ノンフィクションはこれを読め!

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今週のいただきもの:2017年12月24日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2017年12月24日週

2017年も残すところあとわずか。お正月の準備はもうお済みですか? お正月の縁起物といえば、松竹梅ですね。松竹梅は、中国の画題である「歳寒三友(さいかんさんゆう)」に由来します。松は常緑樹で冬でも枯れず、凛々しい姿を保つことから、「長寿・延年」の意味をもちます。竹は折れにくく、成長が早いことから、「生命力・成長」の象徴とされました。梅は苔が生えるほどの樹齢と

『チャップリン自伝 栄光と波瀾の日々』 書影

人物 / 「解説」から読む本

『チャップリン自伝 栄光と波瀾の日々』

本書は、世界の喜劇王チャーリー・チャップリンが、75歳の時に出版した自伝 “My Autobiography” の新訳である。日本では、長らく中野好夫氏による、格調高く、かつ翻訳であることを忘れてしまうほど自然な日本語による名訳で親しまれてきたが、なにぶん時代の制約のせいで多少の取り違えもあった。今回、チャップリン没後40年を記念して、また資料が出揃いつつあ

『感染地図』疫学の父が立ち向かった、見えない敵 書影

人物 / 世界史

『感染地図』疫学の父が立ち向かった、見えない敵

『世界をつくった6つの革命の物語』 (朝日新聞出版)、 『世界を変えた6つの「気晴らし」の物語』 (同前)、 『ピア PEER』 などで知られるスティーヴン・ジョンソン。彼の過去作が10年越しに文庫化された1冊である。 舞台は19世紀のロンドン。劣悪な衛生環境の中で、人びとは繰り返されるコレラの流行に苦しめられていた。本書は中でも集中的な被害をもたらした、1

『これが人間か』人とは、ここまでグロテスクになれるものなのか!? 書影

教養・雑学 / 人物

『これが人間か』人とは、ここまでグロテスクになれるものなのか!?

プリーモ・レーヴィはユダヤ系イタリア人。トリーノ大学を主席で卒業した科学者だ。彼は24才の時にパルチザンとして活動中に逮捕される。1943年の事だ。翌1944年にアウシュヴィッツに移送され、開放されるまで強制収容所で地獄のような日々を送った。彼が送られたのはアウシュヴィッツの中の第三強制収容所モノヴィッツである。この収容所は強制労働を主目的としており、囚人は

『猫はこうして地球を征服した 人の脳からインターネット、生態系まで』 書影

「解説」から読む本

『猫はこうして地球を征服した 人の脳からインターネット、生態系まで』

「猫が地球を征服した?」……本書のタイトルを見て、「うちの可愛い猫ちゃん一族が、地球なんて征服できっこない!」とおおかたの読者は思われるのでは? でも、これは決して誇張ではない。一見、ひ弱で愛らしい猫たちが、いまや人の脳から、インターネット、各地の生態系まで席巻しつつあるのだ。 その制覇のきっかけは、まずは私たち人間の心を奪ったことだった。猫と人との関係は、

読めば絶対薦めたくなる! 『笑うお葬式』と『通天閣さん』に爆笑、号泣、泣き笑い 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

読めば絶対薦めたくなる! 『笑うお葬式』と『通天閣さん』に爆笑、号泣、泣き笑い

タレント本の位置づけというのは、どういうところなのだろう。大型書店には必ず「タレント」の棚があるけれど、なんとなく近寄るのは気恥ずかしいような感じがする。しかし、振り返ってみると、タレント本の書評を結構たくさん書いている。 最近もドラマ化された黒柳徹子の『窓際のトットちゃん』は、本邦ベストセラー史上1位の堂々たるタレント本だ。さらに ランキング を見てみると

核兵器よりもたちが悪い『人類史上最強 ナノ兵器』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

核兵器よりもたちが悪い『人類史上最強 ナノ兵器』

昆虫サイズの超小型ロボ兵器ナノボットによる毒殺攻撃。まるでSFのような話だが、超小型ナノ兵器の開発状況をつぶさに調べていくと各国がこのナノボットの開発に注力していることがうかがれる。2014年時点で 米軍は 重量1gにも満たない「ハエ型ドローン」の製作に成功している。しかも、これを偵察用に使うだけでなく、攻撃を加えられる兵器にするよう開発中という。SFのよう

『退屈すれば脳はひらめく』マインド・ワンダリングがいいんじゃない? 書影

医学・心理学 / 教養・雑学

『退屈すれば脳はひらめく』マインド・ワンダリングがいいんじゃない?

退屈すれば脳はひらめく、というのはなんとなく、直感的に、そうだなぁと思えることである。例えば、皿洗いをしているとき、ベビーカーを押しているとき、シャワーをあびている時、車を運転しているときなどはよくちがった考えや新たな気づきが浮かぶ。 退屈で心がさまよっている状態を、心理学の用語でマインドワンダリングと言い、心がさまよっている状態の神経科学分野での研究ははじ

あなたがたった今、これを読んでいるという途方もないありえなさ──『生命進化の偉大なる奇跡』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

あなたがたった今、これを読んでいるという途方もないありえなさ──『生命進化の偉大なる奇跡』

本書『生命進化の偉大なる奇跡』はイギリスの解剖学者・人類学者であるアリス・ロバーツによる、人類進化の中でも特に解剖学・発生学を中心としたサイエンス・ノンフィクションだ。彼女はBBCで人類進化をテーマとしたいテレビシリーズにも出演していたり、幅広く一般に向けてわかりやすい科学情報の発信を行なっているが、本書もその成果のうちの一冊である。 中心となるのは、受精卵

『結論は出さなくていい』番組プロデューサーが語る、「脱構築」の指南書 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『結論は出さなくていい』番組プロデューサーが語る、「脱構築」の指南書

本書『結論は出さなくていい』を一言で言い表すなら、現代を支配する浅薄でしかも強固な固定観念を打ち破るための、知的誠実さによって貫かれた、「脱構築」の指南書である。 ここで言う「脱構築」とは、著者曰く、「自らの拠って立つところを自覚し、その足場を相対化し続けること」であり、もう少し分かりやすく言えば、本書は、資本主義社会を前提とする一元的な価値観によって自縄自

『聖❤尼さん 「クリスチャン」と「僧侶女子」が結婚したら』夫婦で綴る笑いと涙の異文化体験 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『聖❤尼さん 「クリスチャン」と「僧侶女子」が結婚したら』夫婦で綴る笑いと涙の異文化体験

露の団姫 は、現役の上方の女性落語家にして天台宗の僧侶。高校時代から宗教の勉強を始め、聖書、コーラン、仏教書などを読み漁るなか、法華経に出会い「お釈迦さまは私の魂の父親だ!」と帰依することを決める。同時に夢であった落語家になるため 露の団四郎 に入門、大師匠の 露の五郎兵衛 宅に住み込みで修業した。 その団姫が運命の出会いをした相手が、 太神楽曲芸 師の 豊

『猫はためらわずにノンと言う』吾輩は吾輩である 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『猫はためらわずにノンと言う』吾輩は吾輩である

最近、静かな猫ブームである。私は元々、猫派で、知る人ぞ知るNHK BSプレミアムの『 岩合光昭の世界ネコ歩き 』も密かに楽しんでいるのだが、飼育のしやすさもあってか、特に都会では猫の人気が急上昇のようだ。「なめネコ」や「ネコ鍋」のように、これまで何度か猫ブームというのはあったが、今回は”This Time Is Different”のような気がする。 ところ

今週のいただきもの:2017年12月17日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2017年12月17日週

明後日12月25日はクリスマスですね。クリスマスはキリストの降誕(誕生)を祝う祭りですが、新約聖書にはキリストの誕生日に関する記述はありません。あくまで「降誕を記念する祭日」とされています。 クリスマスの由来は諸説あります。古代ローマでは、土着の宗教があり、冬至の日(12月25日)に「太陽神の誕生祭」や「農耕神への収穫祭」が行われていました。異教徒との対立を

『宗教国家アメリカのふしぎな論理』 矛盾だらけのアメリカを宗教から読み解く 書影

社会 / 世界史

『宗教国家アメリカのふしぎな論理』 矛盾だらけのアメリカを宗教から読み解く

その男は酒もタバコもしない。ギャンブルに手を出すこともない。刺激物はコーヒーすら飲まないのだ。キリスト教の教会に通い、積極的思考(ポジティブシンキング)を実践することで世界一の大国アメリカで人もうらやむ成功を手にした。この禁欲的に思える男の名前は、ドナルド・トランプ。そう、現アメリカ大統領のトランプには奇妙な信心深さがある。 テレビから伝わるトランプのイメー

『カラヴァッジョの秘密』 書影

アート・スポーツ / 人物

『カラヴァッジョの秘密』

既に十分すぎるほどのオマージュを集めてきたカラヴァッジョ、17世紀以降の西洋絵画に絶大な影響を与えた稀有な天才について、今更、何かを書き加えることがあるのだろうか。そう思う人は、ぜひ、本書を紐解いて欲しい。 優れた作家が、周知の事実や数多の論及、古くからの評伝や長大な解説書など膨大な文献の洪水の中から、まるで魔法のように明確な輪郭を持ったシンプルで読みやすい

『ハッパノミクス 麻薬カルテルの経済学』麻薬王は、誰もがみな名経営者!? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ハッパノミクス 麻薬カルテルの経済学』麻薬王は、誰もがみな名経営者!?

「一般企業もマフィアもやっていることは同じですよ」 もしあなたが真面目なサラリーマンで、誰かに面と向かってこんなことを言われたとしたら、どんな反応を示すだろうか。おそらく内心ムッとするはずだ。そして「とんでもない! 反社会的集団と企業を一緒にしないでください」とかなんとか反論のひとつも付け加えながら、納得のいかない表情を浮かべるのではないだろうか。 だが本書

大きいことはいいことか?『巨乳の誕生』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

大きいことはいいことか?『巨乳の誕生』

大きいことは、いいことだ。 高度経済成長期、チョコレートのCMでこのフレーズが流行ったの を年配の人は覚えているかもしれない。20世紀は大きいものが正 義の時代だったのだ。なんせ、野球は巨人、 プロレスはジャイアント馬場である。名前からして、デカい。 ビジネスの世界を見渡しても、米ゼネラルエレクトリ ックのようなコングロマリット(複合的多角化企業) が成功事

”意識”を揺さぶる養老孟司の『遺言。』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

”意識”を揺さぶる養老孟司の『遺言。』

「久しぶりに本を書いた」冒頭の文に、いきなり驚愕だ。なんでも、あの超ベストセラー『バカの壁』以来、ずっと「語り下ろし」だったらしい。ちらっと聞いたことはあったが、噂だけではなかったのだ。そして十年以上ぶりで書き下ろされたのが、この『遺言。』である。はたして何が書かれているのか、いやます期待。 「はじめに」で、早くもその意図は明かされる。「いまの時代は、皆さん

言葉の解釈をめぐる、解決困難な諸問題──『自動人形の城: 人工知能の意図理解をめぐる物語』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

言葉の解釈をめぐる、解決困難な諸問題──『自動人形の城: 人工知能の意図理解をめぐる物語』

本書は、同著者による数学的原理に裏打ちされた傑作ファンタジィ『白と黒のとびら: オートマトンと形式言語をめぐる冒険』、その続篇『精霊の箱: チューリングマシンをめぐる冒険』とはまた違った物語──副題にもある通り、命令を何でもこなしてくれるスゴイ人工知能をつくる上で避けては通れない、コミュニケーションにおける人工知能の意図理解についての一冊である。 図や数式は

『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』「民族協和」を目指した学生たち 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』「民族協和」を目指した学生たち

日中戦争当時、石原芫爾が満州事変を首謀し、満州国を建設後、彼が次に目指したのは将来国を担っていくエリートの育成である。満州国の最高学府として建設されたのが「満州建国大学」。満州国が当時国是として掲げていた「民族協和」の実践場として、日本人の定員を半分に制限し、中国、朝鮮、モンゴル、ソ連のなど様々な国から学生を募った。 本書は、著者が建国大学卒業生たちを訪れ、

今週のいただきもの:2017年12月10日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2017年12月10日週

家人からのリクエストで、クスクスを作りました。クスクスは、世界最小のパスタと言われ、肉や魚、野菜の煮込みをかけて食べます。この小さな粒々をどうやって作っているかというと、小麦粉に水をかけて指でもみ、小さな粒にしてからふるいにかけ、乾燥させているそうです。 クスクスは、モロッコやチュニジア、アルジェリアなど、北アフリカの先住民ベルベル人の伝統料理です。これらの

『PRE-SUASION: 影響力と説得のための革命的瞬間』 説得上手な人たちは事前に何をしているのか 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『PRE-SUASION: 影響力と説得のための革命的瞬間』 説得上手な人たちは事前に何をしているのか

ひとつ考えてみてほしい。あなたはショッピングモールの一角で、そこを行く人々にアンケート調査への協力を求めている。でも、わざわざ時間を割いて調査に協力してくれる人はごくわずかだ。では、もっと多くの人に協力してもらうためには、あなたは彼らにどういうふうに声をかけたらよいだろうか。 本書は、社会心理学者のロバート・チャルディーニによる単著で、あのベストセラー 『影

『消された一家』北九州・連続監禁殺人事件の発覚から15年、やるせなさと救いが同時にやってきた 書影

事件・事故 / TV・動画

『消された一家』北九州・連続監禁殺人事件の発覚から15年、やるせなさと救いが同時にやってきた

今年もたくさんの新しい本と出会い、様々な刺激をもらってきた。だが今年読んだ本の中で、最も印象に残ったものを挙げよと言われれば、それは「再会」した一冊になる。それが本書『消された一家 北九州・連続監禁殺人事件』だ。 事件の詳細に関する記述はあまりにも凄惨で、この本が置いてある本棚の一角は邪気が漂っているように感じるほどである。数年前に奥の方へと封印したはずのこ

今年最も本が売れた日は、いつだったのか? 2016.12〜2017.11 書影

教養・雑学 / 併せて読まれたこの一冊

今年最も本が売れた日は、いつだったのか? 2016.12〜2017.11

書店の店頭を「今年のベストセラー」が飾る時期となっています。この1年を彩った本の紹介は他所に譲るとして、今回は恒例(?)となった「今年一番売れた日はいつだった?」というテーマを取り上げたいと思います。 日販POS店のデータをもとに、2016年12月1日〜2017年11月30日まで1年間の日々の売上冊数(金額ではなく冊数です)を抽出しました。対象は書籍・雑誌全

僧侶で歴史は動いた 『日本の奇僧・快僧』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

僧侶で歴史は動いた 『日本の奇僧・快僧』

奇僧はまだしも、快僧……? 道鏡、西行、文覚、親鸞、日蓮、一遍、尊雲(護良親王)、一休、快川、天海……お坊さんの名前が10人ずらり。共通点は、歴史の教科書で名前を見たことがあること、それから人物がとんでもなくて、おもしろいこと。この10人について、それぞれコンパクトに評伝がまとめてある。醍醐味は、読み通すと日本史が俯瞰できることだろう。 著者の今井雅晴さんは

オスはみーんな、二重人格?『歌う鳥のキモチ』小鳥のびっくり私生活 書影

サイエンス / 生物・自然

オスはみーんな、二重人格?『歌う鳥のキモチ』小鳥のびっくり私生活

「ことりはとってもうたがすき かあさんよぶのもうたでよぶ♪」 子どもの頃、大好きだった童謡。ただ……ふと思う。小鳥が歌うのって、「好き」だからなの? 早朝、森に降りそそぐ小鳥たちのコーラス。聴く側もさわやかで心地よいけれど、小さな体に似合わぬ大きな声で精いっぱい歌う姿を見ていると、やっぱり「歌が好き」なんじゃない?という気がしてくる。 でも「歌う」ことは、わ

我が意を得たり 『焼肉大学』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

我が意を得たり 『焼肉大学』

忘年会シーズンである。振り返れば近年、焼肉忘年会をした記憶がない。参加者の懐具合に配慮し、幹事さん達は焼肉店を選択肢からはずしているのだろうか。折からのひとり焼肉ブームである。そこで私は、ひそかに決めていた。今年は「ひとり焼肉忘年会」を開催することを(爆)。それを100倍楽しもうと考えていた矢先、本屋さんの店頭でズラリと並んだこの本を見つけたのだ。 著者は、

今週のいただきもの:2017年12月3日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2017年12月3日週

先日、ラ・フランスをいただいたので、熟すのを待っています。ラ・フランスの収穫は実の固いうちに行われ、常温で10〜14日ほど追熟します。軸周りが柔らかくなり、香りが強くなってきたら食べごろです。 「ラ・フランス」と、国名を冠していますが、実は日本だけの呼び名です。ラ・フランスは1864年にフランスのクロード・ブランシェ(Claude Blanchet)が発見し

『絶滅危惧職、講談師を生きる』人気の若手講談師が本気で語る革命的芸道論 書影

教養・雑学 / アート・スポーツ

『絶滅危惧職、講談師を生きる』人気の若手講談師が本気で語る革命的芸道論

先日「笑点」の演芸コーナーに神田松之丞が登場した。わずかな時間の中で講談という芸を説明し、そのさわりを読みたて、大喜利へ笑いを繋いだ。途中くすぐりを入れたにもかかわらず収録会場は一瞬静まりかえる。演者の迫力に押されて、観客は息を飲んでしまったのだ。 神田松之丞は弱冠34歳の二ツ目にして、昨今もっともチケットが取れない芸人のひとりだ。 いまや人気絶頂の落語にく

『パリのすてきなおじさん』人生が醸し出す大人の「絵本」 書影

教養・雑学 / 人物

『パリのすてきなおじさん』人生が醸し出す大人の「絵本」

老いは避けられない。どうせ老いるなら若い人に「素敵なおじさん」と呼ばれたいものだ。おじさんが何歳からなのか、はっきりした定義はないだろうが、30歳からをおじさんと呼ぶのなら、私はおじさん歴9年になる。そろそろ、おじさんも板についてきた頃だろう。しかし未だに素敵なおじさんが、どんなものなのかトンとわからない。おじさんのサンプル集でもあればと思っていたら、出てき

『運慶への招待』一門を纏める仏師 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『運慶への招待』一門を纏める仏師

2017年11月、東京国立博物館にて開催された運慶展は入場者数が60万人を超え終了した。 運慶といえば平安末期~鎌倉時代にかけて活躍した仏師だ。東大寺南大門の金剛力士立像はその代表作だが、全身で8m以上もある。重さは7t。制作年は1203年と制定され、つまり800年が経過しているが、今だもって見る者を畏怖させる。当時の人達は阿吽の仁王から凝視されたら、度肝を

『アフター・ビットコイン』ブロックチェーンが金融界を変える 書影

社会 / ビジネス

『アフター・ビットコイン』ブロックチェーンが金融界を変える

2017年10月末、ビットコインの時価総額は1000億ドルを突破。スマホなどでビットコインを管理するユーザーは全体として11兆円を超える潜在的な購買力を持っていることになる。 2009年10月にビットコインが法定通貨と交換開始されたときのレートは100ビットコインで9円だった。2011年には英字紙「TIME」がビットコイン特集を組んだ。この時点で1ビットコイ

『鹿児島学』 書影

民俗・風俗 / 「解説」から読む本

『鹿児島学』

最初にお断りしておきますが、私は鹿児島県外出身者です。生まれも育ちも福岡県の旧豊前国(福岡県は豊前の北半分と筑前・筑後が合体して生まれた県なので、それぞれ言葉も文化も異なるのです)で、学生時代を旧筑前国で過ごした後、縁あって鹿児島に職を得てそろそろ四半世紀。今や生まれ故郷で過ごした時間よりも長く鹿児島の地で過ごしています。 著者の岩中さんは本書の中でご自分の

『ぼくは13歳、任務は自爆テロ』日本人の若者が模索するテロリストからの脱却 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ぼくは13歳、任務は自爆テロ』日本人の若者が模索するテロリストからの脱却

テロが起こるのは違う世界の話だと思っていたのだが、ここ数年、そうとは言えなくなってきている。つい先ごろも、ロンドンで爆発のあった地下鉄に知人が乗り合わせていたと聞いた。日本でもいつか起こる、そんな予感は誰もが持っているだろう。だが長い平和を甘受してきた日本人にとって、テロは怖いばかりで具体的に何も対処できていない。 本書は「アクセプト・インターナショナル」と

『アメリカンドリームの終わり』格差社会は、いかにして助長されてきたのか 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『アメリカンドリームの終わり』格差社会は、いかにして助長されてきたのか

本書『アメリカンドリームの終わり あるいは、富と権力を集中させる10の原理(Requiem for the American Dream: The 10 Principles of Concentration of Wealth & Power)』は、ノーム・チョムスキーへのインタビューによるドキュメンタリー映画『 アメリカンドリームへのレクイエム(Requ

今週のいただきもの:2017年11月26日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2017年11月26日週

この時期、丸の内のイルミネーションが綺麗ですね。丸の内といえば、東京駅と皇居をつなぐ、行幸通りの景色に、統一感があると思いませんか? 行幸通りに面した、丸ビルと新丸ビルは約31m(100尺)までの低層部と高層部でデザインを変えています。これは、100尺規制撤廃以前の昭和の建築をイメージしているんです。100尺規制とは、ロンドンの街並みを参考に、当時のイギリス

『黙殺 報じられない“無頼系独立候補"たちの戦い』悪戦苦闘の中に見えてくる、選挙制度の問題点 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『黙殺 報じられない“無頼系独立候補"たちの戦い』悪戦苦闘の中に見えてくる、選挙制度の問題点

選挙があると思い出す光景がある。ずいぶん前のことだが、番組でお付き合いのあった関係で、ドクター・中松の街頭演説を見に行った。場所は下北沢駅の北口だった。 ジャンピングシューズをはいたドクターが登場するとたちまち人だかりが出来たが、聴衆はビヨ~ンビヨ~ンと跳ねるドクターの動きにつられて顔を上下させるばかりで、せっかくの演説を誰も聴いていないんじゃないかと思った

『SHOE DOG』を読んでいるのは、どういう人たちなのか? 書影

ビジネス / 併せて読まれたこの一冊

『SHOE DOG』を読んでいるのは、どういう人たちなのか?

今、『SHOE DOG』が売れています。なんと発売1ヶ月で13万部突破だとか。翻訳本としては珍しいくらいの売行きです。この本は、ナイキの創業者が自ら語る創業秘話…といっても実はこの「創業者自らが語る創業秘話」的な書籍はノンフィクション界には珍しくありません。その中でなぜこれが売れたのか、、データからその実態に迫りたいと思います。 まずは発売からこれまでの売行

『レッド・プラトーン 14時間の死闘』今年一番の戦争ノンフィクション! 書影

教養・雑学 / 人物

『レッド・プラトーン 14時間の死闘』今年一番の戦争ノンフィクション!

戦闘前哨(COP)キーティングはアフガニスタン北東部に位置するヌーリスタン州の山岳地帯に作られた。パキスタンの国境から、わずか22.5キロメートル。9.11以降アフガニスタンに派兵した米軍はアフガニスタン東部での反乱に悩まされていた。アルカイダとタリバンの戦士達はこの急峻な山岳地帯の網の目のような隠れ谷をうまく利用し、戦士や武器をパキスタンから補給していた。