
2021年 今年の一冊
HONZメンバーが選ぶ今年最高の一冊、今年で11回目を迎えるところとなりました。「この記事を読まないと、年を越せない!」といった声はまったく聞こえてきませんが、今年も勝手に開催させていただきます。 さすがにこれだけ長くやっていると、原稿を作成する際にメンバーのフルネームを何も見なくても正確に打てるようになっており、我ながらビックリしております。 ちなみにこの
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HONZメンバーが選ぶ今年最高の一冊、今年で11回目を迎えるところとなりました。「この記事を読まないと、年を越せない!」といった声はまったく聞こえてきませんが、今年も勝手に開催させていただきます。 さすがにこれだけ長くやっていると、原稿を作成する際にメンバーのフルネームを何も見なくても正確に打てるようになっており、我ながらビックリしております。 ちなみにこの

90万部の大ベストセラーとなった 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 は、英国地方都市に住む、母が日本人で父がアイルランド人の、中学校に上がったばかりの少年の成長を、母親の ブレイディみかこ さんが冷静に綴った成長譚だ。 続編である 『ぼくは~2』 (新潮社)では「ぼく」は13歳になった。このころの成長は著しい。背も伸び、大人の視点で世の中を見ら

バイオベンチャー・ビオンテック社の新型コロナウイルスワクチン開発秘録だ。その疾走感が半端ではない。なにしろ、ワクチン開発に取り組むチームを組織した日からヒトに投与するまでわずか88日しか要さなかった。このことからだけでも、その猛烈なスピードが想像できるだろう。 え?ワクチンといえばファイザーとモデルナのmRNAワクチン、それにアストラゼネカとかで、ビオンテッ


1873年から1879年、中国の田舎でキリスト教を広げる活動をしたアデル・M・フィールドというアメリカ人女性がいた。本書は、アデルが宣教先の中国人女性たちの人生を聞き取ったものだ。 日本だと明治7年、徴兵令がはじまった年、この頃の中国人女性の人生と暮らしはどのようなものだったろうか。 庶民の人生を伝える書物はどの国でも少ない。日本でももちろんそうだ。私たちが

反体制はカネになる。ん、どういうことだ?、違和感があると同時に居心地が悪い。だって、反体制の人たちはおカネよりも大切なもの、例えば、自然とか文化とか、コミュニティとか、スタイルとか色々とあるから。儲かることや経済とは一線を画して、独自路線を進んでいるのであって、おカネや儲かるという言葉とは縁遠いはずだ。 だけど、読み終えると、そんなやわな考えは吹き飛んでしま

冷奴を食べるには寒いし、湯豆腐も食べ飽きた頃、おすすめは蒸し豆腐です。中華の肉末蒸豆腐(甘辛豚ひき肉の蒸し豆腐)は作り方も材料もシンプルで、必要なのは豆腐、挽肉、葱だけ。 豆腐を水切りしている間にひき肉を炒め、紹興酒、醤油、砂糖で味をつけ、片栗粉でとろみをつけます。豆腐に炒めた挽肉をのせ、皿ごと蒸し、食べる際に葱をたっぷりかけてできあがり。 葱をパクチーにし

20世紀末の日本の金融界の大混乱は、メガバンクの誕生を経て収まったかに見え、そうした視点での金融関連本は一旦下火になった感があった。しかし近年は、2016年刊行の『住友銀行秘史』がベストセラーとなり、同書の著者・國重惇史氏のバンカーとしての告白『堕ちたバンカー』、金融庁の佐々木清隆氏の半生を描いた本書など、金融界で活躍した個人に焦点を当てた本が売れている。

今年は異常な年だった。いや、昨年に続いて、というべきかもしれない。 「あっという間に年末ですね」「なんだか1年が終わる手応えがないですよね」同じような会話を1年前も交わしていたような気がする。 2020年と2021年は、疫病とオリンピックの年として記憶されるだろう。 パンデミックと祭典は私たちに何をもたらしたか。本書はコロナ禍とオリンピックに揺れた日々を、

今年の夏にGAFAの時価総額が日本企業全体を上回り、大きな話題になった。そのGAFAの経営者の中でも、アマゾンの創業者で世界一の資産家(2021年フォーブス誌ランキング)であるジェフ・ベゾスの独創性と経営力は群を抜いている。 何はともあれ、そんなジェフ・ベゾスの本だから読んでおかなければと思い、本書をめくり始めたのだが、あまりの面白さに止まらなくなってしまっ

「死人に口なし」というが、実は死体は雄弁だ。どんなに巧妙な殺人や、事故に偽装しようとした自殺であっても、死体は嘘をつかない。ドラマや小説の中で法医学者が遺体にメスを入れて死因を調べ、殺人事件を解決に導く様子は見慣れたものだ。 だが、死者の声に専門家が耳をしっかり傾ける場面は非常に限られている。医療機関以外での死亡は、「異状死」に分類される。2020年には国内

遍路については、恥ずかしながらたいして知識がなかった。なにしろこの本を読むまで、そば打ちと同じように、「仕事をリタイアした男性が手を出しがちなもの」くらいにしか思っていなかったのだから。 弘法大師(空海)ゆかりの四国八十八箇所の札所を回る遍路は、現在年間20万人ほどいるという。ほとんどはバスや車を利用して回るカジュアルなお遍路さんだが、中には遍路で生活して

寒いと無性に食べたくなるものってありますよね。先日の私にとって、ジャガイモのグラタン(=ドフィノワ)がそれでした。グラタン・ドフィノワ(仏: gratin dauphinois=ドフィーネのグラタン)は、フランス南東部ドーフィネ発祥の料理です。 簡単でほっとする味なのでレシピをご紹介しましょう。ジャガイモの皮を剥いて薄切りにし、生クリームと牛乳、にんにくを入


11月に入り街には賑やかさが戻ってきました。書店店頭では年賀状素材集や手帳、家計簿といった年末年始商品が動き始め、クリスマスに向けた盛り上がりも出てきています。ノンフィクションジャンルでは歴史関連、ESGs関係のタイトルなどが目立ちました。11月はどんな本が出て、売れていたのでしょう。 日販オープンネットワークWINから11月発売のタイトルとHONZのレビュ

本書の著者ブライアン・グリーンは、超弦理論と呼ばれるミクロな世界についての理論を、マクロな世界の極致というべき宇宙論に応用する研究や、より一般に宇宙素粒子物理学と呼ばれる分野の研究で、長年第一線に立ってきた物理学者である。しかもグリーンは専門の業績のみならず、一九九九年に刊行されて世界的な大ベストセラーとなった『エレガントな宇宙』(日本語版は二〇〇一年刊行)

本を読み終えて顔を上げた瞬間、いまどこにいるのかわからないような感覚に襲われた。一瞬とはいえ、自分を見失ったような気がしたのはなぜだろう。いましがた読み終えたばかりの本に書かれていたのは、ついこの間の出来事である。にもかかわらず、この本に描かれた時代といまとはまるで違う世界のようだ。 そうか、とようやく思い至る。文字通り世界が変わったのかもしれない。私たち

ある日の献立は、ラムの塊肉を使おうと思ったことから始まりました。ナヴァランは、フランスの羊肉と野菜の煮込み料理です。ナヴァランの名前の由来は諸説ありますが、ナヴェ(navet:フランス語でかぶ)が入っているからと言われています。 見た目は豪華ですが、簡単にできるレシピをご紹介しましょう。塩を振った羊肉を鍋で焼き付けたあとに一度取り出し、かぶなどの野菜(にんじ

いうまでもなく、地球温暖化が問題になっている。気候変動、動植物の分布、疾病構造の変化などと並んで、海面上昇も大きく影響をうける現象のひとつだ。「温暖化→氷の融解→海面上昇」という流れはわかりやすい。では、そこに南極の氷がどれくらい寄与するのか?その答を知っている人は多くないだろう。 現時点ではほぼ無視できるが、いずれ大きな影響を及ぼすに違いない、というのが正

近年、映画や書籍で、「ネイビーシールズ」を目にすることが増えた。現実に存在する米海軍の特殊部隊で、例えば、イスラム過激派テロリストのウサーマ・ビン・ラーディン殺害作戦はこの部隊によるものだった。 本書の著者ウィリアム・H・マクレイヴンは、何を隠そう、ビン・ラーディンを捕縛・殺害するための「ネプチューンの三叉矛」作戦で司令官を務めた男である。また、イラクの独裁


この数年、UnityやUnrealEngineのようなゲーム開発エンジンが発展し、インディーゲームの販売に力を入れるSwitchが台頭したことで個人開発のような小規模ゲームが比較的手軽に販売できるようになった。また、ダウンロード販売が当たり前になり、スマホのスペックが上がったことなど複数の要因が重なり少人数で制作されるインディーゲームが盛り上がってきている。

今年もそろそろ2021年のベストセラーが発表される時期になりました。各ジャンルの今年の1冊も選ばれぐっと年末ムードが高まってきます。年末年始は重厚な本をじっくり読むのにいい季節です。これから、どんな本が発売されてくるのでしょう。これから出る注目ノンフィクションを紹介していきます。 2021年11月18日時点の予約受注実績からこの先発売になるタイトルを抽出しノ

突然ですが、浦賀駅に向かっています。車中のお供はこちらの本です。 浦賀といえば、江戸末期に黒船がやってきたことで有名ですが、訪れるのは初めてです。うんちの本がまだ途中ですが、浦賀駅につきました。 朝の弱さが尋常ではない私がなぜ早起きをして午前9時前に浦賀にいるのかというと、潮が引くのが10時頃だからです。 じつはこの日、私はかねてより考えていたことを実行に移

簡単そうに見えるけれど、実は意外と手間がかかる料理だと思うのがポテトサラダです。諸説ありますが、ポテトサラダの起源は19世紀にロシアの料理人、リュシアン・オリヴィエが考案した「オリヴィエ・サラダ」だと言われています。さいの目に切った野菜や肉を、ハーブとマヨネーズで和えたものでした。 ポテトサラダを作るのが大変だと思うポイントは、様々な具材を用意することですが

あなたは、信じるだろうか? 空中浮遊を30分もするなんて、迷信、ウソ、見まちがい、やらせ・・・そう言って、はねつけるだろうか? この精神科医は、信じている。悪魔は実在し、多くの人が、いまもなお闘っていることを、信じている。 「精神科医のなかには、おかしな人もいる」、読み始める前のわたしは思いこんでいた。 本書の版元・国書刊行会が、この本をウェブサイトで「オカ

勉強法というジャンルは、常にビジネス書の定番である。勉強はいつから始めても遅いことはない。そして好きなことだけが武器になる(成毛眞『勉強上手』幻冬舎)。まさにその通りである。だから第一線で働いている人ほど、社会人大学や各種学校で学び直し、資格試験にチャレンジしている。決して悪いことではない。 しかし、そういった人たちの多くが勉強に追い立てられているように見え

「誰かを論破できる人ってカッコいいと思うんですよ」。若い友人の口から飛び出した言葉に驚いた。彼が憧れるのは、「論破王」と呼ばれる著名人だという。SNSやテレビのワイドショーで、次々に相手を言い負かす姿がたまらないらしい。そんな話を聞いて、面白いと感じる一方、ちょっと考えさせられてしまった。 実は、この著名人流の「論破」が成り立つには、舞台装置が必要だ。ツイッ

2021年8月半ば、日本では新型コロナウイルスの感染者が5000人を超えた。その後ピークアウトして減少を続け、2021年11月15日現在、全国で感染者が100人余りという日が続いている。重症者も少なくなり、ひとまず第5波のパンデミックは落ち着きを見せている。この感染者が急減している原因は特定されてないが、ワクチン接種の普及が大きな要因であることは間違いないだ

金融所得課税や経済政策の財源論など、2021年10月の衆議院選挙でもなにかと話題になった税制度。日常生活にも、国家運営にもかかわる、大事な論点である。一方で、ひと口に税金といっても、制度は複雑怪奇で分かりづらく、とっつきにくい。税金と聞いただけでアレルギー反応を示してしまう人もおおいだろう。 ムズかしい問題に分かりやすい切り口をあたえてくれるのは、『歴史』だ

「非モテ研」というものがあるらしい。正確には「ぼくらの非モテ研究会」という名前で、いわゆるモテ講座ではなく「非モテで悩んでいる人」たちで集まって開催されている。この会の主宰で、筆者でもある西井開さんは臨床心理士であり、研究者であり、そして本人も「非モテ」意識に悩むひとりだ。 たとえば人は、だれそれがモテない、と聞くと「外見が悪いのかな?」とか、「性格が悪いの

五輪の話題もようやく落ち着いた。会場となった大都市「東京」の実像について、考えてみるのも良いだろう。 150人の聞き手が150人の「東京にいる人、いた人、いたことのある人」に聞いた人生が1216ページの『東京の生活史』になった。聞き手は公募、語り手は誰だかわからない場合も多く、読み手は何の情報もないまま読み始める。年齢も性別も2人の関係性もわからないが、何か

日本にある米軍基地の約70%が沖縄本島に集中している。1945年から存在の賛否は続いているがアメリカ人と地元民との間では独特の生活と文化が育まれてきた。 母方に日系、父方にイギリス移民の血を引く著者は、京都に在学中沖縄に旅行に出かけ、終戦間際の悲劇の歴史と<アメリカンビレッジ>で兵士と楽しむ沖縄女性の姿のギャップに興味を抱く。 辛うじて生きのびた女学生たちが

横浜に引っ越してきて4ヶ月が過ぎ、横浜暮らしを満喫しています。近所にある横浜橋商店街は、いい意味で値段の設定がおかしい(お得すぎる)のですが、先日小ぶりな鯛が3尾で450円でした。迷わず購入し、当日は、鯛の幽庵焼き、鯛の刺身、鯛の潮汁を作り、翌日のために昆布締めも用意します。 汁物の残りは、明朝のお粥となりました。 それでは今週献本いただいた新刊本のご紹介で

野球ファンであれば知らない人はいない「孤高の天才」、落合博満。選手としては、日本プロ野球史上で唯一、三冠王を3度達成した。監督としては、中日ドラゴンズを率いた8年の間に、球団は毎年ペナントレースでAクラス入りし、日本シリーズに5度進出、2007年には日本一に輝いた。 本書は監督時代の落合に中日の番記者として密着した著者によるスポーツドキュメンタリーである。だ

著者のプロフィールをみたら「100文字で済むことを2000文字で伝える作家」と書いてあった。本書を店頭で手に取ったとき、私はもの凄く心が疲れていて、2000文字ぐらいの軽妙なエッセイを紙で読みたい気分だった。その前提で今回は「100文字で済むレビューをおよそ2000文字で」書いてみたい。 店頭でタイトルを見て「傘のさし方がわからない」…「はて?」となり、はじ

本書の主人公は、「霞が関のジローラモ」と呼ばれた異色の官僚である。 ジムで鍛えた厚い胸板の上に派手なストライプ柄やカラフルな色のシャツをまとい、ピンクやパープルなどのネクタイを締める。肌は赤銅色に焼け、髪型は側頭部を短く刈り、頭頂部にふくらみをもたせたソフトモヒカンのようなスタイル。官僚のイメージからおよそかけ離れた外見のこの人物を、いつしか人々はイタリア人

先日葉山へ行き、三浦野菜をたくさん買ってきました。中でも感動したのが、さつまいもの「シルクスイート」です。「シルクスイート」は、「春こがね」と「べにまさり」を交配し、2012年に登場しました。皮は濃い赤紫色で果肉はクリーム色、やや短い紡錘形をしていて甘味が強く、収穫量が多いです。春こがねは食味がよくてたくさん獲れ、べにまさりは形状がよくて糖度が高いため、両種

2020年の正月があけてしばらくしてから、藤田宜永さん逝去の報が届いた。私が「初めまして」の挨拶してからほぼ30年が経っているが、いつもスタイリッシュで若々しい姿しか記憶になかったので享年69という年齢に少し驚いた。ガンを患っていたが、少し前に薬が劇的に効いて寛解したと久しぶりのパーティ会場で本人から聞いていたのに、やはりダメだったのかと残念でたまらなかった

リサーチを重ね、丁寧に作成した企画書が通らない。書店に駆け込みノウハウ本をめくってみたものの、思いをうまく形にできない。企画をいかに立てればよいのか。実物の企画書満載の本書は頭を悩ますビジネスパーソンにとって「異色の教科書」になる可能性を秘めている。 著者はタレントとして広く知られているが、放送作家としても「天才・たけしの元気が出るテレビ‼」「風雲!たけし城