ノンフィクションはこれを読め!

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336記事

2020年 今年の一冊 書影

HONZ今年の1冊

2020年 今年の一冊

HONZメンバーが選ぶ今年最高の一冊。コロナ一色だった2020年も、このコーナーがやってまいりました。 2011年から始まったこのコーナーも、なんと今年で10回目。歴代のラインナップは こちらから見られる のですが、「 2011年はメンバー12人しかいなかったのかよ 」とか「 やっぱり2017年の塩田春香を野グソで挟んだ年が神回だな 」とか、色々と感慨深いも

最強&最恐のアートディレクターは時代を超える『TIMELESS 石岡瑛子とその時代』 書影

人物 / おすすめ本レビュー

最強&最恐のアートディレクターは時代を超える『TIMELESS 石岡瑛子とその時代』

石岡瑛子 、どれくらいの知名度なのだろう。不覚にもまったく知らなかった。あるところで、この本のことが話題になった。誰です、それ?と尋ねたら、あんな有名なデザイナーを知らないのですか、作品は絶対に見覚えがあるはずです。いま展覧会をやってますから行ってみられたらどうですかと教えられた。 東京出張の折りに、 その展覧会 『血が、汗が、涙がデザインできるか』を東京都

『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』成長か、それとも変節か。悲哀と戸惑いの成功譚 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』成長か、それとも変節か。悲哀と戸惑いの成功譚

リベラル・アーツは、「教養」と訳されることが多い。しかしその語源は古代ギリシャにまでさかのぼり、「奴隷ではない自由人として生きるための技術」の意味を持つという。そんな大げさなと思われるかもしれないが、本書からはその意味を十分に感じとることができる。 モルモン教原理主義のサバイバリストである反政府的な両親の下、学校や病院とは無縁の環境で育った少女が、やがて大学

『喧嘩の流儀 菅義偉、知られざる履歴書』「ガースー」を笑えたら・・・。 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『喧嘩の流儀 菅義偉、知られざる履歴書』「ガースー」を笑えたら・・・。

笑えなかった。あなたも、「ガースーです」と自称した菅義偉総理を笑えなかったのではないか。世の中の空気を読みまちがえただけではない。イントネーションもちがう。寿司をひっくりかえした「シースー」のように、平板に言わなくてはならない。 「鬼滅の刃」にあやかって「全集中の呼吸で」を国会答弁でつかったときも、菅総理は「すべった」。つまらないから、だけではない。「202

これから出る本 2021年1月 書影

併せて読まれたこの一冊

これから出る本 2021年1月

いろいろあった2020年ももう年の瀬。出版業界はコロナ禍の巣ごもり景気の影響も受け、書店は比較的好調の1年となりました。すでに来年発売になる本の話題もボチボチ出てきています。2021年はどんな本との出会いがあるのでしょう。 ノンフィクションの予約ランキングを見てみましょう。2020年12月18日時点の予約受注実績から1月以降に発売になるタイトルを抽出しノンフ

『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』 ターニングポイントは親との決別 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』 ターニングポイントは親との決別

著者のタラ・ウェストーバーは1986年生まれの34歳。現在ハーバード大学公共政策大学院上級研究員で歴史家。エッセイストでもある。 彼女はアイダホ州クリフトンで父親の思想が強く反映された反政府主義を貫くサバイバリストのモルモン教徒の両親のもと、7人兄弟の末っ子として生まれた。 公立学校へは通わせてもらえず、家庭内で科学や医療を否定した偏った教育を受けて育った。

『ロシアン・ルーレットは逃がさない プーチンが仕掛ける暗殺プログラムと新たな戦争』「ロシアの敵」は世界のどこにいても殺される 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『ロシアン・ルーレットは逃がさない プーチンが仕掛ける暗殺プログラムと新たな戦争』「ロシアの敵」は世界のどこにいても殺される

2018年、イングランドのソールズベリーでセルゲイ・スクリパリと娘のユリアを標的とする毒物暗殺未遂事件が起きた。セルゲイは元ロシア軍大佐で英国の対外諜報機関MI6に情報を提供していた人物だ。ロシアで逮捕された後、スパイ交換により英国に亡命していた。 事件はロシアのプーチン大統領の指示によりFSB(ロシア連邦保安庁)が実行したもので、当然、英国の主権を侵害して

『2016年の週刊文春』個人的2020年のベスト・ノンフィクションはこれ! 書影

社会 / 事件・事故

『2016年の週刊文春』個人的2020年のベスト・ノンフィクションはこれ!

文藝春秋は、「文藝」と「春秋」がくっついた会社だとよくいわれる。もちろんこれはふたつの会社が合併したということではない。文藝は文字通り文芸作品のこと、春秋は日々の出来事が積み重なった年月を指す。文藝春秋という会社は、文芸と日々の出来事を追うジャーナリズムとがくっついた会社なのだ。 「春秋」の大きな柱が『週刊文春』であることは誰もが認めるところだろう。いまや飛

『浪花節で生きてみる!』女一匹、魂の咆哮 書影

人物 / 民俗・風俗

『浪花節で生きてみる!』女一匹、魂の咆哮

2017年4月から翌年2月まで、私はほぼ毎月、神奈川県の自宅から亀戸まで、東京都を縦断して「玉川奈々福がたずねる語り芸パースペクティブ」という勉強会に通っていた。 主催者は玉川奈々福。日本にはなぜこんなに多種多様な「語り芸」があるのだろうという疑問のもと、演者や研究者など各方面の第一人者を招き、実演とトーク、および考察をするという壮大な勉強会だった。 20世

『サイバー戦争の今』見えない戦争は既に始まっている 書影

社会 / 事件・事故

『サイバー戦争の今』見えない戦争は既に始まっている

東京オリンピックが狙われている。サイバー攻撃に。 1-2年前から密かにサイバー攻撃の準備がされており、分かっているだけでも日本人4万台ほどの個人パソコンがのっとられている。主導しているのはアジア大国の政府系ハッカーというのがもっぱらの分析だ。具体的に何を仕掛ける予定かはまだ分からないが、経済的な損失よりも東京オリンピックの評判を貶めることを目的にしている可能

今週のいただきもの:2020年12月6日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2020年12月6日週

今年の6月から文鳥を飼っています。文鳥を飼っていると言うと「文鳥って喋るんだっけ?」とよく聞かれるのですが、残念ながらインコのようには喋りません。でも、呼びかけると「ピッ」と返事をしてくれます。 雛の頃は挿し餌(スポイトのような器具で餌をあげる)をしていたので、よく懐いていて、人の手が大好きです。ケージから出している時は、基本、人の手や肩、脚などに止まってい

『ノーベル平和賞の裏側で何が行われているのか?』世界で最も栄誉ある賞 その知られざる舞台裏 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『ノーベル平和賞の裏側で何が行われているのか?』世界で最も栄誉ある賞 その知られざる舞台裏

カール・フォン・オシエツキーの名前を知っている人が今、どれほどいるだろうか。彼は1935年にノーベル平和賞を受賞したドイツのジャーナリストで、当時のヒトラー政権が受賞に猛反発したことで知られる。ノーベル平和賞の選定理由は時に物議を醸す。激しい議論を呼ぶのは、この賞の注目度の高さの裏返しでもあるだろう。 1901年に創設されたノーベル平和賞は「世界で最も栄誉あ

『AとZ アンリアレイジのファッション』新刊超速レビュー 書影

アート・スポーツ / 人物

『AとZ アンリアレイジのファッション』新刊超速レビュー

ファッションが突然、僕を襲った。それまでにない感覚だった。 「ファッションには伝える力がある。そして伝わる力がある。 服は言葉を持つ」。そんなことを考えたことはかつて一度も なかった。 アンリアレイジのデザイナーである森永邦彦が、ファッションの原点だと語るのは、予備校で絶大な人気を誇ったカリスマの西谷昇二先生に見せられた一着の服だという。『アバウト・ア・ガー

『LIFESPAN 老いなき世界』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『LIFESPAN 老いなき世界』

最近は横文字そのままのタイトルの翻訳書が随分増えてきた。LIFESPAN(ライフスパン) とは生物の寿命や生存期間のことで、転じて製品の有効期限や耐用期間に使われることもある。そして本書『LIFESPAN 老いなき世界』では、加齢研究の第一人者であるハーバード大学の遺伝学教授が「人の老化は決して避けられぬものではない」と論陣を張る。 巷では昨今「人生100年

『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記 こうして私は職業的な「死」を迎えた』げに恐ろしき、出版界の裏事情を綴る真摯な暴露本 書影

社会 / ビジネス

『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記 こうして私は職業的な「死」を迎えた』げに恐ろしき、出版界の裏事情を綴る真摯な暴露本

この本をここで紹介していいものか迷ったが、著者の真摯な姿勢に心を動かされたので、おもねらずにレビューしてみたい。 本書は、ベストセラー『7つの習慣 最優先事項』の訳で一躍売れっ子翻訳家になった著者が、出版社との様々なトラブルを経て業界に背を向けるまでの顛末を綴った、げに恐ろしきドキュメントだ。 驚くことに、名前こそ伏せてあるが、理不尽な目に遭わされた出版社の

これから先も、株式会社は必要か 『株式会社の世界史 「病理」と「戦争」の500年』 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

これから先も、株式会社は必要か 『株式会社の世界史 「病理」と「戦争」の500年』

“コロナ禍による大恐慌は「株式会社」の終焉を招くのか”本書のオビには、こんな惹句が躍っている。『ブルシットジョブ―クソどうでもいい仕事の理論』という本が話題になったり、自らの会社を自虐的に扱う態度が横行しているように、我々は「株式会社」の扱いに大いに困っているように見える。 この時期に「株式会社」について考察を深めておくことは非常に有意義だと感じ、私はこの本

『人間の土地へ』シリアに魅せられた登山家 書影

社会 / 民俗・風俗

『人間の土地へ』シリアに魅せられた登山家

チャレンジすることに躊躇しない人を尊敬している。新しい一歩はなかなか踏み出せないものだ。『人間の土地へ』の著者、小松由佳は、特別に並外れた好奇心と勇気の持ち主だと思うのだ。 2006年、24歳の時、世界で最も困難な山だと言われている世界第二位の高峰、パキスタンのK2に日本人女性で初めて登頂に成功した。2019年まででエベレストに登頂した人は1万人以上いるが、

『元号戦記 近代日本、改元の深層』元号決定過程の秘密 「密室政治の極致」に迫る 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『元号戦記 近代日本、改元の深層』元号決定過程の秘密 「密室政治の極致」に迫る

元号が誰によって考案され、どのようにして決められるのかを知る人は多くない。「令和」の改元準備が約30年前の「平成」改元の頃からすでに始まっていたと聞けば驚くだろう。 本書の著者は、2011年から毎日新聞の政治部記者として7年半、元号取材に奔走した。最大の使命は、次の元号を他紙に先駆けてスクープすることだ。 とはいえ、元号取材は難しい。いつ元号が替わるかは想像

今週のいただきもの:2020年11月29日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2020年11月29日週

最近、簡単に作れておいしいものの研究に励んでいます(元々手の込んだ料理を作っていたわけではありませんが…)。そんな中で、家族や友人(SNS上の反応)に好評だった、トマトとモッツアレラチーズのグラタンを紹介します。 と、言ってもカプレーゼ(トマト、モッツアレラチーズ、オリーブオイル、塩胡椒)を耐熱容器に入れて焼いただけです!モッツアレラチーズ100gを5~6等

『おばんでございます』サクラギシノを知っていますか? 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『おばんでございます』サクラギシノを知っていますか?

サクラギシノを知っていますか? もちろんラブドール(旧名ダッチワイフ)の桜樹志乃ではなくて、今その受賞作、ラブホテルを舞台に繰り広げられる『ホテルローヤル』が上映中である直木賞作家の桜木紫乃の方。前者はともかくとして、後者をご存じの人は結構おられるだろう。 NHKの『 あさイチ 』に出演された10月23日、ツイッターのトレンディーワードに「桜木紫乃」が大躍進

先月出た本 2020年12月 書影

併せて読まれたこの一冊

先月出た本 2020年12月

今年の年間ベストセラーが発表されました。今年は鬼滅と巣ごもり需要に沸いた年でしたが、そうこうしている間に、コロナウイルスの感染も再燃。不安な毎日が続きます。 ここでは先月出た本(ノンフィクション)ランキングを発表!日販オープンネットワークWINから11月発売のタイトルとHONZのレビュー対象となるノンフィクションジャンルのタイトルを抽出しランキングを作成して

『サーストン万華鏡』を読む ウィリアム・サーストンの世界 書影

サイエンス / 青木薫のサイエンス通信

『サーストン万華鏡』を読む ウィリアム・サーストンの世界

みなさま、ウィリアム・サーストンという数学者をご存知でしょうか? サーストンはご存知なくても、「100年の難問」と言われたポアンカレ予想と、それを肯定的に解決したロシアの数学者ペレルマンのことは聞いたことがあるかもしれません。実は、ペレルマンが解決したのは、サーストンが1980年に提唱した「幾何化予想」だったのです。ポアンカレ予想は、幾何化予想の小さな一部な

『<脳と文明>の暗号 言語と音楽、驚異の起源』文化と人間の「共進化」 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『<脳と文明>の暗号 言語と音楽、驚異の起源』文化と人間の「共進化」

本書は、Harnessed: How Language and Music Mimicked Nature and Transformed Ape to Man(BenBella Books, 2011)の全訳である。著者のマーク・チャンギージーは、カリフォルニア工科大学、レンスラー工科大学でキャリアを積んだ理論神経科学者。しかし彼の活動はアカデミズムの枠に

どうしてあなたはそんなにいい子ちゃんなの? 『目の見えない私がヘレン・ケラーにつづる怒りと愛をこめた一方的な手紙』 書影

人物 / おすすめ本レビュー

どうしてあなたはそんなにいい子ちゃんなの? 『目の見えない私がヘレン・ケラーにつづる怒りと愛をこめた一方的な手紙』

HONZが送り出す、期待の新メンバー登場! 中野 亜海は三味線と江戸時代を趣味に持ちながら、実用書やビジネス系の本も手掛ける敏腕編集者。今後の彼女の活躍にどうぞ、ご期待ください!(HONZ編集部) 目が見えない、あるいは耳の聞こえない子どもたちは、こう言われて育つらしい。「どうして、ヘレン・ケラーのようにできないの?」 筆者のジョージナ・クリーグは目が見えな

『声が通らない!』居酒屋で店員に声を届かせたい! 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『声が通らない!』居酒屋で店員に声を届かせたい!

こんな経験はないだろうか。 ガヤガヤと混み合う居酒屋で「すいませーん」と店員に声をかける。 だが、まったく気づいてもらえない。 手をピンと伸ばして、もう一度叫んでみても結果は同じ。 「すいませーん!す、すいませーん……。す……すい……」 声をあげるたびに腕が下がっていき、最後は曖昧な語尾とともに萎んでしまう……。 世間には「声が通らない」ことに悩む人たちがい

『最後のダ・ヴィンチの真実』13万の絵が、なぜ510億に? 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『最後のダ・ヴィンチの真実』13万の絵が、なぜ510億に?

アートの価値は誰がどのようにして決めるのだろうか。そして価値と値段は比例するのか。 限りなく正解に近い答えが本書にある。まず作品の価値は、コレクターが貴族など高い地位である場合や、高名な作家がどの経緯で描いたものかなど複雑な要因が絡まり決定する。もちろん偽物については論外だが、ビル・ゲイツが所持するレオナルド・ダ・ヴィンチのレスター手稿などは、英貴族レスター

あなたにはどんな色に見えていますか?『「色のふしぎ」と不思議な社会 ―2020年代の「色覚」原論 』 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

あなたにはどんな色に見えていますか?『「色のふしぎ」と不思議な社会 ―2020年代の「色覚」原論 』

色覚異常の本、いや、この本の内容に即していうと「いわゆる色覚異常」の本と言うべきか。かつて色弱あるいは色盲と呼ばれたものについての本である。著者の川端裕人さんと同じく、私も「色覚異常」である。 最初に指摘されたのは小学校3年生か4年生の時。やたらと落ち着きがなく、怒られるために学校へ通うような毎日。そんな子だったので、色覚異常検査表の数字を「読めません」と答

『緊急提言 パンデミック 寄稿とインタビュー』「知の巨人」が訴えるコロナ禍への賢明な対応 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『緊急提言 パンデミック 寄稿とインタビュー』「知の巨人」が訴えるコロナ禍への賢明な対応

本書は、世界的ベストセラーとなった3部作『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21Lessons』の著者であるユヴァル・ノア・ハラリが、本年3〜4月、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが最初のピークを迎えていた中で発表した見解をまとめたものだ。 前半は米国の『タイム』誌、英国のフィナンシャル・タイムズ紙、ザ・ガーディアン紙への寄稿で構成され、後半はNHKの

天才・小田嶋ここにあり! 『災間の唄』と『日本語を、取り戻す。』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

天才・小田嶋ここにあり! 『災間の唄』と『日本語を、取り戻す。』

読売新聞の読書委員を務めるようになってから、これまで以上にたくさんの本が送られてくるようになった。読みたかった本が送られてきたらすごく嬉しい。『炎間の唄』もお送りいただいた本だ。読みたかったし面白そう、だけれど読みきらないだろうと思った。 小田島隆( @tako_ashi )さんの過去10年間のツイートから、武田砂鉄さんが選んで一年ごとに簡単な解説がつけてあ

『黒魔術がひそむ国 ミャンマー政治の舞台裏』 大統領の誕生日は国家機密!? 書影

民俗・風俗 / 世界史

『黒魔術がひそむ国 ミャンマー政治の舞台裏』 大統領の誕生日は国家機密!?

政治家は孤独な職業だと言われる。未来がどうなるかわからない中、たったひとりで決断を下さなければならないのだから、それも当然かもしれない。「政治家と孤独」で思い出すのがノリエガ将軍のエピソードだ。パナマの独裁者として君臨したノリエガは、当初はアメリカにとって利用価値のある(CIAのアセットだった)人物だったが、次第に目の上のタンコブのような存在となり、ブッシュ

自分たちのあとに来る時代や存在に何を遺せばよいかを、地下を通して考える──『アンダーランド──記憶、隠喩、禁忌の地下空間』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

自分たちのあとに来る時代や存在に何を遺せばよいかを、地下を通して考える──『アンダーランド──記憶、隠喩、禁忌の地下空間』

この『アンダーランド』は、山岳の歴史語りや大自然を相手にした旅行記に定評のある、イギリス作家ロバート・マクファーレンによる、地底をめぐる紀行文学である。マクファーレンは本書の中で、イングランド南西部で青銅器時代の墳墓を探索し、ダークマターの検出など、科学的な実験のために用いられている地下科学施設におもむき、ある時は氷河の中にロープを用いて降りていき、最終的に

『国道16号線 「日本」を創った道』 書影

教養・雑学 / HONZ客員レビュー

『国道16号線 「日本」を創った道』

私が住む東京都町田市の小田急町田駅の東口の広場には「絹の道」という石碑がある。それをゼミ生に見せてからJR横浜線の下り線に乗り、八王子に向かう。その車中で、なぜ八王子と町田を結ぶこの街道が絹の道と呼ばれるか、学生たちに説明する。 このあたりの多摩丘陵の地形地質が桑畑に向いていて、それが地域の養蚕業を盛んにしたこと。そうして絹製品の産業基盤がこのあたりにあった

今週のいただきもの:2020年11月15日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2020年11月15日週

秋といえば、きのこです。今年初めにベネチアへ行った時、乾燥ポルチーニを買ってきました。きのこの王様とも言われるポルチーニは、肉のような濃厚な香りと強い旨みが特長です。香りと旨みを余すことなく味わえる、ポルチーニのパスタをご紹介しましょう。 乾燥ポルチーニをひたるくらいの水で戻しておきます。次に、フライパンで玉ねぎ、レンコン(好みの野菜でOK)を炒

『コロナマニア 「ウイルス以外のコロナ」一大コレクション』“じゃないほう”のコロナで2020年を振り返る 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『コロナマニア 「ウイルス以外のコロナ」一大コレクション』“じゃないほう”のコロナで2020年を振り返る

今年も1年を振り返る時期がやってきた。多くの人にとって、新型コロナウイルスにまつわる出来事が記憶に刻まれた年だったことは疑う余地もない。しかし、「コロナ」はそれだけじゃないとばかりに登場したのが、本書『コロナマニア』だ。 もちろん「コロナ」に関する本ではあるが、ウイルスについての本ではない。本書には、「コロナ」を名前に含む国内外のお店や企業がズラリと並ぶ。事

『白い土地』原発被災地で生活する人々のルポタージュ 書影

社会 / 事件・事故

『白い土地』原発被災地で生活する人々のルポタージュ

本書は東京の自分に問いかける。地方の原発で作り出される電気を頼りに生きる自分の生活を、果たしてどこまで理解しているのだろうか。 本書『白い土地』は、新聞記者である著者が福島県に拠点を置き、そこに生き抜く人々に焦点をあてた人物ルポタージュである。「白い土地」とは、《白地》と呼ばれる「帰還困難区域」の中でも「特定復興再生拠点区域」に含まれない土地を指す。2017

これから出る本 2020年12月 書影

併せて読まれたこの一冊

これから出る本 2020年12月

『鬼滅の刃』効果が続き書店店頭の賑わいも続いています。読書の秋、長くなってきた夜に重厚な本を読むにも良い季節です。ではこの後はどんな本が発売されてくるのでしょうか? ノンフィクションの予約ランキングから見ていきます。2020年11月18日時点の予約受注実績から12月以降に発売になるタイトルを抽出しノンフィクションの予約ランキングを作成しました。(日販調べ:タ

『諏訪式。』諏訪湖を中心にした文化圏の謎を探る 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

『諏訪式。』諏訪湖を中心にした文化圏の謎を探る

中央自動車道の岡谷ジャンクションの近く、諏訪湖サービスエリアは温泉施設が併設されドライバーに人気がある。諏訪湖を一望のうちに見渡せ、まさに絶景のスポットなのだ。 諏訪湖は中央構造線とフォッサマグナの二大断層が交差する地質的に複雑な場所で、温泉が湧き出る理由もそこにある。縄文時代から人が住み、独特の風習や信仰が残っている。 著者の小倉美惠子はドキュメンタリー映

今週のいただきもの:2020年11月8日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2020年11月8日週

今週は出張で長野へ行ってきました(感染症対策を実施しています)。長野で初めて鯉を食べたのですが、想像していたような臭みは全くなく、とてもおいしかったです。 鯉こく(輪切りにした鯉の味噌汁)に芹が添えられていたのですが、これには理由がありました。鯉は自分の身に虫が付いた際、芹の中を泳いで虫を払うそうです。また、お腹の調子がよくない時は、芹を食べて体調を整えるん

『地下世界をめぐる冒険 闇に隠された人類史』地下愛好家が追い求める、人間の脳に眠る「古代」 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『地下世界をめぐる冒険 闇に隠された人類史』地下愛好家が追い求める、人間の脳に眠る「古代」

地下愛好家という人々がいるらしい。皆が寝静まった真夜中に都市の下水溝や地下鉄のトンネルに忍び込み、日常では味わうことのできない感覚を求める人々だ。 本書の著者、ウィル・ハントもそんな地下愛好家の1人だ。きっかけとなったのは、16歳のとき、近所の廃棄されたトンネルに潜り込んだ際に見た光景だ。トンネルの奥深く、何者かが作ったバケツの祭壇に天井から染み出た水が滴り

『ピタゴラスと豆』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『ピタゴラスと豆』

来年の3月11日で東日本大震災が発生してちょうど10年になる。9世紀以来というマグニチュード9クラスの巨大地震が発生し、日本列島は地震と噴火が頻発する「大地変動の時代」に突入した。 それ以降、寺田寅彦の著作が以前にも増して読まれるようになった。彼は大正12年(1923年)の関東大震災を東京で体験し、科学エッセイにその状況をつぶさに書き残しているからでもある。