
小ネタ付き ひとり通史の おもしろさ 『天才と異才の日本科学史』
かの歴史家アーノルド・トインビーは、単独で通史を書くことの意義を語っている。というか、語っている、という話を聞いたことがある。通史となると、膨大な資料からなるのであるから、詳しさや正しさにおいて、一人で書くと不十分にならざるをえないかもしれない。それでも、通史にはおもしろさがある。 この本ほど、そのおもしろさが抜きんでている本はそうないだろう。まず、登場人物
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かの歴史家アーノルド・トインビーは、単独で通史を書くことの意義を語っている。というか、語っている、という話を聞いたことがある。通史となると、膨大な資料からなるのであるから、詳しさや正しさにおいて、一人で書くと不十分にならざるをえないかもしれない。それでも、通史にはおもしろさがある。 この本ほど、そのおもしろさが抜きんでている本はそうないだろう。まず、登場人物

なんで人は死ぬんだろう、なんで生きるんだろう。と悩むのは思春期だけではない。特に、親が亡くなったときにその問いに襲われる。不安になる。自分をこの世につないでいた糸が切れたように、ふわふわと落ち着かなくなる。今やっていることに意味が見出せなくなる。日常が「薄く」なる。 私がそうでした。誰か答えを持っている人に会いたい、話を聞きたい、という思いだけで、汚い字で酒

季節は冬へと移りつつありますが、我が家ではひと月前に買ったハーブの苗がものすごい勢いで育っています。枝先をいくつか 挿し木 したところ、こちらも親をも抜かさんばかりの勢いです。 この調子で月1回挿し木していけば、来年の今ごろは「150万鉢」になる計算で、ハーブ長者も夢ではありません。チャンスはどこに転がっているかわからないものですね。 それでは今週献本いただ

世界は多様性に満ちている。 ITの普及とともに急速に平準化されていく世界を描いた『 The World Is Flat 』(邦題『 フラット化する世界 』)の発売から8年以上が経過し、スポーツから経済まで“グローバル化”が合言葉になっている。それでも、世界はまだまだデコボコなままではないか。インターネットの力で世界はより繋がりあったかもしれないが、今もわれわ

根が気弱なので、かつての日本版『WIRED』のファンだった人たちが正直おっかなかったりする。かつて同朋舎から日本版が刊行されていた頃、ぼくは社会人なりたてで雑誌づくりもよくわかってなかったのだけれど(ぼくはその頃、焼き物とか骨董とかの特集を売りにしてる雑誌編集部にいた)、たまに買う『WIRED』は、多くの読者がそうであったように「かっけー!おもれー!」と心で

やなせたかしさんの「アンパンマンのマーチ」がとても好きです。10年以上前に姪っ子と一緒に何度か聴いているうちに、その歌詞の凄さに気づいたのです。「なんのために生まれて なにをして生きるのか こたえられないなんて そんなのはいやだ!」私はチャップリンの映画『モダンタイムス』を想い出しました。こ、これが、子どもの歌!? 発展した社会においては、自分が何のために汗

最も強い者が生き残るのではない。最も賢い者が残るのでもない。 唯一生き残るのは変化する者である。 ビジネスの現場において、これまで何度この言葉を聞かされたことだろうか。人類の生存戦略を簡潔に表したこの言葉は、言わば企業の生き残りをかけて戦う姿勢を鼓舞するワードとして、数多の局面で使われてきた。 この言葉は裏を返せば、滅んだもの達は変化に適応できなかったと言う

虐待。この言葉が、当たり前のようにニュースに流れるようになったのは、いつぐらいからだっただろうか。自分の保護下にある人や物に対して日常的に危害を加えたり、危害の脅威を感じさせたりすることを指している。 子どもに対する虐待は、児童虐待と呼ばれる。児童虐待の防止等に関する法律では、その定義を以下のようにしている。 ( 厚生労働省HP より) 一 児童の身体に外傷

人物 / HONZ客員レビュー
私たちは、「バーティ」あるいは、「H.G.」と呼ばれたH.G.ウェルズについて、何を知っているのだろうか。ジュール・ヴェルヌと並ぶ「近代SF小説の祖」(原子爆弾さえ予見した)であり、世界政府を夢見た理想的社会主義者(国際連盟でも演説した。また、フェビアン協会の有力メンバーだった)、性の自由を主張した華麗な女性遍歴者、また、人類が過去を共有できなければ、未来も

最近、NHKの経営委員に選ばれたことでも話題の売れっ子作家の百田尚樹が帯に言葉を寄せる。 「ホラー小説も逃げ出すくらいの気味の悪い本だった!」 尼崎連続殺人死体遺棄事件。兵庫県尼崎市、香川県、岡山県で次々と明るみになった犯罪史上稀に見る凶悪事件。複数の家族がバラバラにされ、分かっているだけでも死者行方不明者は10人以上とされる。首謀者とみなされた角田美代子の
本書は、ジョン・F・ケネディ大統領の会話記録を歴史家のテッド・ウィドマーが編集した本だ。 大統領執務室や閣議室での会話が録音されていた、と初めて明らかにされたのは、大統領が暗殺された10年後の1973年であった。それまでは録音システムの存在そのものが極秘扱いにされ、知らされていたのはごく一部の人間であった。側近のスピーチライターだったテッド・ソレンソンは「唖

アプヴェーア という組織がかつて存在した。ドイツ軍により1921年から1944年まで運営されていた諜報機関である。にわかには信じられないのだが、このアプヴェーアが第二次世界大戦中、イギリスに潜入させたスパイの全てが、イギリスの防諜機関MI5の手に落ちていたという。しかも、刑務所に拘禁されるか処刑されたもの以外は、二重スパイとして活動していたというのだ。つまり

これは去年、初めてHONZが出したものです。赤いタイトルが目印。1年前と今ではPVが倍以上違っています。ですから、今年初めてHONZを知った、という方もたくさんいらっしゃいます。ノンフィクションってこんなに面白いんだ、と気が付かれた方は、ぜひ去年の本も手に取ってみてください。幸い、フェアをしてくださっている書店さんでは、こちらも置いてあるところが多いようです

今週水曜日は公開朝会でした。お忙しい中ご参戦下さったライフネット生命保険 代表取締役会長兼CEO出口治明さん、日経BP柳瀬博一さん、寒い中朝早くからご来場下さった方々、そして会場をご提供下さった d-labo さん、どうもありがとうございました! 朝会の模様は、副代表東えりかの 今月読む本 をご覧くださいませ。 それでは今週献本いただいた新刊本のご紹介です。

子どもが産まれたあと妻の態度が激変した ー そんな経験ある世の男性(夫)は多いのではないか。とある民間研究機関の調査によると、妊娠した段階では7割が相手に愛情を抱いているが、子どもが2歳になる頃には、女性の夫への愛情はなんと半数以下の3割にまで低下するという(男性も低下するが、女性の下げ幅の方が圧倒的)。「え、そんなに俺たち愛されてなかったの?」「やっぱりそ

長らく思い込んでいたことが、記憶ちがいであったりする経験はないだろうか。タイトルに使った『人生に迷ったらバーテンダーに訊け』というのは、誰もが知る格言の一つだと思っていた。しかし、まわりに尋ねても知らない。『人生、バーテンダー、迷う』でググってもひっかからない。 自分で思いついたにしてはしぶすぎるフレーズだ。しかし、いつか人生に迷う時があったら相談してみたい

ここ数日で急激に寒くなり、各地から初雪の知らせが届いている。朝5時起きのHONZ朝会にはもう慣れたけど、やはり暗くて寒いなかを出かけるのは億劫だ。しかし、今日ばかりはそうは言っていられない。 『ノンフィクションはこれを読め!2013』 発売及び重版記念の公開朝会である。その上ゲストがすごい。ライフネット生命保険 代表取締役会長兼CEOの出口治明さんをお迎えし

みなさんのお宅には「かつお節削り器」はありますか? 木製の箱型で、蓋を開けると鉋の歯があり、削ったかつお節は下の引き出しに溜まるという、あれです。 わたしが子供の頃は、毎日のようにかつお節を削らされたものだ。どうも滑らかに削るには向きがあるらしく、粉々になってしまうのを何度も持ち替えてみたり、消しゴムくらいに小さくなったやつを削っていて、指まで削りそうになっ

5月に出版されたのに、新書なので「薄くていつでも読める」と、ついつい積ん読本になってしまっていた。こんなに面白い本なのに、申し訳ないことをした、という自責の念でいっぱいである。 エドワード・ギボンの「 ローマ帝国衰亡史 」は、長年の愛読書の1冊であるが、この『新・ローマ帝国衰亡史』のどこが面白いのか。それは、ローマ帝国を辺境から眺めているからである。ローマ帝

ふと気がつくと、朝晩には冬の気配が漂ってくるようになりました。年々、一番好きな季節である秋が、短くなってきているような気がしてなりません。秋といえば食欲の秋もそうだけど、やはり読書の秋。秋の夜長に読んでほしいビジネス書を今月もお届けします。 まずは、先月紹介した堀江貴文さんの『ゼロ』から。HONZで レビューも書きました が、先月末に発売されてから、ものすご

世界四大文明といえば? 義務教育時代の記憶を掘り起こせば、センター試験で地理を選択した理系の私でも、エジプト文明、メソポタミア文明、黄河文明、そしてインダス文明の名を辛うじてあげられる。この“四大”文明というくくり方には様々な異論もあるようだが(2009年出版の『 もういちど読む山川世界史 』にも「四大文明」という表現はみられない)、大河に支えられて発達した

科学の本というより科学的思考に関する一冊。 あくび、くしゃみ、せき、しゃっくり、わらい、くすぐりなど、これまであまりにも当たり前すぎて、きちんとした科学による検証がなされてこなかった人間の不可思議な行動たち。その深い一般認識と乏しい科学的存在のギャップを埋めるべく、著者は数々の実験を試み、科学の範疇にプロットしていく。 各々が独立した章としての読み物になって

芸術の秋、先日久しぶりに上野の美術館へ行ってきました。ずっと観たいと思っていた ターナー展 を堪能したあとは、いざ上野動物園へ! しかし入口に50mくらいでしょうか、親子連れが延々と列をなしているのを見て、敢え無く断念しました。 実は大学生のとき、「タダでパンダが見られる」という理由で上野動物園の売店でアルバイトをしていました。仕事中はパンダのぬいぐるみに囲
満員御礼 応募締め切りました! ご応募いただいた皆様、早朝からの会にもかかわらず、ご興味を持っていただき本当にありがとうございました。また残念ながら今回はご希望に添えなかった方、誠に申し訳ございません。 応募いただいた全員に、参加の可否等をメールしておりますので、何のメールも届かない、という方は、event@honz.jpまでご連絡頂ければ幸いです。 ※多数

まさに、『あまちゃん』の神に導かれてできた本。 制作過程を振り返ると、そんな感慨がよぎります。 本書は批評家の 宇野常寛 が2005年から不定期に刊行し続けてきている批評誌「 PLANETS 」のスピンアウト増刊として、文藝春秋社とのコラボ出版というかたちで発行するに至った“究極の『あまちゃん』本”です。 制作のきっかけ自体は、僕たち的にはごくごく自然なもの

歌舞伎役者の坂東三津五郎さんの膵臓に腫瘍が見つかり、9月の歌舞伎公演を休演することになった。歌舞伎界は昨年12月に中村勘三郎、今年2月に市川團十郎という看板役者を失い、千辛万苦の時期だったから梨園とご贔屓筋の心労は計り知れない。 じつは歌舞伎界は2011年1月に中村富十郎、同年10月に中村芝翫、昨年2月に中村雀右衛門という3人の人間国宝も失っている。「新歌舞
ノンフィクションはこれを読め! 2013 - HONZが選んだ110冊 中央公論新社、ノンこれ疋田です。 先週に引き続き、書店様での「ノンこれ」フェアの模様をお伝えいたします。 まずは、 くまざわ書店 大手町店 様。 ビジネスマンなどで賑わう大手町駅の地下通路、都営三田線の改札前にあります( この辺り )。twitterのアカウントは @kuma_ootem

今年のビジネス書No.1はこれで決まり!読み終わった瞬間にそう確信した。この本はぜひともたくさんの人に読んでほしい。いやたくさんの人に届けなくてはいけない。書店員である私は勝手にそういう使命に燃えている。 むかし、とある人に「あなたが売ったその1冊の本が、その人の人生を変えるかもしれない。あなたたちはそういうものを売っているのです。」と言われ、私はそれを胸に

学生スポーツの対抗戦といえば、日本では1903(明治36)年に始まった野球の早慶戦がよく知られている。東京6大学リーグ戦の最終週に開催される伝統の一戦はテレビ中継され、神宮球場は多くの観客で埋め尽される。 一方、イギリスではケンブリッジ大学とオックスフォード大学のボートレースが有名である。こちらもテレビ中継され、レースが行われるロンドンのテムズ河畔はこれまた

※2010年3月、単行本刊行時のあとがきは こちらから 。 同居が終わって4年が過ぎた夏のことだった。ニュースを眺めようと思ってパソコンを立ち上げた。調べたいことがあるわけでもなく、世界の動きが知りたかったわけでもない。ただの惰性からだった。 唐突に、「ヤノマミ」という文字が目に入った。液晶画面の中に『ヤノマミ族虐殺か』とあった。予期せぬ出来事だったから少し

最近、無心の力についてよく考える。人が没頭して作られた作品から、すごいエナジーを感じるようになったからだ。作品の完成度の解釈は人それぞれだが、私はその対象物にどれくらいのエネルギーと時間をかけ、没頭して創ったかによると考えている。無心状態で創られた作品は高い完成度に直結し、作品に対する思いは見る人へとダイレクトに伝わっていくだろう。 本書には宮城県の被災地、

今でも目を閉じれば、あの暗闇を容易に思い出すことができる。アハフーという声もはっきりと覚えている。機会があれば、もう一度ワトリキを訪れ、あの闇に包まれたいなとも思う。その一方で、畏れもある。また何かが壊れてしまうのではないかという畏れがある。 おそらく、彼らを否定してしまえば何も起きなかったはずだ。彼らは違うのだ、僕たちとは違うのだ、と切り捨てていれば、心身

石川県金沢市。ここは加賀百万石の御膝元で、代々前田家が藩主となり、江戸時代から文化的に栄えた町である。冬の風物詩、 フードピア金沢 は1985年から毎年2月に開催され、日本中から多くの観光客を集めている。2014年の情報はまだないが、きっと企画中だろう。 名前が示すように、このイベントは食を中心にしており、老舗料亭に各方面から著名人を呼び、伝統的な加賀料理を

どんなに疲れていても、「食事を美味しくいただくこと」が元気になる秘訣かなと最近思うようになりました。切っ掛けは、常連のお客様に何度か「しっかり食べないと身体がもたんよ」と言われたからですが、接客をしていると、その時の自分に必要な言葉をかけてくださる方が必ずいらっしゃるのです。 「また来週あんたの顔見られるね」とか、「元気ないじゃないか」とか色々あるのですが、

小説 / HONZ客員レビュー
さすがに、読書の秋である。実りは、豊かだ。本書も、まちがいなく、今年度に読んだ小説の中では、トップ3に入るだろう。ナチによるユダヤ人大量虐殺の首謀者で、責任者であったハイドリヒ。「第3帝国で最も危険な男」「金髪の野獣」と怖れられたハイドリヒを、ロンドンに亡命したチェコ政府が暗殺計画を立て(ハイドリヒは、当時、ドイツの保護領であったボヘミア・モラヴィアの総督代

「おおー!」「うわっっ」 インジャクターの少し先で、轟音をあげて炎が上がった。火炎放射器のようにオレンジ色の炎が4mほど前方に伸びる。時間にして数秒。 「燃えた‥‥‥」 インジェクターから噴出されたエタノールと液体酸素はみごとに混合し、乗用車のプラグが放つ火花を大きな火炎にした。 歓声があがった。 野田が笑い出す。止まらない。自然にみんなで拍手をしていた。

ここまであたらないものか。かつて、フランスのノーベル賞学者 フランソワ・ジャコブ はその著書『 ハエ、マウス、ヒト 』で、『予測不可能性は科学の性質に含まれている』と喝破した。もっとはっきり、科学予測は基本的に不可能である、と考えておいた方がよさそうだ。 1960年に出版された本の復刻版である。今はなき 科学技術庁 が『識者』に依頼し、来たるべき21世紀、4

今まで数々の観葉植物やサボテンを枯らせてきた私ですが、先日性懲りもなくハーブの苗を買ってきました。ハーブは初めてなので嬉しくて仕方がなく、一鉢一鉢に名前をつけ、朝晩「おはよう」「ただいま」と話しかけています。ただ一方的に話しかけるだけでなく「へぇー!そうなんだ」と相槌を打ったりしているので、家族はちょっと引き気味です。 思うに観葉植物やサボテンを枯らせたのも
ノンフィクションはこれを読め! 2013 - HONZが選んだ110冊 中央公論新社、販売担当の疋田です。 発売から1週間が経ちました。 『ノンフィクションはこれを読め! 2013』 は、おかげ様で出足好調です。通称「ノンこれ2013」。”名前を省略されるのはヒットの条件”と聞きますので、ノンコレ、ノンコレと積極的に唱えて広めていこうと思います。宜しくノンコ
いやしかし、こんなにエッジの効いた開発研究をすすめるJAMSTECの皆様。プライベートもちょっぴり知りたい。そんなわけで、ランチタイムに食堂へお邪魔してきました! なに食べようかなあ。おなかすいたー。オススメはありますか?と伺うと、広報・吉澤さん、僕はあまり利用しないんです、とのこと。こけっ 大学の食堂みたい。栄養のバランスがとれるよう配慮されているようです