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170記事

『消された信仰「最後のかくれキリシタン」-長崎・生月島の人々』世界遺産から黙殺された人々 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『消された信仰「最後のかくれキリシタン」-長崎・生月島の人々』世界遺産から黙殺された人々

ユネスコの世界遺産委員会で、日本の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に登録されることが決まった。国内では22番目の登録遺産となる。 この「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、長崎から熊本にまたがる12の構成遺産からなり、その中には、現存する国内最古のキリスト教関連建築物で国宝の大浦天主堂(長崎市)なども含まれる。 一時の熱狂的な

『ロマンで古代史は読み解けない』科学者が古代史を研究するとこうなった! 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『ロマンで古代史は読み解けない』科学者が古代史を研究するとこうなった!

古代史=神話というイメージが拭えない。確かにロマンあふれる物語だが、真実ではないだろう。だが日本には『古事記』や『日本書紀』という過去の偉人たちが積み上げてきた第一級の資料が残されている。 ならば徹底的に科学で解明しようというのが本書の狙いである。著者は大学共同利用機関法人自然科学研究機構の科学者だ。坂本は「生理学研究所」でヒトの脳機能を、共著者の渡辺英治は

目からうろこの対談本『明治維新とは何だったのか』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

目からうろこの対談本『明治維新とは何だったのか』

歴史というものは、常に勝者が作ってきたものである。勝てば官軍負ければ賊軍という言葉にある通り、戦いに勝った側が自身の正当性を主張するために、負けた側を貶めることがよくある。現在、日本で教えられている歴史も例外ではないのだろう。一般的には討幕を成し遂げ、明治政府を作り上げた薩長側から見た歴史(薩長史観)が学校では教えられている。 私もそのような歴史を習い、いま

日本の原子力政策のドラマが詰まった『電力と政治』 書影

社会 / 事件・事故

日本の原子力政策のドラマが詰まった『電力と政治』

再生可能エネルギーの躍進で世界中の電力構造は大きく変わろうとしている。太陽光をはじめとする再生可能エネルギー分野で技術革新がすすみ発電コストが大きく下がったことにより、供給量が大きく伸びてきた。 2000年代にも同じように電力構造の変化が起きており、その頃の主役は原子力だった。CO 2 を輩出しない電源として地球温暖化対策の救世主としてももてはやされ、原子力

『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』面白い本を読んだら、誰かと話したい! 書影

教養・雑学 / 世界史

『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』面白い本を読んだら、誰かと話したい!

幅広い選書と奥深い視点で、早くも話題になっている『 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦 』。先日、東京堂書店 神田神保町店で行われた刊行記念イベント「面白い本を読んだら誰かと話したい!」において、著者のお二人と一緒に登壇させていただきました。書き手としてよく知られるお二人は、読み手としてどのような一面を持つのか? そして本を語り合うことの面白さは

『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』ああ、僕に時間がもう少しあれば、このような1対1のゼミを受講してみたい 書影

教養・雑学 / 世界史

『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』ああ、僕に時間がもう少しあれば、このような1対1のゼミを受講してみたい

何というおどろおどろしいタイトルだろうか。普段お世話になっている旧知の著者からゲラが送られてきたので、少しは読まなければ申し訳ないと思って読み始めたら、これが面白くて読むのを止められない。 本書は2人の尖った個性がお互いに本を選んで3か月に1回、その本について縦横に語り合った対談集である。選ばれた本も秀逸で(知らない本が半分ほどあったが)、2人の対談も奔放の

『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』スタンダードの求心力と辺境の遠心力 書影

教養・雑学 / 世界史

『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』スタンダードの求心力と辺境の遠心力

読書会のやり方は人によって様々だと思うが、面白く実施するためにはいくつかの条件がある。たしかに同じような読書量のメンバーが集まり、本をネタに好き勝手言い合うだけでも、それなりの楽しさはあるだろう。 しかしそれを継続的に習慣化していくためには、少なからず妄想のような会話にリアリティが伴ってくる必要がある。HONZの例で言えば、サイエンス本の話に触れながら、ふと

『「日本の伝統」の正体』著者インタビュー 書影

日本史 / 著者インタビュー

『「日本の伝統」の正体』著者インタビュー

去る1月中旬、こんなメールが筆者のもとに届いた。「追加取材をしませんか」 柏書房の編集部からのものだった。文面によれば、筆者が年初にHONZで書いた 『「日本の伝統」の正体』(藤井青銅/柏書房)のレビュー を皮切りに、正月中にAmazonは在庫切れ、紀伊国屋新宿本店では完売、記事を見た他書店からも追加注文がぞくぞくと入ってきている……という状態だったそうだ。

『GHQと戦った女 沢田美喜』 書影

日本史 / 「解説」から読む本

『GHQと戦った女 沢田美喜』

戦後70余年。神奈川県大磯のエリザベス・サンダース・ホームで育った混血の孤児たちも、思えば、すでに老齢にさしかかっているだろう。 ホームの創設者、沢田美喜(1901~80年)は三菱財閥の創始者、岩崎彌太郎の孫である。男ならば当然、事業を発展させたはずだが、美喜は20歳で外交官、澤田廉三と結婚し、南米や中国、欧米各国で華やかな社交を繰り広げた。ところが、4人の

絶望的にヒーロー不在『八甲田山 消された真実』フィクションとノンフィクションと 書影

事件・事故 / 日本史

絶望的にヒーロー不在『八甲田山 消された真実』フィクションとノンフィクションと

神成大尉は、二一〇人の兵隊を凍死させたのは自分の責任であるから自分は自殺する、舌を噛んで自殺すると。…… ベッドの上で正座して話す老齢の男性――その人は、世界最大級の山岳遭難事故の最後の生存者・小原中三郎元伍長であった。 1902年(明治35年)1月。日露戦争を前に陸軍は寒冷地での行軍を調査・訓練するため、青森の陸軍歩兵第五聯(れん)隊と弘前の第三十一聯隊が

『日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実』予想を超える厳しい現実に直面した兵士たち 書影

社会 / 世界史

『日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実』予想を超える厳しい現実に直面した兵士たち

1941年12月8日に始まり、45年8月15日に終結した、アジア・太平洋戦争は日本だけでも軍人・軍属230万人、民間人80万人、計310万人もの犠牲者を出した。当然ながらこの戦争は様々な視点から多くのことが論じられてきた。本書は過去の議論を踏まえた上で、3つの問題意識を重視しながら先の大戦を見直すことを目的としている。では三つの問題とは何か。一番目が、戦後歴

『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』「民族協和」を目指した学生たち 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』「民族協和」を目指した学生たち

日中戦争当時、石原芫爾が満州事変を首謀し、満州国を建設後、彼が次に目指したのは将来国を担っていくエリートの育成である。満州国の最高学府として建設されたのが「満州建国大学」。満州国が当時国是として掲げていた「民族協和」の実践場として、日本人の定員を半分に制限し、中国、朝鮮、モンゴル、ソ連のなど様々な国から学生を募った。 本書は、著者が建国大学卒業生たちを訪れ、

僧侶で歴史は動いた 『日本の奇僧・快僧』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

僧侶で歴史は動いた 『日本の奇僧・快僧』

奇僧はまだしも、快僧……? 道鏡、西行、文覚、親鸞、日蓮、一遍、尊雲(護良親王)、一休、快川、天海……お坊さんの名前が10人ずらり。共通点は、歴史の教科書で名前を見たことがあること、それから人物がとんでもなくて、おもしろいこと。この10人について、それぞれコンパクトに評伝がまとめてある。醍醐味は、読み通すと日本史が俯瞰できることだろう。 著者の今井雅晴さんは

世界一の戦闘飛行機を創った男『銀翼のアルチザン』 書影

人物 / 日本史

世界一の戦闘飛行機を創った男『銀翼のアルチザン』

「疾風(はやて)」。離陸速度、最高速度、旋回、急降下等、その性能の高さは世界の中でも群を抜き、第二次世界大戦中、米国軍に「悪魔の機体」と名付けられた。それだけではなく、何よりもパイロットの安全を考え、彼らが迅速に機外脱出出来るよう設計されていた。戦後、米軍はその性能を分析し、驚愕した。 本書は「疾風」を世に生み出した中島飛行機と、そこで生きた人間の物語である

渋谷の歴史と音楽と時間と『渋谷音楽図鑑』 書影

民俗・風俗 / 日本史

渋谷の歴史と音楽と時間と『渋谷音楽図鑑』

今年のフジロックで小沢健二とコーネリアスを観てきた。コーネリアスが今年発売したアルバム『 Mellow Waves 』が素晴らしくよい作品だったので、コーネリアスを最後まで観たかったのだけど、最後まで見ていると入場規制で小沢健二が観れないと思い、泣く泣く途中で切り上げ小沢健二をみにいった。その後、予想通り入場規制がかかったので、はやめに移動して正解だった。

『時代劇の「嘘」と「演出」』クリエイターと 歴史家、「時代」をめぐるせめぎ合い 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『時代劇の「嘘」と「演出」』クリエイターと 歴史家、「時代」をめぐるせめぎ合い

「なんておもしろいの!」 この本を読んでいると、ページをめくるたびにこの一言が口をついて出る。 戦国時代を専門とする著名な学者・小和田哲男氏が時代考証にあたった大河ドラマ『江〜姫たちの戦国』で、こんなことがあったそうだ。浅井長政の小谷城が織田信長に攻め落とされる場面。 最近の研究では、小谷城は実際には燃えていなかったことが判明している。小和田は炎上シーンは描

『水を石油に変える人 山本五十六、不覚の一瞬』稀代の詐欺師、暗躍の戦争裏史 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『水を石油に変える人 山本五十六、不覚の一瞬』稀代の詐欺師、暗躍の戦争裏史

昭和14年1月の深夜、霞が関の海軍省の地下の一角では、なにやら怪しげな実験が進行していた。「水からガソリン」をつくるというこの実証実験は、山本五十六海軍次官や「特攻の生みの親」ともいわれる大西瀧治郎大佐などの立会いのもと、三日三晩行われ、最終日に成功を収めた。 実験を行っていたのは「街の科学者」として名を馳せていた本多維富という初老の男だ。彼は稀代の詐欺師で

『祖国の選択 あの戦争の果て、日本と中国の狭間で』 書影

日本史 / 「解説」から読む本

『祖国の選択 あの戦争の果て、日本と中国の狭間で』

何という人生の数々だろうか――。 本書を読みながら、思わず天を仰ぎたくなるように、何度もそう感じた。 著者の城戸久枝さんが「あの戦争」と呼ぶ70年前の時代の混乱の中で、祖国を自らの意志によって選ばなければならなかった6人の体験が、丁寧な聞き取りによって描かれていく。 冒頭で滔々と語られる小林栄一氏の半生を読み始めたときから、私はその「語り」の重みに一気に引き

『「維新革命」への道 「文明」を求めた十九世紀日本 』 日本は西洋に何を求めたか 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『「維新革命」への道 「文明」を求めた十九世紀日本 』 日本は西洋に何を求めたか

グローバリズムが加速度的に世界を覆っていくにつれ、世界各地で文明の衝突が激しさを増している。イスラム過激派によるテロ活動は収束する気配を見せず、北朝鮮の孤立化はより深刻なものとなり、アメリカのトランプ政権は他文化との壁をより高いものにしようとしている。多文化が平穏に共存する道を、人類は見つけることができるだろうか。それとも、文明の衝突は歴史の必然なのだろうか

側近の書いた「信長」 『信長公記(全)』 書影

日本史 / プレミアム・レビュー

側近の書いた「信長」 『信長公記(全)』

家臣が同時代に書いた、織田信長の一代記『信長公記』。これを歴史小説家が現代語で訳したのが本書だ。本能寺の変で自害するまでの15年間がつぶさに記された、歴史資料としても、読み物としても第一級の一冊。これがまあ、おもしろくて一気読み! 時には歴史の海へ身を投げ出して、戦国時代にタイムトリップをしてみるのもいいぞ。 著者の太田牛一は、尾張の田舎(といっても、現在の

『日本ノンフィクション史 ルポルタージュからアカデミック・ジャーナリズムまで 』 虚構と現実の境界 書影

社会 / 日本史

『日本ノンフィクション史 ルポルタージュからアカデミック・ジャーナリズムまで 』 虚構と現実の境界

ノンフィクションとは、なんともとらえにくいジャンルだ。字義通りにみればそれは、フィクションではないものなのだが、もう一歩踏み込んで「フィクションではないもの」とはつまりは何なのかと考えてみよう。「ノン」という否定形ではなく、肯定系でその存在を描写しようとすると、途端にその輪郭はあいまいなものとなる。立花隆ですら「ノンフィクションとは何か、ノンフィクションとは

すべて捨てろ!『死してなお踊れ 一遍上人伝』 書影

アート・スポーツ / 人物

すべて捨てろ!『死してなお踊れ 一遍上人伝』

本書は、鎌倉時代の「踊り念仏」で知られる時宗の開祖・一遍上人の評伝だ。 開祖といっても本人は死ぬまぎわまで、こんな活動は一代限りでやめろと門弟に釘をさしている。 仏教本でお堅いのかと思いきや、全くそんなことはなく、著者は口語で語りかけてくるので読みやすい。そして一遍の怒涛を体感するだけでもエンターテイメントとして成立している。 一遍は、伊予水軍で名高い河野家

今や28万部を突破!『応仁の乱』を読んでいるのは、どんな人たちなのか? 書影

日本史 / 併せて読まれたこの一冊

今や28万部を突破!『応仁の乱』を読んでいるのは、どんな人たちなのか?

「京都人にとっては先の戦争といえば、第一次でも第二次でもなく、応仁の乱のことを指す」という都市伝説があるそうです。それほどにメジャーな戦だと思っていた「応仁の乱」は、実は地味で、かつ難しいものだったということが最近話題になっています。このきっかけになったのが中公新書の『応仁の乱』。新書、そして歴史物という渋いジャンルから大ベストセラーまでになった軌跡を振り返

『平安京はいらなかった 古代の夢を喰らう中世』 書影

日本史 / HONZ客員レビュー

『平安京はいらなかった 古代の夢を喰らう中世』

冒頭、著者は「日本という国に、あのような平安京などいらなかった」と喝破する。「平安京は最初から無用の長物であり、その欠点は時とともに目立つばかりであった」と。「では、なぜ不要な平安京が造られ、なぜ1000年以上も存続したのか」と著者は畳み掛ける。そう挑発されたら、後はもう読むしかないではないか。とても刺激的な1冊だった。 日本は、大唐世界帝国の脅威に直面して

『日米開戦と情報戦』目的の不明確さが招いた悲劇 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『日米開戦と情報戦』目的の不明確さが招いた悲劇

日米戦争(太平洋戦争)とは何だったのか?なぜ今日に至っても歴史的評価が定まらないのか?そもそも日本は何のためにアメリカと戦争したのだろうか? 著者が指摘しているように、過去の出来事を知っている我々は、歴史に対して神の立場に立っている。全ての結末を知っている現在から、過去の人々の判断や行動を後講釈で説明しても意味がない。 「ルーズベルト大統領は真珠湾攻撃を知っ

『礼服(らいふく) ―天皇即位儀礼や元旦の儀の花の装い―』 書影

教養・雑学 / アート・スポーツ

『礼服(らいふく) ―天皇即位儀礼や元旦の儀の花の装い―』

日本における最高の正装をご存知だろうか? タイトルでもある礼服(らいふく)とは、「大宝律令」および、これを改定した「養老律令」の衣服令において、皇太子以下五位以上の貴族の正装と規定されており、わが国で最も格式の高い服である。元日に行われる朝賀の他、大祀や大嘗という特別な祭祀にも用いられており、国家的に最も重要な儀礼に使用された装束といえる。 といっても明治天

『「火附盗賊改」の正体 幕府と盗賊の三百年戦争』江戸は意外と治安が悪い? 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『「火附盗賊改」の正体 幕府と盗賊の三百年戦争』江戸は意外と治安が悪い?

火附盗賊改といえば、池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』を思い浮かべる人も多いであろう。特にテレビドラマで中村吉右衛門が演じる長谷川平蔵が「火附盗賊改である!」と見得を切るシーンは有名だ。 ところが、小説やドラマなどで有名な火附盗賊改という組織がどのような組織であったのかと問われると、私をはじめ多くの人が明確には答えられないのではないか。そもそも江戸の治安を守って

『「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜』最近、再び増殖中 書影

民俗・風俗 / 日本史

『「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜』最近、再び増殖中

「ディストピア」とはユートピアの反対語。理想郷じゃない場所のことだ。「日本スゴイ」ならユートピアなんじゃないの?と思いながら読みはじめると、戦時下に行われたプロパガンダによって洗脳された日本人の姿に戦慄させられる。言葉の力は強大だ、プラスに働いてもマイナスでも。 本書には昭和初期から終戦までに出版された、当時の「日本スゴイ」本の中から「日本主義」「礼儀」「勤

『風土記の世界』 書影

民俗・風俗 / 日本史

『風土記の世界』

「風土記の世界」というタイトルから、かつての 「古事記の世界」 (西郷信綱)という名著を連想したが、本書も期待を裏切ることなく冒頭から引き込まれてしまった。 風土記とは何か。当初、わが国の史書の構想としては、紀・志・列伝の三部をもつ中国正史(「漢書」など)をお手本とした「日本書」がもくろまれていた。紀や列伝は国家の縦軸となる時間を保証するものであり、志は横軸

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ 』 書影

日本史 / 「解説」から読む本

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ 』

加藤陽子さんの『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』は、2010年度の第九回小林秀雄賞の受賞作です。その時に選考委員だった私は、半ば強引にこの作品を推しました。それをしたのは、もちろん、多くの人にこの本を読んでもらいたいと思ったからですが、もう一つ、「中学高校生を相手にして講義をする」という形のこの本が、叙述の形としては画期的に新しいと思ったからです。 5章

埋もれた歴史の謎を解く『漂流の島 江戸時代の鳥島漂流民たちを追う』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

埋もれた歴史の謎を解く『漂流の島 江戸時代の鳥島漂流民たちを追う』

ロビンソン・クルーソーのモデル、スコットランドの船乗りアレクサンダー・セルカーク。南太平洋の無人島に漂着した彼は、4年4か月を1人きりで生き延びた。彼が漂着した島はチリにあり、現在ではロビンソン・クルーソー島と名付けられている。著者・高橋大輔氏は、広告代理店の職を辞してセルカーク住居跡の発掘プロジェクトを推し進め、13年かけて遂にそれを発見した。そんな高橋氏

『古代東アジアの女帝』 書影

人物 / 世界史

『古代東アジアの女帝』

本書の冒頭で、80歳を超えた著者は、高らかにかつこの上なく明晰に述べる。「これまで女帝は中継ぎの存在にすぎない、あるいは巫女的な役割であったなどその存在を矮小化されてきた。しかし、それは古代社会を男性中心に考える歴史観の偏見にすぎないのではないだろうか。時系列に従って箇条書き的に事柄を並べる正史の底流を繋いでいくと、逆に、伝統に依存した男性支配の政治の停滞と

『大学でまなぶ日本の歴史』そうだったのか!が次々に 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『大学でまなぶ日本の歴史』そうだったのか!が次々に

日本の歴史の基礎を一冊で総覧する本と言えば、高校の教科書がまず浮かぶ。高校時代は試験のために仕方なく開き、太文字を拾って闇雲に暗記するものの、短時間で詰め込んだものは短時間で記憶の彼方へ。教科書なんて無味乾燥、淡々とした記述の羅列…。子供たちはみんなそう思っている。 だが、大人になってみると分かってくる。実は、教科書ほど基本的な教養を網羅しているものはない。

『マーケット進化論』不完全さと向き合った人々の物語 書影

日本史 / ビジネス

『マーケット進化論』不完全さと向き合った人々の物語

律令制の時代から昭和初期にかけて、市場経済が形成され、洗練されていくプロセスが書かれた1冊だ。要所を辿りながら、1200年以上の時間を一気に駆け抜ける。まんべんなく触れるのは難しいので、時代を絞って紹介していきたい。 著者によれば、戦国時代は日本経済史のなかでも特殊な局面であるという。全国レベルで資源配分を管理する存在もいなければ、全国一律の基準で市場経済を

失敗の本質ーエネルギー版『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 書影

社会 / 日本史

失敗の本質ーエネルギー版『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』

国際政治経済のゲームのルールが変わりつつある。シェール革命により自国でエネルギーをまかなえるようになったアメリカは、中東の石油に依存する必要がなくなり、不安定化する中東情勢に介入しなくなった。 かつての世界の警察官が興味を失い、ますます混迷を極める現在の中東。一方で、資源の乏しい日本は そんな不安定な地域に エネルギーの大部分を依存しつづけている。アメリカに

『天平の女帝 孝謙称徳』 書影

日本史 / HONZ客員レビュー

『天平の女帝 孝謙称徳』

7世紀の初めに拓跋国家の掉尾を飾る大唐世界帝国が成立して、最初の30年を太宗(李世民)が牽引、その後の半世紀を英邁な武則天が引き継いだ。武則天の時代に白村江の戦いが行われ高句麗が滅んで朝鮮半島が新羅によって統一され、わが国には激震が走った。そして、持統、元明、元正、孝謙称徳と女帝の世紀が出現した。おそらく武則天の活躍が彼女たちのロールモデルとなったであろうこ

『天皇陛下の私生活 1945年の昭和天皇』知られざる天皇皇后の姿 書影

人物 / 日本史

『天皇陛下の私生活 1945年の昭和天皇』知られざる天皇皇后の姿

昭和20年1月1日早朝、昭和天皇は皇居の御文庫内の寝室で目を覚ました。起床を知らせるベルを鳴らすと女官や侍従がにわかに動き出す。ここは昭和17年、吹上御所に建てられた鉄筋コンクリートの防空建築で、戦争が始まってからは事実上の住まいとして使用されていた。 太平洋戦争の終結、その後進駐軍を迎えたこの年、天皇と皇后はどのように暮らしていたのか。本書はそれを側近や家

『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』知の力を信じるということ 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』知の力を信じるということ

日中戦争当時、傀儡国家・満州国の最高学府として設立された国策大学が「満州建国大学」である。満州国の将来の指導者たる人材の育成と、満州国の建国理念である「五族協和」の実践の場として、日本人・中国人・朝鮮人・モンゴル人・ロシア人といった様々な民族から選抜された若者たちが6年間寝起きを共にしながら切磋琢磨する。すべて官費で賄われ授業料も免除という条件の良さもあり志

『典獄と934人のメロス』横浜刑務所を襲った激震と猛火、そして囚人たちが解放された 書影

事件・事故 / 日本史

『典獄と934人のメロス』横浜刑務所を襲った激震と猛火、そして囚人たちが解放された

1923年、近代化へ邁進する日本を直撃した関東大震災。帝都・東京を中心に関東一円へ大きな被害をもたらし、死者・行方不明者は10万人強にも及んだ。このような自然災害の理不尽さは、時や場所を選ばぬことにある。 被害は平穏に暮らしていたはずの一般市民のみならず、囚人たちを収容する刑務所にも襲いかかった。なかでも壊滅的なダメージを受けたのが、震源地にほど近かった横浜

就職先、南の島 『日本を愛した植民地 南洋パラオの真実』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

就職先、南の島 『日本を愛した植民地 南洋パラオの真実』

本書の舞台は、ミクロネシアである。ただ、そういわれても、茫洋として掴みにくい。だから副題に「南洋パラオ」と入っているのだろう。観光地パラオなら少しはイメージできる。実際に私は、この副題で興味が湧いた。メインタイトルだけだったら、手に取ることさえなかっただろう。そういう類の本は山ほど出ているからだ。私は、この副題に惹かれて本書を手に取り、そして、次の一文を読ん