
2015年 HONZ 今年の1冊
2015年、最高の一冊を決める! さっそく意気込んでみたものの、なかなかの難題である。何をもって最高とするのか。今年最も注目を集めた一冊なのか? それとも最も売れた一冊なのか? どちらでもないだろう。我々が本に求めているのは、マスメディア的なものではない。それなら、どのような本を求めてきたのか? 情報の送り手としての立場ではなく、今一度、読書人としての基本に
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2015年、最高の一冊を決める! さっそく意気込んでみたものの、なかなかの難題である。何をもって最高とするのか。今年最も注目を集めた一冊なのか? それとも最も売れた一冊なのか? どちらでもないだろう。我々が本に求めているのは、マスメディア的なものではない。それなら、どのような本を求めてきたのか? 情報の送り手としての立場ではなく、今一度、読書人としての基本に

2015年は色々な意味で「節目」だったと思う。後々振り返られるであろう出来事がたくさん起き、多くの歴史的瞬間から「何十周年」という区切りの年でもあった。 防災に関して大きな分岐点となった阪神・淡路大震災から20年。それからの神戸、そしてそこで暮らす人々の気持ちはどう変わってきたのか。本書は神戸で震災を経験した3人のライター(青山ゆみこ氏、西岡研介氏、松本創氏
![『スパム[spam] インターネットのダークサイド』 書影](/assets/recovered-covers/a48eb1be4adb4cd20eb08ee8bf768dc547ee1729f6c2da31a43768586aab4634.jpg)
本書『スパム[spam] インターネットのダークサイド』は、スパムという現象を切り口にして、インターネットの影の歴史を描いた「テクノロジーのドラマ」である。インターネットを利用する全ての人々にとって、スパムを目にしない日は存在しないはずだが、その全体像を体系的に理解する機会はあまり存在しなかったのではないだろうか。本書はスパムを正

本書はイラクで暗躍する民間軍事会社を扱ったルポタージュである。2009年に出版された同タイトルの文庫版であるため、扱われている事件やイラクの政治状況は少し古いものとなる。しかし今のイラク情勢に繋がるヒントの一端は読み解くことが出来る。 著者はワシントンポストの特派員としてイラク戦争を取材する。その活動により2006年にはピュリッツァー賞を受賞している。著者自

「面白そう!だけど買えないっ!」でおなじみの このコーナー 。年内最後の登場です。年の瀬にふさわしく、今週のテーマは「メロスとエロス」。それではさっそくSOLD OUTになった書籍を紹介していきましょう! 関東大震災の時、横浜刑務所では何が起こっていたのか? 史実に隠された真実を、気の遠くなるような時間をかけて掘り起こした、 知られざる刑務所の物語 。レビュ

1970年代の日本では、中間層の膨張が誇張され、「一億総中流」という言葉がよく使われた。しかし、90年代初めのバブル崩壊後の長期不況の中で、年収300万円未満の所得階層が大幅に増加し、全体の過半数に達した。その一方で、300万円以上の所得階層が大幅に減少して、日本は「中流社会」から「格差社会」に移行したと言われるようになった。その格差社会への移行の本質は、雇

今年も残すところあと5日。年を重ねる毎に一年があっという間に過ぎていきます。この時期は仕事納めや大掃除に忙しないけれど、新年を迎える期待とどこか静謐な空気がとても好きです。 大晦日には年越しそばを食べる方も多いのではないでしょうか。江戸時代には定着していた日本の風習であり、そばは細く長いことから長寿を願って食べられるようになったそうです。 他の麺類よりも切れ

昨年に引き続き 、今年最後のこのコーナーでは今年を振り返ります。と、いうことで2015年のそれぞれの月を盛り上げたHONZのアクセスNO1レビューを振り返り、この年末年始に読んでおきたい注目本を読者併読情報から読み解いて行きたいと思います。 *記事が複数出たものは合算しています これらの銘柄について、WIN+データから読者平均年令、男女比率を抽出しています。

果たして、英雄に惹きつけられない人がいるだろうか? といえば、もちろんいるにはいるのだろうが、大抵の場合英雄とは憧れ、理想的な対象として存在している。神話におけるヘラクレス、あるいは仏教におけるブッダ、アーサー王にイエス・キリスト。神話クラスの人間でなくとも数十数百といった年数を語り継がれてきた民間伝承やお伽話には数限りなく人間の弱さを克服し前に進む英雄の姿

日中戦争当時、傀儡国家・満州国の最高学府として設立された国策大学が「満州建国大学」である。満州国の将来の指導者たる人材の育成と、満州国の建国理念である「五族協和」の実践の場として、日本人・中国人・朝鮮人・モンゴル人・ロシア人といった様々な民族から選抜された若者たちが6年間寝起きを共にしながら切磋琢磨する。すべて官費で賄われ授業料も免除という条件の良さもあり志

「おべんとう」と聞いて、あなたはどんなおべんとうを思い浮かべるだろう。手作り弁当、コンビニ弁当、駅弁、行楽弁当…。「おべんとう」と一口に言っても、その幅は広く、さらに「おべんとう」の “向こう側”に想いを馳せると、そこには果てしない世界が広がっている。 本書は、お弁当箱に詰め込まれた色とりどりのおかずを1つ1つ食べていくかのように、「おべんとう」に紐づく多種

表紙とタイトルから想像できないが、 文体も内容も驚くほど硬派だ。 エロ本を論じているのに全くエロくない。 確かに小中学校のPTA会長のお母様が白目をむくような内容も含 まれるが、 XVIDEOSで毎日が絢爛豪華のエロのフルコース状態の21世紀 の男女には時代を切り取った、 ひとつの産業ノンフィクションとして楽しめるはずだ。 エロ本が存亡の危機に立たされて久し

世界最強国家アメリカで、最も影響力を持つのはどの一族だろう。20数年間で2人の大統領を輩出し、さらに3人目の大統領候補を送り出そうとしているブッシュ家だろうか。世界最大の石油企業スタンダード・オイルに始まり、金融や軍事関連企業を次々と傘下におさめ、政界にも強いコネクションを持つ ロックフェラー家 だろうか。 夫婦で大統領となる可能性の出てきたクリントン家や世

1923年、近代化へ邁進する日本を直撃した関東大震災。帝都・東京を中心に関東一円へ大きな被害をもたらし、死者・行方不明者は10万人強にも及んだ。このような自然災害の理不尽さは、時や場所を選ばぬことにある。 被害は平穏に暮らしていたはずの一般市民のみならず、囚人たちを収容する刑務所にも襲いかかった。なかでも壊滅的なダメージを受けたのが、震源地にほど近かった横浜

チャリティを、情緒でなく数字で考えたらこうなった! 本書『あなたが世界のためにできる たったひとつのこと』は、ピーター・シンガーがシリコンバレーから広がる新たなライフスタイルの全貌を描き出した一冊。誰がために金を稼ぎ、何のために金を使うのか? そしてなぜ今「効果的な利他主義」なのか?(HONZ編集部) こんな場面を思い浮かべて下さい。あなたの目の前に、栄養

「オリヴァー・サックスの自伝をやらないか」というお話をいただいたとき、もちろん「ぜひぜひ」 と二つ返事でお受けした。 サックスの著書をこれまで三作翻訳してきたこともあるが、ネット上で見ていた原書のカバー表紙に興味津々だったからでもある。 短髪のイケメンが革ジャンを着てさっそうとバイクにまたがっている。えっ、これがサックス先生?

新聞社が社員を派遣しない危険地帯に潜り込むフリーランスの戦場カメラマン、横田徹氏の著書である。今年1月のISISによる邦人人質事件の際には、2週間で36本のテレビ番組に出演し、さらに新聞や雑誌の取材を10本受けていたというので、名前を知る人も少なくないだろう。 アフガニスタン、パキスタン、シリア、パレスチナ、リビア、ソマリア、カンボジア、コソボ……。著者が撮

人物 / HONZ客員レビュー
20年近く前、『 インタヴューズ 』(文藝春秋)という本を読んだことがある。マルクスからジョン・レノンまで84人のインタビューを集めたものだが、巨星の肉声がこれほどまでに面白いとは、と瞠目した記憶がある。本書は、堤清二×辻井喬という先見性に溢れた稀有な人物の29時間に及ぶロングインタビューを纏めたものである。しかもインタビュアーが3人の気鋭の学者であって、絶

来週はクリスマス。街はクリスマスソングやイルミネーションが溢れ、幸せな空気に包まれています。子どもの頃はサンタクロースに手紙を書き、プレゼントを心待ちにしていました。 サンタクロースと言えば赤い服、白ひげの小太りのおじさんのイメージですが、 実はこれ、世界共通のものでは無かったんです。 イギリスではfather christmasと言って緑色の服を着ています

あまり科学的でない個人的なエピソードから、始めさせてください。 五年前、わたしは父の臨終に間に合いませんでした。明け方、宿直の若い医師からの電話でたたき起こされ、母とタクシーで駆けつけた時は、すでに息を引き取ったあとでした。病室に飛びこんだわたしは、気持ち良さそうな父の寝顔に、もちなおしたのだと、ほっとして、静かに枕元に向かおうとしました。背後で聞こえた「間

本書の著者のジャレド・ダイアモンドは、この本のもとになる書物を1991年に出版しました。私と夫は、それを読んで大変おもしろいと思いましたので、その翻訳を1993年に日本で出版しました。それは、『人間はどこまでチンパンジーか?』(新曜社刊)という題名で出版されました。本書は、それ以後の研究成果を取り入れて、内容を少しアップデートするとともに、読者をとくに若い人

藤井誠二が書いたのでなければ、私はこの本を手に取らなかっただろう。「少年A」というキーワードはこのところ食傷気味で、もういいかげんうんざりしていたのだ。 2015年の夏、突然出版された『絶歌』という手記も、ノンフィクションを主に書評している私は読まないわけにはいかなかったし、誰かに聞かれれば内容だけでなく、構成力や文章の巧拙についても語らなければならなかった

世界有数のエンターテイメントの街、ラスベガス。100年前にはたった数十人しか住民のいない小さな町だったが、今では毎年4,000万人以上もの観光客数が訪れ、沖縄の約6倍もの集客力を誇る世界有数の観光リゾートだ。しかも温暖な気候・海・歴史など豊富な観光資源に恵まれた沖縄とは違い、あたり一面砂漠しかない枯れ地に位置するラスベガスは、カジノとエンターテイメントだけで

地図を見るのは楽しい。行ったことがある場所なら、あぁこんなだったと思いだせるし、行ったことがない場所なら、どんなところだろうかと想像力がかきたてられる。いまや、世界中、地図のないような場所はない。しかし、そんな時代になったのは、それほど昔のことではない。 古代バビロニアに始まり現代で終わる、地図についての物語集だ。それぞれの地図が作られた時代が語られ、その意

ついつい出れば買ってしまう、ヤマザキマリさんの新刊。今回は「リスボン日記」とやら。あれ、リスボンにもいたんだっけ? そう、いらしたそうなんです。時代は遡ること、2004年の夏の終わり頃。あの『テルマエ・ロマエ』の着想を得て、描き始めた時期なのでした。 何気なくページを開いたら、いつのまにかの一気読み。解説を書いている女優の本上まなみさんの帯の言葉の通り「爆笑

日に日に寒くなりお鍋が恋しい季節ですね。寄せ鍋、キムチ鍋、豆乳鍋など家庭でも美味しく、バリエーション豊かに楽しむことができます。しかし、「西のふぐ鍋、東のあんこう鍋」と言われるように、ちょっと高級でお店でしか味わえないお鍋もまた魅力的。個人的に最近はあんこうにそそられます。 あんこうの表面はぬめりがあり、さらに深海魚のため水圧に耐えられるように柔らかい体にな

2015年のHONZが、全力でレコメンドする『冒険歌手 珍・世界最悪の旅』。あらためて冷静に振り返ると、この本に関しては何から何までヘンである。 真っ先にレビューを書いた 塩田春香は、 朝会で紹介した時 から様子がヘンだったし、続いて レビューを書いた仲野徹 はいつもと変わらぬように見えるが、元々ヘンな人である。強烈なキャラクターを誇る藤原隊長、そして若き日


読んだ本の内容をよく忘れてしまうのが悩みである。驚いたり、ジーンときたり、時を忘れたり、吹き出したりといった体験そのものが読書の醍醐味ではあるけれど、思い出したい時に要点をスッと引き出せるようになりたい。そうすれば、読んだ後も楽しめる。 そのことを特に感じるのが、誰かと話している時だ。話の流れに「この前読んだ本に書いてあったこと」がはまりそうだと思う瞬間はよ

シリアルキラーと聞いて、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。ヒッチコック監督の映画『 サイコ 』だろうか。それとも『 羊たちの沈黙 』に出てくるハンニバル・レクターを思い浮かべるだろうか。若い人ならアメリカのテレビドラマ『 クリミナル・マインド 』を連想する人もいるだろう。本書は実在のシリアルキラーたちをFBIが使用しているプロファイリングを基に分析、分類した

たまに人を紹介してもらえる時があるのだが、「あいつはいいやつだから」と紹介されるより、「すっげー変わったヤツがいるけど、会ってみる?」という誘い方のほうに魅力を感じてしまう。私の場合は後者のような人ほど興味深く、また彼等は独自のプリンシパルを持ち合わせている場合が多い。 本書の著者はみうらじゅん氏。デビューして今年で35年「ゆるキャラ」や「マイブーム」などの

読書は冒険!-ひこ・田中 きみも本当は本好きかもしれない。-金原瑞人 監修人ふたりが強く宣言する。 本を読む人が減っている、と巷間言われている。でもみんな、いつもスマホをのぞいてはメールやSNSで文字を読んでいるじゃないか。もしかしたら50年前より現代の方が文字に馴染んでいる時代になのかもしれない。 いちばん本が読めるのは10代。多分、異論はないと思う。この

本に関する記事を毎日のように送り出しながら面白さを感じるのは、ネットのニュース記事などと比べて時間の流れ方の異なる点である。 予期していたかのようにタイムリーに出されたものもあるが、少し時間を経たからこそ全貌の見えてきたもの、社会的な関心事ではないが特定の層にはズバッとささるもの、時代の流れを全く読まなかったから生まれてきたものも、大半を占める。 時宜を得た

少し前まで暑い暑いと言っていたと思ったら、もう12月。師走ですね。 日頃、落ち着いている先生(=師)も走るほど忙しいから「師走」とよく言われますが、 実は正確な語源はわかっていないんです。 師匠の僧が年末にお経をあげるために西へ東へと馳せる(走る)から「師馳す」というのは平安時代の文献に登場します。現代の「師走」と漢字の意味も近く、古い説なので有力な気もしま

この12月に労働安全衛生法が改正され、50名以上の事業所について、全従業員へのストレスチェックが義務化される。本屋さんでは、日記・手帳商戦の真只中である。これは、偶然ではあるまい。いや、偶然か。いやいや、そんなことはどちらでも良い。これまでの日記・手帳は、成功や効率を追い求めるものが多かったが、最近はそのトレンドがやや変わりつつある。ここが重要である。 ご存

プロレスに興味が無い、若い世代にとってジャイアント馬場の印象とは「動きが緩慢な巨人レスラー」程度かもしれない。だが、1960年代、馬場は日本人離れした209センチの長身を武器に「東洋の悪魔」として恐れられ、全米のマットを席巻した。ニューヨークの「マジソン・スクエア・ガーデン」でメーンを張り、目の肥えた米国のプロレスファンを熱狂させた。 帰国するまでに、稼ぎ出

白馬に乗った王子様には掃除をすべき城がある 少子化や「女性の活躍」についてはたくさんの本が出ているが、本書は出だしにあるこのフレーズを見て続きを読まずにいられなくなった。 おとぎ話はたいてい、王子と姫が試練の末に結ばれ、その後ずっとお城で幸せに暮らしました、というところで終わる。物語としてはそれでいいのだが、本書はあえて王子と姫のその後を想像するところから始

本書は「なぜネアンデルタール人が絶滅し、初期現世人類は絶滅しなかったのかという人類学の大問題」に、最新の研究結果と巧みな想像力で迫っていく、知的興奮に満ちた一冊である。原書である『 The Invaders 』は2015年3月に出版されたばかりで、著者が引用している論文はここ数年で発表されたものも多く、古人類学の知識を大幅にアップデートできる。本書で描かれる
本日12月1日より、 JBpress への記事配信がスタートしました。 地頭に響くビジネスサイトとして知られる「JBpress」においても書評へのニーズは高く、より幅広い読者の方にノンフィクション書籍の面白さを伝えていければと、考えております。 毎週火曜日、週1回のペースで厳選したレビューを提供して参りますので、HONZサイトと併せてご活用ください。 >>記

インタビューも後半に差し掛かるにつれ、ずいぶんと熱気を帯びてきた。実は序盤の頃は顔のパーツの彫りの深さや、青き瞳の鋭い眼光にばかり目を奪われていたのだが、話し込んでいくとずいぶんと分かり合えるポイントも見つかってくる。そして、HONZ読者の多くの人が悩んでいるであろう「読書習慣」にまで話は及んだ。(インタビューの前半は こちら 、書評は こちら ) 内藤 :