
『アイリーンといっしょに』空を飛ぶチキン
クリスマスシーズンのスーパーマーケット。聖なる日を祝うための、きらびやかな飾りつけ。そんな店内のなかで、ひとりの女性が怒り狂い、チキンのパックを、つれの女性に投げつける。『アイリーンといっしょに』は空を飛ぶチキンで幕開けする。 著者テレル・ハリス・ドゥーガンはユタ州ソルトレーク市に住む初老の女性だ。チキンを投げつけたのは彼女の妹でアイリーン。彼女が生まれると
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クリスマスシーズンのスーパーマーケット。聖なる日を祝うための、きらびやかな飾りつけ。そんな店内のなかで、ひとりの女性が怒り狂い、チキンのパックを、つれの女性に投げつける。『アイリーンといっしょに』は空を飛ぶチキンで幕開けする。 著者テレル・ハリス・ドゥーガンはユタ州ソルトレーク市に住む初老の女性だ。チキンを投げつけたのは彼女の妹でアイリーン。彼女が生まれると

橋マニアにとっては必携書である。判型は縦165mmX横133mm、文庫本をすこし大きくしたような本だ。ほぼ全ページフルカラーで、左ページに橋の写真、右ページにその構造などを示すイラストが配置されている。 第1章は導入部で「橋を理解する」。材料、様式、用途、技術者の順に橋の全体像を説明する章だ。第2章が本体で「ケーススタディ」である。桁橋の例として現代米国の
職業外伝 紅の巻 (ポプラ文庫) 職業外伝 白の巻 (ポプラ文庫) 飴細工師、俗曲師、銭湯絵師、へび屋、街頭紙芝居師、野州麻紙紙漉人、幇間、彫師、能装束師、席亭、見世物師、真剣師。 イタコ、映画看板絵師、宮内庁式部職鵜匠、荻江流家元、琵琶盲僧、蝋人形師、チンドン屋、流し… 紅と白、二冊の『職業外伝』で紹介された、滅びつつある仕事の数々である。取材開始が20年

国内の外資系企業で働いている人は51万人、日本の雇用者数は5140万人だから、わずか1%だ。近そうで遠い存在なのが外資系である。著者がテレビドラマの女性プロデューサーに、外資系のイメージを聞いてみると「物腰が柔らかく、いつも微苦笑。言葉は丁寧」「男女ともに、なぜかコートはカシミヤのロング丈」などだそうだ。 では、実態はどうなのだろうと調べてみたのが本書である

2009年3月17日と18日、軍・情報機関・学界・シンクタンク・投資銀行等の専門家60名が、厳重なセキュリティ・チェックを受けないと入れないワシントンDC近くにあるAPL戦争分析研究所内に密かに結集していた。彼らは皆、アメリカ国防総省(ペンタゴン)が後援する初の金融戦争シミュレーション・ゲームの参加者である。 アメリカ国防省は、敵対国もしくは過激派が通貨、株

写真集は人の個性を十二分に表す。写真家の個性はもちろんだが、それを手に取る読者の個性も赤裸々に映し出す。例えば、鰐部祥平は 『朽ちる鉄』 を手に取る。土屋敦は 『温泉川』 を手に取る。内藤順は 『パイスラッシュ』 を手に取る。それぞれどんな内面を写真集が代弁しているのか、読者の想像にお任せしよう。そして、私が手に取ったのはこの写真集である。 本書で紹介される

ヨーロッパのクラブNo.1を決める戦い。それがUEFAチャンピオンズリーグ(以下CL)である。いまやワールドカップを凌ぐほどの地位と名声を得ており、世界中のフットボーラー憧れの舞台となっている。 ヨーロッパ各国のトップチーム同士の対戦は、いままで数多くのドラマを生みだしてきた。そして信じられないような奇跡が起きるのもチャンピオンズリーグの魅力である。まずは私

本書の著者である映画監督、園子温(その・しおん)の小学校時代の通知表には、教師からのこんな言葉が記されていた。 「落ち着きがない」、「教師の話を聞かない」であれば珍しくはないが、「性的異常」にはなかなかお目にかかれない。子温少年は一体何をしたというのか。 答えは驚くほどシンプル。彼は、全裸で教室に入っていったのだ。 教師から「全裸」であることをこっぴどく叱ら

正直にいうと、私は長期間、遠くに行くのがあまり好きではない。理由はわからないが、子供の頃からそうだったし、今もそうだ。 もしかしたら、根っからの農耕民的な性格を引き継いでいるのかもしれない。江戸時代の農民にでも生まれていたら、一生の大半を生まれた村から出ることなく生きたであろう。そんな出不精な私が、たまたま手に取ってしまったのが、私とは正反対の生活を営む放浪

「ものづくり」が変革の時を迎えようとしている。3Dプリンター、カッティング・マシン、ミリング・マシン、PC制御ミシンなど、デジタル工作機械の登場により「つくる」という行為そのものの意味が、変わりつつあるのだ。 中でも注目を集めるのが、ファブ建築と呼ばれる手法である。分解・組立可能で、まるでプラモデルのように作れる木造建築は、「ソーシャルビルド」としての側面か

街中で少しでも時間があると本屋さんに入ってみる。出張で札幌に行った時、地元ならではの本はないかと入った書店で偶然に見つけたのがこの本である。そんな状況で掘り出した本なので、「新刊超速」というには恥ずかしいタイミングになっていることはお許しいただきたい。しかし、出版後一ヶ月で版を重ねているから、この本、地元では結構売れたようだ。 次から次へと「どこどこ(地名)

最後の直線で大外から並ぶ間もなく先頭に立ったとき、誰もが確信したはずだ。「勝てる」。それほど脚色は違った。あとはどれだけ2着以下を突き放すのか。競馬の世界最高峰のレースのひとつである凱旋門賞。日本馬が挑み始めて43年。日本競馬界は悲願の頂に登ろうとしていた。その10秒後にまさか「ぐおおおおおおおお」と声にならない叫びをあげるとは今となっても信じられないが。

本書を改めて読み返した時、冒頭の「内戦前の高校時代の話」が「夢のような思い出」であったことがよくわかった。1990年にリベリアで内戦が始まった頃、彼女は、入学したばかりの大学生だった。将来は、医者になりたかった。そこから14年に及ぶ戦争が始まる。 本書は、シングルマザーとして内戦を生き延び、非暴力の平和構築活動による貢献によって昨年度のノーベル平和賞が与えら

人生に困った時、この本をひもとけば必ず何らかの打開策を得ることができる。なんとも画期的な本である。おもろい人生相談だけでなく、その回答にいたる思考回路を惜しげもなく披瀝し、その方法論を一般化したこの本は、かの古典的名著、デール・カーネギーの『 道は開ける 』 に匹敵すると言っても過言ではない。 朝日新聞の土曜版に掲載されている『悩みのるつぼ』の回答陣の一人、

食卓を語り、農業を語り、漁業を語り、そして林業を語る。この本は解剖学者である養老孟司が「本当の仕事」をしていると考える4人と対談した、対談集である。 4人とは岩村暢子。岩澤信夫。畠山重篤。鋸谷茂。それぞれ日本の1次産業で日本の今に接し、そのあり方に大きな疑問や提唱をおこなってきているスペシャリストだ。ひとまず目次を見てみよう。 第一章 現代人の日常には、日常

2009年に他界した平山郁夫といえば、東山魁夷、岡本太郎と並び日本で最も高名な画家の一人として知られる。本人の絵を飾っている方もいるかもしれない。 国内において一番知名度があり、値段が高く、画壇ヒエラルキーの頂点にいた事実でいえば「平成の国民的画家」は間違いなく平山郁夫だろう。なにより「芸術家は貧乏だ」という常識を覆す美術界のモンスターだった。 平山自身は画
朝会は順調に進んでいく。一周目が終りお互い突っ込みあっていたその裏で、 その日のHONZサイト が大変なことになっていることを、代表以下メンバー全員は知る由もなかった… この日の欠席者のオススメ本はこちら。 幕張メッセの展示会に詰めている 栗下直也 和牛詐欺 人を騙す犯罪はなぜなくならないのか 中継ぎ投手 ---荒れたマウンドのエースたち 愛と欲望のナチズ

最近、歴史を意識させられることが多い。竹島でも尖閣でも、結局のところ歴史的経緯から紐解いていく必要が生じている。尖閣問題では中国国内で大規模な反日暴動が発生し、多くの日本人が心を痛めたのは記憶に新しいが、日本側が「領土問題など存在しない」と主張したところで、中国や台湾にとっては歴史問題であって、最後はどうしても同じ場所、つまり「日本の近現代史」に行き着いてし

著者は誘拐犯や人質立てこもりの犯罪者との交渉を担当するプロフェッショナル、通称「交渉人」(ネゴシエイター)。本書は、彼がこれまでに担当してきた事件の中身を綴ったノンフィクションである。事実は小説より奇なり、とはこのことのだろう。これまで交渉人を扱った小説や映画は沢山あるが(ジェフリー・ディーヴァ―の出世作『静寂の叫び』、ブルース・ウィルス主演の『ホステージ』

Ask what you can do for your country. あなたが国のために何ができるか、問いかけてください。 ジョン・F・ケネディの有名な演説の一節である。ファーストリテーリングの代表取締役会長兼社長である柳井正氏が、この本で言いたかったことは、この言葉に集約されている。 このままではダメになる。そういった危機感を持っている人が世の中には

HONZのレビューの書き手は日付の下一桁で決まっていて、さながらプロ野球の先発ローテーションのようだ。先発1番手は投稿回数73の鉄腕内藤順、2番手は豪腕ならぬ豪筆村上浩、3番手の神様仏様土屋様は昨日HONZ史上最高のアクセス数を記録、サーバーをダウンさせた。 強力3本柱の後、4の付く日はそれなりにプレッシャーがかかる。だとしても、怖じ気づいてもボールを投げな
10月の朝会は久しぶりに六本木のD-Laboに戻った。 公開朝会はとても楽しかったけれど、普段はもう少し辛辣なのだ。みんな大人なので、暗黙の了解のうちに無難な話題になっていたなあ、と思う。 さて、いよいよHONZ本の完成が近づいてきた。昨晩、とりあえず校了を済ましたが、私は結構ヘロヘロであった。PCも開かず、お互いの連絡事項を見ないまま六本木に向かう電車でメ

これは、エストニア出身の大関・把瑠都が初優勝のインタビューで、国技館まで駆けつけた母親に捧げた言葉である。この台詞は、母親への感謝を表す感動的なものではあるが、何だか違和感がある。あなたが日本人なら、日本語を母語として操るなら、違和感の正体は明らかだろう。そう、こういうとき私たちは、「生んで くれて 、ありがとう」と言うのだ。実際に、このインタビューを伝える

いきなり言い訳になってしまうが、高橋秀実作品の面白さをレビューで伝えるのは、実は難しい。構成は徹底的に練られ、すべての章、すべての文が有機的につながっていて、その一部を取り出したところで、本全体が醸す、なんともいえない、そこはかとない面白さを伝えることができず、もどかしい気分になる。 なので、こう書くしかない。本書はとびきりに面白い。近年の作品の中では、一番

「科学と宗教」という、既に語り尽くされたと思われるテーマに、無神論的心理学者の著者ジェシー・ベリングを向かわせたのは、母の病気である。ベリングが10代のころ、彼の母はがんと診断された。母の病状を聞いたとき、神の存在を微塵も信じていなかった彼の頭に、意外な言葉が浮かんだ。 反射のように浮かび上がった神を、ベリングは理性の力で即座に振り払った。母の症状が科学的に

保衛員が数人がかりで中年女性を絞首台に引きずり出し、青年を柱に縛りつけた。それは彼の母親と一人っきりの兄だった。保衛員が母の首に回した縄の輪をきつく締める。母は彼の目をとらえようとしていた。だが、彼は視線をそらした。それどころか、悶え苦しむ母を見ながら、死んで当然と考えていたのだ…… 彼の名前はシン・ドンヒョク。北朝鮮の政治犯収容所で生まれながら、脱走を果た

標題の『リバース・イノベーション』とは、「途上国で最初に生まれたイノベーションを先進国に逆流させる」というものである。 これまでのイノベーションの多くは、まず先進国で始まり、その後で川下の途上国へと流れていくものであった。しかし、まるで重力の法則に逆らうかのように、真逆の動きをとるイノベーション事例が、しばしば散見されているのだ。本書はそんなリバース・イノベ

リーダーとは、つまり何だろうか。本書を読みながら、そんなことを考えてみた。 そして、私なりに辿り着いた(暫定的な)答えを、この場に書きとめてみたい。 人によって中心に据えられ、人を中心に据えることでそれに報いる存在。 それこそが、リーダーではないかと。 ネビル・イズデル。2004年6月、当時泥沼に喘いでいたコカ・コーラのCEOに就任し、5年間の在任期間中に見

座敷牢の調査報告書。 一言でいえばこんなところだろうか。ただし、100年前の話。 著者の呉秀三は、「日本精神医学の父」と呼ばれる、明治から昭和のはじめにかけて活躍した医学者だ。精神病患者の看護法を刷新したことで知られる。つまり、本書は看護や治療のやり方を一新すべく、当時の精神病患者がおかれた状況を実地調査したレポートなのである。 明治43(1910)年から、

例えば、「HONZでレビューする本」が予め誰かに決められていたら、 このレビュー のような、本当に書き終わるのかとハラハラする文章が書かれることは、多分無かった。また、例えば、サッカーの審判がレッドカードを出しまくって選手の自由な動きを止めてしまったら、そのゲームは大変つまらないだろう。おもしろい結果を出す組織は、最低限のルールと、ルールに従って自由に考える

てっきり書名からレアメタルの産業利用や資源開発がメインテーマかと思っていたが、本書で主に扱うのは生命科学の分野である。身内の第一人者を出し抜くようなテーマで僭越ではあるが、これは神秘的かつ深刻な内容に富んだ相当な力作。新刊本ウォッチャーの端くれとして、この一冊を見逃すわけにはいかない。 意外と知られていない事実ではあるが、重金属は人類の生活や科学技術に必須で

スタバ本にハズレなし、リッツ・カールトン本にハズレなし、というように、「〇〇にハズレなし」というのが自分の中では幾つかある。今日紹介する原田泳幸氏の書籍にもハズレなし。というのが自分の考えである。(ちなみにHONZの代表である成毛眞の著作にもハズレなしだと私は思っている)今回もその考えは間違っていなかった。 アップルの日本法人社長から日本マクドナルドの社長に

世界中で愛飲されているシャンパン。パーティーや祝いの席には欠かせないワイン。この美しく輝く琥珀色で泡立つワインの歴史は、それほど古いものではない。そもそもワインに泡が立つということはワインの腐敗を意味し、歓迎されることのない現象なのだ。スパークリングワインの発祥や商品化については、どこで始まり誰が行ったのか諸説あり、いまひとつはっきりとしていないようだ。 シ
ゼロからトースターを作ってみた 最初に壊したのは、多分おもちゃだ。 人形遊びが嫌いで、虫を捕ったりパズルをしたり、図鑑を見るのが好きな子供だった。動いているものを見ると、どうして動くのかが知りたくて、バネ仕掛けのびっくり箱やオルゴールを分解したことを覚えている。目覚まし時計をバラしたときは、誰もがそうだろうけれど、最後にネジが1本余った。普通に動いたので問題

ホームに入ってくる新幹線に一礼している集団を見たことあるだろうか。フランスの国鉄総裁に「これをフランスに輸出してほしい」と言わしめた日本が誇る「おもてなし集団」である。前米国カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルェネッガー氏や米国運輸長官ラフード氏も、日本を訪れた際にわざわざこの集団を視察している。国内では『日経ビジネス』誌がこの集団を「最強のチーム」と

ソーシャルメディアにおける情報の活用、スマホ・タブレットを始めとするモバイル機器の利用、ノマドを始めとするワーキングスタイル。これらをいかに駆使して、スキマ時間を有効活用するのか。今、多くのビジネスマンにとって、重要な課題となっているのではないかと思う。 そんなご時世の中、本書はある意味で時代の逆を行く「書斎」をテーマとした一冊である。 古くから多くの「知の

タイトルから誤解を招きそうなので、予め断っておくが、自己啓発書ではない。自動車王ヘンリー・フォードが発明王トーマス・エジソンから直接聞いた話をまとめた言行録である。今回新訳として出版された本書の原著は80年以上前に出版され、日本では昭和初期に一度翻訳されている。 二人はそれぞれ49歳、33歳のとき上司部下の関係で初めて出会い、その後、親しい友人として、お互い

線量計と機関銃。ふたつは戦時と現在をまたいで同じ役割を果たしている。戦時中、機関銃は科学の発達により「誰でも簡単に大量殺戮が可能な」兵器として発明された。機関銃を背負った人々は誰でも簡単に、躊躇せず、敵を打ち負かす。専門的な技術を必要としない武器は、当時の人々に衝撃を与えた。 そして3.11後の現在。人は線量計を片手に取り、原発と向き合う。かつて、エネルギー

ここ最近のビジネス書のトレンドの一つに、名著を噛み砕いた本というのがある。きっかけは200万部を超えるヒットとなった『もしドラ』あたりにあるのだと思うが、おととし発売された『 プロフェッショナルマネジャー・ノート 』がヒットしたことなども要因の一つになっているのかもしれない。今年に入ってから出たものだけでも、『 「超」入門 失敗の本質 』、『 企業参謀ノート