根は細切りにして茹で、すし酢とコチュジャンで和えるだけ。きのこやナス、根菜はごま油で炒めて、醤油、コチュジャン、白ごまで和えるのが好みです。 骨つきカルビは、醤油、酒、みりん、砂糖、すりおろしたにんにく、生姜、コチュ

ノンフィクション新作の当たり月だった11月。初旬には『ゲノム編集の世紀』と『コード・ブレーカー』というクリスパー革命を描いたノンフィクションが立て続けに発売され書店店頭を賑わせました。11月末には『笑い神 M-1、その純情と狂気』が発売となり、直後から大きな話題となっています。 そんな豊作の11月。他にはどんな本が発売され、売れていたのでしょうか。 注目した

高野秀行さんの著作を最初に読んだのは30年以上前のことだ。『幻の怪獣・ムベンベを追え』という怪しげな本を書店で見つけ、この「早稲田大学探検部」という命知らずの若者たちに熱狂し周囲の人に勧めまくった記憶がある。 しかしその本が出てから著者の行方は杳として知れず、記憶も薄れたころ(正確には9年後だ)これまた書店で高野さんの著作『ビルマ・アヘン王国潜入記』を見つけ

人が死ぬということは世の中から消えることなんだ、と本当に納得できるようになったのはここ最近のことだ。自分の人生の先が見えてきたからだろうか、誰かの死が身に染みて哀しい。 山本文緒さんが膵臓がんで亡くなったことを知ったのは2021年10月のこと。享年58。その直前に新刊の 『ばにらさま』 を楽しく読んでいたから、にわかには信じられなかった。 『無人島のふたり

華道は日本古来の芸術である。生け花は表面的な形や色の美しさに留まらず、植物の命そのものに美を感じ、人と自然を結びつける優れた機能を持つ。 本書は私が受け手となり斯界第一人者の人生・思想に鋭く切り込む対談本で、女性として初めて京都の華道家元池坊を継ぐ池坊専好先生を迎えた。 池坊家は小野妹子を道祖として仰ぎ、室町時代にその理念を確立させた華道家で、池坊先生は次期

徒手空拳、という言葉がある。手に何も持たず、身ひとつで何かにのぞむことを指す。 漫才は文字どおり徒手空拳の芸だ。サンパチマイクの前で、全身を客に晒し、しゃべりの技術だけで勝負する。実にシンプルな芸だ。シンプルなだけに、客にも違いはすぐにわかってしまう。上手いか下手か。おもしろいかおもしろくないか。 客ウケが悪いと、芸人の表情はみるみる青ざめていく。脂汗が流れ

2022年2月24日に開始されたロシアによるウクライナへの全面侵攻は世界を震撼させた。侵攻以前からロシアはウクライナ国境付近に軍を集結させていたが、本当に軍事作戦に踏み切るのか、それともただの脅しなのか、様々な情報が錯綜していた。世界の耳目を集めていた案件だけに、いざ侵攻が始まると既存のメディアはもとよりSNSなどでもロシア軍の動きは逐一報じられ、次々と現地

横浜へ戻ってきて1年と少しが経ったのですが、先日、横浜市から人生記念樹を受け取りました。「人生記念樹とはなんぞや」と思われるかもしれませんが、 市のサイト を参照すると「横浜市では人生に思い出を残す出生・結婚などのお喜びを祝して市内で生産された記念の苗木を差しあげています。庭や植木鉢に植えて、喜びを大きく育ててください。」 要は、人生の節目毎に市から記念の苗

著者は「こんな老人ホームなら入りたい」と全国から熱い視線を浴びる、NHKの番組でも紹介された特別養護老人ホーム「よりあいの森」「宅老所よりあい」「第2宅老所よりあい」の統括所長。本書はホームで出会った老人との交流で得た知見をまとめたものだ。 老人たちはゆっくり動く。食事も排泄も思考も移動も彼らのペースで行われる。繰り返しも多いし、すぐに忘れてしまう。 でも、

ジェームズ・ワトソンの『二重らせん』が、これまで最高に売れたサイエンス・ノンフィクションだ。フランシス・クリックと世紀の大発見ー遺伝情報をコードするDNAが二重らせん構造を持つことーを成し遂げたワトソンによる発見の経緯を記した本だが、決して正確な記録ではない。あくまでも、ワトソン個人から見た二重らせん発見物語である。それでもこの本がすごく売れたのは、サイエン

「沢木耕太郎が旅の本を出すらしい」 そんな噂を聞いたのは、そろそろ梅雨も明けようかという頃だった。 書棚からあわてて『深夜特急』を引っぱり出してきて読み始めた。「沢木耕太郎」と「旅」。ふたつのキーワードを耳にして、「沢木耕太郎が自身の集大成となる旅の本を出す」と早合点してしまい、ならば原点ともいえる『深夜特急』を読み直さねばなるまい、と考えたのだ。 すると文

ぼちぼち年末だというのに、年内に読み切れるのか途方に暮れるくらい注目のノンフィクションが目白押しである。その中でひとつだけ選べと言われたらこの本を推す。本書はなにをおいても読むべき傑作だ。 なにしろ当代随一のノンフィクション作家、ウォルター・アイザックソンの最新作である。アイザックソンはこれまで、スティーブ・ジョブズやレオナルド・ダ・ヴィンチ、アルベルト・ア

11月に入り、書店店頭も一気に年末色が濃くなってきました。年間ベストセラーの発表もすぐそこまで迫っています。コロナ禍後の世界の姿が見え始めてきた中、IT業界ではレイオフのニュースが立て続けに報じられています。一方でAI技術は絵画のようなクリエイティブの領域でも話題になって…という昨今。人工知能と人間はどんな関係を築いていくのか、そんな未来予測を行った『AI2

先日、金刀比羅大鷲神社の酉の市へ行ってきました。この酉の市は、外からやってくる屋台もたくさんあるのですが、横浜橋商店街の地元のお店も酉の市用のメニューを提供してくれます。個人的にオススメなのは、和記食坊の北京ダック、福美のトック、魚範の生牡蠣です。 2022年の11月は3回酉の日が巡ってくるため、三の酉(11/28)まであります。お近く方はぜひ遊びに行ってみ

「利他」という言葉を本屋さんで見る機会が多くなってきた。大辞林で「利他」を引くと、「自分を犠牲にしても他人の利益を図ること」と書かれてるが、「犠牲」や「利益」という言葉がなんだかピンとこないなぁ。本書の著者・伊藤亜紗さんは、前書きで「利他」について研究を始めたきっかけをこのように話している。 現代においては、「誰かのため」ということがあまりに単純化して考えら

2021年に原著が発行されて以降、フィナンシャルタイムズ紙や英エコノミスト誌のブックオブザイヤーなど、数々の経済書賞を総ナメにしてきた一冊が翻訳され、遂に日本語でも読めるようなった。 私たちの生活を支えるエネルギーの物流面でなにが起きているのか。メディアではなかなか取り上げられず、業界人ですら知らないことの多いエネルギー物流マーケットの深層が本書では語られる

「ちょっと〜」 「ちょっと〜」 「きませんか」 「きませんか」 草木も眠る丑三つ時、93歳のお婆さんに呼ばれた「ぼく」は、お婆さんのところに行かなければならない。ファンタジー小説ではなく、老人ホームの利用者と職員の話である。呼ばれたぼくは躊躇する。なぜなら、行けば多分「いきませんか」と言われるからだ。 「いきませんか」とは「行きませんか」。 つまり、お婆さん

地球の歴史に人間が痕跡を残したかどうかが、最近話題になっている。「人新世」(じんしんせい)はそれを論じるキーワードだが、もとは地球史に関する専門用語である。確かに地球46億年の歴史上、人類の活動は大きな痕跡を残しつつある。 コンクリートや金属など人工物の総重量は、全生物の総重量を上回ったという試算がある。20世紀初頭、人工物の総重量は生物総重量の3%に過ぎな

「中国は日本の隣にある現実の並行世界、つまりリアルなパラレルワールドだ」・・・これが本書に通底する重要なメッセージです。 中国の法体系は、日本を含む西側諸国のそれとは成り立ちからして全く異なります。憲法を始めとする法律はもちろんのこと、そこには独特な行政法規や商慣行が存在し、しかもその運用を含めて、日々目まぐるしく変化しています。 既にGDPで日本の3倍以上

素晴らしい本だ。帯文を頼まれたら、「役に立つ、みんな絶対に読むべきだ」という短い激賞文しかない。 タイトルは『新・日本語練習帳』だが、内容は単なる練習帳に留まらない。きわめて簡潔に示されたルールから、機械翻訳に適した日本語やグローバルコミュニケーションの「コツ」がのみこめる。さらには、英語、および英語を通じたコミュニケーションの解説から、逆ベクトルで、日本語

それは脳のなかの「天使」でありながら、ときには「刺客」へと変貌するという。本書の主人公は、非神経細胞のひとつである「ミクログリア」である。 つい最近まで、ミクログリアは脳のなかの端役にすぎないと考えられていた。脳内の情報伝達を担うニューロンや、そのつなぎ役を務めるシナプスといった綺羅星たちと比べると、それが果たす役割はごく些末なものだと考えられていたのである

何度も繰り返していることでも、ある日新たな発見をすることってありますよね。先日、たらこパスタを作った時、たまたま家に大量のライムがあったので絞ってみたところ絶品でした。 たらこパスタ自体の作り方はものすごくシンプルで、薄皮を取り除いたたらことバターを茹で上がったパスタと和えるだけです。(ほぼ)炭水化物だけを食べることに罪悪感がある時は、細切りにしたきゅうりや

自らを「アマゾンおケイ」と呼んだ小川フサノは、軍事アナリストの 小川和久 氏の母親ではある。二十世紀を駆け抜けた母の豪快で痛快な一生を息子は全力で書き上げた。 1903年、熊本県八代の山林地主の家に生まれたが、ほどなくして実家は没落。13歳で叔父夫婦とともにブラジル移民となった。 叔父の妻と仲違いし、四十男との結婚を嫌い、ピストルを懐に出奔後、サンパウロで邦

あまりスッキリとした秋晴れに恵まれなかった10月でしたが、ノーベル賞の発表などもありノンフィクションジャンルは盛り上がりを見せました。特に、ネアンデルタール人のゲノム解読をテーマにしたペーボ教授の影響で、ネアンデルタール人関連書には注目が。 新刊では、HONZでもレビューが発表されている『 無人島のふたり 』が良く動いています。また久しぶりの大型新刊となる沢

訃報はいつだって突然だ。著名人が亡くなると、生放送中のスタジオに報道の人間が原稿をもって駆け込んでくる。速報は一刻も早く放送するのが鉄則だが、そこに記された名前に驚き、思わず足が止まってしまうことがある。訃報にあらかじめ心の準備をしておくことなんてできない。誰かの死に慣れることはこの先もきっとないだろう。 山本文緒さんが亡くなったという報せも突然だった。 2

本書は、年寄りが二人、本気で日本の将来を心配して行った真摯な対談である。 まあ、そんじょそこらの年寄りではなく、ひとりは東京大学の名誉教授で解剖学者、『バカの壁』(新潮新書)などのベストセラーを持つ84歳の養老孟司さん。もうひとりは山梨大学や早稲田大学で教鞭をとり名誉教授に。現在では「ホンマでっか⁉TV」で人気を博す75歳の生物学者、池田清彦さんだ。彼らの共

こういう本を書ける人を心からうらやましく思う。医学や科学についていろいろなところで書いてきたが、まったくレベルが違う。ひとことでいえば、悲しいけれど才能の違いということになるのだろう。それに英語の壁もとてつもなく高い。 著者のダニエル・M・デイビスは英国の免疫学者である。インペリアル・カレッジ・ロンドンの教授で、そのHPを見ると優れた論文をたくさん発表してい

世の中では厳しい言葉が飛び交っている。特にSNSを中心に政治問題や社会制度のあり方を巡り攻撃的な言葉の応酬が日常的に繰り返されている。だが、多くの人が承知しているように、これらの言葉の応酬で何か建設的な議論が生まれることも価値のあるコンセンサスが生まれることもない。ほとんどの場合、相手への敵がい心をむき出しにして、石つぶてのような硬い言葉をぶつけ合い、お互い