
『存在しない女たち 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』“女性は虐げられている”は勘違いじゃない!
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言、その後の辞任会見を見て、私は少し驚くほど怒りを感じていた。それと同時に、このような世の中を放置してきてしまった自分自身にも腹を立てていた。多分、同じように思った女性は多かっただろう。森元会長が実例として挙げられた日本ラグビー協会で、女性で初めて理事を務めた稲沢裕子・昭和女子大特命教授が 朝日新聞の
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東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言、その後の辞任会見を見て、私は少し驚くほど怒りを感じていた。それと同時に、このような世の中を放置してきてしまった自分自身にも腹を立てていた。多分、同じように思った女性は多かっただろう。森元会長が実例として挙げられた日本ラグビー協会で、女性で初めて理事を務めた稲沢裕子・昭和女子大特命教授が 朝日新聞の

テーマがテーマだけに、気分が落ち込んでいるときに読むべき本ではないだろう。しかし、気持ちが落ち着いているときに、自殺というテーマに関する知識を得ておくことは、いつの日かあなた自身やあなたの周りの大切な人を救うことになるかもしれない。そんなワクチンのような役割を果たす一冊である。 著者のジェシー・べリングは、前作『性倒錯者』と同様に、自分自身の実体験をカミング

「社会保険料の負担が重くなるから気をつけろ!」起業家の先輩に話をきくと、みな口を揃えてそう私に警告した。これまで会社が出してくれていた分を自分が払うのだから当然だ。もとより私もそれは織り込み済みなので、軽く「了解、了解」と聞き流していた。しかし、先日のニュースをみて愕然とした。 財務省によると、令和2年度の「国民負担率」(所得に占める税金や社会保険料などの負

あと1年少しで定年を迎える。その後は、『こぐこぐ自転車』以来、勝手に師匠と仰いでいる英文学者・伊藤礼先生の『ダダダダ菜園記 明るい都市農業』を片手にちっさい畑での農業にいそしもうと思っている。あこがれの、晴耕雨読、ときどき物書き生活。 もうひとつ、秘かにイグ・ノーベル賞を狙った研究をおこなうつもりだ。もうネタは決まっている。どう測定するかがちょっと難しいのだ

「メンター」(師、指導者)というのは不思議な存在である。親を選ぶことはできないが、メンターは自分で選べる。にもかかわらず、良いメンターに出会えるかどうかは運命に委ねるしかない。そして、いったん出会ってしまえば、弟子はメンターから全人格的な影響を受ける。 科学の世界では、濃密な「メンターと弟子」の関係が今も生きている。弟子はメンターから研究テーマへのアプローチ

はるか遠い記憶がある。 春うららかな小学校の教室で健康診断が行われている。順番に並んで身長、体重、座高などを測定し、最後に視力検査。さらにそのあと、変な絵を見せられた。 オレンジと緑で書き分けられた数字を読み取るという簡単なテストだ。それが分からない人がいるんだって、と帰宅してから親に言うと「色が分からない色盲っていう人がいるんだよ」と教えられた。同時に、決

現在、全世界で約5000万人の患者とその家族が苦しんでいるアルツハイマー病は、完全に治す方法がないことで知られている。高齢化が進む日本で、今後アルツハイマー病による認知症がさまざまな課題を発生させていくことは想像に難くない。 しかしこの病に関する研究が進み、現在では治療への大きな希望が見えてきているのだという。本書はそんなアルツハイマーという病の征服に挑んだ

日本でもオーロラが見えていたことをご存じだろうか。しかも、直近では昭和33年、約60年前で、これは写真での記録もバッチリあるという。 この本は、タイトルこそ『日本に現れたオーロラの謎』だが、サブタイトルに「時空を超える」や「赤気」という言葉が入り、著者名も片岡「龍峰」さんで、とどめにカバーのイラストで、山から赤いオーラみたいなものが出ている。ぱっと見「スピリ

本書を読んで思ったのは、私も生命科学を理解できるんだな、という単純すぎる驚きです。私は科学に憧れがあったので、流行りのものや面白そうなものは一通り読んでいました。しかし、ワクワクするまではいかない。たとえば、伝記スタイルであれば、科学者の破天荒な人生に惹きつけられて楽しめることもあります。でも、「一から分かる科学〜」のような、科学の魅力をストレートに伝える本

いまやGPSのおかげで道に迷うことも少なくなった。とはいえ、こうした利便性と引き換えにわたしたちは大切なものを失いつつあるのではないか? 本書はそんな問いかけからはじまる。 ナビゲーションは、「海馬」という脳の領域が主に担っている。海馬にある場所細胞・頭方位細胞・格子細胞などが、脳のなかに認知地図をつくり出しているのだ。 興味深いのは、海馬は記憶の構築にもた

「この赤はリンゴの赤だね」と言うとき、どんな赤色を見ているかは、実は人それぞれだ。そもそもヒトがどんな色を視ているかを科学的に考えたことがあまりない。ところがその色覚について、「正常」と「異常」に線引きする時代もあった――それなら色覚とはいったいどういうものなんだ? 猛然と、最先端のサイエンスの知見に挑む著者による、新たな色覚原論の決定版! 著者の川端裕人さ

本書のプロローグは、「青森のりんごの形が良いのは、季節ごとに、こまめに手当てをするからだ」という、青森在住のわたしにとっては、不意を突かれる一文ではじまります。 なぜ、アルツハイマーの本で、青森のりんごなのか? その理由はすぐにわかりました。青森には、家族性アルツハイマーの大きな一族があるというのです。長身で美男美女の多いその一族は、おそらくは結婚相手に困る

この『空気と人類』は、『スプーンと元素周期表』など様々な化学/科学系のトピックスを扱ってきた作家サム・キーンによる、気体についてのノンフィクションである。気体! 一緒にいるのがあたり前の相手を「空気のような存在」というぐらいには身近なものだが、その性質、歴史、役割に注意を払う人は多くはないのではないか。 本書の原題は『Caesar's Last Breath

読み始めて、すぐに気がついたことがある。これは、医療の本であると見せかけて、知識に大きな差がある人間関係におけるコミュニケーションの本である、ということだ。中高生に関わる仕事をしているためか、私自身は患者を生徒に、医師を先生に変換して読んだ。親と子、上司と部下、行政と市民など、他の形で変換することもできるだろう。このような関係性を振り返り、新しい関係性を構築

最近は横文字そのままのタイトルの翻訳書が随分増えてきた。LIFESPAN(ライフスパン) とは生物の寿命や生存期間のことで、転じて製品の有効期限や耐用期間に使われることもある。そして本書『LIFESPAN 老いなき世界』では、加齢研究の第一人者であるハーバード大学の遺伝学教授が「人の老化は決して避けられぬものではない」と論陣を張る。 巷では昨今「人生100年

みなさま、ウィリアム・サーストンという数学者をご存知でしょうか? サーストンはご存知なくても、「100年の難問」と言われたポアンカレ予想と、それを肯定的に解決したロシアの数学者ペレルマンのことは聞いたことがあるかもしれません。実は、ペレルマンが解決したのは、サーストンが1980年に提唱した「幾何化予想」だったのです。ポアンカレ予想は、幾何化予想の小さな一部な

本書は、Harnessed: How Language and Music Mimicked Nature and Transformed Ape to Man(BenBella Books, 2011)の全訳である。著者のマーク・チャンギージーは、カリフォルニア工科大学、レンスラー工科大学でキャリアを積んだ理論神経科学者。しかし彼の活動はアカデミズムの枠に


「あなたがカッコいいと思う人物は?」と聞かれたら、迷うことなく漫画『MASTERキートン』の主人公、平賀=キートン・太一の名前を挙げる。キートンは、軍の特殊部隊で身につけた技術をもとに、危険を伴う保険調査員の仕事をこなしながら、考古学者になる夢を持ち続けている。物語のクライマックスで、たったひとり発掘作業に臨むキートンは本当にカッコいい。たとえひとりきりだろ

このところ、昔の本をいくつか読みました。300年前に書かれたモンテスキューの『 ペルシア人の手紙』 。100年前に書かれたバージニア・ウルフの『 ダロウェイ夫人』 。そしてこのたび読んだのが、150年前に書かれたサミュエル・バトラーの『エレホン』です。共通点は、いずれも初訳ではなく新訳だということ。現代の読者のために、われわれに伝わりやすい言葉でよみがえった

本は買った時がいちばん楽しい。半分本気でそう思っている。「本末転倒」「著者に失礼」とお叱りを受けそうだが、そもそも買う楽しさと読む楽しさは別物だったりする。 装丁に目をひかれ、パラパラと目を通して「これは買いだ」と確信。それを何度か繰り返し、店を出て「こんどの休日に読もう」とニヤニヤするところまでがピークだ。慌ただしい日々の中で、「週末のたのしみ」は気づけば

「全米が泣いた!」――ひと昔前のハリウッド映画の陳腐な宣伝のようだが、本書はアレックスの死によってまさに「全米が泣いた」場面から始まる。ニューヨーク・タイムズ紙をはじめ、さまざまなメディアが彼の訃報を伝え、著者のもとには多くの悲しみの声や励ましの言葉が寄せられた。 本書は、科学者の著者と、彼女の30年来の研究パートナーであるアレックスとの回想録である。……と

ビジネスパーソンにとって数学を学ぶ意義は、世間に溢れる色々な 数値を正しく読み取ることにあるだろう。ネットやテレビや雑誌に 出された数字をパッと見たとき、そのまま鵜呑みにせず隠れたから くりを見抜くには、数学の素養が必要である。 その一方で、「数学」と聞くと顔を曇らせる人は少なくない。文系 一直線で会社を切り盛りしてきた部長が、夜半に数学の入門書をこ っそり

これは、2019年9月に刊行されたKit Yates の初の一般向けの数学啓蒙書The Maths of Life and Death: Why Maths Is (Almost) Everything の全訳である。 著者のキット・イェーツは、オクスフォード大学で数理生物学を専攻し、現在はバース大学で数理生物学の上級講師をしている。オクスフォード時代には、

本書は、米ハーバード大学医学大学院教授で長寿と加齢研究の世界的権威であるデビッド・A・シンクレアらによる、われわれの生命観と人生観を覆す、まったく新しい生命科学書である。 本書の要旨は、「老化は自然の摂理ではなく病気で、治療によって治すべきだし、実際に治すことができる」というものだ。もちろん、2000年前に秦の始皇帝が不老不死の薬を求めたような怪しげな話では

ラジオ体操じゃあるまいし、不可能に第一とか第二とかあるのか。『「第二の不可能」を追え!』というタイトルを見たら誰しもがそう思うだろう。その違いは冒頭で説明される。第一の不可能とは、けっして1+1が3にならないように、絶対的な不可能のこと。未来永劫、可能になることがありえない不可能である。 それに対して、「第二の不可能」とは、必ずしも正しいとはいえない前提に基

第三次AIブームにのって有象無象のスタートアップベンチャーが立ち上げられた。一次は玉石混合の状態だった中、ここ数年で真に社会課題を解決しそうなベンチャーが生き残るようになってきている。その中でもユニコーン(企業価値10億ドル以上の非上場企業)まで評価されるようになったのがPreferredNetworksという会社だ。 同社は、2020年初時点では日本最高の

題名にちょっとクラクラ来てしまったが、サブタイトルにあるように地球と生命に関する正統の科学書である。メインテーマは宇宙に大量にある炭素原子で、我々の身体を作る大切な要素でもある。「交響曲第6番」というのは炭素が6番元素で、地球を初めとして壮大な物質世界の豊かさを担っているからだ。 炭素は「地球温暖化問題」でも重要な物質である。人類は産業革命以降、石炭や石油を

睡眠――。人生における多くの時間が費やされているにもかかわらず、それにはいまだ多くの謎が残されている。本書は、奇怪とも言える睡眠障害の症例を足掛かりとしながら、それらの謎に迫らんとする快著である。 著者のガイ・レシュジナーは、睡眠を専門とする高名な神経科医である。彼が勤務するロンドンの睡眠障害クリニックには、種々の問題を抱えた患者がイギリス中から集まってくる

通常、都市というのは人間以外の生物にとって一般的に良い環境とは思われていないだろう。緑や自然を切り開き、種の多様性を減少させる、必要悪的な存在である。野生の生き物たちの居場所は、都市から離れた自然豊かな世界中にあるのであって、都市ではない。 だが──、実はそうした都市の中には、むしろ「都市だからこその」生態が広がっている、と主張し、その概観を眺めていくのがこ

2003年1月、ワシントンD.C.――スミソニアン国立動物園のほの暗い展示室で、薄桃色の毛のない小動物がうごめいている。「何かの赤ちゃんかな?」展示ケースに近寄った私は、思わず息をのんだ。 な、な、なに?? この動物、なに??? それが、ハダカデバネズミと私との衝撃的な出会いだった。ハダカデバネズミ、漢字で書くと、裸・出歯・鼠。名は体を表す。裸で、出っ歯の、

南極大陸。平均標高は2020メートルと高く、95パーセント以上が雪と氷に覆われた大地。内陸に行けば行くほど気温が低くなり、常時マイナス30℃を下回る。冬場には驚異のマイナス80℃を記録することもある。 そんな南極大陸内陸部、人間がいなければどんな生物もいない場所で、風すら吹かない時は、あまりの静寂ゆえに、己の心臓の脈打つ音や、血管を血が流れる音が聞こえてくる

言語はいつ生まれたのか。 この問いに何万何千年前のある瞬間──というわかりやすい答えがあるわけではない。そのうえ、音声記録など残っているはずもないから、遺跡や痕跡からその地点を確定させることも難しい。いまだに、人類史のどのタイミングで言語が生まれたのか、そこではどのような言語を使ったのか、様々な説があり、確かにこうだ! といえることはあまり多くはない。 ただ

このたび東京大学出版会から刊行された、エイブラハム・フレクスナーとロベルト・ダイクラーフ著『「役に立たない」科学が役に立つ』を読み、期待していた以上に深く考えさせられ、また心を動かされました。 著者の二人は、プリンストン高等研究所を可能にした初代所長(フレクスナー)と、現所長(ダイクラーフ)です。 初代所長であるフレクスナーは、なにしろアインシュタインやフォ

「待ってましたっ!」思わず声を掛けたくなる1冊だ。ウイルス学の泰斗中の泰斗、東京大学医科学研究所教授の河岡義裕教授による新型コロナウイルスの解説書である。ただし、最初に書いておく。この本は、新型コロナウイルス感染症がどう制圧されていくかを示す預言の書などではないということを。 新型コロナウイルスとはどういうウイルスなのか、現状で何がわかっていて何がわかってい

昨年、国連の経済社会局は現在77億人の世界人口が2050年に97億人に達すると発表した。食糧も資源も底をつき現在の豊かな生活水準を維持することはとうてい不可能で、増えすぎた人類はさらに地球環境を破壊する恐れがある。 人間と地球環境の関係について、時をさかのぼってみよう。人が環境に対して影響を与え始めたのは、約1万年前からである。農耕と牧畜という新しい技術を得

プロスポーツの試合が再開され、スタジアムに観客も戻ってきた。 だが野球もサッカーもすっかり様変わりしてしまった。withコロナ云々を言いたいのではない。もちろんそれもあるが、実は今回のコロナ禍以前に、野球もサッカーも大きく変質していたのだ。いま私たちが目にしているのは、これまでとは違う別の競技であるとすら言えるかもしれない。本書はこれを「ポスト・スポーツ」と

遠い未来の地質学者が、私たちの生きる時代を調査したら、こんな結論に至るだろうーー「人類の影響による惑星規模の変化があった数々の痕跡が見つかる」。ノーベル化学賞を受賞したパウル・クルッツェンらは、こうした大転換に、「人新世」という新たな地質年代を名づけることを提唱した。 本書は、人類の及ぼす惑星規模の変化を、テクノロジーの面から探究する。今や人類は、自然の仕組

著者の紹介から始めたい。デヴィッド・ロバート・グライムスは1985年アイルランド生まれの物理学者・ガン研究者で、BBCとアイルランド放送協会でコメンテーターとして活躍する傍ら、ガーディアン紙やアイリッシュ・タイムズ等で記事を執筆する科学ジャーナリストでもある。世論を正しい方向に導いた功績として2014年にジョン・マドックス賞を受賞した経歴も持つ、まさしく気鋭

この『万物創生をはじめよう』は、最初期のVR技術の探求、起業者であり、VRの父と呼ばれる(バーチャルリアリティという言葉の発案者でもある)ジャロン・ラニアーによる自伝的な一冊である。幼少期からはじまり、VRとは何なのか、どこを目指すことが可能なのかというVRそれ自体への問をはさみながら、彼が設立したVR系企業VPLリサーチを去る92年までが描かれていく。 ジ