
2012年 HONZ 今年の1冊
各レビュアーが選ぶ今年の一冊。やっと出揃いました。 今年も見事なまでにバラバラです。 なるほど、頷くものも多々ある一方、栗下直也とか意味分かんないですし(怒)、最後に登場する成毛眞など、相変わらずあまりに自由すぎて呆然とするほかないです。 でもそれもHONZならではの多様性、ということでお許しを。レビュアーが増えたぶん、ちょっと長いですが、ぜひとも最後までお
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各レビュアーが選ぶ今年の一冊。やっと出揃いました。 今年も見事なまでにバラバラです。 なるほど、頷くものも多々ある一方、栗下直也とか意味分かんないですし(怒)、最後に登場する成毛眞など、相変わらずあまりに自由すぎて呆然とするほかないです。 でもそれもHONZならではの多様性、ということでお許しを。レビュアーが増えたぶん、ちょっと長いですが、ぜひとも最後までお

そもそものきっかけは、大学受験を控えて専攻が決まらない息子と書店巡りをしていた著者のアレン教授が、ショーウィンドウ越しにオックスフォード大学出版の「入門」シリーズを見つけたことだった。 本書の原題は「Global Economic History : A Very Short Introduction」だ。最初は『豊かな国と貧しい国』という題名にしたかったが

美術館で目にする名画はどれも個性的だ。セザンヌならリンゴ、ピカソなら女性(美女?)とお決まりのモチーフが複数の作品に繰り返し登場する。単に写実的かという観点から見ると、素人目には必ずしも上手いとは言いがたいものも見受けられる。 言わば「ヘタウマ」の彼らの作品だが、決して他人は真似できない。そして、じっと見ているとなぜか感銘を受けてしまう。一体その感動の源泉は

オフセットなど印刷技術が発達したおかげで、今ではポスター・チラシ・名刺など業者に発注すれば美しく仕上がる。ところが、この流れとは全く逆に進むやり方があった。 大阪にある印刷会社「レトロ印刷JAM」が提案するレトロな風合いを可能とする「レトロ印刷」。この印刷方式だと色落ちはする、裏面には透ける、精密な写真の描写もできないなど多くの制限があるのだが、その代わり一
梅﨑晴光はスポニチの競馬記者である。JRA中央競馬の担当になって20年以上のベテランだ。彼が家族旅行で出かけた沖縄でレンタカーを走らせていた時のことだ。「美ら海水族館」に隣接する備瀬の名所「フクギ並木」近くで道幅が突然広くなり、それが200メートルも続いている場所に出た。地元のおばあさんから無料の駐車場であること、そして戦前は競馬場であったことを教えられて驚

男女の脳はつくりが違うとは聞いたことがあったけれど、これほどまでに違うものだとは思わなかった。そもそも男女では見えている景色が違うらしい。女性には見えて、男性には見えない色というものが存在するそうだ。そんなことは考えてみたこともなかった。とすると異性というのは、似て非なる生き物である。多くの大人たちはそのことを理解せず、異性の脳を自分の脳と同じものとして扱お

おいおい、こんなネタバレ本を出しちゃっていいのかよ? 本書を読み終わった後の正直な感想である。「ハーバード流」なんて枕言葉がついているが、なんてことはない、要は「総合商社マンの宴会術」である。これまで暗黙知として脈々と受け継がれてきた商社マンの伝統的な宴会術を体系的に整理し直したのが本書。若手商社マンが数年かけて学ぶことをまとめている貴重な一冊だ。 著者

闘病記というジャンルがある。もちろんノンフィクションである。そんなの読んだことがないという人が多いかもしれないが、大きな本屋さんでは、そのための棚まであるくらいだから、けっこう人気のある分野なのだ。たいへんな病気を明るく描いた大野更紗さんの『 困ってる人 』がベストセラーになったのも記憶に新しい。 かつて、医学生の時代から医師として働いていた3年の間、何かの

フランス外人部隊。フランスの戦争で常に最前線に立ち、多くの犠牲を払ってきたフランス最強の部隊のひとつ。意外にも傭兵部隊ではなく、正規軍として位置づけられている。世界中から脛に傷を持つ、ひと癖もふた癖もある男達が集う部隊。なぜ、愛媛の山里出身の国立愛媛大学の学生だった22歳の若者が自ら進んで、荒くれ者の集う、他国の兵士になったのであろう。 雄一郎の父、森本喬(

2冊とも動物の写真を79枚づつ選び出した写真集である。業界用語で「ありネガ」、すなわち過去に何らかの理由で撮影して保管庫やデータベースに保存していた写真を選び出したものだ。「まあ、お手軽な!」と侮るなかれ。『ぽつん』には動物が1頭だけ、『1,2,3』には3頭の動物が写っている写真を選び出している。その背後に膨大な「ありネガ」があることを想像すると恐ろしくなる

ずるをしたことがない、と断言できる人はどれ程いるだろう。私は一度もしていない、と思った人は自分がずるをしていることに気が付いていないだけかもしれない。自分をごまかすことは、想像以上に簡単なのだ。 『 予想どおりに不合理 』で人の不合理性を、『 不合理だからすべてがうまくいく 』でその不合理性がもたらすポジティブな影響を明らかにした行動経済学者ダン・アリエリー

大正という時代にはとても浪漫を感じる。日本の古き良き時代といったときに想像するのがこの時代だ。エロ・グロ・ナンセンスといった大衆文化が花開き、ファッションは和洋折衷で独自のスタイルが形成されていた。なかでも 『はいからさんが通る』 に出てきたような袴にブーツというスタイルはいま見ても魅力的である。また大正時代のキモノは柄が大胆で斬新なものが多い。アール・デコ
本日12月20日より、ネット通販サービス・セブンネットショッピングへの記事配信が始まりました。週一回、毎週木曜日の夕方に配信を予定しております。 書籍・DVDから日用品まで幅広く扱うセブンネットショッピングでは、書籍を購入したのち、お近くのセブン-イレブンで受け取りができるほか、現金やnanacoなど様々な支払方法を選択することも可能です。 また、女性や若年

インターネット上の巨大掲示板『2ちゃんねる』に投稿されたスレッドの転載記事を著者が目にしたのは2011年夏。タイトルは「中国の田舎に住んでるけど質問ある?」。投稿者は雲南省の少数民族の女性と結婚して相手の実家に同居して農業を手がける日本人。虚実が入り交じるネット掲示板であることを知りつつも、著者は書き込みの生々しい情報に惹かれる。村では人さらいが出没したり、

本書の著者は、経営論で大変に有名なハーバードの先生だ。もちろん会ったことはないけれど、私にとっては、偉大な人である。著書『イノベーションのジレンマ』は、何十回、いやたぶん何百回も手に取った。卒業論文の題名にも入れてしまった。私だけではない。先輩は「英語の原著で読んだら、またちょっと趣が違った」と言った。ハリーポッターではない、経営学の本である。どれだけ情熱を

大相撲の白鵬関が真の横綱相撲の理想を示すものとして語った「後の先」(ごのせん)が、ひと頃メディアでも話題になった。一見、相手の攻撃を許しているかのように見えて、実はその攻撃を受ける中で巧みに相手を制する形に持っていくという、高度な技の体系だ。 相手にどんな仕掛けを打たれてもいつの間にか自分の型に持ち込み、当たり前のように勝つ。常勝の秘訣はカウンターアタックに

表紙のイラストは、ゴルフ本を読んでいる男性が“ スイングを我慢してはいるが、身体が微妙に揺れている ”図である。 本屋が好きな人なら、この一冊は終始笑えて楽しめる。あるあるネタとは、日常生活で身の回りの些細なことを挙げ、読む人に共感を得て笑いを誘う技術である。古くは枕草子もこの形式を採用し原稿を書いていた。書店員からすればゴルフ姿のおじさんは話のネタであり、

高野秀行の魅力は高い親和力だと思っている。ノンフィクション作家は好奇心が強いのは当たり前。しかし相手のことを無視して、自分の取材のためだけに突き進み、相手に嫌われるまでになるのは、作品としてすごいと思っても、ちょっと嫌だ。 大学時代に怪獣さがしに行ったデビュー作『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)からその態度は全く変わっていない。好奇心はいっぱいで、何か異質

今日はなかのとおるが「ダム」をやっているので、対抗措置としてあわてて「水力」をやってみることにした。本書は水力ドットコムからの派生物だ。著者はそのサイトの管理人だが、同時に財団法人日本ダム協会の認定ダムマイスターでもある。ダムについてはいろいろな見地から賛否両論あるため、ダムマイスターなる軽めの言葉にカチンとくる人もいるかもしれない。しかし、ダムとトンネルは

豪華なインタビュー集である。何が豪華かというと、本書で取り上げられる6名のインタビュイー達の顔ぶれだ。その名前を見るだけでもわくわくしてくる。 ・『 銃・病原菌・鉄 』の進化生物学者、 ジャレド・ダイアモンド ・『 生成文法の企て 』の言語哲学者、 ノーム・チョムスキー ・『 妻を帽子とまちがえた男 』の神経学者、 オリバー・サックス ・『 心の社会 』のコ
ダムの科学 -知られざる超巨大建造物の秘密に迫る- (サイエンス・アイ新書) 高度成長時代、安定した電力を供給するため、たくさんのダムが造られた。そのころ、ダムといえば未来に羽ばたくまばゆい存在であった。ところが最近は、不要な公共事業の代表にされ、環境破壊の悪玉にされ、どうも評判がよろしくない。これはいささか理不尽ではないか。ダムはどっしりと大きくかまえ、じ

12月14日は赤穂浪士討ち入りの日だ。当日は江戸の冬らしく晴れだったらしい。旧暦は太陰暦だから毎月15日は満月だ。当然月明かりだけで仕事ができたであろう。しかも、吉良上野介はその日茶会を開いていて在宅であることが確定していた。大石内蔵助ならずとも「上野介、ぬかったな!」と声を掛けたくなる。それほどに赤穂浪士の欺瞞工作が上手かったということでもある。 ところで

私たちの意思は自分たちの気がつかないところで、周りの環境に大きく影響されている。例えば、本書でも幾度か登場する、選挙の場面ではどうだろうか。 投票所がどこにあるか、そんな些細なことにも大いに影響されている。アリゾナ州での学校補助金の増額への賛成票は、投票所が学校の場合、そうでない場合よりも有意に多かった。これは先行する刺激(この場合は学校)に判断や選択が影響

スーパーで売られているエキストラバージン・オリーブオイルの大半は偽物であるーーそんな衝撃的な事実を明かし、全米でベストセラーとなった本だ。 もちろん私も、まさにそこに惹かれて本書を購入したわけだが、実は本書は、歴史、政治、経済、ビジネスなど多様な「オリーブオイルをめぐる真実」に触れられていて、それをネタに何冊もの飛び切り面白い本が書けそうなぐらいなのだ。 例

この作品は大正14年に都新聞なる新聞の演芸欄に連載されていたものを、昭和39年に一度単行本化、その後復刊されたものだ。インタビュー方式といえば言いうだろうか。都新聞の記者である宮内好太郎が喜熨斗古登子(きのし ことこ)に江戸末期から明治初めにかけての吉原について質問し、古登子が語るという形式で書かれている。この喜熨斗古登子なる人物は、歌舞伎役者の初代市川猿之

本書の主役である「すべてを変えた一冊」とは、地球が世界の中心ではないことを明らかにしたガリレオの『 天文対話 』でも、生命に進化という概念をもたらしたダーウィンの『 種の起源 』でもない。暗黒の中世に別れを告げ、大航海時代を迎えようとしていた1417年のヨーロッパで、その一冊は1人のブックハンターの手によって発見された。 その一冊とは、紀元前1世紀頃に著され

いつの時代だってスーパースターは大変だ。一つの分野で傑出した能力を発揮すると、他の領域でも通用するものかと普遍性を問われる。 もしもイチローがピッチャーだったなら。もしもファインマンがマイクロソフトに入社していたら。もしもマイケル・ジョーダンが大リーガーだったなら... その中にはジョークで終わったものもあれば、果敢に挑戦したケースもある。 ならば、これはど

寒い。骨身にしみて寒い。11月の半ばまで半袖で過ごしてもいいような気候だったので、師走に入ってからのこの気温は堪える。その上、やはりなんだかんだと忙しい。お師匠さんもHONZも走る12月、である。 いや、すみません。今月読む本その2をUPしなかったいいわけです…通常より数日遅れました。 サラリーマンのメンバーはいつも9時ぎりぎりまでいるのだが、さすがに今月は

父は国際スパイ、母はナポリの花売り娘。自称イタリア生まれの謎の論客として著者がデビューしたのは2004年の『反社会学講座』。軽い文体ながら、統計資料を使って、世間の常識に物を申すスタイルは当時は斬新で、世間のひねくれ者の喝采を浴びた。あれから8年。いまだに正体を明かさず、イタリア語をしゃべれないイタリア出身の千葉県民というキャラ設定を貫き通す姿勢には敬服する
年も押し迫り、「流行語大賞」「今年の漢字」など、2012年を振り返る企画が目白押し。そんな中、HONZではこの度「Amazon.co.jp 2012年 年間ランキング・書籍ノンフィクション部門」への編集協力を行いました。 ノンフィクション分野では、BEST50のうち17冊が既にHONZでレビュー済み。「ノンフィクションはこれを読め!」のタグラインも面目躍如と
ビジョナリーであるということ 「ドクターV」ことゴヴィンダッパ・ヴェンカタスワミー博士が「アラヴィンド眼科医院」を開いたのは58歳の時だった。 インド南部のマドゥライ大学を定年退職したドクターは、自宅を抵当に入れ、父の代わりに世話をしてきた5人のきょうだいを集めた。彼らも、11床の小さな病院のために貯金をはたいた。それでも足りなくなると、代々受け継いできた宝
IKEAモデル―なぜ世界に進出できたのか 低価格の北欧風デザイン家具販売店として、グローバルで成功を続けるIKEA。本書『IKEAモデル』は、2009年までCEOを務めた著者が、その経営モデルを網羅的に綴ったものだが、読んでみて非常によく分かった。「IKEAモデル」とは、要するにコスト削減の王道を極めることなのだと。 王道は、極論すればつまらない。でも、王道

世界中が中二病に悩んでいる。思春期の少年を持て余し、どうしたらいいか途方に暮れている親御さんも多いだろう。同じ悩みを共有し、多くの同感を得て24か国語に翻訳された『父と息子のフィルム・クラブ』の著者にインタビューの機会をいただいた。HONZ 内藤順のレビュー とミステリマガジン12月号に書いた 私のレビュー を先に読んでいただくと解りやすいだろう。

子どもの頃、家の近くに映画館がたくさんあった。そのひとつ、エロ映画ばかりを上映していた「千林劇場」の看板が駅のガードにあって、いけないと思いながらいつも見ていた。なかでも鮮烈な破壊力のあったのが谷ナオミ主演のSM映画の宣伝であった。縄で縛られた裸体とともに、なんともおそろしい原作者の名前「団鬼六」が私の脳裏に深く刻み込まれた。 結局のところ、解禁の18才にな

12月1日(土曜日)、『ノンフィクションはこれを読め!』の出版記念パーティを行った。HONZ発足にご尽力いただいた方や紹介した本の著者と編集者などをお招きし、増刷を祝い、メンバーたちと美味しい酒を飲み交わした。 実は、この会を催すにあたって不安なことがたくさんあったのだ。集まる方々はHONZという本の紹介サイトを接点にしているだけで、お互い顔も知らないし何を
本日12月5日より、国内最大級のニュースサイト・Yahoo!ニュースへの記事配信が始まりました。テーマ毎に記事を選別し、Yahoo!ニュース、Yahoo!ニュースBUSINESSの双方へほぼ全ての記事を本配信する予定です。 HONZでは、これまでにも様々なネットメディアへ記事配信を行ってまいりました。本の世界が大きな変革期を迎えるなか、新刊書評という速報性を
戦国の貧乏天皇 なかなか刺激的なタイトルだ。 わずか7文字の中に、知的好奇心を刺激してやまない「違和感」が内包されている。 まず「戦国」と「天皇」がうまく結びつかない。日本史で習った天皇を思いつくままに挙げてみても、古代であれば神武、推古、聖武、桓武といった有名ドコロがすぐに浮かぶし、中世になると、後に院政を敷いたことで知られる白河、鳥羽といったあたりが思い
著者 : 入山 章栄 出版社 : 英治出版 発行日 : 2012/11/13 世界のビジネススクールの最前線で活躍する「経営学者」が取り組む研究をわかりやすく紹介した本だ。下世話な話で恐縮だが、居酒屋で繰り広げられる自社の経営談義に、鋭くもの申すための知恵の実になる。 早速、1つの研究を紹介しよう。 「ソーシャル」。 ソーシャルゲーム、 ソーシャル・キャピタ
ゼロからトースターを作ってみた なんとも言い難い魅力を持った不思議な本だ。 東えりかのレビュー を参考にしてほしいが、要するに、イギリスの学生がトースターを自作した、という話だ。ただし、「ゼロから」と謳っているだけあって、その「自作深度」はおそろしく根源的に深い。例えば鉄の部品を作るため、著者は鉱山まで鉄鉱石を拾いに行き、自宅で精錬することから始める、という

頁を開いた瞬間にひきこまれる―― そこに広がる異空間とは。 東京、千駄木の往来堂書店は、本好きには有名な「町の本屋さん」だ。偶然出かけた先週のこと、なにやら大きく展開している本がある。なんだろう。 吉野せい? 洟って、読み方は「はな」でよかったよね。 そんなことを思いながら手に取り、本の面構えを眺めてみる。本にはどうも「面構え」とでも呼びたくなるものがそれぞ