
誰か嘘だと言ってくれ、『アベノミクスによろしく』と『異次元緩和の終焉』に
科学者というのは、データを出すことが最も重要である。それに次いで、いや、それと同じくらい重要なのがデータを解釈することである。ライフネット生命創業者の出口治明さんが、物事を決める時に重要、と、おっしゃるところの『数字、ファクト、ロジック』は、科学者にとっての根幹でもある。 経済にはまったく疎い。なので、この二冊の本に書いてあることが真実なのかどうか、正しく判
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科学者というのは、データを出すことが最も重要である。それに次いで、いや、それと同じくらい重要なのがデータを解釈することである。ライフネット生命創業者の出口治明さんが、物事を決める時に重要、と、おっしゃるところの『数字、ファクト、ロジック』は、科学者にとっての根幹でもある。 経済にはまったく疎い。なので、この二冊の本に書いてあることが真実なのかどうか、正しく判

1年中見られる「留鳥」のカワセミですが、北日本では秋冬に暖地に移動します。カワセミは川や湖に飛び込んで狩りをするため、水面が凍る地域では生きていけません。 鮮やかな色から、「青い宝石」や「渓流の宝石」と呼ばれます。しかし、この青はカワセミの色素によるものではなく、羽毛にある微細構造に光が干渉し、青く見えます。これを構造色といい、シャボン玉やCDが様々な色に見

9.11後、アフガニスタンに派兵したアメリカは、パキスタンとの国境地帯で反乱の急増に悩まされていた。そこで2006年夏、この急峻な山地帯に前線基地を点々と連ねて敵の補給線を分断するとともに、現地の村人には不足している物資を供給し人心を勝ち取るという作戦を立てた。これにより谷間の川沿いにくねくねと伸びている狭隘な道沿いに十数箇所の前哨基地が作られていった。奥へ

現代の世界は数え切れないほどのイノベーションが連鎖することでかたちづくられた。本書の著者スティーブン・ジョンソンが前著『 世界をつくった6つの革命の物語 』で示したように、ある分野のイノベーションは全く別領域でのイノベーションを誘発し、ときに想像すらできない変化をもたらしうる。印刷機の発明はインターネットを、衛生観念の発達はマイクロプロセッサを生み出した。著

名人4期、碁聖6期、タイトル獲得数35。「最後の無頼派」と呼ばれた囲碁棋士である依田紀基氏の自伝だ。ギャンブルで借金を背負い、家族が離散した「どん底」時代のエピソードまで赤裸々に明かしながら、プロとして勝ち続けるために必要な考え方について語る。勝負師の言葉は全ての職業人に通じる普遍性と重みがあるだろう。 学生時代の著者は絵に描いたような劣等生だった。通知表は

この秋、思いもよらない入院生活を体験することになった。幸いにも今後長期にわたる治療が必要になるような病気ではなかったが、それでも2週間ほどの入院が必要だと言われた。 それからが大変だった。ぼくの体調ではない。我が家の生活の話である。子どもはまだ小さいうえに妻も仕事がある。お互いの親は介護状態だったり遠方に住んでいたりで気軽に助けを求められるような状態にはない

Rの付く月の楽しみといえば、牡蠣ですね。逆に、5〜8月に牡蠣を食べはなかったのは、冷蔵で海から消費地まで輸送ができなかったから。これは1752年にパリで出された法令に由来します。 また、この時期の牡蠣は、産卵のために身が細り、あまり美味しくないんです。ただ、近年3倍体の牡蠣(染色体数が多いため、産卵しない)が開発され、一年を通し、太ってクリーミーな牡蠣を楽し

まずはこの写真を見てほしい。 幼いころ怒られて教えられた記憶がよみがえる。「お葬式の時にすることだから絶対やっちゃダメ」というのはもはや常識ではなくなってしまったのだろうか? 本書は「食ドライブ調査」に基づいて考察された、現代の日本の食卓にのぼる和食の実態である。たくさんの写真とインタビューから描き出される姿に、あなたは驚くだろうか、それとも何とも思わないだ

(HONZ 東えりかとのクロスレビュー:東えりかの書評は こちら ) イルカとクジラの問題について日本人としてのアカウンタビリティ(説明責任)を問う一冊だ。 捕鯨問題に対して自分なりの意見を表明できるようにすることは、日本人のアカウンタビリティと著者はいう。捕鯨への反感は日本人が想像もつかないほど広く根深く世界に浸透しているからだ。 たしかに筆者も海外で経験

すし。 言葉にすると同じなのだけれど、こんなに違うのだね。 そうため息をつくばかりの、お腹が空いてくる、旅をしたくなる、この『すし』。 全国いろとりどり、工夫さまざまの写真が並ぶ様子は壮観だ。なにしろ企画・編集を担ったのは50周年を迎えるという日本調理科学会。こちらの会員(大学・企業・公共機関などの研究者1300名ほど)が47都道府県の聞き書き調査を行った上

「ありそうもないこと、稀有なこと、不可思議なこと、奇跡的なこと」。生物地理学者のギャレス・ネルソンはかつてそんな言葉でそれを嘲笑したという。だが実際には、どうやらそれは生物の歴史において何度も生じていたようだ。それというのは、生物たちによる長距離に及ぶ「海越え」である。 本書が挑んでいる問題は、世界における生物の不連続分布である。世界地図と各地に生息する生物

地元、横浜の大さん橋に行ってきました。国内外の大型客船が寄港する客船ターミナルで、屋上は天然芝とウッドデッキになっています。カフェやショップも入っていることから、船に乗る人以外も楽しめるスポットです。 設計はイギリス在住の建築家、アレハンドロ・ザエラ・ポロとファッシド・ムサヴィで、コンペで選ばれた当時は大変話題となりました。建物内部は、柱のない大空間となって

2010年11月に刊行された『我が一家全員死刑』(コアマガジン、後にコア新書で再刊)は衝撃的な一冊であった。「人は見た目が9割」ならば確実にお近づきになったらヤバそうな4人の家族の顔写真が表紙にならんでおり、実際、見た目通りヤバかった北村実雄、真美、孝、孝紘の4人は強盗殺人の罪などに問われ、全員死刑が確定している。 本書は、次男の孝紘の獄中手記を中心に構成さ

読後感はひとこと「凄絶にして重厚な戦争映画を飽きることなく最後まで観てしまった」である。 400ページを超える大部であり、行間も狭くて、文字がぎっしりと詰まっているレイアウトだ。読み通すまでには数日かかるであろう。 しかも本書はアフガニスタンの一拠点における14時間の攻防戦を記述しているだけの、いわば記録文学だ。にもかかわらず、大切な仕事を後回しにしてまでも

水・金・地・火・木・土・天・海・冥。かつてそう教えられた太陽系惑星のなかから、2006年に冥王星が除外されたことは記憶に新しい。だがじつは、19世紀後半にはそれら惑星候補のなかにもうひとつ別の名前が挙げられていた。本書の主役は、その幻の惑星たる「ヴァルカン」である。 ヴァルカンはその生い立ちからして冥王星とは異なっている。というのも、そもそもそんな星は存在す

振り返るのはまだ早いが、今年は 『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』 と 『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』 という本が、とにかく良く売れた。100歳まで生きるという前提で人生設計を組み直す必要があることや、少子高齢化を前提とした働き方に変えなければならないことは、良くわかった。 その他にも変化はいくつもあるが、ガソリン車から電気自

本書は第二次世界大戦のさなか重水をめぐり行われた連合国とナチスとの攻防に脚光を当てた作品だ。舞台はノルウェーのオスロ西方にあるテレマルク県に広がるハンダルゲン高原という荒涼とした大地。極寒の地で冬には雪で閉ざされ、地元の猟師が時々、トナカイをしとめに足を踏み入れるくらいの場所だ。夜になると急激に気温が下がるため、地元では「炎さえ凍る」と実しやかに囁かれる厳し

著者は舞踏家の麿赤兒(まろあかじ)。劇作家である唐十郎の状況劇団に参加し、それから土方巽に師事した。その後に舞踏集団「大駱駝艦」を立ち上げ、国内外に舞踏を知らしめた人物だ。 舞踏は日本で発祥した半裸で踊るスタイルだが、疾走する身体というよりむしろ動かなかったりする。一見、死を匂わせる静止した肉体かと思いきや、いきなり生に執着する表情をとり、口を全開させ呼吸音

本書を読んで私がまっさきに思い浮かべたのは、某有名CDショップが使う「NO MUSIC, NO LIFE」(音楽なしじゃ生きていけない)というキャッチフレーズだった。調べてみると、この宣伝文句が使われはじめたのは、もう20年も前の話だという。 私は当初、この文言を「音楽大好き!」「音楽最高!」というメッセージを大げさに強調したもの

水谷竹秀はフィリピンを拠点にするノンフィクション作家。 『日本を捨てた男たちフィリピンに生きる「困窮邦人」』 (集英社)で現地の人々の情けを受けて生きている日本人を描き、第9回開高健ノンフィクション賞を受賞した。 この作品は、私の価値観をひっくり返した。生活する姿だけをみれば惨め以外の何ものでもない日本人が、なんの柵(しがらみ)もないことで、とてもいきいきし

世の中にはコレクターと呼ばれる人たちがいる。特定の事物を徹底的に蒐集する人々のことだ。切手や古いコイン、宝石といった貴重品から、食玩フィギュアのような玩具、映画の半券、果ては牛乳瓶のフタやら変な形の小石やら、ありとあらゆるジャンルに彼らは存在する。 そうした蒐集の中で、おそらく最も長い由緒を持つのが、古美術品蒐集だ。本書は、古美術品の私的コレクションを築き上

安売りに釣られて買った、人参がしなびてきたので、慌ててミートソースを作りました。子どもから大人まで大好きなミートソースですが、イタリアンレストランのメニューでは、なかなか見かけません。代わりにボロネーゼという、よく似たパスタがありますが、何が違うのでしょうか。 ボロネーゼはイタリアのボローニャで、富裕層がフランスのラグー(煮込み料理)をもとに、肉や野菜、ワイ

ゴルフのラウンドをする度に痛感するのが、脱力することの難しさである。ただ脱力すれば良いということであれば話は簡単だ。しかし少しでも遠くへ飛ばしたいという欲望を充足させながら、力を抜いていくという行為は案外難しい。 その点、 ゼロからトースターを作ったこと でも知られる本書の著書トーマス・トウェイツは、明確な目標へ向かいながら全力で脱力するということに関して、


本書は2016年9月に発表された、ジャーナリストのダン・アッカーマンによるノンフィクションThe Tetris Effect: The Game that Hypnotized the World(テトリス効果――世界を惑わせたゲーム)の邦訳である。「Hypnotize」は「魅了する」という意味もあるが、「催眠術をかける、洗脳する」という意味の言葉であり、世

実際にテロ組織に加入しようとする若者を引きとめたり、社会への復帰を支援したりといった活動を行う「イスラム系セクト感化防止センター(CPDSI)」の創設者によって書かれた1冊だ。 著者はセンターを創設した2014年4月から2015年末までに、1134人の若者を支援してきた。活動の現場で目の当たりにした事例と、得られた知見がまとめられたのが本書である。 著者らは


町山智浩は〈今世紀最初の映画評論家〉である。 2002年に最初の映画評論集──本書の前作にあたる『〈映画の見方〉がわかる本─『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで』(洋泉社)を上梓し、このとき初めて町山さんは映画評論家を名乗った。映画について書く映画ライターは大量に輩出されても、映画評論家を新たに名乗る者など皆無だった時期に、である。そこにはどんな意

タイトルに惹かれて『 どうすれば幸せになれるのか科学的に考えてみた 』という本を買ってみたら、これが思いのほかおもしろかったので紹介したい。この本は予防医学研究者の石川善樹とニッポン放送アナウンサーの吉田尚紀の対談本である。 中身を見ずに買ったところ、読んでいる途中で、過去に両者の本を読んでいたことに気がついた。吉田尚紀の『 なぜ、この人と話をすると楽になる

最近、ポタージュにハマっています。ブレンダーを買ってから、ポタージュを作るのが楽チンなので、カボチャやジャガイモ、サツマイモなど素材を変えて毎日のように飲んでいます。 そういえば、カボチャの語源をご存知ですか?なんと、「カンボジア」に由来するんです。カボチャは天文年間(1532~55年)、ポルトガル人によって、カンボジアの産物として日本に伝わりました。漢字の

お金って何だろう? この本を読み始める前に、君たちがお金についてどんなことを知っているか、少し考えてみてほしい。 おこづかいやお手伝いをしてお金をもらっていれば、そのお金で自分の欲しいものを買うことができることは知っているだろう。 でもそれだけじゃない。お金には、欲しいものを買う以外にも、いろんなことができる力があることを、この本を読んで発見してほしい。 お

ひさしぶりに読んでいてワクワクするビジネス書に出会った。その本の名は『SHOE DOG(シュー・ドッグ)』という。2017年のベストビジネス書はこの本で決まりだ!発売する前からこの本には注目していた。読んでみたら、これが期待のさらに斜め上をいくおもしろさだった。550ページ近くもあり、ボリュームのある本だが、まったく飽きさせることなく、一気に読めてしまい、後

原書のタイトルは「Wanderlust」、旅への渇望という意味を持つ。著者レベッカ・ソルニットの代表作であり、著者自身が旅への渇望を持つ一人である。著者の名前が日本で知られるようになったのは、著作『災害ユートピア』が、2010年という運命的なタイミングで出版されたためである。 人生をかたちづくるのは、公式の出来事の隙間で起こる予期できない事件の数々だし、人生

人生を振り返ってみると、いつもその傍らにはゲームがあった。 プレイヤーの目の前に展開するゲームプログラムは誰にとっても同じものだが、ゲームがもたらす最終生産物は、プレイヤー各々にとって異なる「固有の体験」だ。僕の「初代ポケモン」と、誰かの「初代ポケモン」の思い出は大きく異なる。なにしろ、僕にとってのポケモンは、一緒に分担しながらポケモンを捕まえて、バグ技を共

「天才とは、蝶を追っていつのまにか山頂に登っている少年である」と語ったのは、アメリカの小説家ジョン・スタインベックである。ナイキの創業者フィル・ナイトの人生も、ある側面から眺めると、このように見えるのかもしれない。 フィル・ナイトとビル・バウワーマンによってブルーリボン社が設立されたのは1964年のこと。日本のオニツカ(現・アシックス)から輸入したシューズの

ただいま子育て真っ最中の脳研究者・池谷裕二さんが、親バカぶりを遺憾なく発揮しつつ、一方で科学的な視線で子供の成長を分析する。そのバランスが素晴らしい。「あるある!そんなこと!」と引き寄せられつつ、いつの間にか知識を得られるのだ。 出産時に大量に分泌されるオキシトシンというホルモンは母親を「何があってもこの子を守ろう」という気持ちにさせ仲の良い人をより強く信頼

赤坂・一ツ木通りが青山通りに突き当たるすこし手前に「木家下BAR」がある。読み方は「こかげ」。雑居ビルの地下一階にある店だ。 専用階段を降りて重い木の扉を叩いて来店を伝えると、マスターが中からドアを開けて迎い入れてくれる。10人ほどが座れるL字形のカウンターと、数人で囲める木のテーブルと椅子があるだけの小体な店だ。カウンターの端にはいつもの巨大なかすみ草の花

ここ数日はすっかり寒くなって、秋というより冬ですね。秋の味覚といえばきのこ。まつたけなんてめったに食べられませんが、しめじやしいたけ、えりんぎなんか安くて美味しいので、この時期は毎日のように食べています。 普段、私たちがスーパーで目にするしめじは本物のしめじじゃないということをご存知ですか?少し前までひらたけというきのこを「しめじ」としてスーパーなどで売って

「雑誌が売れない」と慣用句のように語られていますが、そんな市況の中でも売上が伸びている雑誌があります。例えば、パズル雑誌。POSの売上を見ると、4年連続で100%超えが続く超優良ジャンルとなっています。不況ムードに隠れがちですが、いい話は色々あるのです。 そんな中、9月の売上ランキングを見ていて目にとまった雑誌がありました。下記は9月期の定期雑誌売上ランキン

海賊ははるか古代より存在する。様々な文化、様々な海域、様々な政治状態、そして様々な民族によって海上での略奪行為は行われてきた。海賊と一言でいっても、その背景には多くの違いがある。だが、古代から現代、洋の東西を問わず、海賊には相反する二つの見かたがある。それは本書帯にも書かれているように「自由を求めるヒーロー」としての姿と「人類共通の敵」としての姿だ。 例えば