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事件・事故

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289記事

高校生山岳部員たちの命を奪った雪崩事故は何故おきた『那須雪崩事故の真相 銀嶺の破断』 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

高校生山岳部員たちの命を奪った雪崩事故は何故おきた『那須雪崩事故の真相 銀嶺の破断』

2017年3月27日に発生した 那須雪崩事故 、といってもわからないかもしれない。しかし、栃木県立大田原高校の生徒7名と指導教員1名が死亡、40名が負傷した雪崩事故、というと記憶しておられる方も多いだろう。その事故の原因に鋭く切り込んだのがこの本だ。 春山での積雪直後、スキー場近くでの雪崩による8名もの死亡。少しだけれど雪山の経験がある。判断や指導は十分だっ

『世界が動いた「決断」の物語』読むだけで、決断がきっとうまくなる 書影

教養・雑学 / 事件・事故

『世界が動いた「決断」の物語』読むだけで、決断がきっとうまくなる

分かれ道に立ったとき、右か左かどちらに行こうか、立ち止まって考え、そして、悩む。最終的にはどちらかに決めて、歩を進め、また、次の分岐点にぶち当たる。人生とはそんな分かれ道の連続である。そして、その決断はときに物語を生み出す。もし、あのとき、左に行っていたら、AではなくBを選んでいれば、、、タラレバの妄想は物語の源泉である。 また、人生の重大な決断は、突然やっ

『ストーカーとの七〇〇日戦争』ストーカーは病気である! 書影

医学・心理学 / 事件・事故

『ストーカーとの七〇〇日戦争』ストーカーは病気である!

2019年3月、杉並区の保母が自室に侵入されて殺害された。同僚男性が逮捕。 13年10月、三鷹の女子高校生がかつての交際相手にリベンジポルノをされた末、殺害される。 12年11月、逗子の女性が、6年前に交際しストーカー規制法による警告が出された男によって殺害される。 これらは被害者が殺されたことで明るみに出た事件だ。被害者である彼女たちの気持ちは今まで表に出

『人喰い ロックフェラー失踪事件』精神世界と現代社会、両者間の深刻な断絶 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『人喰い ロックフェラー失踪事件』精神世界と現代社会、両者間の深刻な断絶

「虚実皮膜」とは、芸術は虚構と事実との、皮と膜とのようなほんのわずかな間にあるという意味で、近松門左衛門が語ったとされる言葉だ。しかし、実際にそうかは時と場合によるだろう。本書で扱われる「ロックフェラー失踪事件」について知れば、「虚実の皮膜」にあるのは悲劇でしかないということを痛感する。 事件は1961年のオランダ領ニューギニアで起きた。ロックフェラー家の一

『トッカイ』バブルの後始末はまだ終わっていない 書影

社会 / 事件・事故

『トッカイ』バブルの後始末はまだ終わっていない

平成が終わった。元号なんて日本でしか通用しない、世界は西暦だ、などと言われてしまえばその通りなのだが、大学入学で上京したのが平成元年だったこともあって、個人的にはやはり平成の終焉は感慨深いものがある。 平成とはどういう時代だったのだろうか。 平成元年、1989年12月29日に日経平均は史上最高値の3万8915円87銭をつけた。ところが翌年1月から株価の下落が

『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』その何気ない行動が、ゾウの生死を分ける 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』その何気ない行動が、ゾウの生死を分ける

アフリカでゾウの密猟が急増していると聞かされても、多くの人にとって自分事として捉えることが難しいだろう。しかしゾウが殺されているのは、決して食糧としての肉を目的としたものなどではない。付属物にすぎないはずの象牙が1kgあたり2000ドルで闇取引され、遠く中国や日本にやってくるのだ。 サバンナのダイヤモンドとも言われる象牙。本書は、元アフリカ特派員の著者がアフ

『わたしが「軽さ」を取り戻すまで シャルリ・エブドを生き残って』死を免れた女性漫画家の“その後” 書影

医学・心理学 / 事件・事故

『わたしが「軽さ」を取り戻すまで シャルリ・エブドを生き残って』死を免れた女性漫画家の“その後”

2015年1月7日11時30分、フランスのパリ11区にある風刺新聞社「シャルリ・エブド」に武装した覆面男2人が侵入し、編集会議中の社員に発砲した。編集長、風刺漫画家、コラムニスト、警察官ら合わせて12人が死亡、多数の負傷者を出した。 後に犯人はイスラム過激派のテロリストと判明し、 フランス各地で数百万人に及ぶ犠牲者追悼のデモが行われた。 本書の原題は『LaL

では、あの犠牲とは何だったのか?『生かされなかった八甲田山の悲劇』 書影

事件・事故 / 日本史

では、あの犠牲とは何だったのか?『生かされなかった八甲田山の悲劇』

八甲田山雪中行軍遭難事故――日露戦争を前にした訓練で、厳冬期の青森県八甲田山麓に入った陸軍歩兵第五連隊が遭難。199人もの死者を出した、世界最大級の山岳遭難事故である。この事故が100年以上経つ現在も広く知られているのは、新田次郎の小説『八甲田山死の彷徨』によるところが大きい。 だが、それはあくまで「小説」であって、史実ばかりではない。実際の雪中行軍は、どの

『モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』”でっちあげ”を超える悪夢 書影

事件・事故 / 「解説」から読む本

『モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』”でっちあげ”を超える悪夢

世間にモンスターが跋扈している。患者が、消費者が、視聴者が、そして親が、モンスターとなって理不尽な要求を言い募る。今では社会現象の一つとして、対応方法のマニュアルまで製作されるほどだ。困った人の扱いには注意しろ、社会人の心得の一つである。 子供を預けている学校は、そのモンスターが発生しやすい。無理難題を吹きかける教師もいれば、授業妨害を繰り返す生徒もいる。我

『肉声 宮崎勤30年目の取調室』初めて明かされた「肉声」が語る真実 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『肉声 宮崎勤30年目の取調室』初めて明かされた「肉声」が語る真実

「声」は多くのことを教えてくれる。 その人が信頼できる人間か、それとも嘘をついているか。 心から楽しんでいるか、あるいは不安を感じているか。 どんなに表面を取り繕ったとしても、「声」だけはごまかすことができない。 長くラジオの仕事に携わっているとそのことが経験的にわかる。 「声」にはその人の本当の姿が現れるのだ。 1988年8月から翌年の6月にかけて、埼玉と

トラブルを未然に防ぎたいなら ”巨大システム 失敗の本質”を読め! 書影

社会 / 事件・事故

トラブルを未然に防ぎたいなら ”巨大システム 失敗の本質”を読め!

この本の原題『メルトダウン』には二つの意味がある。ひとつは文字通り原子炉の炉心融解、もうひとつはシステムが崩壊または故障してしまうこと。もちろんこの本のタイトルは後者を意味している。数多くの事例から、メルトダウン的な大事故はどこにでもおこりうること、そして、いかにすればそのような大事故を防ぎうるか、が豊富な事例を紹介しながら論じられていく。 まず第一部『失敗

『生き残る判断 生き残れない行動』知識も準備も経験も、危機を察知できてこそ活きる 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『生き残る判断 生き残れない行動』知識も準備も経験も、危機を察知できてこそ活きる

「本書は災害復興についての本ではない。災害の最中にーー警察や消防士たちが到着する前に、レインコートを着た記者たちがやってくる前に、惨事に対する何らかの見方が押しつけられる前にーー何が起こるのかについて述べた本である」 災害・テロ・事件・事故。もしもの時の、とっさの判断が本書のテーマである。有事に何をすべきかを並べたマニュアル的な内容ではない。なぜ、人は非常時

アメリカ特殊部隊の戦い方を変えた『ドローン情報戦』 書影

事件・事故 / 世界史

アメリカ特殊部隊の戦い方を変えた『ドローン情報戦』

アメリカ陸軍には「デルタフォース」という対テロ特殊部隊が存在する。アメリカのIS掃討作戦の最前線で戦っているのもこの部隊であり、陸軍の最強特殊部隊だ。 秘匿性が高く、その実態はベールにつつまれていたが、同部隊に所属していた元情報分析官による本書によって、その最先端の戦い方が明るみになった。無人航空機、通称ドローンが同部隊の情報収集及び攻撃に多大な貢献をしてい

『地面師』積水ハウスはなぜ55億円を騙し取られたのか 書影

社会 / 事件・事故

『地面師』積水ハウスはなぜ55億円を騙し取られたのか

2016年10月、東京・新橋の歓楽街の一角。資産家の女性の白骨遺体が発見された。自宅と隣家のせまい隙間に、うつぶせに倒れていた。これだけでも十分きな臭いが、驚くべきことに彼女の土地は何者かによって転売されていた。 地主になりすまして、不動産をだましとる「地面師」の存在は古くて新しい。戦後の混乱期やバブル期に暗躍し、アベノミクスで沸くここ数年、再びうごめき始め

『麻原彰晃の誕生 』 書影

事件・事故 / 「解説」から読む本

『麻原彰晃の誕生 』

こうして紙の本として再生されるのは、とてもありがたいことだ。いくらかうしろめたさを感じるのは、麻原彰晃ほか12名の死刑執行を見送ったあとでの刊行になってしまったからである。本書は彼らの死をもって、あらためて「誕生」したのだ。 なぜ日本人は麻原やオウムから目を背けてきたのだろうか。春の野原を散歩していて、見たこともない奇怪な生物が路傍にうずくまっているのに気づ

『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』を買ったのは、どういう人たちなのか? 書影

事件・事故 / 併せて読まれたこの一冊

『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』を買ったのは、どういう人たちなのか?

事実は小説より奇なり、というのはHONZ読者にとってはしばしばぶちあたる事だと思いますが、『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』はその中でも有数のインパクトのある本でした。それをとりあげた 首藤淳哉のレビュー がまた秀逸。世界一不気味と称された事件の謎部分を見事にまとめ提示してくれています。 わかっているのは、何らかの理由でメンバー全

『サリン事件死刑囚 中川智正との対話』15回の面会の記録 書影

医学・心理学 / 事件・事故

『サリン事件死刑囚 中川智正との対話』15回の面会の記録

2018年7月6日朝8時、テレビでニュース速報が流れた。 ―オウム真理教教祖、麻原彰晃こと松本智津夫の死刑が執行された模様― のちにこの日に井上嘉浩、早川紀代秀、中川智正、遠藤誠一、土谷正実、新実智光の6人、7月26日に残る6人の死刑が執行されたことが報じられた。地下鉄サリン事件から23年経っていた。 本書の奥付は2018年7月26日。著者と中川智正との約束

『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』ロシア史上最悪の遭難怪死事件に挑む 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』ロシア史上最悪の遭難怪死事件に挑む

一般に、本は読めば読むほど物知りになれると思われがちだが、実際は逆だ。読めば読むほど、世の中はこんなにも知らないことであふれているのかと思い知らされる。その繰り返しが読書だ。 「ディアトロフ峠事件」をぼくはまったく知らなかった。これは冷戦下のソヴィエトで起きた未解決事件である。 1959年1月23日、ウラル工科大学の学生とOBら9名のグループが、ウラル山脈北

『全告白 後妻業の女』67歳で婚活、狙いは寂しい高齢者 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『全告白 後妻業の女』67歳で婚活、狙いは寂しい高齢者

「毒婦」と呼ばれる女性が世間を騒がすことはあるが、見るからに妖艶さを身に纏っていたり、いかにも男性がだまされたりするんだろうなという雰囲気を醸し出したりしている場合は意外に少ない。京都、大阪、兵庫3府県で起きた連続青酸死事件の犯人・筧千佐子(逮捕時67歳)も、どこにでもいそうな気さくなおばちゃん、どころか、おばあちゃんにしか見えない一人だろう。 事件は、20

『未解決事件 グリコ・森永事件 捜査員300人の証言』 書影

事件・事故 / 「解説」から読む本

『未解決事件 グリコ・森永事件 捜査員300人の証言』

あれから34年――。グリコ・森永事件と聞くだけで、今もって重苦しい嫌な気分になる。様々な出来事、想い出とともに、結局は未解決に終わってしまったからだ。事件の真相も、「かい人21面相」も、闇に消えた。無念である。私は事件当時、読売新聞大阪本社で大阪府警捜査一課担当の記者だった。以来、持ち場や部署が変わろうと、どんな異動があろうと、完全時効が成立するまでの16年

『紀州のドンファン 美女4000人に30億円を貢いだ男 』を買ったのは、どういう人たちなのか? 書影

事件・事故 / 併せて読まれたこの一冊

『紀州のドンファン 美女4000人に30億円を貢いだ男 』を買ったのは、どういう人たちなのか?

今や「紀州のドン・ファン」という言葉がテレビから聞こえてこない日はありませんが、ノンフィクションファン、HONZファン…というか栗下ファンにとってはこの名前は馴染みのあるワードだったのではないでしょうか。栗下直也の「 『紀州のドン・ファン』美女4000人に30億円を貢いだ男 」というキャッチコピーと一体化してしまったかのようなタイトルがレビューされた日は、思

『お金持ちはこっそり始めている 本当は教えたくない!「軍用地投資」入門』いろんな意味で掟破りな一冊 書影

事件・事故 / ノンフィクション事件簿

『お金持ちはこっそり始めている 本当は教えたくない!「軍用地投資」入門』いろんな意味で掟破りな一冊

ノンフィクションは一期一会、出会った時が買い時だ。いつか買おうなどと思っていても、きっと「いつか」は来ない。仮に来たとしても、既に書店には置いていなかったり、下手すると絶版になっていることもある。本書はワケありなケースであるものの、今となっては入手することの困難な一冊である。 オビの「掟破りの不動産投資法」という文言が眩しいが、色々な意味で掟破りだ。沖縄本

『謝るなら、いつでもおいで 佐世保小六女児同級生殺害事件』 書影

事件・事故 / 「解説」から読む本

『謝るなら、いつでもおいで 佐世保小六女児同級生殺害事件』

正に「青天の霹靂」と、いうヤツである。 何故、人よりホンの一寸ばかし読書が好きなだけの、40過ぎの一介のスタイリストの元に、あの開高健ノンフィクション賞と、大宅壮一ノンフィクション賞の最終候補に残る様な、本格派ノンフィクションの文庫版解説という大役が回ってくるのだろうか。 しかも本書は、あるファッション・デザイナーの評伝でもなければ、映画や演劇の衣装について

『軌道 福知山脱線事故 JR西日本を変えた闘い』 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『軌道 福知山脱線事故 JR西日本を変えた闘い』

福知山線脱線事故 ー 2005年4月25日、JR西日本の宝塚駅発の電車がカーブを走行中に脱線、107名の死者と592名の負傷者を出した巨大惨事である。加害企業の発表によると、事故原因は「運転手の不注意とブレーキ遅れ」。つまり、107名の命を奪ったのは、あくまでも個人の注意散漫によるミスが原因であると発表した。 少し時が経ち、国土交通省も事後原因を報告したが、

『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』 書影

事件・事故 / 「解説」から読む本

『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』

本書『花殺し月の殺人──インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』は、2017年にダブルデイ社から刊行された、デイヴィッド・グランの最新ノンフィクション、Killers of the Flower Moon: The Osage Murders and the Birth of the FBI の翻訳である。 2017年4月18日の刊行以来、40週連続で《ニュ

日本の原子力政策のドラマが詰まった『電力と政治』 書影

社会 / 事件・事故

日本の原子力政策のドラマが詰まった『電力と政治』

再生可能エネルギーの躍進で世界中の電力構造は大きく変わろうとしている。太陽光をはじめとする再生可能エネルギー分野で技術革新がすすみ発電コストが大きく下がったことにより、供給量が大きく伸びてきた。 2000年代にも同じように電力構造の変化が起きており、その頃の主役は原子力だった。CO 2 を輩出しない電源として地球温暖化対策の救世主としてももてはやされ、原子力

『老いぼれ記者魂 青山学院大学春木教授事件四十五年目の結末』執念の追跡の果てに 書影

社会 / 事件・事故

『老いぼれ記者魂 青山学院大学春木教授事件四十五年目の結末』執念の追跡の果てに

昭和48年(1973年)3月、青山学院大学で後世に残る一大スキャンダルが噴出した。「大学教授が教え子に暴行した」と朝日新聞がすっぱ抜いたのだ。 逮捕されたのは、当時の法学部教授、春木猛(63)で被害者は同学部4年生のA・T子さん。被害者の証言や警察の調べ、関係者の話を総合すると、春木教授は「卒業試験の採点を手伝ってほしい」とT子さんに声をかけ自分の研究室で乱

ふたりの技術者の邂逅が巨大組織を動かした『軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い』 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

ふたりの技術者の邂逅が巨大組織を動かした『軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い』

2005年4月25日、死者107名・負傷者562名を出したJR西日本・福知山線の脱線事故。その事故で妻を亡くし娘が瀕死の重傷を負った淺野弥三一の言葉である。「どうやって事故直後の数日間を乗り切れたかのかわからない」、「火山の噴火口に取り残された気分だった」、「当時の心境をひと言で言えば……自暴自棄、やろうね」と振り返る「感情が断ち切られた空の状態」だった淺野

『記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実』記事を書くことではなく、犯人を追うこと 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実』記事を書くことではなく、犯人を追うこと

1987年5月3日憲法記念日。朝日新聞阪神支局が襲撃され、記者2人が殺傷された。目出し帽をかぶった何者かは、一言も発することなく問答無用で散弾銃を発射し、当時29歳だった小尻知博記者は死亡、当時42歳の犬飼兵衛記者は危ういところで命はとりとめたものの重傷を負ったのである。 「赤報隊」と名乗った犯人は、この事件を含め、約3年にわたり襲撃事件や脅迫事件を実行した

『宿命 警察庁長官狙撃事件 捜査第一課元刑事の23年』「真犯人」はなぜ封印されたのか 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『宿命 警察庁長官狙撃事件 捜査第一課元刑事の23年』「真犯人」はなぜ封印されたのか

あの日、あなたはどこで何をしていただろうか−−。1995年(平成7年)3月20日。警察担当の記者だったぼくは警視庁にいた。 その朝の記憶は、「霞ヶ関駅構内で異臭事件発生」との一報を聞いて、駅に向かって全力で走るところから始まる。いま思えば軽率極まりないが、途中で通風口にひざまずいて臭いを確認したことを覚えている。やがて地下鉄の入口が点在する交差点が近づくにつ

驚愕のクライム・ノンフィクション!『ウルフ・ボーイズ 二人のアメリカ人少年とメキシコで最も危険な麻薬カルテル』 書影

社会 / 事件・事故

驚愕のクライム・ノンフィクション!『ウルフ・ボーイズ 二人のアメリカ人少年とメキシコで最も危険な麻薬カルテル』

2006年、アメリカのテキサス州ラレドという国境の街で、メキシコ系アメリカ人のガブリエル・カルドナとバート・レタという二人の少年が逮捕された。アメリカで最も貧しい街のひとつで起きた不良少年の逮捕劇。ありふれた事件だが、この一件はアメリカ中を震撼させた。ガブリエル(逮捕当時19才)とバート(逮捕当時17才)はラレドの街の対岸にあるメキシコ側の街、ヌエボラレドを

死者と共にあること『私の夢まで、会いに来てくれた――3.11 亡き人とのそれから』 書影

社会 / 事件・事故

死者と共にあること『私の夢まで、会いに来てくれた――3.11 亡き人とのそれから』

人は亡くなれば、会えなくなる。話しかけても応えてはくれないし、手を触れることもできなくなる。喪失が突然であればなおのこと、現実を受け入れるのは難しい。私自身、交通事故や突然の病で親しい友人を亡くしたが、10年以上経った今でも、背格好の似た人を見かければ無意識に目で追ってしまう。きっとこの痛みは私が死ぬまで続くのだろうが、それでいいと思っている。 2011年の

『すごい廃炉 福島第1原発・工事秘録<2011~17年>』一般メディアが語らない前代未聞の巨大な"現場" 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『すごい廃炉 福島第1原発・工事秘録<2011~17年>』一般メディアが語らない前代未聞の巨大な"現場"

新国立競技場の建設が佳境に入った。2月からは屋根工事もはじまり、20基もの大型クレーンが同時に動き回る様子は壮観だ。敷地面積11万3000平米、総工費1500億円を超える巨大現場である。完成すると6万8000人の観客を飲み込むという。 いっぽう、福島県双葉町・大熊町ではそれをはるかに凌ぐ規模の工事が進んでいる。敷地面積は30倍の350万平米、総工費は50倍の

『全電源喪失の記憶 証言・福島第1原発 日本の命運を賭けた5日間』あのとき何があったのか 書影

事件・事故 / 「解説」から読む本

『全電源喪失の記憶 証言・福島第1原発 日本の命運を賭けた5日間』あのとき何があったのか

あの日、自分はどこで何をしていたのか。みんなが語ることができる。それぞれの国の国民には、そんな共通の大事件や大ニュースがあるものです。 かつてアメリカでは、それはジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件でした。その後、2001年9月11日の同時多発テロになりました。 いま日本で共通の記憶は、2011年3月11日でしょう。東日本大震災の発生のとき、どこにいて、何をし

『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』大川小学校の悲劇。あまりにも複層的な物語 書影

人物 / 社会

『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』大川小学校の悲劇。あまりにも複層的な物語

リチャード・ロイド・パリーの新刊である。そう聞いただけでピンときた人はよほどのノンフィクション好きか、あるいはHONZファンであろうか。英《ザ・タイムズ》誌アジア編集長、東京支局長でもある著者は前作『黒い迷宮』で2000年におきた英国人女性ルーシー・ブラックマンさん殺害事件を追い、日本の歓楽街の闇の一面を見事に描き出した。HONZでも話題騒然となり内藤編集長

『青年市長は“司法の闇”と闘った』弁護士が記す最高裁までの詳細 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『青年市長は“司法の闇”と闘った』弁護士が記す最高裁までの詳細

2017年12月11日、最高裁は浄水設備導入を巡る収賄などの罪に問われた岐阜県美濃加茂市長、藤井浩人被告の上告審で市長の上告を棄却する決定をした。懲役1年6月、執行猶予3年、追徴金30万円とした二審の有罪判決が確定し、公職選挙法の規定により失職した。 (朝日新聞記事) この事件は藤井が美濃加茂市の市会議員だった13年4月に、地下水供給設備会社社長から設備導入

『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』 書影

事件・事故 / 「解説」から読む本

『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』

イギリスの《ザ・タイムズ》紙のアジア編集長および東京支局長のリチャード・ロイド・パリーによる最新ノンフィクションをお届けする。 前作の『黒い迷宮──ルーシー・ブラックマン事件の真実』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)が多くのメディアで取り上げられ、読者から高い評価を得たのは、訳者としては望外の喜びだった。この作品のもつ凄まじい"力"については私も編集者も認め

絶望的にヒーロー不在『八甲田山 消された真実』フィクションとノンフィクションと 書影

事件・事故 / 日本史

絶望的にヒーロー不在『八甲田山 消された真実』フィクションとノンフィクションと

神成大尉は、二一〇人の兵隊を凍死させたのは自分の責任であるから自分は自殺する、舌を噛んで自殺すると。…… ベッドの上で正座して話す老齢の男性――その人は、世界最大級の山岳遭難事故の最後の生存者・小原中三郎元伍長であった。 1902年(明治35年)1月。日露戦争を前に陸軍は寒冷地での行軍を調査・訓練するため、青森の陸軍歩兵第五聯(れん)隊と弘前の第三十一聯隊が

『北朝鮮 核の資金源』国連制裁の最前線で、何が起きているか? 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『北朝鮮 核の資金源』国連制裁の最前線で、何が起きているか?

2017年11月29日未明、北朝鮮が発射したミサイルは、日米の防衛当局に衝撃を与えた。なぜならこの時発射された「火星(ファソン)15型」は、アメリカ本土に到達可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)だったからだ。 ミサイル発射を受け、国連安全保障理事会は12月22日、北朝鮮への新たな経済制裁決議を全会一致で採択した。新たな制裁の柱はガソリンやディーゼル燃料、灯油

『消された一家』北九州・連続監禁殺人事件の発覚から15年、やるせなさと救いが同時にやってきた 書影

事件・事故 / TV・動画

『消された一家』北九州・連続監禁殺人事件の発覚から15年、やるせなさと救いが同時にやってきた

今年もたくさんの新しい本と出会い、様々な刺激をもらってきた。だが今年読んだ本の中で、最も印象に残ったものを挙げよと言われれば、それは「再会」した一冊になる。それが本書『消された一家 北九州・連続監禁殺人事件』だ。 事件の詳細に関する記述はあまりにも凄惨で、この本が置いてある本棚の一角は邪気が漂っているように感じるほどである。数年前に奥の方へと封印したはずのこ