『三重スパイ』 裏の裏の裏をつかれたCIA
三重スパイ――CIAを震撼させたアルカイダの「モグラ」 2009年12月30日、アフガニスタン北東部にあるホースト基地のCIA局員達は、ある男の到着を心待ちにしていた。その男とは、フアム・アル‐バラウィ。このヨルダン人医師は、CIAから大きな注目を集めていた。それは彼が、最強国家アメリカをもってしても長年近づくことのできなかったアル・カイダの中枢に入り込み、
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三重スパイ――CIAを震撼させたアルカイダの「モグラ」 2009年12月30日、アフガニスタン北東部にあるホースト基地のCIA局員達は、ある男の到着を心待ちにしていた。その男とは、フアム・アル‐バラウィ。このヨルダン人医師は、CIAから大きな注目を集めていた。それは彼が、最強国家アメリカをもってしても長年近づくことのできなかったアル・カイダの中枢に入り込み、

しかし、人類に先駆けること何百年も前に、同じような環境を手にしている生命体がいた。それがウイルスである。彼らは人間同士が相互に接続された世界を、まるでクラウド・コンピューティングのように利用し、自分自身をビットのように複製してきたのだ。 かつてパンデミックを引き起こしたスペイン風邪ウイルスや、HIV(ヒト免疫不全ウイルス=エイズウイルス)のような悪性のウイル

「ビニ本」漁りがとまらない。誤解しないで欲しいが、ビニールで包装されたポルノ雑誌ではない。そちらも嫌いなわけではないが、私が今、言及しているのはビニはビニでも「コンビニ本だ」。雑誌コーナー近くに売っている、見るからに粗悪な紙でつくられた簡易本である。宇宙人がどうとか山口組がどうとか、HONZ読者が引いてしまうタイトルも少なくないが、中には500円前後の価格以

「三宅本を推す」。 実は著者のことは全く知らなかったが、ものづくり研究の大家である東京大学の藤本隆宏教授が帯に寄せた、このコメントに釣られて買ってしまったことは内緒だ。自分の権威主義的な一面に辟易してしまうが、良い意味で期待を裏切られた一冊である。 本書の主旨は明快だ。エレクトロニクス業界を中心に不振が続く日本の製造業が凋落したのは、技術神話を未だに信奉して
言語が違えば、世界も違って見えるわけ 話は、古代ギリシャの叙事詩から始まる。1858年のロンドン、ダーウィンの『種の起源』が発表される4カ月前、後に英国の首相となるウィリアム・グラッドストンが、叙事詩『イリアス』『オデュッセイア』についての研究結果を出版した。『ホメロスおよびホメロスの時代研究』は、全3巻1700ページの大著であったが、その終わりの3巻の最後
統計データはためになる! ~棒グラフから世界と社会の実像に迫る~ 世の中には様々なデータがあふれているが、数字だけではピンとこないものだ。しかしグラフ化した途端にメッセージが浮き彫りとなり、直感的にこれに納得できたといった経験はないだろうか。 たとえば、 「老舗企業創業年次ランキング」 をご覧いただきたい。 イオン、高島屋、新日鐵、伊藤忠商事といった江戸・明
援デリの少女たち 「援デリ」とは、組織的に運営される「援助交際デリバリー」の略である。援デリ業者は、出会い系サイトで集めた男性客のところへ少女を派遣して売春させ、少女が男から受けとった金額の一部、あるいは大部分、を徴収するのだ。これら違法な援デリ業者は、当然通常の性風俗業者のように営業届けを出していない。法の外側を自らの生息範囲に選んだ彼女たちには、様々な危
続・群馬の逆襲 (笑う地域活性化本) HONZメンバーが最近熱く注目している大阪などは、名産名所が山ほどあるので御当地ランキングなんか気にもしないだろう。 しかし私の出身である群馬県は、2008年度47都道府県「地域ブランド力」調査で、なんと最下位だった。地元話をしても群馬については「えと…東北?だっけ?」みたいな反応も少なくない。地方出身が多いHONZメン

海外旅行に行くときに気になるのは、気候や気温、安全性やお国柄、もうひとつ重要なのが物価である。そこならではのお土産が買いたいし、できれば町の食堂でご飯も食べたい。屋台では何を売っているのだろう、とか、マクドナルドやケンタッキーなど、日本の味と比較もしたい。もちろん、ガイドブックをみれば大まかなところは分かるけれど、一目で比較が出来たらいいのに。 長年、そんな

文楽に嵌ってはや10年。年ごとに病膏肓に入り、今では大阪文楽劇場へも通うようになってしまった。せっかく大阪まで遠征するのだから、と舞台がはねたあとの食事や、何か美味しいものを買っていきたいと、いいガイドブックを探していた。5年ほど前、人から教えてもらったのが『大阪名物』。大阪在住の女性フリーライターふたりが、和菓子、洋菓子、乾物、食事、調味料、お酒、嗜好品、
わたしは菊人形バンザイ研究者 一冊もご本を読んだことはないのであるが、出久根達郎さんが好きである。どうして好きなのかというと、『 世にも奇妙な人体実験の歴史 』 の 朝日新聞・書評 の最後に「軽妙な訳文が読みやすく、仲野徹の解説も要領よく秀逸である。」とお誉めいただいたからである。ご本を何冊か読んでからお礼状をと思いつつほったらかしになっているので、ここにお
エンジェルフライト 国際霊柩送還士 誰もがいつかは、死を迎える。 あなた自身も、そしてあなたの愛する人も。 もちろん私も、そして辛いことだけれど、私の愛する人もいつか。 死とは何だろうか。 死に行く人にとってそれは、命の終わり。現世という旅路のいちばん奥にそっと置かれたベッド。 ならば、残された人にとって、死とは何だろうか。 愛する人の命は、もうそこにない。

どうやら世の中ではきのこブームがおきているらしい。水玉模様のきのこグッズなどに女性はかわいい!の声をあげ、なめこを育てるゲームに熱中し、のキャラクターグッズをたくさんの人が買い求めている。また、きのこの山と、たけのこの里による争いの話は鉄板ネタになっている。( 『出ない順 試験に出ない英単語』のレビュー でもこの話題が出ていた。) 自分の周りにも、きのこ好き
督促OL 修行日記 督促という言葉を聞いて、良い印象を持つ人はいないだろう。 督促って、要するに借金の取り立てだ。借金をしている人は督促なんてされたくもないだろうけれど、督促する方だって、しなくて済むなら本当はしたくない。貸したお金を返してもらうために、仕方なくやっているだけ。返さない方が悪いわけで、何も悪いことはしていない。それなのに、むしろ逆切れされて文
系統樹曼荼羅―チェイン・ツリー・ネットワーク なんとも魅力的なタイトルと装丁である。書店でつい手にとってしまうのは、こういう本だ。タイトルどおり、本書には500年以上前に描かれた系統樹から、ダーウィン手書きの進化論のアイデア走り書き、果ては最先端のコンピュータグラフィック技術を用いて作られたネットワーク図が、これでもかと盛り込まれている。異常な密度で書き込ま

63.7%。この数字は1966年に打ち立てられてから、今でも塗り替えられることのない、ボクシングのテレビ放映における歴代最高視聴率である。日本最長の13連続防衛を達成した“カンムリワシ”具志堅用高も、日本最速(当時)の8戦目で世界王者となった“浪速のジョー”辰吉丈一郎も、本書の主人公ほどには日本全土を熱狂させることはできなかった。 その日本史上最も注目を集め
アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極 1845年、ジョン・フランクリン率いる北西航路探検隊は129人の隊員と3年分の食料を二隻の軍艦に乗せ、悠然とイギリスから出発する。フランクリンは以前の北極圏探検のときに食料不足におちいり、苔やブーツの皮を食べて飢えを凌ぎながら生還した経歴がある。そのため「ブーツを食べた男」と呼ばれ、当時のイギリス

虫系の本を読むと、それまでに自分が抱いていたイメージが音を立てて崩れていくことも多いのだが、本書はその中でも群を抜いている。 サバクトビバッタ。その名の通り、サハラ砂漠などの砂漠や半砂漠地帯に生息しているバッタで、西アフリカから中東、東南アジアにかけて広く分布している。見た目は馴染みのあるトノサマバッタに似ているのだが色は黒く、しばしば大発生して次々と農作物
世界で勝たなければ意味がない―日本ラグビー再燃のシナリオ (NHK出版新書 392) 私は心の中で、7年後の長期休暇を予約している。 理由はもちろん、オリンピック、サッカーW杯に続いて世界で3番目に規模の大きい国際的なスポーツイベントが、ここ日本で開催されるからだ。 そう、2019年はラグビーワールドカップ日本大会なのだ。 日本ではあまり知られていないが、ラ

球史に残る昭和天皇のエピソードといえば、1959年に天覧試合として行われた巨人ー阪神戦を思い出される方も多いだろう。9回裏、先頭バッター長嶋のサヨナラホームランで幕を閉じたこの試合は、プロ野球人気を決定づけた出来事として、あまりにも有名である。 だが同じ球技でも、ゴルフと昭和天皇の関わりについてご存知の方は、あまり多くないだろう。しかも若かりし頃の趣味であっ

酒とつまみチャンポン―創刊10周年記念なんちゃって傑作選 (別冊酒とつまみ 1) 一部のオジサンに熱狂的な支持を受ける雑誌「酒とつまみ」。というよりも世間一般には知られていない雑誌「酒とつまみ」。 創刊10周年を記念しての傑作企画をまとめたのが本書だ。雑誌不況の荒波の中で10年とはすごいの一語だが、季刊誌を名乗りながら一度も季刊できていない脱力ぶりがその秘訣
愛と欲望のナチズム (講談社選書メチエ) 女子プロゴルファーとの間に最近、第一子をもうけたかつてのトレンディー俳優が言ったかどうかは知らないが、今から約70年前のドイツでナチスの幹部たちはこう叫んでいたはずだ。 ナチズムと聞くと、抑圧的な政策を推進したことで広く知られる。伝統的な道徳観への回帰を説き、性に対する態度もそれは同じであったとの見方が支配的だった。
東電OL事件 - DNAが暴いた闇 HONZのメンバーがとりあげる本は多種多様である。しかし、成毛はメカ系、麻木はナショナリスト系、栗下はアレ系、といったように、好みの分野があって、仲野には、伝記系、生命系に加え、殺人事件系がけっこう多いのである。とりわけ殺人事件が好きというわけではないが、佐木隆三が言うように、殺人事件には人間の業とでもいうものが詰まってい
コケの自然誌 アメリカには「ネイチャー・ライティング」というノンフィクションのジャンルがあるそうだ。 その特徴は「自然科学系の客観的な観察とは異なり、個人的な思索や哲学的思考を含むということ」にあり、内容には ・博物誌に関する情報(natural history information) ・自然に対する作者のリアクション(personal reaction)
ドッグファイトの科学 知られざる空中戦闘機動の秘密 (サイエンス・アイ新書) 犬のケンカの科学のことではない。ドッグファイトとは戦闘機同士による格闘戦だ。第1次世界大戦のごく初期には自分の下を飛ぶ敵機にレンガを落としていたこともある。そのあとは瞬く間のあいだにピストルから機関銃、機関銃から機関砲、さらに空対空ミサイルの装備と変化していった。現在では72km先
なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術 (ソフトバンク新書) 著者はネットバブル期からスキルアップ系の記事を書き続けてきた文筆家だ。いわば勝間和代や本田直之に代表される「スキルアップ教」の尖兵だった。ビジネス雑誌などを通じて「今こそスキルアップを!」と煽りながら、私は正しいことを言っていると信じて疑わなかったという。その著者が
韓国窃盗ビジネスを追え: 狙われる日本の「国宝」 日本の重要文化財が各地の寺院から盗まれ、その一部が韓国で流通している。そんな話を聞いたことがある人もいると思う。本書は主に兵庫県、鶴林寺の「絹本著色弥陀三尊像」(以下、阿弥陀三尊像)と長崎県壱岐島、安国寺の「高麗版大般若経」の行方を主に追っている。 阿弥陀三尊像を盗んだ主犯は金国鎮という男。彼は2004年に韓

自由奔放・奇想天外な人生が好きな人には本書がオススメだ。 様々な著名物理学者の人生を紹介するのが本書。物理学者というと頭が固くて気難しい人をイメージする人もいるかと思うが、実は風変わりで冒険的な人が多い(もちろん本書で紹介されるような人たちはみな頭脳明晰)。 例えば旧ソビエトの異端児、レフ・ダヴィドヴィッチ・ランダウ。幼い頃から数学的才能を発揮し、わずか13

本書のタイトルどおり、ダイヤモンドは地底を超高速で移動し、地上に噴出してきたのだという。ダイヤモンドを含んだマグマが、地下400kmのマントル層で生成され、6時間あまりで地上に到着するというのだ。最深部では時速60kmほどでマグマは上昇を開始するのだが、地下50kmあたりからスピードを上げはじめ、地下2kmでは時速1000km、つまり音速の8割に達する。さら

仲野徹による岡田斗司夫氏へのインタビューの後編です(前編は こちら )。まず、 『オタクの息子に悩んでます』 を読み、また仲野徹による このレビュー に目を通してからこのインタビューを読むと、何倍も楽しめますよ。 今回の後編では、徐々に本の内容を離れて、雑談の様相に。そんな雑談を掲載できてしまうのもウェブのいいところ、雑談のなかに面白い言葉が散りばめられてい
著者 : 中田 信哉 出版社 : 日本経済新聞出版社; 第2版 発行日 : 2012/10/26 ロジスティクスというのはまだまだ聞き慣れない言葉、なんとなく意味がわかっているという人が大半だろう、私もその一人。仕事で「ロジの確保、よろしく」と言われたのが最初のロジスティクスとの出会い。もちろん意味はわからなかった。 本書はロジスティクスの語源から物流との違

地味な本である。しかし、ひとつのささやかな研究が、「進化を飛躍させる新しい主役」という、進化論を覆すような刺激的な仮説に至る過程には、科学的思考の基本が詰まっている。岩波ジュニア新書の一冊だが、はじめて科学に触れる少年少女はもちろん、私を含め、日々、科学的思考を身につけたい大人にぜひ読んでほしい。日常生活で思い込みや迷信から開放され、まっとうな問題解決への道
食欲の科学 (ブルーバックス) 食欲を押さえ込むことだけではない、食べ続けることもまた難しい。この難しさは、ヴァーモント大のグループが行った、200日間ずっと通常の2倍の量の食事を摂り続けるという実験の結果からよくわかる。多くの被験者は、体重が増えるに連れて食べることを苦痛に感じ始め、望んで参加した実験を続々とリタイアしていったのだ。また、実験後に被験者達の

ありがたいことに、今日の朝日、読売、産経とそれぞれの新聞に『ノンフィクションはこれを読め!』の紹介記事が載り、「ノンこれ!」という愛称までいただいた。日曜日は、各紙、話題の本のレビューが載るのだが、この記事で興味を持つ人が多いのだ。石井光太さんの『ノンフィクション新世紀』も好調だそうなので、いい風が吹いてきている。 まずは欠席者のオススメ本を紹介しよう。休ん

私には西洋美術の素養がまったくない。ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ、マネ、モネ、ルノワール、シャガール、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ……。どれも名前くらいは聞いたことがあるが、彼らの代表作は?と聞かれて即答できるものはほとんどない。さすがにダ・ヴィンチのモナリザくらいは知っているが、ルノワールっていいよね。と言われたら、あぁ、あの喫茶店いいね。とい

年末恒例の「今年のベスト・・・」のセレクションがたけなわである。ちょっと早いが、私が今年復刊されて一番うれしかった『赤い人』を紹介したい。私をノンフィクション好きにしたのは、吉村昭であると言っても過言ではないほど、どの作品も思い出深いが、明治初期の北海道を舞台にしたこの作品は衝撃的だった。 本書は、わずか300頁を少し超えたほどの文庫である。昨今の小説では普

* サーバーメンテナンスに時間がかかり、ご心配とご迷惑をおかけしました。鋭意修復中です。 ここ数日、不具合が起こる可能性もありますが、ご寛恕くださいますようお願い申し上げます。 発売から約10日という信じられないようなスピードで増刷が決まりました。企画段階では「ノンフィクションの書評本なんて売れるはずがない」と周りの反応はニベもないものでしたが、おかげさまで
京のわる口 (平凡社ライブラリー) ゆっくりと、余韻に浸りながら読み進めたい一冊だ。本書では、京都出身で太宰治賞の受賞作家でもある著者によって、題名にもある「京のわる口」が一つずつエッセイに綴られている。陰陽で言えば陰、「批判語」というネガティブなテーマであるにもかかわらず、全編、懐かしくも雅な雰囲気が漂う。何とも不思議な一冊だ。 私の感覚では「ちょっと羽目

仲野徹が「古典的名著、デール・カーネギーの『道は開ける』 に匹敵すると言っても過言ではない」と絶賛し、HONZでも大きな反響があったのが このレビュー 。本の売れ行きも好調で、何度も重版がかかっているという。 レビュアーの仲野は、かねてから朝日新聞連載の人生相談「悩みのるつぼ」における岡田斗司夫氏の回答の大ファンで、本書の元になった、大阪のNHK文化センター

タイトルに「ヘンな」とあるように、ちょっと変わった美術本だ。 アートに興味を持つ人ならば、表紙でピンとくるかもしれない。帯の上を眺めると、絵師であろう様々なおじさん達が絵を描いているが、タッチが柔らかいせいか、みんな楽しそうで宴会のようにも見える。なんだか最初から力が抜けている。その奥でムム!っと唸っている男性がひとり。本書の著者である。 著者は画家の 山口