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326記事

『不合理だらけの日本スポーツ界』日大タックル問題はなぜ防げなかったのか 書影

アート・スポーツ / 社会

『不合理だらけの日本スポーツ界』日大タックル問題はなぜ防げなかったのか

日大アメフト部による悪質タックル問題がいまだに世間を騒がしている。監督からの直接的指示の有無があったかが最初の焦点だったが、世の中の関心は日大の広報対応や会見の司会者の素性、過去のアメフト部内での暴力問題にまで飛び火した。 もちろん、今回の問題は監督やコーチの属性による部分も少なくないだろう。だが、一方で全てを個人の問題として捉えてよいのか。日本の大学スポー

『バベる! 自力でビルを建てる男 』自分の自分による自分のための建築物 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『バベる! 自力でビルを建てる男 』自分の自分による自分のための建築物

旧約聖書の中に「バベルの塔」という物語がある。人間たちは、天にも届かないような高い塔を作りはじめた。神は、それを人間たちの神への挑戦と受け取り、人間の驕りを戒めるべく言葉をバラバラにしてしまう。言葉が通じなくなった人間たちは、意思疎通がとれずに塔を建設することができなくなり、塔は完成を見ることなく崩れ去ったーーそういう内容である。 この物語から得られる教訓は

『アート戦略 コンテンポラリーアート虎の巻』ルールはシフトした、視覚から頭脳へ 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『アート戦略 コンテンポラリーアート虎の巻』ルールはシフトした、視覚から頭脳へ

ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイの前澤友作社長が、昨年5月に行われたサザビーズ・ニューヨークのオークションで、ジャン=ミッシェル・バスキアの『Untitled』を約123億円で落札して話題になった。これはバスキアのオークション史上最高額である。 それ以前にも、一昨年5月にバスキアの作品を62億円で落札したら、世界のトップ100コレクターにも選ばれて

『日本画とは何だったのか』そして日本における近代性とは何だったのか? 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『日本画とは何だったのか』そして日本における近代性とは何だったのか?

「日本画とは何なのか?」、この問いに正面から答えられる人がどれだけいるだろうか。 日本画という芸術を成り立たせているのは、膠や墨や顔料などの日本画材(グルー・ペインティング Glue painting)なのか、日本画様式(ジャパニーズ・スタイル・ペインティング Japanese style painting)なのか、或いはその両方なのか、若しくはそれ以外のも

『印象派への招待』絵画の見方 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『印象派への招待』絵画の見方

印象派の影響力は強い。かつわかりやすい。 他の芸術ムーブメントである新古典主義やロマン主義、ダダイズムなどは聞いても私達はピンとこないのではないか。しかし印象派だけは誰もが知っている。それだけ人の心に訴えかける共感力や、ぱっと見た時の色彩の心地よさがあるのだろう。数字の面でいうと、75万円の絵が一気に2億円以上に跳ね上がるなど影響力もある。 本書は初心者が印

『カラヴァッジョの秘密』 書影

アート・スポーツ / 人物

『カラヴァッジョの秘密』

既に十分すぎるほどのオマージュを集めてきたカラヴァッジョ、17世紀以降の西洋絵画に絶大な影響を与えた稀有な天才について、今更、何かを書き加えることがあるのだろうか。そう思う人は、ぜひ、本書を紐解いて欲しい。 優れた作家が、周知の事実や数多の論及、古くからの評伝や長大な解説書など膨大な文献の洪水の中から、まるで魔法のように明確な輪郭を持ったシンプルで読みやすい

『絶滅危惧職、講談師を生きる』人気の若手講談師が本気で語る革命的芸道論 書影

教養・雑学 / アート・スポーツ

『絶滅危惧職、講談師を生きる』人気の若手講談師が本気で語る革命的芸道論

先日「笑点」の演芸コーナーに神田松之丞が登場した。わずかな時間の中で講談という芸を説明し、そのさわりを読みたて、大喜利へ笑いを繋いだ。途中くすぐりを入れたにもかかわらず収録会場は一瞬静まりかえる。演者の迫力に押されて、観客は息を飲んでしまったのだ。 神田松之丞は弱冠34歳の二ツ目にして、昨今もっともチケットが取れない芸人のひとりだ。 いまや人気絶頂の落語にく

『運慶への招待』一門を纏める仏師 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『運慶への招待』一門を纏める仏師

2017年11月、東京国立博物館にて開催された運慶展は入場者数が60万人を超え終了した。 運慶といえば平安末期~鎌倉時代にかけて活躍した仏師だ。東大寺南大門の金剛力士立像はその代表作だが、全身で8m以上もある。重さは7t。制作年は1203年と制定され、つまり800年が経過しているが、今だもって見る者を畏怖させる。当時の人達は阿吽の仁王から凝視されたら、度肝を

『麿赤兒自伝』憂き世 戯れて候ふ 書影

アート・スポーツ / 人物

『麿赤兒自伝』憂き世 戯れて候ふ

著者は舞踏家の麿赤兒(まろあかじ)。劇作家である唐十郎の状況劇団に参加し、それから土方巽に師事した。その後に舞踏集団「大駱駝艦」を立ち上げ、国内外に舞踏を知らしめた人物だ。 舞踏は日本で発祥した半裸で踊るスタイルだが、疾走する身体というよりむしろ動かなかったりする。一見、死を匂わせる静止した肉体かと思いきや、いきなり生に執着する表情をとり、口を全開させ呼吸音

『ドビュッシーはワインを美味にするか? 音楽の心理学』 書影

アート・スポーツ / 「解説」から読む本

『ドビュッシーはワインを美味にするか? 音楽の心理学』

本書を読んで私がまっさきに思い浮かべたのは、某有名CDショップが使う「NO MUSIC, NO LIFE」(音楽なしじゃ生きていけない)というキャッチフレーズだった。調べてみると、この宣伝文句が使われはじめたのは、もう20年も前の話だという。 私は当初、この文言を「音楽大好き!」「音楽最高!」というメッセージを大げさに強調したもの

『どうしても欲しい! 美術品蒐集家たちの執念とあやまちに関する研究』理想の自分に近づきたくて 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『どうしても欲しい! 美術品蒐集家たちの執念とあやまちに関する研究』理想の自分に近づきたくて

世の中にはコレクターと呼ばれる人たちがいる。特定の事物を徹底的に蒐集する人々のことだ。切手や古いコイン、宝石といった貴重品から、食玩フィギュアのような玩具、映画の半券、果ては牛乳瓶のフタやら変な形の小石やら、ありとあらゆるジャンルに彼らは存在する。 そうした蒐集の中で、おそらく最も長い由緒を持つのが、古美術品蒐集だ。本書は、古美術品の私的コレクションを築き上

『この椅子が一番!』ゆったりと座るか、それともただ眺めるか 書影

教養・雑学 / アート・スポーツ

『この椅子が一番!』ゆったりと座るか、それともただ眺めるか

私事で恐縮だが、今、猛烈に椅子が欲しい。この原稿は床に座って、ベッドを背もたれにし、ローテーブルにPCを置いて書いている。短時間の作業なら何の問題もないのだが、長時間となると、体のあちこちが痛くなってくる。そんな時、座り心地のいい椅子があれば、すらすらと原稿が書けると思うのだ。欲を言えば、食事をする時にも、くつろぐ時にも使える椅子が欲しい。そんなわがままな要

『殴られて野球はうまくなる!?』「効き目」があるから、なくならない? 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『殴られて野球はうまくなる!?』「効き目」があるから、なくならない?

タイトルを読んでみてどう感じるだろうか。野球界に鉄拳が飛び交っていた時代など過去の話だと思う人も多いかもしれない。平成になってから30年が経とうとしている。水分補給や休息の重要性はもちろん、食事管理や筋力トレーニングの方法など、根性論とは距離を置いたアプローチも着実に浸透した。 昔に比べたらはるかに暴力が減っているのは事実だ。小・中・高と、6年ほど前まで学校

『PHOTO ARK 動物の箱舟 絶滅から動物を守る撮影プロジェクト』 書影

生物・自然 / アート・スポーツ

『PHOTO ARK 動物の箱舟 絶滅から動物を守る撮影プロジェクト』

パンダ・トラ・ゾウ・ライオン・ゴリラ。 これらはふだん動物園で見ることができる動物だ。そのせいかあまり意識しないのだが、じつは国際自然保護連合(IUCN)が作成する絶滅の レッドリストカテゴリー にすべて該当してる。 カテゴリー「CR:近絶滅種」「EN:絶滅危惧種」「VU:危急種」に分類された動植物は、特に絶滅寸前種と考えられ、哺乳類1194種、鳥類1460

『芸術・無意識・脳』人の心は、どこまで解明されてきたのか 書影

サイエンス / アート・スポーツ

『芸術・無意識・脳』人の心は、どこまで解明されてきたのか

我々はなぜ芸術に心惹かれるのだろうか。人間の心が脳の活動から生まれているのは間違いないが、芸術作品を鑑賞する時、我々の脳の中では何が起きているのだろうか。 本書の表紙にもなっているクリムト(1862-1918年)の『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I』の背景に溶け込んでいる人物の輪郭が分かるのはなぜか。ココシュ(1886-1980年)やシーレ(1890-

『無冠、されど至強』影のナンバーワンと呼ばれたサッカー集団 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『無冠、されど至強』影のナンバーワンと呼ばれたサッカー集団

著者は『オシムの言葉』をはじめとしてサッカーを題材にしたノンフィクションを手がけてきた。サッカーを描きながらも大半の作品に通底するのは、政治や組織に翻弄された個人がその矛盾に対峙する側面を切り取る姿勢だ。 大文字の歴史で語られることは少ないが、戦後サッカー史で在日朝鮮人のチームは「影の最強チーム」と称された。 例えば社会人などで結成された「在日朝鮮蹴球団」は

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』コンサルティングの終焉 書影

アート・スポーツ / ビジネス

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』コンサルティングの終焉

筋が通った正論に対して、直観が納得しないときがある。 本書タイトルでいう美意識は、デザインや広告などクリエイティブに関する領域かと思われがちだが、ポイントはそこではない。 近年、英国ロイヤルカレッジオブアート(RCA)など世界有数の美術系大学は、フォードやビザ、製薬会社グラクソ・スミスクラインといったグローバル企業の幹部に対して美術プログラムを提供している。

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』人生を評価する自分なりのモノサシ 書影

アート・スポーツ / ビジネス

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』人生を評価する自分なりのモノサシ

今、第二次大戦後に世界が築き上げてきたありとあらゆる既成概念が崩壊し、これまでのルールが全く通用しなくなる中、それに代わる新しい秩序やルールが立ち上がって来ているかと言えば、それもない。 今後とも新しい秩序の姿は見えないようだという不透明で垂れ込めた感覚こそが、今の時代を覆う漠然とした不安の正体であり、その裏返しが、AIのシンギュラリティがもたらすユートピア

『芸術・無意識・脳』 科学と芸術の対話が人間の本質を明らかにする 書影

サイエンス / 医学・心理学

『芸術・無意識・脳』 科学と芸術の対話が人間の本質を明らかにする

1900年前後のウィーンにはあらゆる分野の才能を引き寄せる力があった。哲学ではクルト・ゲーデルやルートヴィヒ・ヴィドゲンシュタイン、音楽ではグスタフ・マーラーやベートーヴェン。その他の芸術や自然科学分野でも、挙げきれないほど多くの偉人たちがこの街に集まっていた。特筆すべきは、その天才たちが個々の分野毎に活動していたのではなく、科学者・作家・芸術家の垣根を越え

小池百合子「ファースト」写真集を買っているのは、どんな人たちか? 書影

アート・スポーツ / 併せて読まれたこの一冊

小池百合子「ファースト」写真集を買っているのは、どんな人たちか?

都議選の声が聞こえ始めた6月上旬、我々のもとに「ものすごい隠し球があるらしい」という噂が飛び込んできました。出版業界というのは隠し球が好き、発売して内容が明らかになってからよりも、内容がわからないうちのほうが盛り上がるくらいのものです。 で、その隠し球。どこぞの政治家がものすごい爆弾発言をしているのでは? とか、タレントの離婚か? とか(郷ひろみの『ダディ』

まさに龍ブーム『百龍めぐり 関東編』 書影

教養・雑学 / アート・スポーツ

まさに龍ブーム『百龍めぐり 関東編』

仏像や阿修羅ブームとは一線を画す、本書は龍に特化したガイドブックである。 龍の彫刻は、とくに江戸期の超絶技巧による寺社装飾でモチーフにされてきた。掲載される各寺社は、所在地、最寄り駅からのアクセス、宗派、祭神、御朱印、後利益など実用的なデータだ。全国の寺社の由緒とともに、フルカラーで龍の美しい造形と歴史を堪能できる。 どんな龍像でも良いわけではなく、本書では

『せいきの大問題 新股間若衆』 早く元気出して、あの笑顔を見せて 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『せいきの大問題 新股間若衆』 早く元気出して、あの笑顔を見せて

公の場で「股間」という言葉を連呼するご無礼をお許しいただきたい。ただ何分、この本のテーマが「股間」なのだから仕方がない。できればレビューなど書かずにすませたかったのだが、面白かったのだから、これもまた(股?)仕方がない。著者は東大大学院教授で雑誌「芸術新潮」から生まれた本だから、最初は、私には難しすぎると思った。子供の図鑑のように図版だけ見ようと思っていた。

『ダ・ヴィンチ絵画の謎』 書影

教養・雑学 / アート・スポーツ

『ダ・ヴィンチ絵画の謎』

面白い。まるで推理小説を読むようだ。しかも、嬉しいことにカラー版、美術好きには堪らない1冊だ。本書は、史上最高の画家、レオナルド・ダ・ヴィンチの最も有名な作品「モナリザ」にまつわるいくつかの謎について、当意即妙の文章で縦横に論じたものである。 著者は、膨大に残されたレオナルドの手稿研究の第一人者であり、レオナルド自身の頭と目になったつもりで謎解きにチャレンジ

『破壊しに、と彼女たちは言う』柔らかに、じわじわと語りかけられるアンソロジー 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『破壊しに、と彼女たちは言う』柔らかに、じわじわと語りかけられるアンソロジー

アーティストは決まりきった体系や枠組みにはめられて、語られることを好まない。説明されること自体を嫌うこともあり、自ら進んで枠組みから逸脱する。自分で作った枠組みさえも捨て去ることもある。 一方でアートを鑑賞する側にとって、アートは感情が触発させ、見る人それぞれに異なる意味をもたらす。そして、見たものを咀嚼するために、新たな知を探索する欲望をもたらす。しかし、

『アウトサイドで生きている』自分の衝動や快楽にきわめて忠実な18名の表現者たち 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『アウトサイドで生きている』自分の衝動や快楽にきわめて忠実な18名の表現者たち

「いまも忘れられない美術展は?」ともし問われたら、答えは決まっている。1993年に世田谷美術館で開催された『パラレル・ヴィジョン』展だ。 ロサンゼルスを皮切りに、マドリード、バーゼル、東京を巡回したこの美術展は、「アウトサイダー・アート」と20世紀美術を並べて展示するという世界初の試みで話題となった。美術作品を観てあれほど衝撃を受けたことはない。どの作品も過

どうしても手元に欲しかった本『失われたパリの復元 バルザックの時代の街を歩く』 書影

教養・雑学 / アート・スポーツ

どうしても手元に欲しかった本『失われたパリの復元 バルザックの時代の街を歩く』

正直に告白しよう。本稿の執筆を引き受けた理由は本書『失われたパリの復元』がどうしても手元に欲しかったからである。とはいえ、19世紀のパリ市街にさほど関心を持っていないどころか、バルザックもまともに読んでいない。にもかかわらず、本書が欲しかったのだ。なんとしてでも早く手に入れ、時折ページを開いて、挿絵を眺めながら暮らしてみたかったのである。 「芸術新潮」で連載

『廃墟遺産』あったかもしれない風景に想いを馳せて読む 書影

教養・雑学 / アート・スポーツ

『廃墟遺産』あったかもしれない風景に想いを馳せて読む

巨大な廃墟はスキャンダラスでセクシーな匂いを発している。だからか、縁もゆかりがなくとも、大きいという理由だけで、建造された経緯を調べ、廃墟となった理由を粗探したくなる。 当初はどの計画においても、卓越したリーダーの大きな計画と巻き込まれた沢山の関係者の想いがあったのだろう。しかし、当初の計画から予測できなかった出来事やトラブルにより実現しなかったがために、そ

『色という奇跡 母・ふくみから受け継いだもの』それは色の神秘を紡ぎだす営み 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『色という奇跡 母・ふくみから受け継いだもの』それは色の神秘を紡ぎだす営み

「紺屋高尾」という落語がある。紺屋に勤めている染物職人、久蔵が最高位の花魁の高尾太夫に岡惚れする話だが、金を溜めて花魁に会えるというその日、案内をしてくれる人から、決して手を見せるなときつく言い渡される。紺屋の職人は藍の中に手を浸すので、手首から下は真っ青なのだ。だが、花魁はその律義さに惚れて…。いや、いい噺である。 『色という奇跡』の口絵の最初は、その藍の

『豪腕 使い捨てされる15億ドルの商品』 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『豪腕 使い捨てされる15億ドルの商品』

肘の靱帯再建であるトミー・ジョン手術。野球好き以外には聞き慣れない言葉かも知れないが、ダルビッシュ有や松坂大輔、古くは村田兆治などが受けている。かつては成功率1%とも言われたが、現在は8割近くが復帰に成功している。 本書はトミー・ジョン手術を中心に米国や日本の野球投手の「腕」の故障に関する問題を検証しているが、その背景にあるのは、野球界に限らず抱える古くて新

すべて捨てろ!『死してなお踊れ 一遍上人伝』 書影

アート・スポーツ / 人物

すべて捨てろ!『死してなお踊れ 一遍上人伝』

本書は、鎌倉時代の「踊り念仏」で知られる時宗の開祖・一遍上人の評伝だ。 開祖といっても本人は死ぬまぎわまで、こんな活動は一代限りでやめろと門弟に釘をさしている。 仏教本でお堅いのかと思いきや、全くそんなことはなく、著者は口語で語りかけてくるので読みやすい。そして一遍の怒涛を体感するだけでもエンターテイメントとして成立している。 一遍は、伊予水軍で名高い河野家

『中南米野球はなぜ強いのか』中南米諸国の取材を通して浮かび上がる、日本野球の欠点 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『中南米野球はなぜ強いのか』中南米諸国の取材を通して浮かび上がる、日本野球の欠点

待ちに待ったプロ野球が今年も開幕した。生まれて初めてプロ野球選手を間近で見たときの興奮はいまでもおぼえている。季節は春。小学生だったぼくは、新大分球場の外野の芝生席で、ある選手の一挙手一投足に目を奪われていた。目の前のフェンスには、その選手のウインドブレーカーがかけられていた。 やがて彼がこちらにやってきた。すごいオーラだ。「いい汗かいちょるね!」と横にいた

笑って楽しめ!『暁斎春画』 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

笑って楽しめ!『暁斎春画』

まったくの私事で恐縮だが、このレビューをHONZにアップする日に還暦を迎える。せっかくなので、還暦らしく赤い本をレビューすることにしようと思った。『 赤本 』といえば、教学社の出す大学入試過去問集だけれど、さすがにそんなもんレビューするわけにはいかないし、その能力もない。 行きつけの本屋さんをうろついて探すと、平積み本の中にひときわ目をひく一冊があった。中国

『1984年のUWF』 最強という幻想 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『1984年のUWF』 最強という幻想

プロレスラーは本当は強いんです 総合格闘技黎明期の1997年、今や世界最大の格闘技団体となったUFCが初めて日本で開催した大会 アルティメット・ジャパン で優勝した 桜庭和志 は、日本人選手の勝利に熱狂する観客にこう語りかけた。恵まれた体躯を厳しいトレーニングに晒し、筋肉の鎧をまとったプロレスラーが弱いはずがない、何を当たり前のことを、と思うかもしれない。と

『ヒットの崩壊』聴取から体験へという大変化 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『ヒットの崩壊』聴取から体験へという大変化

ラジオ局のプログラムには音楽番組が欠かせない。「電リク」という言葉を最近は知らない人も増えたが、電話でリクエストを受け付ける番組が各局で当たり前のようにオンエアされていた時代があったし、ヒットチャートを紹介する番組はいまも健在だ。 僕自身もそういった音楽番組の制作に携わったことがある。あれはたぶん2000年前後くらいだったと思うが、ちょっとした異変を感じるよ

『未来を築くデザインの思想』デザインは人を越えるか 書影

アート・スポーツ / 社会

『未来を築くデザインの思想』デザインは人を越えるか

コンピューターが人々の生活に浸透されたのをきっかけに、世界中のデザイナー達はその化学反応から起こりうる未来を予測してきた。本書はそこから生み出されたデザインの数々を紹介し纏められたものである。 それは「人間と非人間」をつなぐ新しい領域のデザインかもしれない。 本書に登場するのは、グラフィックデザイナー、MoMAキュレーター、書体デザイナー、インタラクションデ

『ヒットの崩壊』「PPAP」はヒットなのか? 書影

アート・スポーツ / 編集者の自腹ワンコイン広告

『ヒットの崩壊』「PPAP」はヒットなのか?

「最近のヒット曲って何?」 そう聞かれて、すぐに答えを思い浮かべることのできる人は、どれだけいるだろうか? よくわからない、ピンとこないという人が多いのではないだろうか。 こういう書き出しで『ヒットの崩壊』(講談社現代新書)ははじまります。心当たりのある「ヒット」曲、ありますか? AKB48、三代目 J Soul Brothers、嵐……あたりが筆頭でしょう