ノンフィクションはこれを読め!

日本史

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170記事

『みんな彗星を見ていた』 書影

日本史 / HONZ客員レビュー

『みんな彗星を見ていた』

1549年にザビエルが鹿児島に到着、イエズス会が日本で布教を開始する。82年に巡察師ヴァリニャーノが4人の天正遣欧使節を連れて長崎を出港したが、その直後本能寺の変が起こりキリシタンに理解のあった信長が逝去、90年に帰国した時は秀吉が伴天連追放令を発布していた。1614年、家康による宣教師の大追放(マカオとマニラへ)。そして44年が記録に残る最後の殉教となる。

『いちまき―ある家老の娘の物語―』 巻措く能わざる「他人事」波乱万丈の一族史 書影

教養・雑学 / 日本史

『いちまき―ある家老の娘の物語―』 巻措く能わざる「他人事」波乱万丈の一族史

この写真が中野翠をこの物語にいざなった張本人、中野みわである。 本書の冒頭を読んで納得した。翠の父親の遺品の整理をしている時に見つかった『大夢 中野みわ自叙伝』。曾祖母みわと一族について綴られたこの小冊子を読んだら興味を抱かずにはいられない。自分の足元へと伸びた幕末から現在までの血脈は、どくどくと流れ続けていたのである。 そう言われてみれば、意志の強そうなこ

『〈お受験〉の歴史学 選択される私立小学校 選抜される親と子』 私立小学校を知れば日本の教育が見えてくる 書影

社会 / 日本史

『〈お受験〉の歴史学 選択される私立小学校 選抜される親と子』 私立小学校を知れば日本の教育が見えてくる

町内に信号機が1つもない地方で生まれ育ったわたしは、お受験(小学校受験)には縁がなかった。学力・経済面の問題以前に、近隣に私立小学校が存在しなかったのだ。母校の小学校も廃校になるほどの過疎地域だからかと思っていたのだが、著者も大学に入るまで私立小学校出身者に会ったことがなかったという。私立小学校が身近な存在ではない、というのはそれほど珍しい体験ではないようだ

無常のブルー『TRUK LAGOON トラック諸島 閉じ込められた記憶』 書影

アート・スポーツ / 民俗・風俗

無常のブルー『TRUK LAGOON トラック諸島 閉じ込められた記憶』

深遠な海の中に身を沈めれば、無重力の浮遊感。 目の前には鮮やかな魚達が横切り、好奇心旺盛なイルカや色とりどりのサンゴ礁、人間よりも遥かに大きく愛嬌のあるマンタやジンベエザメなど。ダイビングは、陸上では味わえない世界を堪能できる。 一方、太平洋戦争時の旧日本軍の重要拠点であるミクロネシア連邦チューク州。旧トラック諸島と呼ばれたこの地は空襲により 2 日で壊滅し

『戦後の貧民』無残の中の無念 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『戦後の貧民』無残の中の無念

戦後70年。この年月は、長いのだろうか。短いのだろうか。記憶をとどめる時として。記憶を伝える時として。 「まだまだ忘れてはならない」という声と、「もうそろそろ忘れたい」という声と。 そもそも何を記憶し何を忘却すべきなのだろうか。あの時代になにが起こっていたのかを総覧するのに、70年は長いのか、短いのか。 有史以来、庶民がもっとも貧困に喘いだのは、このときであ

『地図から読む江戸時代』認識が地図をつくり、地図が認識を変える 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『地図から読む江戸時代』認識が地図をつくり、地図が認識を変える

「本書を手に取ったあなたに最初にしてほしいこと。それは日本の地図を描くことである」という書き出しに、どきりとした。学校時代、地理は得意科目ではなかったからだ。それでもとにかく頭に浮かべたのは、天気予報でおなじみの、海を背景に日本列島の輪郭が取られたあの図だった。 ほどなく、私がそんな図を思い浮かべたことを著者がずばりと当てたのでもう一度どきりとした。どうして

草食系インドア派でも楽しめる『秘島図鑑』 書影

民俗・風俗 / 日本史

草食系インドア派でも楽しめる『秘島図鑑』

「どこか遠くの島にでも行きたい」。そんなことを今夏も考えていたが、行けぬままにすでに9月も半ば。そんな悶々とした気分をさらに悶々とさせてくれるのが本書だ。離島にまつわるエピソードを交えながら、写真が並ぶガイドブックなのだが、紹介する33の島々は実は行きたくても、行けない島々。定住者もいないし、定期船など交通機関も存在しない。近づくことすら難しい島もある。 「

『伊四〇〇型潜水艦 最後の航跡 (上、下巻)』 忘れさられた兵器と人間ドラマを再び浮上させる! 書影

世界史 / 日本史

『伊四〇〇型潜水艦 最後の航跡 (上、下巻)』 忘れさられた兵器と人間ドラマを再び浮上させる!

1945年8月28日、米潜水艦セグンドは、日本の降伏文書調印式典に、米海軍の潜水艦の代表として列席するため、日本本州から約1000マイル離れた洋上を航海中であった。そのときレーダーが何かを捉えた。レーダーのスクリーンに現れたブリップの大きさに乗員は目をみはる。これほどの大きさの物体ならば距離1万5000ヤード先からでもレーダーが確実にとらえるはずだ。しかし「

一人では不可能だった、ワクワクするカオスを生み出すこと『世界の辺境とハードボイルド室町時代』 書影

社会 / 民俗・風俗

一人では不可能だった、ワクワクするカオスを生み出すこと『世界の辺境とハードボイルド室町時代』

対談本はこの世に数多く出ているが、質的にはピンからキリまで玉石混交なジャンルである。最悪のケースとしては、忙しくて文章を書いている暇もない人気の著者や著名人を組み合わせて、その場で即興の言葉を拝借する。お互いのことをよく知らないまま表層的な会話に終始し、それっぽいまとめがあって終わってしまい、読後には釈然としない気持ちが残ることになる。 いやなに全ての対談本

『南洋と私』南方から聞こえる、小さな声 書影

世界史 / 日本史

『南洋と私』南方から聞こえる、小さな声

「南洋」という言葉を耳にして、日本の元占領地であることがパッと思い浮かぶ人はどれくらいいるのだろう。「南の島」といえば真っ先に浮かぶのは、透き通った海が広がる常夏のリゾートだろうか(まさに自分がそうだった)。しかし、かつて日本が日本語教育を行い、神社を作って参拝させるなど支配を敷いていたのは東アジアだけではないのだ。 グアムを除く赤道以北の地域で、正式に日本

HONZで読む「第二次世界大戦」 書影

世界史 / 日本史

HONZで読む「第二次世界大戦」

2015年は第二次世界大戦終戦後、70年目という節目である。経験者は少なくなり、語り継がれてることも少なくなってきた。だが、毎年膨大な数の関係書は出版されている。正直、どれを読んだらいいか、まったくわからないのが実情だろう。 2011年7月から始まったHONZでは、第二次世界大戦関係の本をたくさん取り上げてきた。終戦70周年の記念に、この4年間で紹介してきた

『石油と日本』石油を持たない国の試行錯誤 書影

日本史 / ビジネス

『石油と日本』石油を持たない国の試行錯誤

そんな中、明治から現在までの日本の油田開発と資源外交に焦点をあてる本書は希有な一冊といえよう。これまで歴史に埋もれてきた数多くの物語を紡ぎだす良書である。しかも、歴史の表舞台に登場するプレイヤーの動向を紹介するだけでなく、そんな彼らを支えた人、場合によっては彼らにすら認知されていない現場の人たちにまでスポットライトをあて、日本のこれまでの資源外交と油田開発の

『耳鼻削ぎの日本史』”やさしさ”から”見せしめ”まで 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『耳鼻削ぎの日本史』”やさしさ”から”見せしめ”まで

“耳鼻削ぎ”とは穏やかではない。というか、野蛮。現代人はそう感じるだろう。日本の歴史上で耳や鼻を削ぐといえば、戦国時代の話かな。敵の首をいくつとったか戦功を証明するのに、首だと持って帰るには重いから耳。いや耳だと左右二つ削いで数をごまかせるので鼻になったんだっけ。いやはや、戦国時代は血腥い…。 著者は日本各地の“耳塚”“鼻塚”を訪ね歩き調査する。無惨に討たれ

『悲劇の発動機「誉」』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『悲劇の発動機「誉」』

第2次世界大戦期、その獅子奮迅の働きぶりから「奇跡の戦闘機」と称賛された、零戦。数々のノンフィクション、小説、さらには映画の題材にもなり、活躍から70年以上がたった今なお広くその名をとどろかせている。 一方、おなじく大戦期に開発され、その驚くべき性能の高さから一時は「奇跡のエンジン」と呼ばれながらも、後に零戦とは真逆の運命を辿ることになる悲劇の発動機があった

『後白河天皇』by 出口治明 書影

人物 / 日本史

『後白河天皇』by 出口治明

本書は、定評のある「ミネルヴァ日本評伝選」の1冊である。わが国で武家政権が成立する前夜、源平が相争う激動の時代に君臨した後白河天皇、稀代の暗君か謀略の策士か、評価の分れる「日本第一の大天狗」の生涯を描いた力作だ。 即位の可能性が低かった青少年時代、後白河は今様(流行歌)に狂う。陰謀の中、即位した後白河は、実兄の崇徳上皇と争う保元の乱に見舞われる。「保元の乱の

『アホウドリを追った日本人』 「帝国」日本の拡大はここから始まった。 書影

生物・自然 / 日本史

『アホウドリを追った日本人』 「帝国」日本の拡大はここから始まった。

鎖国が解かれた明治以降、日本人は小さな船を操り数々の危険を乗り越えて、海の彼方の無人島を目指した。最初は八丈島近く、やがて大海原を越えて太平洋のど真ん中まで進出していく。断崖絶壁の鳥島、岩だらけの尖閣諸島、ハワイ諸島西端のミッドウェー島まで、なぜ日本人は命がけで絶海の孤島を目指したのか。 彼らが求めたもの。それはアホウドリの羽であった。 横浜が開港した明治初

息もつかせぬ極秘作戦。「世紀のドル確認作業」で沖縄を救え!『沖縄返還と通貨パニック』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

息もつかせぬ極秘作戦。「世紀のドル確認作業」で沖縄を救え!『沖縄返還と通貨パニック』

1972年5月15日の沖縄返還に先立つ、1971年8月15日。アメリカ合衆国大統領ニクソンは、ドルと金の交換停止を発表する。ニクソン・ショックである。 敗戦から急速に立ち直り未来へと時計の針を進めていく本土をよそに、なおも四半世紀にわたるアメリカの支配に耐え、ようやく返還の日を迎えようとしていた沖縄の人々の生活は、危機に瀕する。沖縄返還にともないドルから円へ

新感覚の歴史教育本『アニメで読む世界史〈2〉』 書影

世界史 / 日本史

新感覚の歴史教育本『アニメで読む世界史〈2〉』

歴史を知ることは面白い。自分たちが生きている世界、社会が持っているルーツを知る作業は、人に安心を与える。安心を得る作業であると同時に、驚きや教訓、閃きを得る手段でもある。そのことによって、現代の問題に対処しうることもある。歴史を知ることにはそんな有用性があるけれども、歴史を知れば知るほど、語られるそれらに対して、疑わしい何か眉唾めいたものを感じる。それは、歴

日本を愛したスパイ『ドクター・ハック 日本の運命を二度にぎった男』 書影

人物 / 世界史

日本を愛したスパイ『ドクター・ハック 日本の運命を二度にぎった男』

書影を見て、「ドクター・ハックって、あのハックか」と思わず手に取った。 著者は『満州国皇帝の秘録』『トレイシー−−日本兵捕虜秘密尋問所』そして『四月七日の桜−−戦艦「大和」と伊藤整一の最後』の中田整一氏だ。面白くないわけがない。 1914(大正3)年)11月、日英同盟により第一次世界大戦に連合国側として参戦した日本は、中国におけるドイツ租借地・青島でドイツ軍

『日本国最後の帰還兵 深谷義治とその家族』 書影

人物 / 日本史

『日本国最後の帰還兵 深谷義治とその家族』

1978年、日中平和友好条約が締結された。その際の政治の駆け引きに利用されたひとりの軍人、それが深谷義治さんだ。深谷さんは、終戦時、当時の上官から「任務続行」の命を受ける。以後、13年間中国に潜伏、中国当局に逮捕され、獄中生活は20年4ヶ月にも及んだ。拷問を受け、生死をさまよい、家族が迫害にあっても守り続けたもの、それは一体何なのか。本書は、義治さんの次男、

『明治維新と幕臣 「ノンキャリア」の底力』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『明治維新と幕臣 「ノンキャリア」の底力』

来年の大河ドラマは『花燃ゆ』。吉田松陰の妹・文を主人公に、松蔭はもちろん、久坂玄瑞や高杉晋作など長州の志士たちが、その生き様をたっぷりと魅せてくれるであろう。大河ドラマで幕末物は当たらないなどというジンクスはいつのことやら、『篤姫』『龍馬伝』『八重の桜』、そして今回の『花燃ゆ』とつづくのも、近代日本の立ち上がりを振り返り、このところの閉塞感を打破するヒントを

『孝謙・称徳天皇』by 出口 治明 書影

人物 / 日本史

『孝謙・称徳天皇』by 出口 治明

意欲作の多いミネルヴァ日本評伝選の1冊である。異例の女性皇太子を経て即位、恵美押勝の乱に勝利し、道鏡を用いて仏教を基軸とする政治を推進した奈良時代最後の天皇を描いた力作である。専門書に近い内容で簡単に読み進める訳ではないが、この個性的な女帝の評伝としては本書の右に出るものはないのではないか。 奈良時代は女帝の世紀と呼ばれたりするが、持統、元明、元正、孝謙・称

『日本-喪失と再起の物語』今いちどこの国を見つめる 書影

社会 / 日本史

『日本-喪失と再起の物語』今いちどこの国を見つめる

これからも日は沈み続けるのだろうか。それとも、いったん没しかけた太陽は自らを大きく変革し再び昇るのだろうか。あるいは成熟国家として、ある程度の富を保ちながら退屈ではあるが緩やかで穏やかな社会を、長期間にわたり維持し続けるのだろうか。その答えは誰にもわからない。なぜなら歴史とは常に一つの方向にのみ流れ続ける川ではないからだ。それに、私たちがどのような社会を建設

『慟哭の海峡』大正生まれの男たち 書影

人物 / 世界史

『慟哭の海峡』大正生まれの男たち

台湾南端の 鵝鑾鼻 (がらんび)岬からフィリピン領バタン(バシー)諸島との間にある海峡を バシー海峡 という。黒潮が流れるこの海峡は、かつて輸送船の墓場と呼ばれていた。太平洋戦争後半には、この海峡にアメリカ軍の潜水艦が多数配備されており、南方の戦線に送られる日本軍の輸送船団に忍び寄り、その牙をむいた。この海峡で10万人以上の日本人が犠牲になったという。このこ

『誰も調べなかった日本文化史 土下座・先生・牛・全裸』 書影

教養・雑学 / 社会

『誰も調べなかった日本文化史 土下座・先生・牛・全裸』

現在に不満な人は、未来に期待せず、過去を美化して懐かしむのです。歴史の中でもっとも捏造されやすいのは、庶民史と文化史なんです ああもうマッツァリーノ先生のおっしゃる通り。 日本は豊かにはなったが、肝心の心を失ってしまった、昔は貧しくとも大家族で笑顔でくらしていた、誇り高く礼儀正しく生きていた云々かんぬんが、近年やたらと目につくのである。 昔を懐かしんで楽しく

『10万人を超す命を救った沖縄県知事・島田叡』沖縄版、杉原千畝 書影

教養・雑学 / 人物

『10万人を超す命を救った沖縄県知事・島田叡』沖縄版、杉原千畝

胸が熱くなる一冊だ。戦前最後の沖縄県知事、島田叡。戦況が悪化する最中に沖縄県知事に就任し、沖縄戦にて戦争被害を最小限に食い止めるべく県政の陣頭指揮にあたった人物である。これまで日の目を浴びることなく歴史に埋もれていたことが信じられないほど、偉大な人物だ。 当時だれも就きたがらない火中の栗である沖縄県知事の役割を彼が引き受けたのが1945年1月末。そう、アメリ

『特攻の真意』文庫解説 by 大森 洋平 書影

日本史 / 「解説」から読む本

『特攻の真意』文庫解説 by 大森 洋平

本書は「特攻の生みの親」と言われた海軍中将大西瀧治郎が、いかなる真意のもとに特攻作戦を指導し、死に至るまで徹底抗戦を呼号したか、その解明を試みたものである。 著者神立尚紀は、太平洋戦争について海軍航空隊の戦いを中心にして、高い記録性を持つ数々の優れたノンフィクションを世に送ってきたが、これまで特攻作戦を書くのは「意識して」避けてきたと言う。その神立があえて今

『日本のヴァイオリン王』激動の時代を駆けた名職人 書影

人物 / 日本史

『日本のヴァイオリン王』激動の時代を駆けた名職人

ならば相対的に生活水準が低く、文化も未成熟だった100年前くらいの日本の場合は言わずもがな、と思うところだが、実は明治末期から大正、昭和初期にかけての日本では、ヴァイオリンが現代と比べて遥かに広く大衆に親しまれていた。しかもその多くはなんと国産品だったという。開国後、徐々に流入してきた西洋楽器は庶民の手にはなかなか届かない代物だったが、明治も終わりに近づくと

江戸の科学する心『江戸の理系力』 書影

教養・雑学 / 日本史

江戸の科学する心『江戸の理系力』

「日本を知るには、明治維新前の科学を見るのがおもしろい。」雪の科学者、中谷宇吉郎が自身のエッセイの中で語っていた。日本の科学は、明治以後になって輸入され、模倣されたものが多い。だから中谷宇吉郎は、明治維新前の日本の科学を解釈し、独創性ある隠れた科学を堀り起こした。特に江戸時代は、自然科学に目覚め、数学を生活の中に取り入れ、医療も格段に発展した時期でもある。本

明治27年へタイムスリップ『戦争という見世物』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

明治27年へタイムスリップ『戦争という見世物』

これだけ本好きが集まり、朝会とレビューのため、鵜の目鷹の目で書店を渉猟しているにもかかわらず、HONZのメンバーでも見落とす本はあるものなのだ。ある日、時間つぶしのつもりで入ったある書店で、棚ざしになっている本書を見つけた。何の変哲もない白い装丁で目を引くものではない。しかし著者の名前に見覚えがあった。木下直之……あ、『股間若衆』の先生だ! 奥付を見ると昨年

『リヒトホーフェン日本滞在記―ドイツ人地理学者の観た幕末明治』by 出口 治明 書影

民俗・風俗 / 日本史

『リヒトホーフェン日本滞在記―ドイツ人地理学者の観た幕末明治』by 出口 治明

長い間、鎖国の殻に閉じ籠っていた幕末明治期の日本は、当時わが国を訪れた外国人の恰好の好奇心の対象となった。彼らは実に多くの著述を残した。僕が覚えている「名作」だけでも軽く10指近くになる。オールコック「 大君の都 」、ハリス「 日本滞在記 」、イザベラ・バード「 日本奥地紀行 」、アーネスト・サトウ「 外交官の見た明治維新 」、ヒュースケン「 日本日記 」、

あらすじだけでも知ってほしい本がある 『種痘伝来』 書影

医学・心理学 / 民俗・風俗

あらすじだけでも知ってほしい本がある 『種痘伝来』

地味といえば地味な学術書である。はっきり言って4千円は高いし、ほとんどの人は買おうと思わないだろう。しかし、この本のあらすじは知っておいて損はない。江戸時代の知識階級のレベルがいかに高かったがよくわかる。 天然痘 は感染力が強く、致死率も高いおそるべき伝染病である。いや、その撲滅が人類によって成し遂げられた唯一の疾患なのだから、『であった』が正しいのかもしれ

『包丁侍 舟木伝内 加賀百万石のお抱え料理人』  グルメな殿さま、満足す。 書影

民俗・風俗 / 日本史

『包丁侍 舟木伝内 加賀百万石のお抱え料理人』  グルメな殿さま、満足す。

石川県金沢市。ここは加賀百万石の御膝元で、代々前田家が藩主となり、江戸時代から文化的に栄えた町である。冬の風物詩、 フードピア金沢 は1985年から毎年2月に開催され、日本中から多くの観光客を集めている。2014年の情報はまだないが、きっと企画中だろう。 名前が示すように、このイベントは食を中心にしており、老舗料亭に各方面から著名人を呼び、伝統的な加賀料理を

『大戦前夜のベーブ・ルース』 - 果たせなかった昭和の夢 書影

アート・スポーツ / 日本史

『大戦前夜のベーブ・ルース』 - 果たせなかった昭和の夢

日本プロ野球界において、その年の最高の投手に与えられる「沢村賞」という栄誉。今年、満場一致で田中将大投手(楽天)に贈られたことは記憶に新しいが、この「沢村賞」という言葉の持つ響きには、今なお神聖なものがある。 選考基準は、登板試合数・完投試合数・勝利数・勝率・投球回数・奪三振・防御率など。これだけ分業制が確立された現代においても、完投試合数、投球回数などの項

『遣唐使 阿倍仲麻呂の夢』 ー 男はなぜ帝国の重臣になれたのか 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『遣唐使 阿倍仲麻呂の夢』 ー 男はなぜ帝国の重臣になれたのか

「白紙(894年)に戻す遣唐使」と遣唐使廃止の年号をランドセルを背負って覚えていたあの頃は何だったのか。895年でも893年でも良い気がするが語呂が悪くなるか。確かに894年は意味と語呂がぴったりくる。893年だと「ヤクザ(893)もびびる遣唐使」か。意味分かりません。、「やくみ(893)つるも大好き遣唐使」ってのもある。もはや支離滅裂。895年に至っては、

『気候で読み解く日本の歴史―異常気象との攻防1400年』 by 出口 治明 書影

生物・自然 / 日本史

『気候で読み解く日本の歴史―異常気象との攻防1400年』 by 出口 治明

歴史は文系の学問ではない(そもそも、大学が文系・理系と分かれているのは、先進国ではわが国ぐらいのものではないか)。グローバルには、自然科学の知見を存分に活用し、例えばBC1200年のカタストロフィや、モンゴル・ウルス崩壊など、歴史的な超大イベントの原因を気候変動に求める見解が有力であるが、日本史においては、著者の作品以外にそういった書物にはこれまであまり出会

『愛国・革命・民主:日本史から世界を考える 』  by 出口 治明 書影

日本史 / HONZ客員レビュー

『愛国・革命・民主:日本史から世界を考える 』 by 出口 治明

「花には香り、本には毒を」という言葉が好きだ。ベンチャー企業を経営するようになって忙しくなり、めっきり読書量が落ちたが、それでも平均すると週に4~5冊は読んでいるのではないか。本と旅しか趣味がないからではあるが。このコラムは、その中で、体内に毒がまわったものを選んで書き連ねているのだが(毒気を感じるのは、4~5冊に1冊くらい)、このところ、嬉しいことに、毒気