
『罪人を召し出せ』 by 出口 治明
いつかは読まなければいけない、誰しもそういった本のリストを持っているだろう。ヒラリー・マンテルの「ウルフ・ホール」は、この2年ほど、僕の読むべき本リストのトップページに、太字で書き込まれていたのだが、読む機会が訪れないうちに、先に続編を読む羽目になってしまった。それが、本書である。ヘンリー8世の右腕として活躍した稀代の政治家、トマス・クロムウェルの評伝のPa
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いつかは読まなければいけない、誰しもそういった本のリストを持っているだろう。ヒラリー・マンテルの「ウルフ・ホール」は、この2年ほど、僕の読むべき本リストのトップページに、太字で書き込まれていたのだが、読む機会が訪れないうちに、先に続編を読む羽目になってしまった。それが、本書である。ヘンリー8世の右腕として活躍した稀代の政治家、トマス・クロムウェルの評伝のPa

「 理論の終焉:データの洪水が科学的手法を時代遅れにする 」 2008年にワイアード誌編集長(当時)の クリス・アンダーソン が、ビッグデータ時代の到来を謳った記事のタイトルである。彼が予見したように、この5年で我々を取り巻くデータは爆発的に増加し、ビッグデータをマーケティングなどに利用した 成功例 も聞かれ始めた。 本当に、大きなデータと強力なコンピュータ

12月の初旬にトーハン、日販、両取次が2013年の年間ベストセラーランキングを発表しました。順位は前後するけれど、どちらもトップ3は『 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 』、『 医者に殺されない47の心得 』、『 聞く力 』の3冊でした。上位2点はミリオンセラーを達成、『聞く力』は去年唯一のミリオンセラーで、2012年の年間ベストセラーで1位だったの

東京・世田谷区成城、こんもりと庭木の繁った奥ゆかしいたたずまいの一角。木製の両開きの門の前からチャイムを鳴らすと、ゆかり夫人が朗らかに迎えてくださる。前庭には丹精された薔薇の花々が揺れているが、その日の目的に気を取られて、観賞するゆとりを持てたことはほとんどない。 玄関から左側の居間に通されると、一段高くなった奥の食堂のステレオの前で、低く流れる音楽に全身を

何をおいてもこれは食べなくてはなるまい。本書の解説を頼まれた私は、スケジュール表を睨んだ。これでもいちおう、食べ物についての本を数多く書いてきた人間である。林宏樹さんの素晴らしい筆によって、いかにマグロの「養殖」には詳しくなっても、味を知らずにいては、魚に申し訳ない。さて、どこで大阪まで食べに行けるかと考えたのだ。 近大の完全養殖マグロを食べさせるレストラン
こんにちは!「2番」の刀根明日香です。なぜ「2番」なのかは、後ほど説明します。今回は、12月6日に行われたHONZ合宿@鬼怒川温泉の模様を、たっぷりとお届けします。とくに後半は、重大な告知もあるのでお楽しみに。それでは、どうぞご笑覧あれ! ある日突然、成毛眞から号令がかかった。12月に合宿を行い、しかも今回は豪華にバスを貸し切るのだという。いずれにせよメンバ

この『古典夜話』は1975年に円地文子先生と白洲正子先生の対談を1冊にまとめたものです。改めて読んでおりますとお2人ともに素晴らしい時代に生きておられたと強く感じます。 私はこの職にありながら白洲先生とは全くご縁が無く、ご挨拶をさせて頂いたことも、またお仕事ですれ違ったこともありませんでした。白洲先生は幼少時からお能を習われて、女性としては初めて能舞台に立た

本書は、1人の天才 そう称して良いであろう 数学者の伝記である。 ジョン・ナッシュ(ジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニア)の名前は、「ナッシュ均衡」にその名を残す数学者として、また一般には、ロン・ハワード監督、ラッセル・クロウ主演でアカデミー賞四部門を獲得した映画『ビューティフル・マインド』(2001)とその原作本によって広く知られている。ナッシュは、プリ

先日、ある私的な席でご迷惑をかけた知人にお詫びをしようと酒席を設けた。 もちろん、支払いはこちらが持つ前提だが、待ち合わせの前から日本酒をがばがば呑んでいたら、ぐでんぐでんになってしまい、記憶が無くなり、気づいたら家の寝室の天井を眺めている自分がいた。翌日知ったが、おごるどころかお金を一切払わず仕舞い。「おわびします」と呼び出しておきながら、おごらせる。鶯谷

人間の欲望が丸出しになる政治のゴシップは東西を問わず人を惹きつける。権力闘争、飛び交う札束、そして、男女関係。本書には、金欲と情欲が渦巻く世界を泳いだ現代中国を代表する10人の悪女が登場する。 元重慶市党委員会書記の薄熙来の妻で、夫の力を背景に蓄財をしながら、英国人の愛人を殺害した谷開来。枕営業で国民的人気歌手になりながら、政財界の秘密を知り過ぎてしまったか

思い返せば、自然の音を一番聴いていたのは、たぶん小学生の時だった。だからだろうか、本書を読むと懐かしい気持ちになる。そして旅に出たい気持ちになる。 目で観るのが風景ならば、耳で聴くのは「 サウンドスケープ (音風景)」だ。サウンドスケープは「ある瞬間にわたしたちの耳に届くすべての音」という意味で、1960年代後半にカナダの作曲家マリー・シェーファーが作った言

雪のちらつく季節となりました。いかがお過ごしでしょうか。日本全国津々浦々、書店はサンタクロースのプレゼント応援部隊として毎日張り切って営業しております。つまり、一年で一番忙しい超繁忙期でございます。最近ではご自分へのプレゼント、と言って高額の図鑑をお求めいただいたり、うらやまし、じゃない、ありがたいことでございます。今月は科学の魅力をお伝えできる本をご紹介し

今週は待ちに待ったHONZ合宿でした! 私はギリギリまで仕事をしていたため集合場所までタクシーに乗ったのですが、あろうことかその車中でひどく車酔いしてしまい、貸切バスでは殆どしゃべれず、内藤順に「具合悪いくらいが丁度いいね」と訳のわからないことを言われました。 夜もそれほど飲めなかったため、なんと珍しく介抱する側にまわりました。酔いつぶれた人の背中をさすりな

11月のある日、成毛眞から一斉メールが届いた。「12月に合宿やるぞ!」 というわけで、バスを仕立てて忘年会かたがた温泉への一泊二日の旅が実行された。しかし世の中はお師匠さんも走る師走。 このうえ朝会までやるとなると、ちょっと厳しいということで、今回はメールで「12月の今月読む本」をもらうことにした。完全ブラインドなので、いつものように駆け引きはできない。先着

認知心理学や行動経済学といったジャンルの本が好きで、書店でみかけるとつい買ってしまう。『経済は感情で動く』、『世界は感情で動く』、『予想通りに不合理』、『ずる』(村上のレビューは こちら )、『ファスト&スロー』(山本のレビューは こちら )、『ダニエル・カーネマン心理と経済を語る』、『ヤル気の科学』。ぱっと思いつくだけでも、これだけの本を過去に購入している
グルメアプリ【TERIYAKI】 きっかけは今年の4月中旬、成毛眞さんからのFacebookメッセージだった。 堀江さんとはこれまで、収監される前に一度会っただけ。が、「レストラン版HONZ」というコンセプトに惹かれて会ってみることにした。彼がまだ社会復帰して二週間ぐらいのことである。 私は文藝春秋で「 東京いい店うまい店 」というグルメガイドの編集長を務め

本書の著者ローレンス・クラウスは、長年、第一線で活躍してきた宇宙物理学者である。興味のある研究テーマは、彼自身の言葉によれば、「宇宙の始まりから終わりまで」だという。もちろんクラウスは、半分は笑いを取ろうとしてそんな言い方をするのだが、しかしそれは彼の本音でもある。クラウスは本気で、宇宙の始まりから終わりまでを知りたいと思っているのだ。 クラウスは専門の論文

社会 / HONZ客員レビュー
著者の主張には、正直言って、多少の違和感を覚える。例えば、著者は政治的な立ち位置を左のように図示する(p.89)が、私見では、むしろ下のように整理したいところだ。 何れにせよ、僕は、バークやトクヴィルに最も親近感を覚えるので、進歩的な著者とは違って、恐らく心性は「保守」的なのだろう。しかし、政治的立場の違いにもかかわらず、この本は、とりわけ若い世代には、ぜひ

わくわくサイエンス本だ。 2012年11月13日早朝、インド沖合のスリランカに突如として「赤い雨」が降り注いだ。砂漠の微粒子を含む「黄色い雨」や火山灰・石炭を含む「黒い雨」はよく確認されているが、「赤い雨」というのは神話などで紹介されているものの事例が少なく、本格的な科学的研究はあまり進んでいない未知の現象である。本書は久しぶりに確認された謎の「赤い雨」の正
本日12月4日より、「 Antenna 」へのコンテンツ配信がスタートしました。 HONZサイトでは、現在アクセス者の半数以上がスマートフォン・ユーザーになっております。より利便性の高い環境でHONZ記事を閲覧いただくため、パブリッシャーとしてコンテンツを配信していきます。 Antenna特有の写真を最大限に活かしたインターフェイスで、 HONZの記事 を楽

冬。個人的にはとても好きな季節ですが、書店員の立場では皆さん大差ない思いを抱くでしょう。プレゼント包装に続き年末年始前の怒濤の荷物。本から飛び出るあれやこれやを手直ししてはまた手直し。終わらないことに焦りが募った先には、何だか楽しくなってきちゃうくらいにテンションが可笑しくなってしまう。現場では必ず猫の手も借りたい気持ちになります。 それでも、お客様の笑顔を

エンターテインメントノンフィクション、縮めてエンタメノンフの姉御格、内澤旬子さんの『捨てる女』。売れているらしい。ならばレビューを書くこともないかという気もする。しかし、書きたい。それくらいおもしろかった。こんなに小気味よくポンポンと書かれていて、笑えて、その上、どん引きさせられ、最後にディープに考えさせられる本など読んだことがない。 子供のころから何でもか

この春、息子の通う学校の学習発表会で印象的な発表を見た。テーマは「日本列島」。子どもたちはまず、日本の形といくつかの脊梁山脈について説明し、そのあとこんなふう続けた。 「雨が降り、川となります。たくさんの川が張り巡らされ、それが日本列島を活き活きとさせています」 そして子どもたちの説明は、農耕や各地の習俗や文化の話へと続いていったのだが、それらは、凹凸で構成
これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが。 イギリス首相として、第二次世界大戦を勝利に導いた ウィンストン・チャーチルの言葉 だ。たしかに、民主的選挙で選ばれた日本の政治家の醜態を見るにつけ、民主主義は最悪の形態だと言いたくもなる。しかし、独裁政治体制下の貧困や拘禁の恐怖におびえる生活を想像すると、民主主義国家以外で暮らしたいと思

信頼できる筋によれば、現在HONZ内部で、なんと、昆虫食プロジェクトが進行中とのことです! このところ何かと話題の昆虫食に、新機軸を打ち出そうという意欲的なプロジェクトだとか。 昆虫食は、深い問題にわたしたちをいざないます。わたしたちは何を食べ、何を食べないのか--。 食をめぐる状況には、実にたくさんの要素が複雑に絡み合っていて、考えれば考えるほど、問題は果

一口に本好きと言っても、大きく分けると二つのタイプが存在する。それは本の中身にしか興味がないか、それとも外側にも興味を持つかということである。僕などは本好きを自称していても典型的な前者のタイプなので、フェティッシュに外側のことを熱く語られると、敵わんなという思いを常に抱いてしまう。 後者のタイプの際たるものが、稀覯(きこう)本と呼ばれるコレクターの世界である

本書で著者が提示する「現実」は、とても厳しい。グローバル化が進み、あらゆるものがコモディティ化していく社会では、これまでのような常識は通用しない。と同時に、やる気がある人間には、チャレンジしがいのある魅力的な社会と映るだろう。そんな未来を提示し、その社会でどう生き抜くべきかを示唆する作品だ。 「社交的な人間ではない」と語る著者が本書のような仲間づくりの本を書

今日で11月も終わり、いよいよ忘年会シーズンに突入ですね。HONZでは来月早々「サイトリニューアル合宿」(とは名ばかりのお泊り飲み会)を予定しています。 人生初の幹事を拝命し張り切っている私ですが、勤め先の社長からは「今度こそ粗相しないように」とクギを刺され、代表成毛眞からは「声がデカくてうるさいからそばに座るな」と言われました。 誰か温かい言葉をかけてくれ

今年の5月14日、女優のアンジェリーナ・ジョリーが、乳がん予防のために乳房を2つとも切除したことをニューヨークタイムズに告白した。なぜ、まだ健康なうちから、切除という決断をするに至ったのか。 手術は、遺伝子検査の結果に基づく決定であった。そして、この乳がん遺伝子「BRCA1」は、米国のベンチャー企業ミリアド社が特許による独占権を主張している遺伝子である。 本
本の要約サイトflier(フライヤー) 私たちのサービスは、「読書体験を豊かにするディスカバリーサービス」と銘打っています。本のタイトル数が年々増えていく中で、良書に出会うことはますます難しくなっています。そんななかで、本の要約を読むことでその世界観を気軽に味わうことができれば、優れた書籍に出会いやすくなる、というサービスと位置づけているのです。 しかも闇雲
本日11月28日より、「 Gunosy 」へのコンテンツ配信がスタートしました。 HONZサイトでは、現在アクセス者の半数以上がスマートフォン・ユーザーになっております。より利便性の高い環境でHONZ記事を閲覧いただくため、公式チャンネルパートナーとしてコンテンツを配信いたします。 より身近なシチュエーションで、HONZの記事を楽しんでいただければ幸いです。

知的興奮を覚える、とても面白い本だ。冒頭から(第1章)「科学者はなぜ魚という群の実在性を否定するのか?」という挑戦状が叩きつけられる。著者は、この本を書くことによって、この一見奇妙に見える問いに答えようと努める。何のために? 始まりは、カール・リンネである。若き天才的な植物学者として人生のスタートをきったリンネは、二名法(人間は、「ホモ・サピエンス」として表

彼女の運命はあまりにも過酷だ。いや、発展途上国などでは日常的に起きている出来事なのかもしれない。たとえそうであっても、それは彼女の身に起きたことへの慰めにはならないだろう。本書は著者自身が体験した悪夢のような出来事を綴ったノンフィクション作品である。先進国という環境で生きる私たちにとって、この出来事はあまりにも遠くの世界に感じる。むろんイギリスの中産階級とい

HONZをご覧の皆さま、初めまして。ジュンク堂書店大阪本店で文芸書を担当しております、持田碧と申します。この度、「書店員のこれから売る本」に参加させて頂くことになりました。有難いご縁を頂いたことへの感謝と、このような場で本について語らせて頂くことへの緊張でいっぱいです。毎日売り場に立つ書店員として、また一人の本好きとして、心から「面白い!」と思える本を少しで

あるチームに異分子を投入することで、そのチーム全体がゆさぶられ成長するのであれば、はみでた人間は強力なカンフル剤と言えるだろう。 映画『スティーブ・ジョブズ』の主演男優アシュトン・カッチャーが、 技術企業Lenovoのエンジニアになった。 もちろんアシュトンを招いたLenovoが期待するのは、技術的なスキルや専門知識というよりも、画期的イノベーションに必要な

高嶋哲夫ファンのみなさん、こんにちは。 わたくしは書評サイトHONZの代表をしている成毛眞(なるけまこと)と申します。HONZはサイエンスや歴史はもちろん、ビジネスからアートまで広い意味でのノンフィクション作品を紹介するサイトです。しかし、たとえ村上春樹であろうが尾田栄一郎であろうが小説やマンガなどの創作物は取り上げることはありません。頑なにノンフィクション

プロローグに出てくるのは小指のない老門番である。2009年秋まで、太秦の東映京都撮影所を訪ねると、正門脇のベンチには眼光鋭い老人がいた。名前は並河正夫という。1950年代の東映時代劇映画黄金期から現場の最前線で予算やスケジュール管理をする制作進行として活躍し、晩年も駐車場の配車係として撮影所に雇われていた。 小指がないだけではない。並河の身体には手首から足首

僕は「歴史オタク」を自認しているけれど、インダス文明については、「文字が未解読である」「広域文明だった」「王墓がない」ぐらいのイメージしか、すぐには思い浮かばない。確かに、4大文明の中で、インダス文明は最も言及されることが少ない文明だ。それには、文字が未解読であることが大きいと考える。畢竟、歴史とは文字で書かれたものであるからだ。 本書は多くのインダス遺跡を

「こんど6次元で(イベントを)やるんで、来てくださいよ。」というような感じで、ここ最近、なんだかやたらと6次元という言葉を耳にしている気がする。「6次元でやる」っていったいなんだ?と頭のなかは???でいっぱい。2次元は平面で、3次元は立体。4次元は時空を超えて、ドラえもん的なことだよね。5次元ってのはスピリチュアルの関係でよくみかけるけど、じゃあ6次元ってい

HONZをご覧の皆様、はじめまして。京都の大垣書店烏丸三条店に勤務しております吉川敦子と申します。当店は京都のおへそ(ど真ん中)「六角堂」と、クールジャパンの殿堂「国際マンガミュージアム」に挟まれた立地ゆえに、老若男女のみならず諸外国のお客様にも多数お越しいただいております。 語学力の無さに悩まされながらも、お客様に素敵な本と出会っていただくべく、気合と情熱