ノンフィクションはこれを読め!

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『捕食者 全米を震撼させた、待ち伏せする連続殺人鬼』何百時間もの取材を基に未解決事件の犯人に迫る 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『捕食者 全米を震撼させた、待ち伏せする連続殺人鬼』何百時間もの取材を基に未解決事件の犯人に迫る

本書は米国における今世紀最初の「シリアルキラー」による連続殺人事件を追ったノンフィクションだ。その事件は、1件の殺人を除いてすべてが未解決に終わるという、FBI(米連邦捜査局)にとって不名誉なものでもあった。 発端となったのはサマンサ・コーニグ誘拐殺害事件。2012年2月1日の夜、アラスカ州のアンカレッジという小さな町のコーヒースタンドでアルバイトをしていた

『印税稼いで三十年』キャリア30年、著書40冊!職業作家のサバイバル営業方法 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『印税稼いで三十年』キャリア30年、著書40冊!職業作家のサバイバル営業方法

私が小説家の秘書として雇われて出版業界に入ってから35年になる。その間、あっという間に超売れっ子になった人、長い下積みのあとブレークした人、新人賞受賞作だけ注目された一発屋などいろいろな小説家を端から見てきた。 小説家という仕事は書いた物語が商品になると認められて初めて金になる。“食えない” “食うのがやっと” “稼げる”という三種類の小説家がいて、“稼げる

”素人にこんなオモロイ本を書かれたら困るがな” 的な医学エンタメ『人体大全』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

”素人にこんなオモロイ本を書かれたら困るがな” 的な医学エンタメ『人体大全』

医学系書籍の現状と将来について講演する機会に、いくつかの提案をしたことがある。その時、特に重要性を強調したのは、良き書き手の育成である。売れ筋の医学系書籍をしらべてみると「トンデモ本」が並んでいて愕然とする。その理由のひとつは、まともな医学系書籍は面白くない、あるいは、面白く書ける人が少ないということにある。できれば「このようなオモロイ本を書けるような著者を

地球温暖化問題を考えるヒント『地球の未来のため僕が決断したこと』 書影

サイエンス / 生物・自然

地球温暖化問題を考えるヒント『地球の未来のため僕が決断したこと』

気候変動メカニズムやその対応策についての議論は、抽象論から枝葉末節まで玉石混淆に陥りがちだ。「脱炭素」「EVの普及」「エコバック」など、毎日のようにメディアでキーワードが飛びかっているが、結局なにから手をつけるべきなのか分かりづらい。地球温暖化問題に対して、どのような視点からアプローチしていけばいいのか分からないと悩む人は少なくないはずだ。 今回、この問題を

本は道楽。『読む・打つ・書く: 読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々』。 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

本は道楽。『読む・打つ・書く: 読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々』。

みんな道楽だ、と三中信宏は言う。 タイトル『読む・打つ・書く』は、もちろん「飲む・打つ・買う」からくる。大酒、ばくち、女、いずれも、このご時世、止められこそすれ、すすめられるものではない。 だからこそ、三中は書名にしたにちがいない。 読書も書評も執筆も、みんな道楽であり、本の章立ては「楽章」としてあらわされる。いまこそ、この道楽に溺れようではないか! 溺れる

今週のいただきもの:2021年9月5日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2021年9月5日週

子どもの頃は苦手だったけれど、今は食べられる、むしろ好きなものってありますよね。私はインゲンがそうなのですが、オイル蒸しで食べることを知り、苦手から大好きに変わりました。作り方は簡単で、材料はインゲンとトマトだけです。 フライパンにオリーブオイルと水、インゲン、トマト、塩胡椒を入れて蓋をして火にかけ、煮たったら弱めの中火にして8分蒸すだけ。一晩置くとさらにお

『ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと』一緒に走りながら考えたマラソン王国繁栄の秘密 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと』一緒に走りながら考えたマラソン王国繁栄の秘密

もう20年以上前になるが、ある芸人が自身の持ちネタのオチに「アフリカの運動会ではいつも世界新記録が出る」というようなセリフを使っていた。そんなことを、本書を読んで思い出した。 今の基準で批判しようというのではない。ただ、そのネタには私たちが現在も抱きがちなステレオタイプが表れていたと思う。ネガティブなニュアンスではなかったが、アフリカの子なら身体能力が優れて

『死者の告白』憑霊体験をめぐるノンフィクション 書影

事件・事故 / 民俗・風俗

『死者の告白』憑霊体験をめぐるノンフィクション

人は死んだらどこへ行くのだろう。 これは、人類が誕生以来、問い続けてきた究極の謎である。 先日亡くなった立花隆さんは、死後の世界が存在するかどうかは、「個々人の情念の世界の問題」と述べている( 『死はこわくない』 )。論理的に考えたからといって正しい答えが導き出せるような類いの問題ではないということだ。立花さんは自身の死すらも取材者の目で観察しようとしていた

科学的に甘えさせてくれる本 『生物学的に、しょうがない!』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

科学的に甘えさせてくれる本 『生物学的に、しょうがない!』

本書には、生物学や遺伝子学的に「人が悩んでもしょうがないこと」が51個紹介されている。著者は生物学や脳科学・心理学の領域に長年携わるかたわら、「たけしのTVタックル」などの人気テレビ番組への出演経験も多数ある進化心理学者だ。とても親しみやすい、読んで楽しい本に仕上がっている。 相田みつをの「にんげんだもの」という書をみて、心が軽くなる人は多いだろう。本書を読

『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』主観の調和 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』主観の調和

2021年9月5日、新型コロナウイルスの影響により1年の延期を経て開催された東京パラリンピックの閉会式が行われ、13日間にわたる大会が幕を下ろした。 テレビ観戦で感じたことは、あたりまえかもしれないが、車いすバスケでも、ゴールボールも、車いすテニスも、障害ある選手達がプレーとして成り立っていたことだ。見る前は概念として理解していたのだが、実感がなかった。それ

『地震はなぜ起きる?』 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『地震はなぜ起きる?』

今年は東日本大震災の発生から10年目という節目の年である。若い世代には当時の記憶をもたない人が増えてきた。東北沖で約1000年に1度というマグニチュード9の巨大地震が発生し、日本列島の地盤を東西へ5メートルほど引き伸ばしてしまった。このストレスを解消しようとして内陸では地震が頻繁に発生し、私が専門とする地球科学では、今後20年は止むことがないだろうと予測して

先月出た本 2021年9月 書影

併せて読まれたこの一冊

先月出た本 2021年9月

8月はコロナウイルス感染の急拡大、全国的な荒天等を受けて厳しい月になりました。8月は終戦の月ということで、例年は戦争関連本の動きが良くなる月でもあります。今年はどんな本が発売されていたのでしょう。先月出た本の売上ランキングから売場を見ていきましょう。 日販オープンネットワークWINから8月発売のタイトルとHONZのレビュー対象となるノンフィクションジャンルの

『早く絶版になってほしい #駄言辞典』滅びるべき駄言の存在は社会の成長の証でもある 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『早く絶版になってほしい #駄言辞典』滅びるべき駄言の存在は社会の成長の証でもある

とてもユニークな本だ。出版社の宣伝文句には、「心を打つ『名言』があるように、心をくじく『駄言(だげん)』もあります。これは、そんな滅びるべき駄言を集めた辞典です」とある。 日本経済新聞社と日経BPは、「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト」に共同で取り組んでいる。これは日本社会の多様性を阻むステレオタイプの撲滅を目指すプロジェクトで、本書はその一環として

『ジェンダーと脳──性別を超える脳の多様性』 女性的な特徴と男性的な特徴が入り混じったモザイク 書影

サイエンス / 医学・心理学

『ジェンダーと脳──性別を超える脳の多様性』 女性的な特徴と男性的な特徴が入り混じったモザイク

「女性は親切で、コミュニケーション能力が高い。他方で、男性は攻撃的で、空間認識に長けている」。性差に関するそうした主張を、あなたもどこかで耳にしたことがあるだろう。さらにあなたは、そのような主張が展開されるなかで、「女脳」「男脳」といった言葉が使われているのを目にしたことがあるかもしれない。「女脳はコミュニケーションに関わる領域が大きく、男脳は空間認識能力が

今週のいただきもの:2021年8月22日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2021年8月22日週

近所の推しスーパーでパクチーが手軽に買えるので、我が家の冷蔵物にはいつもパクチーがあります(テトラパックに葉だけ入っていて便利)。パクチーを使ったサラダのレシピはいくつか書きましたが、スライスしたズッキーニを加えたらとてもおいしかったのでご紹介します。 スライスした玉ねぎを水につけ、ズッキーニは軽く塩揉みにしましょう。オリーブオイル、レモン、ナンプラー、すり

『仁義なき戦い 菅原文太伝』日本映画界のスター その魅力の源泉に迫る 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『仁義なき戦い 菅原文太伝』日本映画界のスター その魅力の源泉に迫る

不器用で一本気。昭和の日本映画界を支えた俳優、菅原文太の印象を聞かれたらこう答える人は多いのではないか。 1973年、菅原が39歳のときに1作目が公開された代表作『仁義なき戦い』シリーズでのアウトローでありながらも筋を通すヤクザ役や、広島弁で語りかけるCMでの頑固親父の印象が強い。 本書は菅原の生前の発言、俳優仲間や関係者の証言を積み上げ、「人間・菅原文太」

痩せたいならばこれを読め!『ダイエットをしたら太ります。 最新医学データが示す不都合な真実』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

痩せたいならばこれを読め!『ダイエットをしたら太ります。 最新医学データが示す不都合な真実』

画期的な「ダイエット本」だ。なにしろタイトルがすごい。すべてのダイエット法を敵にまわしている。そして、内容はあまりに正しい。体重を減らすことに興味があるすべての人に読んでほしい。 ほとんのど場合、ダイエットは成功しません。どうしてって、ダイエットには「ダイエットすると太る」という、“不都合な真実”があるからです。 「はじめに」に書かれている文章だ。この本の内

『暁の宇品』日本はなぜ「海の戦争」で敗れたのか 書影

人物 / 世界史

『暁の宇品』日本はなぜ「海の戦争」で敗れたのか

新刊が出たと聞けば、迷わず購入する著者がいる。内容を事前に確かめることはない。なぜならその人が書くものに期待を裏切られたことはこれまで一度もないからだ。 堀川惠子氏は、当代最高のノンフィクションの書き手のひとりである。著作はいずれも高い評価を受け、受賞歴も数知れない。本書も凄い本だった。すでに膨大な文献が世に出ている太平洋戦争について、これまでにない新しい視

エッセイ集『笑う門には病なし!』、その内容の幅広さ日本一!(と思います) 書影

教養・雑学 / 著者自画自賛

エッセイ集『笑う門には病なし!』、その内容の幅広さ日本一!(と思います)

***************************************** 初エッセイ集の「まえがき」であります。みなさん、よろしくお願いいたします! ***************************************** エッセイ集を出すことになりました。って、「はじめに」を読んでるんやからわかってるわ! と言われそうですが、なにしろそ

今週のいただきもの:2021年8月15日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2021年8月15日週

夏野菜は何でも好きですが、ズッキーニが特に好きです。少し前までは、ソテーやラタトゥイユなどにしていたのですが、最近は生で食べることが多いです。以前はなぜか火を通さないといけないと思っていたのですが、生食できると知ってからは道が開けました。 スライスしたズッキーニにオリーブオイルと塩、お好みでレモンや胡椒、削ったチーズで作るサラダもおいしいのですが、個人的ブー

これから出る本 2021年9月 書影

併せて読まれたこの一冊

これから出る本 2021年9月

未曾有。という言葉に辟易としてきた感はありますが、経験のない災害が続いています。気候変動や新たな感染症の発現など、本の中では過去なんども脅威として語られている事も多く、本から学ぶ事の重要性を改めて感じる機会にもなっています。 これから出る注目ノンフィクションを紹介していきます。2021年8月20日時点の予約受注実績からこの先発売になるタイトルを抽出しノンフィ

『コード・ガールズ 日独の暗号を解き明かした女性たち』を読む 書影

社会 / 青木薫のサイエンス通信

『コード・ガールズ 日独の暗号を解き明かした女性たち』を読む

わたしはサイモン・シンの『暗号解読』を訳した関係で、暗号まわりのことは多少知っているつもりでした。第二次世界大戦期についていえば、ナチスドイツの暗号であるエニグマはもちろんのこと、解読不能な天然の暗号として使われたナヴァホ語、そしてナヴァホ族の兵士である「ウィンドトーカー」たちのことも。ウィンドトーカーの存在も戦後しばらくは知られていませんでしたが、たしか1

『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』まず自分の靴を脱ぐこと 足元から世界を変えていく 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』まず自分の靴を脱ぐこと 足元から世界を変えていく

著者が今、最も旬な書き手であることを確信させられる一冊だ。世界を覆う社会的なテーマを生活者として語り、解決のヒントを暮らしの中に見出す。そのスタンスや主張は数年前からさほど変わらないはずだが、時代が追いついてきた印象もある。 ブレイディみかこ氏が本作で選んだテーマは「エンパシー」。これは他者の感情や経験などを理解する「能力」を指す。エンパシーは「意識的に他者

船上での無謀な取材を重ねた傑作『アウトロー・オーシャン 海の「無法地帯」をゆく』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

船上での無謀な取材を重ねた傑作『アウトロー・オーシャン 海の「無法地帯」をゆく』

本書から得られるのは、海上での人権と労働問題、海洋汚染の実態、過剰漁業など表面上の知識だけではない。本気で取り組む際に人間はどこまでやれるかの挑戦であり、そのための準備や緊急時の冷静な対応、大量の情報と感情を文章にする熟練の技など、ジャーナリストがたどり着く1つの到達点だと思う。 私がノンフィクションを読み始めた動機のひとつに、世界のニュースの背景が知りたい

あの「魔法」にもういちど触れたい!『シェフたちのコロナ禍』 書影

教養・雑学 / 民俗・風俗

あの「魔法」にもういちど触れたい!『シェフたちのコロナ禍』

昔から家で酒は飲まない。宅飲みを愛する人も多いが、自分の場合は家で飲んでも楽しめないのである。楽しく酔えればどこで飲もうと関係ないのだろうが、幸か不幸かアルコールには強い体質だ。だから家だと延々飲み続けることになる。だったら家で飲むのは別にお茶でいいじゃないかと思ってしまうのだ。 外で酒を飲む理由はただひとつ。会いたい人に会うためである。 といっても人目をし

今週のいただきもの:2021年8月8日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2021年8月8日週

関東はしとしとと雨が降り、秋の気配を感じます。鍋をメインとするには少し早いですが、スープ扱いで食べるにはピッタリの時期でしょう。意外な組み合わせだけど簡単でおいしい、クレソンとマッシュルームの鍋を紹介します。 オリーブオイルでひき肉を炒め、水を入れて沸かしましょう。鶏ガラ、塩、ほんの少しの醤油で味を整えます。クレソンとマッシュルームを加え、好みの加減で火を通

『ヒロシマを暴いた男 米国人ジャーナリスト、国家権力への挑戦』《世紀のスクープ》マッカーサーが隠した被爆者の真実 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ヒロシマを暴いた男 米国人ジャーナリスト、国家権力への挑戦』《世紀のスクープ》マッカーサーが隠した被爆者の真実

1945年8月6日午前8時15分、世界で初めて、広島に原子爆弾が落とされた。三日後、今度は長崎が標的となった。日本は世界で唯一、核兵器で攻撃を受けた国となった。 本書はキノコ雲の下で生き残った生存者の生の声を初めて報道した『HIROSHIMA』の著者ジョン・ハーシーと記事を掲載した〈ニューヨーカー〉誌編集部が、原爆の被害を隠蔽しようとするアメリカ政府と東京の

そして、あの人身事故は起きてしまった『アーバン・ベア となりのヒグマと向き合う』 書影

生物・自然 / 事件・事故

そして、あの人身事故は起きてしまった『アーバン・ベア となりのヒグマと向き合う』

「ああ、ついに起きてしまった……」 そのニュースを知ったとき、思わずそうつぶやいた。今年6月、札幌市街地にヒグマが出没し、4人の方が襲われて負傷した。 数年前から札幌市街地でのヒグマの目撃情報は寄せられていたが、今年は異例と思えるほどヒグマによる人身事故が北海道各地で報じられ、複数の犠牲者も出している。 しかし、なぜヒグマは市街地に出没するようになったのか?

古典籍の敷居をグッと低くしてくれるブックガイドの傑作『読書大全』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

古典籍の敷居をグッと低くしてくれるブックガイドの傑作『読書大全』

今から10年前の2011年は私のような地球科学者にとって青天の霹靂とも言える東日本大震災が発生した年だ。この年の7月15日、まだ震災の混乱が収まらぬ中でインターネット書評サイト「HONZ」が誕生した。 10周年を迎えた今夏、紹介した総計3000冊の中から100冊を厳選した『決定版-HONZが選んだノンフィクション』が中央公論新社から刊行された。科学・歴史・経

スマホ以来の衝撃 『ボイステック革命 GAFAも狙う新市場争奪戦』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

スマホ以来の衝撃 『ボイステック革命 GAFAも狙う新市場争奪戦』

これからは音声がくる!という話をよく耳にする。ただその全体像を理解できている人が、一体どれだけいるだろう。少し前にクラブハウスが流行し「音声」に関する関心が一気に高まった。それ自体は一旦沈静化した感があるが、音声配信のプラットフォームの多くはCH流行後も再生回数を大きく伸ばしているという。 本書は、現在凄まじい勢いで再生回数を伸ばしている声のブログサービス「

「こころ」の深層に触れる3冊 『なりすまし』『誰がために医師はいる』『ネオ・ヒューマン』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

「こころ」の深層に触れる3冊 『なりすまし』『誰がために医師はいる』『ネオ・ヒューマン』

情報の洪水の現在、私たちにとって何が正解でどれが間違いなのか。特に目に見えない「こころ」の問題はなおさらだ。 例えば1973年1月に『サイエンス』誌に掲載された米の心理学者デヴィッド・ローゼンハンの「狂気の場所で正気でいること」という現在でも版を重ね引用されている研究について。 これは実験者に偽の幻聴を訴えさせ精神病院に送り込み、統合失調症と診断させた実験で

今週のいただきもの:2021年8月1日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2021年8月1日週

引越しをしてから近所の商店街には魚屋がいくつもあるので、自宅で魚を食べることが増えました。刺身や焼き魚、煮魚などもいいですが、最近ハマっているのは「蒸し」です。 切り身の魚に胡椒、酒、塩を振って少し置きます。蒸す直前に片栗粉(あれば上新粉)をまぶして、強火で5分蒸し、10分放置するだけ。たれは、黒酢、醤油、胡麻油、葱、生姜と薬味たっぷりで食べるのがおすすめで

『帰還兵の戦争が終わるとき 歩き続けたアメリカ大陸2700マイル』イラクで負った心の傷 終わらない戦争と癒やし 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『帰還兵の戦争が終わるとき 歩き続けたアメリカ大陸2700マイル』イラクで負った心の傷 終わらない戦争と癒やし

帰還兵、復員軍人の精神面の問題は古くて新しいテーマだ。戦中、戦後は日本でも問題視されたし、現代ではイラクに派遣された自衛官の中にもPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し苦しんでいる人たちがいる。 9.11米国同時多発テロ事件以降、10年以上にわたりアフガニスタン、イラクとの非対称戦争を行ってきた米国には、かなりの数の帰還兵、復員軍人が存在する。そして彼ら

『あなたの名はマリア・シュナイダー 「悲劇の女優」の素顔』親族の目線で綴る、一人の女優の生涯 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『あなたの名はマリア・シュナイダー 「悲劇の女優」の素顔』親族の目線で綴る、一人の女優の生涯

映画 「ラストタンゴ・イン・パリ」 が公開当時、私は中学生だった。映画に対する興味が湧き、一人で観に行くことが許された時期でもある。性に対しても敏感だったから、この映画のスキャンダラスな評判はよく覚えている。 中年男性と若い女性が大胆なセックスを繰り返すイタリア映画で、監督はベルナルド・ベルトルッチ。主役の中年男はマーロン・ブランドで女性を演じたのが『あなた

歴史の影で忘れ去られていた女性暗号解読者たちの活躍に光を当てるノンフィクション──『コード・ガールズ――日独の暗号を解き明かした女性たち』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

歴史の影で忘れ去られていた女性暗号解読者たちの活躍に光を当てるノンフィクション──『コード・ガールズ――日独の暗号を解き明かした女性たち』

近年、ロケットのための計算に明け暮れていた女性たちを描き出したノンフィクション『ロケットガールの誕生』や、ディズニー初期の女性アニメータたちの活躍を取り上げた『アニメーションの女王たち』など、歴史の影で見過ごされてきた女性たちの活躍を取り上げるノンフィクションが増えてきている。今回紹介したい『コード・ガールズ』も、第二次世界大戦中にアメリカ軍に所属し暗号解読

先月出た本 2021年8月 書影

併せて読まれたこの一冊

先月出た本 2021年8月

オリンピックが開幕し、新型コロナウイルスが再度猛威を振るい始めた7月。発売された本を見てみると、スポーツ関連や世界に目を向ける本が多くなっている気がします。また、例年の動向でもありますが、戦争や戦後を考える本も多く出版されました。7月はどんな本が発売されていたのでしょう。先月出た本の売上ランキングから売場を見ていきましょう。 日販オープンネットワークWINか

『きみが死んだあとで』羽田闘争で亡くなった京大生を悼む14人へのインタビュー 書影

人物 / 社会

『きみが死んだあとで』羽田闘争で亡くなった京大生を悼む14人へのインタビュー

1967年10月8日、ベトナム戦争反対を叫び佐藤栄作総理の南ベトナム訪問を阻止せんとする全学連と機動隊とが羽田・弁天橋で激突した。 当時18歳の京都大学一年生、山﨑博昭さんがこの争いの中で命を落とす。死因は学生たちが奪った装甲車に轢かれたとも、機動隊に殴られたからとも言われている。 全共闘世代の一まわり下「しらけ世代」である代島治彦監督はこの闘争をめぐって山

今週のいただきもの:2021年7月25日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2021年7月25日週

子どもの頃はおいしさがわからなかったけれど、大人になるとむしろ好物になるものってありますよね。私はゴーヤがそれなのですが、夏になると無性に食べたくなります。ゴーヤはインドやボルネオなどの熱帯アジアが原産で、日本へは中国を経由して入ってきました。 ゴーヤチャンプルとして食べることが多いと思いますが、今日は、中華風ゴーヤとひき肉の炒め物を紹介しましょう。ひき肉を

『海がやってくる 気候変動によってアメリカ沿岸部では何が起きているのか』沈みゆく米国沿岸部 気候変動最前線の光景 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『海がやってくる 気候変動によってアメリカ沿岸部では何が起きているのか』沈みゆく米国沿岸部 気候変動最前線の光景

長靴の形をしているのはイタリアだけではない。米国のルイジアナ州もそうである。だが、現在のルイジアナ州の「靴底」はボロボロに破れ擦り切れている。靴底にあたる地域にはかつて広大な湿地帯があったが、海に変わってしまったのだ。 同州では1932年から2000年までの間に約4920平方キロメートルが失われたという(これは福岡県の面積約4987平方キロメートルに匹敵する

『最悪の予感』穴だらけのスライスチーズ 書影

人物 / 社会

『最悪の予感』穴だらけのスライスチーズ

世界最大の「コロナ敗戦国」になったアメリカ。新型コロナウイルスの感染者数は3440万人。死亡者数は61万人を超えた。これは第一次世界大戦と第二次世界大戦、そしてベトナム戦争で亡くなった死者の合計よりも多い。CDC(疾病予防管理センター)やトランプ前大統領が楽観的だったこともあり、初期対応がまずかったのは間違いない。しかしアメリカは新型コロナウイルスに対して無